青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2018-01-04 209.戦後世界の大転換を乗り切って次世代への継往開来を

戦後世界の秩序が大転換中です。”良いこととされてきたグローバリズム”の幻想が剥げ落ち、エスタブリッシュメントへの反発で米合衆国ではトランプ大統領が登場。金融緩和で世界中でマネーが溢れかえる金融危機後の世界。世界を巻き込む危機を内在する中国共産党が独裁する中国。日本は、消費が14年の消費税増税から回復できていないものの、好調な世界経済のお蔭で企業業績が良い内に、子育て世代や社会保障への不安を取り除いて、次の発展へとつないでいきたいものです。

    平成30年度(西暦2018)の干支の戌(いぬ)は真面目のシンボルです。真面目に働く個人の幸福度を高めて、社会的公器である真面目な会社などの社会的価値を高めていく、そのためには、事実に基づく現状認識自分が活動していく方向性が大切です。・・・世界の景気は良いのですが、金融はバブルです。バブルはいずれはじけます。バブル崩壊で持ちこたえるには強い実体経済が必要です。世界の金融は世界GDPを上回る通貨供給量世界GDPの325%もの世界の政府債務残高という統計的には危機状態です。危機がが忍び寄っています。・・・年金も政府もあてにならないと社会不安が高まります。そうならぬよう、個人も組織もこの大転換の荒波を乗り切っていかねばなりません。
    まずは世界秩序の大変化。パックスアメリカーナ(PAX AMERICAN 米国による平和 )の転換からみていきましょう。米合衆国は、第二次世界大戦を経て戦後政治と金融の世界秩序の中心となりました。ソ連や中国との東西冷戦時代は、それなりに利益を享受していたのだと思いますが、ソ連が崩壊し、中国が改革開放で国家資本主義へと動いて1992年以降グローバル化が一気に加速し、中国が最大のグローバル化受益国となり、EUなど米と並び立つ勢力が登場し、米合衆国の一方的な持ち出しになっていることに気づいた米選挙民がトランプ大統領を当選させたともいえます。・・・このグローバリズムへの失望感トランプ大統領選出の背景という部分は、下術の中野剛志なるお方の寄稿がよくまとまっていますので引用します。
>http://toyokeizai.net/articles/-/145294 トランプ勝利もBREXIT衆愚政治ではない 中野剛志 東洋経済2016.12> (富と平和をもたらす最善の道でより平和な世界をもたらす)と喧伝されてきたグローバリゼーションのイデオロギー(信仰)破たんした。反省も方向転換もしないエスタブリシュメントに業を煮やした多くの米国民が、方方向転換を求めトランプ大統領を選出した。・・・グローバリゼーションは米国民の豊かな生活を約束しないし、米合衆国の経済力を弱体化させた。この20年間、米英をはじめとする先進諸国の実質賃金は伸びなくなり、(ごく僅かの受益者と大多数の国民との)格差が極端に拡大した。一方で中国米国の支援グローバル化の最大の受益国となり富国強兵を進めている。もはや米国民が多大なコストを負担してまでグローバルな秩序を守る動機は失せた。

2017-12-31 208.会社も相撲協会も「プロの真面目さ高潔さ」で更なる発展を!

相撲協会東芝も不祥事の根っこは同じです。日本型組織の構造欠陥です。日本型組織は相互協調的自己観*1ですから、内在する衰退惹起サイクルの歯止めの楔(くさび)を打ち込んでいない会社では、集団に溶け込み埋没した個人が組織のためと称して反社会的なことをしでかすのです。最終的なソリューションは「職業に忠実で高潔なプロ(Professional Integrity)」を世の中の主要な規範と価値観の一つにしていくことだと思います。

平成30年(西暦2018年)の干支である戌(いぬ)は真面目さと勤勉さのシンボルです。世界の中で衰退が続く今の日本に必要なのは真面目さを取り戻すことだと思います。真面目とは「会社の常識や上司の命令に反しても誠実に振る舞うこと」です。言われたことを言われた通りにやることではありません。真面目は英語でいえば、Honest(正直で真っ直ぐ)、Trustworthy(信頼できる)、Genuine(素直)、Faithful(誠実)です。

「悪い意味で真面目という場合の表現」のSerious(杓子定規)やSquare(四角四面の堅物、面白味がない人)は英和辞書の誤訳ともいえます。気安く使わないようにしましょう。
 藤野英人なる投資会社代表の御仁は「従業員が真面目経営者が素直な会社は組織が生き生きしており、長期的に高い利益成長が期待できます。逆にいえば、そうでない企業は不祥事が起きやすいといえるでしょう。個人投資家の皆さんにも参考になる視点ではないでしょうか。」と、真面目や素直に本来の意味について詳述してくれていますので以下で引用させてもらいます。
>https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22239120T11C17A0000000 :title=相次ぐ不祥事 私が企業を見るポイント(藤野英人)> どうして不祥事は起こり続けるのでしょう? 日本企業に共通した悪弊社員が真面目でないからです。一番悪いのは不正を指示した経営者にきまっていますが(不正な指示に)従った真面目でない社員もいるわけですね。日本人は真面目の意味を履き違えていると思います。真面目とは本来、真剣であり、誠実であること。そして「本質とは何か」をしっかり考えることです。原点に立ち返ると、たとえ会社の常識や上司の命令に反したとしても、誠実に振る舞うことが真の意味で真面目な行為といえるでしょう。・・・松下幸之助さんはこう記しています。素直な心とは、何ものにもとらわれず 物事の真実と何が正しいかを見きわめて、これに従う心です。 単に人に逆らわず 従順であるということではありません。・・・・不条理な命令を「上司に逆らえないから」と社員が受け入れてしまう、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の観点からはとんでもないことです。

2017-12-23 207 日馬富士のモラハラと東芝経営陣の内向き政治性

日馬富士傷害事件は、典型的なモラルハラスメントのパターンを世に知らしめてくれました。加害者の日馬富士の発言「貴の岩は礼儀礼節を忘れずに頑張って欲しい」は「加害者が自分を正当化してしかも被害者面までするモラハラそのもの」です。東芝の経営危機は、「ミッションへの忠誠を誓うプロ意識」を欠いたサラリーマン経営者の属人化と私物化の被災状況を世に知らしめてくれました。

 東芝について言えば「東芝が6千億円の増資をできた。引き受けたのはすべて国外の投資家である。増資が可能ならば、最も将来性があるメモリー事業を売却する必要などないではないか。日本の銀行団は東芝に対して、メモリー事業の売却による債務超過の回避と貸付金の返済を迫るだけだった。本来は、貸付金をデット・エクイティ・スワップで資本化して債務超過を回避し、メモリー事業を支援すべきでなかったのか?」という日経新聞(大機小機)2017.12.22付コメントはその通りだと思います。・・・・東芝の経営危機は「ウエスチングハウス買収という、身の丈を超え適切な事業ポートフォリオからも逸脱した事業の選択と集中の誤りに起因する」(東京理科大学教授の若林秀樹氏、日経2017.11.17)ものです。明らかに経営体力を超えた案件にチャレンジするにあたっての合理的な判断を伴っていたのか、それとも空気に支配され*1て突き進んでいったのか・・。
>https://blogs.yahoo.co.jp/itinnovationconsulting/66003718.html?__ysp=6KGw6YCA44Gu5rOV5YmHIOWwj%2BadvuS7gQ%3D%3D
以下引用。破綻企業における経営幹部の最大の特徴は、社内政治力がとても強いことというのも尤もだと思う。役職・立場・人間関係をてこに仕事をし、そこにはロジックはなく、経営リテラシーと実務能力が低いのも特徴といい、議論の大半が経験談と持論であり、ロジック・理論・データは彼らの議論には存在せず、事実に基づく戦略論が苦手勉強していない、したがって、スタッフへの丸投げがとても多い、というのもよく理解できる。以上引用。

*1: 「空気の研究」山本七平 ISBN:9784167306038

2017-10-15 206 主要政策と国防安全保障を 国民が選べる政界再編を

グローバル化の弊害である「中間層の所得減少」を改善し、「国防安全保障」の安心を高め、次世代に引き継ぐニッポンの未来を明るくする政策が望まれます。国民が政策で選択できるような政界再編が期待されます。

 安倍政権が分りにくいのは「政治主張は右派で保守なのに、実際にやってる経済政策は左派でリベラル」だからです。基盤とする自民党は反共で自由党民主党が合同した55年体制のままです。右派から左派まで幅広く同じ党内に揃ったことで、国民の選択狭くなったままです。国民は「反共」だけで投票するのではありませんから・・・。
日本の政党を右派から左派へとまとめてみると、国民の過半が保守なのに、政党の過半がリベラル寄り、つまり政界が国民よりも左寄りに編成されていることが分ります。・・・・維新は、自民党大阪府連から分裂して出来た政党ですが、「地方分権改革保守小さな政府」を代表する政党、安倍政権の自民党は「政治主張は保守だが、経済政策はリベラルの大きな政府」を代表する政党、希望は自称で改革派保守ですが、今現在ではよく分りません。立憲民主党は自称リベラルですが「国際的には左翼政党」です。これはこれで選択肢として大切な存在です。・・・世界に類を見ない難解なガラパゴス的存在が、社会民主党共産党です。ソ連崩壊後西側の共産党すべて解散したようなのですが、日本だけが残っていますが共産主義との関係がよくわかりません。社会民主党も何を目指しているのかよく分りません。・・・民進党立憲民主党と希望に分かれてくれて分りやすくなりました。自民党保守とリベラルに分かれて党内ではなく国民の前で政策論争をしてくれればと思います。以下、依って立つ政策原理について整理してみます。
 今の西側社会では「新保守主義リバタリアン/ネオリベラリズム)」とリベラル国際主義、欧州の社会民主主義が主要な選択肢ですが、いずれもグローバリズムを標榜してきました。歴史を振リ返ると、世界大恐慌民主党/ローズヴェルト大統領ケインズ主義ニューディール政策リベラル国際主義大きな政府に舵をとり、以降、第二次世界大戦後まで世界の趨勢となりました。1981年に登場した共和党/レーガン大統領ケインズではないハイエクフリードマン新自由主義で米ソ冷戦で勝利を収め、英国でもサッチャー政権新保守主義で英国病を脱して英国景気が上向きだして、以降、西側社会ではグローバリズムが主流になりましたが、リーマンショック以降反グローバリズムの動きも活発になっています。
 グローバル化一番恩恵を受けたのは中国共産党です。グローバル化を引き寄せて自国の経済発展に成功することで、国民の多くが豊かになり、中国共産党も延命できています。東南アジアなど多くの途上国もグローバル化の恩恵をうけました。がしかし、先進国では中間層の所得が減少するなどで、先進国内部の格差が激しく拡大しています。国境なきコスモポリタン的なリベラル国際主義や、新自由主義自由貿易弊害が大きくなってきています。そこで米国ではトランプ大統領が登場して「アメリカファースト」を主張し、英連合王国も国境コントロールの力を回復する声が高まりEU離脱を決定してしまいました。・・・九州大学准教授の施光恒(せてるひさ)氏はVOICE(2017.11)で「近年リベラル・ナショナリズム、つまり自由や平等、民主主義は安定したネイション(Nation)の下で最も実現する、グローバル化ナショナルな言語や文化が廃れ外国出身者が溢れれば、大多数の普通の人々は”我々の社会という意識”を抱かなくなり、公の問題への関心を持たなくなる。・・・日本の戦後リベラルは、ナショナルなもの軽視もしくは敵視してきた。広範な支持を得られずにきた大きな原因であろう。日本で今求められているのは、庶民のための経済政策を実施する政党である。愛国・経済左派の政党の出現が日本の民主主義の活性化のために求められている。民進党は主に愛国の点で駄目だった。」と寄稿していますが、中間層を分厚くしていくためにも、大きな政府小さな政府の両方から庶民のための政策連立政権なりで影響力を発揮して実行していく政党が発展して欲しいと期待します。
 1985年のプラザ合意以降、過去30年間の急激な円高、特にバブル崩壊以降の1994年以降の異常な円高に追い立てられたグローバル化の反面で、多くの企業が追い立てられるように外国に進出していきました。ポジティブな側面としては、地方企業のレベルまでの国際化が進み多くの日本企業が一回りも二回りも大きく成長できたことです。アベノミクスポジティブな側面は、異常な円高起こりにくくなったことです。安倍首相ポジティブな側面は「日本は中韓とは異質な国」だという理解を世界に広めてくれたことです。これからは有能な外国人を引き寄せて付加価値を生み出していくようなニッポンの一層の魅力づくりと、若者世代の子育て支援貧困層支援など、大きな政府、小さな政府、政策論争をしながら中間層をできるだけ分厚くしていけるような可能性に一票を投じ、仕事を通してそのような社会の実現に励みましょう。

2017-08-05 205 地政学プラス地経学の時代

国際政治では覇権国の役割で中国共産党が狡猾に米国にとって代わろうとしていますし、産業面では規模が最大の自動車産業で大変化が進行中です。内向きな日本のテレビや新聞の低俗報道は日本を悪くするだけです。惑わされずに判断していく必要があります。

 国際政治学者の中西輝政氏がWILL 2017.9月号で「米合衆国覇権の海洋の世紀から、ユーラシア・ヨーロッパ大陸の国々が経済的に結びつく大陸の世紀へと移りつつあり、対馬海峡英仏海峡が世界の大地溝帯になりつつあります。・・・軍事力を背景に覇権を持つ地政学の時代から、今は経済的手段を用いて地政学的な目的を達成しようとする地経学の時代に入っています。」と寄稿していましたが、筆者/青草新吾も同感です。欧州では、独連邦の国力が図抜けた存在となり、仏は何とか対等な立場を維持しようと懸命です。マクロン新大統領の最初の訪問先がベルリンではなくモスクワだったというのが象徴的です。英連合王国は、既に独連邦が盟主となった欧州連合からの離脱(EU離脱)を決め、米合衆国との関係を重視していく方向です。欧州の歴史は、英仏が連合し、仏がさらにロシアと提携し、独連邦と対峙してきた歴史です。二度の世界大戦は米合衆国を巻き込むことで独連邦を戦争では負かしてきました。しかし戦後はやはり独連邦の経済発展が図抜けており、「独連邦を抑え込みながらの平和共存策として欧州連合」に進んできたわけです。ところが英仏の思惑とは裏腹に独連邦の経済力が図抜けたことで、今や独連邦が欧州連合の盟主になっています。その独連邦は、こともあろうに中国共産党との連携で経済力を高めてきています。例えば独フォルクスワーゲンの販売は、チャイナは欧州全体と同じ4割を占め、自国(独連邦)の5-6倍の販売規模です。
 日本はどうすべきか? 歴史から学ぶことは? 120年前にアジアで独立を保っていたのは日本と泰王国だけでした。当時の泰王国のラーマ5世は「アジアの独立国同士の応援も兼ねて、明治33(1900)年に仏教開祖釈迦の遺骨真舎利を日本国民に寄贈」され、名古屋の日泰寺・泰安塔に安置されています。筆者/青草新吾もタイ人スタッフを伴い訪問したことがあります、明治日本の多極世界でのサバイバルは、明治人の優れた適応力のお蔭でした。つい昨日まではサムライだった方々が公の精神を発揮して頑張ってくれたからです。しかし体制が固まり学校秀才・勉強エリートが、例えば海軍のハンモックナンバー(海軍兵学校の卒業席次)のように、学歴と卒業席次でそのまま出世してしまう社会になってしまって昭和の迷路に入り込み、日英同盟を破棄して、あろうことかナチスドイツと組んだために、ナチスドイツと重ねられた日本のイメージが悪用され、今でも韓国や中国共産党反日ネガティブキャンペーンのネタにされ続けています。朝日新聞の執拗な捏造報道に端を発する慰安婦問題では「慰安婦を性奴隷に言い換え」たり、毎日新聞報道に端を発したであろう南京虐殺でもねつ造で誇張され続けたり、最近でも長崎軍艦島が地獄のような強制収容所だったりとかの捏造が行われ韓国で史実として映画化されたり・・・ヘタレ外務省の無作為やリベラルな自民党宏池会の言動(例えば河野談話)が悪用されるばかりです。
 日本としては、今形成されつつあるユーラシア枢軸(独連邦・中国共産党・ロシア)ともうまく付き合っていくことに努力しながらも、海洋国連合で、法治主義に基づく自由主義民主主義を原理とする米・英・豪や近隣の台湾や比国(フィリピン)と環太平洋経済圏を形成していくのがよいと思います。環太平洋から東南アジアさらにインド洋の印度へと繋がっていきます。朝鮮半島には深入りせず距离を置いた付き合いが良いと思います。北朝鮮の拉致犯罪許すべからずです。・・・経済面ではやはり強い製造業を維持していくことに努力すべきです。世間知らずの学者や評論家の無責任な評論と異なり、世界の現実は「製造業が強い国豊かであり続ける」です。米国は製造業・農業・エネルギーがすべて世界一です。これに1990s以降にITと金融が加わり、米国の経済の強さは揺るぎません。米合衆国よりも人口規模が小さな日本と独連邦は製造業の比率が高いのが特徴です。常葉大学教授の山本隆三氏が「日本の産業で圧倒的稼ぐ力を持っているのは製造業だ。製造業の一人当たり付加価値額は全産業平均よりも大きく、付加価値額から支払われる給与も産業平均を上回る495万円だ。製造業の稼ぎにより周辺のサービス業にもお金が回る。・・・その製造業の足を引っ張るのが電気料金だ。独連邦の輸出産業に属する製造業の会社は、再生エネルギー新興のためのFIT(Feed-In Tariff 再生エネルギー高価買取制度)の負担を免除され、輸出産業の電気料金は日本の半額程度である。導入決定者の民主党・菅元首相や反原発の小泉元首相には責任を感じて欲しい。」という指摘は参考になります。
 今にして思えば、2001年が歴史の流れの転換点だったような気がします。9.11のテロ12.11のチャイナWTO加盟が同時並行でした。2008年のリーマンショック頃になると、チャイナの覇権国化と米合衆国の没落が明確に浮かび上がってきました。それにしても不甲斐ないのが日本の政治とメディアの体たらくです。政治の面では、自民党は分解して、地方分権の小さな政府の保守メンバーと維新が合同し、リベラルメンバーは民進党あたりと合同して保守とリベラルの二大政党を形成すべきです。米国で言えば共和党民主党です。現実はというと、自民党は保守といいながらもリベラル色が強く、野党といえばリベラルというよりも左翼政党ばかりです。日本国民にとっての不幸は、自民党がまっとうな保守政党でないことです。今の安倍首相で困るのは、言動は保守ですが実際の政策は社会主義大きな政府のようでリベラル色が強いことです。世界の主要な政治家と比較すると安倍さんは中道左派ではないでしょうか? それでも今の自民党政治家の中で比較する限りではやはり安倍さんがベターな存在といえます。最悪なのは民進党です。かっての社会党と同じで、政権党を引きずりおろせば、自動的に自党に票が集まるような勘違いをしているようです。アホとしかいいようがありません。
  メディアの問題は、やはり朝日新聞です。日本国民に対する背信行為は許されません。「朝日新聞慰安婦強制連行の報道誤報だった、よって朝日新聞の報道を根拠にした日本非難はあたりません。」と、韓国や米国そして欧州で訂正報道を行う義務があるはずです。国連を含めて訂正報道して回るべきです。朝日新聞誤報(実は意図的な捏造?)と日本国民に対する背信行為で、日本国の歴史が歪められ、国際的な信用を失墜し、どれほどの経済的な損失も強いられてきたことか・・。本日の産経新聞2017.8.6付で「国連ユネスコ記憶遺産に対し、中韓慰安婦(性奴隷)の記憶資産登録で申請した英国の帝国戦争博物館の資料30点が判明したが、内容は強制連行したり性奴隷であったりしたことを示す資料はなく、逆に慰安婦が戦地における公娼の役割を果たしていることが示してあったりで、中韓の申請を裏付ける資料見当たらない」そうです。同紙で高橋史郎・明星大特別教授は「申請資料は日本軍が管理した公娼であったことを示すが、中韓の申請は”日本軍が女性や少女を性奴隷に強要し、奴隷制度を設立・運営した”であり、公娼制を示す資料まで性奴隷の資料として世界で定着してしまう。」と日本政府の無為無策を嘆いています。・・・しかし日本語の資料誤りは日本から発信しないと資料の妥当性や適切性に問題があることさえ分りません。ここまでねつ造話を世界に流布した朝日新聞の責任は極悪犯罪並みに大きい。朝日新聞は罪滅ぼしで世界に向けて誤報訂正を繰り返し発信すべきです。
  手前どもビジネスマンは、日本人の公の精神を大切にしながら、武士道と商人道の心意気で、イノベーションを推進し、付加価値を生み出し、まずはこの日本国を国民がより幸福に生活できる国に改善し、そのうえで周辺諸国や国際社会のお役に立っていく努力をしていかねばなりません。久方ぶりにブログに参加しました。次回は、安倍政権が音頭をとる働き方改革や、会社のガバナンス改革などに触れてみたいと考えてます。
  



 

2017-01-21 204. トランプ時代のデフレ脱却と自動車ロボット産業

本日のトランプ大統領就任に象徴される大転換の一つは、アジア太平洋の時代の幕開けともいえます。生産財がおりなす最終製品で、ロボット分野は「米国を含むアジア太平洋が世界需要の過半を占める」ことになりそうです。またロボットメーカーの乱立が予想されるチャイナ(支那/中国)には中間財の供給が有望です。

国民全体がある程度豊かになるためには「稼ぐ力を高める」ことが必要です。競争力の高い財サービスに移行し、労働が生み出す付加価値に対する適正な分配で、従業員が消費者として消費活動をより活発化することで循環が生まれます。個人会社地域国家稼ぐ力を高めていく必要があります。個人や会社の生産性を高めながら、役所政治家による税金の無駄遣い無駄ドリを進めるには構造改革規制緩和が必要です。個人の生産性や所得を高める働き方改革や、次世代への貧困の連鎖を断ち切るひとり親など貧困家庭の子ども支援も必要です。

生産財営業の観点からは、最終製品の次世代自動車ロボットに多くのビジネスチャンスを見出せそうです。自動車産業では、1百年ぶりの大転換が始まっています。パワートレインの電動化に加えて、自動運転やインターネット利用で、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)といったイノベーションから様々な派生需要が生まれてきます。
ロボット産業も、産業用ロボットに続いて様々なサービスロボットの市場投入の動きが活発になってきています。JEITAが2016.12に発表した需要予測を電波新聞2017.1.10付が紹介していました。産業用ロボットに加えて、これから実用化が始める「非産業用のサービスロボット」は、4種の需要、より具体的にはa.コミュニケーションロボット、b.業務支援ロボット、c.介護ロボット、d.掃除ロボット、が伸びていくようです。産業用ロボットを含めた「ロボット5種」の世界重要が、15年実績1.7兆円が、25年には38.5兆円へと、年平均成長率36.6%もの重要拡大の見通しが立つそうです。その内訳ですが2025年時点で、aのコミュニケーションロボット20.2兆円へと年平均で76.9%、bの業務支援ロボット7.0兆円へと85.1%もの需要拡大が見込めるそうです。この段階の向け先は、FAインフラ向け270千台、公共ビジネス向け24.8百万台、個人向け34.2百万台、医療介護向け7.0百万台、農業向け2.0百万台。・・・地域別では日本とアジア太平洋31%(内訳で日本が12%)、米州25%、中国20%、欧州24%、ということです。TPPとかぶりますが、米国を含めた広義のアジア太平洋(米国・日本・その他)で括ると過半の56%です。日本にとっては「アジア太平洋という括り」がとても大切で「国別では米合衆国」がきわめて重要です。チャイナについては、最終製品よりも高級部材やデバイスといった中間財が有望です。スマホの市場では、華偽(Huawei)や小米(Xiaomi)のようなグローバル志向の会社は日本製のデバイスや材料を多用しています。ロボットでも同様と見込みます。日本の国民経済の強みは産業集積と素材・部材・デバイスです。

日本にとって「米国とアジア太平洋」の重要性が高まります。その米国にとって「日本の存在価値」は「アジアで米合衆国の国益を維持していくための足掛かり」といえます。「民主党のリベラル国際主義」であろうと、「共和党の内政優先・対外不干渉主義」であろうと、米合衆国の勢力圏は「アジア太平洋米州」というのは変わりません。米国のアジア太平洋への関わりを理解するには、史料で裏付けられた「事実としての歴史」を知る必要があります。米にとって、アジア太平洋は自国の勢力圏です。
米の星条旗州の数を記していますが、米東部の「13植民地がそのまま13共和国」となり、さらにこれら13共和国が連邦を組んで「連邦政府に外交権、徴税権、徴兵権を委譲した1789年の合衆国憲法」からは13州(13 states)となりました。独立当時の13州が今は50州へと増えています。本国の「王権から離脱して共和国を建国」し「資本主義を発展させた」という点では「独立革命は1789年の仏革命と比肩」します。・・・・米の州の増加領土拡大は、1803年の仏からのルイジアナ買収1812年米英戦争を経て、先住民が英国を支援したことを口実に次々に先住民から領土を収奪していきました。先住民だったインディアンの方々から食料のとうもろこしを教えてもらうなどの世話になりながら、反面では西部開拓と称して侵略(中国共産党チベット侵攻とそっくり)を続けました。・・・1819年に西(スペイン)からフロリダを買収し、1823年にはモンロー主義(勢力範囲特定による相互不干渉主義)を発表します。モンロー主義とは「勢力範囲の相互不干渉」を意味します。一国主義とか孤立主義は誤訳です。当時はナポレオン戦争後で、勢力を盛り返した欧州諸国が中米(ラテンアメリカ)に介入しようとするのを牽制・遮断するためでした。・・・・1845年にはスペイン領だったテキサスで、入植者が独立運動を起こした上で、併合(ロシアのクリミア併合そっくりです)し、隣国メキシコとは米墨戦争へと持ち込み、1848年に加(カリフォルニア)州など買収形態で獲得。・・・米で西武開拓史と称する歴史を経て、西海岸に到達。以降、19世紀後半頃から「太平洋への対外拡張」へと進んでいきます。ラテンアメリカに続く勢力圏として狙いを定めたのが「アジア太平洋」です。今の米合衆国はこの延長線上です。1823年からのモンロー主義(勢力範囲特定による相互不干渉主義)は「誤訳(孤立主義)のままだと米の外交を理解できず」となります。本日、日本時間2017.1.21未明に就任したトランプ第45代米大統領の場合の発言も「勢力圏内の内政重視・勢力圏外に対外不干渉主義」と訳すべきと感じます。孤立主義は誤訳です。
アジア太平洋への拡張の最初は1853年以降のペリー艦隊の派遣です。チャイナ(支那/中国)との貿易の中継港を確保するのが目的でした。1898年にはキューバをめぐって米西戦争が起こりますが、最大の戦闘地域は太平洋の比国でした。カリブ海ではありませんでした。モンロー主義を発した共和党、当時のマッキンリー大統領や後の大統領となるセオドアローズヴェルトは、太平洋では実に活発な拡張主義でした。同じ1898年にはハワイ王国併呑を行い、加(カリフォルニア)州からハワイ経由マニラ太平洋の兵站がつながりました。
1905年には日露戦争和平を仲介したものの、日本が露から入手した南満州鉄道利権折半で失敗。日本に要求したものの、日本が反発しました。以降、チャイナ(支那/中国)の利権をめぐって日本との利害衝突が始まります。・・・それでも共和党フーバー第31代大統領までは、共産主義との対決を重視して日本との協力を模索していましたが、第32代大統領をめぐる1933年米大統領で、チャイナ(支那/中国)と協調して日本叩きを優先した民主党Fローズヴェルトが当選したことで、日米対決が加速されて太平洋戦争へと流れていきました。・・・太平洋戦争後、米民主党政権にとっては、チャイナ(支那/中国)の利権を独占できると踏んでいたようですがチャイナ(支那/中国)の共産化で思惑は見事に外れました。「米国というのは敵を見誤ることがよくおこる国」です。・・・冷戦終結90年代半ば以降、トゥ小平(Deng Xiaoping)の経済開放政策でチャイナ(支那/中国)の経済が活況を呈しだしたところで「米証券会社は中国株の急伸を演出して膨大な利益を手にした」ものと推察できます。このタイミングで自動車の「GMも進出」し、今では販売台数が中国で約4百万台弱と、米本土の販売台数約3百万台強を凌ぐようになってきています。・・・そのチャイナ(支那/中国)でも不安定さ不確実性が高まり、米国発のリベラル国際主義衰退が始まったとなると、日本にとってのチャンスが増えます。このチャンスを生かすには、政治家や官僚の「世界とのコミュニケーション能力」なかんづく「米国世論への働きかけ」が重要です。

失われた20年間で「主要先進国の中で日本だけが底ばい」でした。国民の一人当り平均賃金は、過去四半世紀もの間、先進国が2倍前後に伸びた中で、日本だけが底ばいでした。消費者物価も同様でした。・・・過去1百年間の米国発リベラル国際主義最大の経済的受益者チャイナ(支那/中国)だったといえます。その米国発リベラル国際主義衰退しだしたことで、日本には追い風が吹きやすくなってきました。この潮の流れ変化を活かすためにも、日本の政治家は「米国への“親日世論形成”にもっと努力」すべきです。・・・歴史に学ぶとすれば「日本の政治家・官僚は世界と対話するコミュニケーション能力が足らない」ので、いつも日本は後手に追い込まれ日本国民へのとばっちりとなります。
戦前の日米はともに1933年ロンドン世界経済会議(64カ国)までは「ブロック経済に反対し自由貿易を主張」で共同歩調でした。がしかし、同年の第32代米大統領民主党のFローズヴェルトが当選し、潮の流れがニューディール政策を経てリベラル国際主義へと大きく変わりました。・・・ブロック経済形成に方向転換します。当時の日本は今以上に米国への貿易依存度が高かったようですから致命的でした。・・・日本の政治家・官僚は戦前も今も世界と対話するコミュニケーション能力が足りません。例えば満州事変では、「契約したら日本の主張世界に広めてあげます」との売り込みで広告会社セールスパーソン日本大使館に殺到した際に、当時の出淵勝次大使は「日本は下品な宣伝活動などやらない」と追い払ったそうです。一方で、中華民国大使館はその逆でどんどん契約していったといいます。数か月後ジュネーブ会議(1931.11)あたりからは日本の孤立目立ち始めたそうです。戦前のギャラップ調査の米国世論は「対日2%対チャイナ76%」ということだったそうですから、既に「対米情報戦日本は負け孤立していた」といえます。

米合衆国は、前頁203で前述の通り、民主党のFローズヴェルト第32代米大統領の下に集まったニューディーラー以降のリベラル国際主義行き過ぎに対する自浄作用で、共和党トランプ第45代大統領登場してしまいました。米中西部ハートランドラストベルトといわれる本流アメリカ意識の方々が「リベラル行き過ぎ反対」をつきつけた結果のようです。ですからポリティカルコレクトネス(PC/偏見や差別が含まれない言葉)に名を借りたリベラル主導の言論統制行き過ぎも正常化されていくと期待できます。・・・ただしグローバリズムについては、手前どもビジネスマンはもっと正確に分解して理解しておく必要があります。・・・自由貿易は、経済合理性を高めて消費面で人々の生活を豊かにしていると思います。・・・問題なのは「無国籍金融人の移動」です。実体経済からかけ離れたマネーが自由に国境を越えて移動するのは弊害が大きいから規制やむなしです。人の移動も然りです。
政治外交しっかりしてこそ民間の経済活動持続的に発展できますから、内弁慶が多い日本の政治家や官僚の諸氏には是非とも頑張って欲しいところです。テレビや新聞、特に朝日新聞毎日新聞NHKなどは政治色が濃い活動家のプロパガンダのような報道は差し控えて、読者が判断するため事実の報道に努めて欲しいところです。手前どもビジネスパーソンは「より価値が高い仕事の創出」にまい進していかねばなりません。

2016-12-30 203.米国トランプ大統領登場のリスクと機会

1920年以降の国際政治の二大潮流(共産主義とリベラル国際主義)のスパイラル変化で、ロシア革命(1905-17)以降の共産主義ソ連崩壊(1991.12)で過去のものとなり、共和党のフーヴァー大統領を破った民主党のFローズヴェルト大統領(1933-)以降に猛威をふるってきたリベラル国際主義も、今回のトランプ大統領選出(2016.11、共和党)で巻き戻しが始まりました。2017年は革命を意味する辛酉(かのととり)の年にふさわしい1百年ぶりの歴史の大転換が始まりそうです。

米国の第45代大統領選(2016.2-11.10)は、筆者/青草新吾も201[2016.7.31 英国のEU離脱と米国の大統領選 ニッポンこれから]で指摘した「メディア偏向報道情報操作」がいかにでたらめで酷いものであるかを実証できるよい機会となりました。日本でトランプ大統領可能性を予見できていたのは、木村太郎氏(ジャーナリスト)や、渡辺惣樹氏(日米近現代史研究家)、高山眞知子氏(江戸川大学名誉教授)など、実際に多様な米国の現実のありのまま、特にハートランドアメリをご存じの方々でした。ニューヨークやロスに時々訪れるくらいの「したり顔で米国通ぶる評論家」の方々の偏見や先入観たるや酷いものでした。・・・VOICE 2017.1で渡辺惣樹氏は「今回の大統領選でメディアの中立性を担保していたのはFOX系メディアだけだった。米国主要ネットワークすべてが反トランプで、特に酷かったのがCNNに登場するジャーナリストやコメンテータの態度。他のメディアの偏向も酷かった。」と寄稿していました。
米国のメディアは殆どが民主党系のリベラル国際主義だそうです。リベラル国際主義は共産主義と同様イデオロギー優先で「レッテル貼り言葉狩り議論封じ」を行います。日本では朝日新聞など同じ手口を真似します。リベラルな米国メディアや国連が「科学を装って政治テーマにしてしまった」のが「地球温暖化」です。164[2009.8.23 排出量取引金づる日本]、167[2009.11.7 CO2削減で貢献する日本の高炉メーカー]、171[2010.4.17 ねつ造報道メディアの環境問題報道]で前述しましたが、日本も既にかなりのお金を巻き上げられてしまいました。地球温暖化では、多くの科学者が「地球温暖化と人類の炭酸ガス排出とは殆ど関係ないのではないか」と考えていますが、メディアにはこのような意見はあまり登場しません。最近の米国ではデパートでクリスマスツリーを飾らなくなったそうです。ポリティカルコレクトネス(PC/偏見や差別が含まれない言葉)は必要です。しかし拡大解釈されてリベラル急進派のイデオロギー聖域化するような濫用は行き過ぎです。道徳や理念といった「モラルを悪用」するという点では、パワーハラスメントの中でも最も悪質で巧妙といわれる「モラルハラスメント」とよく似ています。・・・加藤諦三氏(ニッポン放送人生相談)によるとモラルハラスメントとは「加害者のサディズムが良識や理念のモラルに変装して、被害者の尊厳と人格を壊すことを執拗に続ける陰湿なパワハラ犯罪行為*1です。今回の電通事件のように、多くの日本企業にとって職場の「安全配慮義務違反」は「コンプライアンス(対社員・対株主・対取引先・対消費者・他)」の重要事項です。
今回の米第45代大統領選でトランプ氏に投票した方々の分析をしておく必要があります。まず投票をされた方々で特筆すべきは、米国の歴史で本流を形成してきた中西部の方々、ミシシッピ川オハイオ川に沿ったハートランドアメリカや、元々は民主党の大票田だったラストベルト(Rust belt/錆びついた工業地帯)の方々がトランプ大統領に一斉に投票したようです。上述の渡辺惣樹氏は同じくVOICE 2017.1への寄稿で「多くの米国人がリベラル建前ばかりの言語空間にもう疲れた。建前ではない本音のアメリ取り戻そうとトランプに投票した。安倍政権を含めて自民党は、大きな政府民主党のリベラル政策に近似してきた。トランプ政権は共和党の小さな政府を志向し、過度な政府規制を排除し、民間経済を活性化させようとしている。大きな政府を目指す自民党安倍政権がどのようにトランプ政権と折り合いをつけていくのか、難しい舵取りになろう。」と述べておられます。・・・一方で、トランプ氏に影響力を行使する政治勢力については、反グローバリニズム勢力からの支持が目立ちましたが、この反グローバリズム勢力に加えて、中西輝政氏(京都大学名誉教授)は「伝統的グローバリズム(アングロサクソンユダヤ系)に属する金融業界、ニューヨーク、ワシントンの面々にはトランプ支持者がかなりいた。もっと注目すべきは新たに登場してきた無政府主義に近いネオ・グローバリズムがトランプ政権に便乗しだしたこと。ネオコン(筆者は異論あり後述)や新興のヘッジファンドSNSとそのフォロワーなどである。2016.6のブリグジット(Brexit 英国EU離脱)では、反グローバリストネオ・グローバリストが、伝統グローバリストをなぎ払った。シティの中の新興金融勢力EUの規制を嫌って、反グローバリストの離脱派に大量の資金を供給して、ブリグジットを実現させた構図である。トランプ政権下では、これら反グローバリズムと伝統グローバリズムに加えて、ネオ・グローバリズム、の三つ巴の主導権争いがどうなっていくか、三つ巴の構図から分析していくことが求められる。」とVOICE 2017.1に寄稿しておられました。
米国のネオコンとは、元々はロシア革命ソ連から追い出されてメキシコで暗殺されたトロツキーからの流れもあると聞いたことがあります。リベラル国際主義をパワーアップしたFローズヴェルト政権(1933-1945)の時代あたりからは、米民主党と合流し、戦後の冷戦時代には米民主党タカ派として強硬な反ソ連共産主義の国際主義を推進、共和党に近づきだしたのはレーガン政権あたりからで、親中嫌日クリントン政権時代の中東政策への反発から共和党に鞍替え。続く共和党ブッシュ政権時代にイラク戦争を主導したのがネオコン。今回の共和党の大統領候補の指名では、共和党内で反トランプに回ったのがこのネオコン共和党内ではトランプ氏が勝利したことで、ネオコンはヒラリー支援に回ったともいわれています。中西輝政氏が言われるようにネオコンにとってトランプ政権への便乗はそう簡単でないような気がしてます。しかしビジネスマンあがりのトランプ氏ですから「ネオコンの利用価値が出てくれば」利用するでしょう。それがどのような場合かは筆者/青草新吾にはよく分りません。
共和党は、第3代大統領ジェファソン(1801-1809)のリパブリカン自由主義(Republican) といわれる「小さな政府・緩やかな共和国連合(分権連邦政府)」から発展した「家族共同体の自治自由」を標榜する政党です。第16代リンカーン大統領(1861-1865)が「奴隷解放を主張」したのは北部の商工業者を支持母体としていたからです。外交については、総じて「反共且つ親日嫌中・嫌国連国益重視の対外不干渉主義」といえそうです。・・・民主党は、ジェファーソンの対極としてハミルトン(-1804)が目指した「大きな政府・連邦主義(中央集権連邦政府)」から発展した「各個人の自由リベラル国際主義」とを標榜する政党です。「奴隷解放に反対」したのは南部の白人を支持母体としていたからです。外交については、総じて「容共且つ親中嫌日・親国連リベラル国際主義」といえます。・・・この民主党のリベラル国際主義からでしょうか、米国の対外戦争は、第一次世界大戦第二次世界大戦朝鮮戦争ベトナム戦争、とすべて民主党が主導しました。・・・米共和党と米民主党について実によく整理されたブログ*2を見つけましたので貼りつけときます。
日本経済と生産財営業にとって、重要性が一番高い国はやはり米国です。手前どもビジネスマンの肌感覚からは交易による利益を日本にもたらしているのは米国市場が一番です。OECD(経済協力開発機構)やWTO(世界貿易機関)が発表した「付加価値貿易統計」がこの肌感覚の正しさを立証してくれました。日本の輸出先トップは付加価値ベースでは今でも米国です。中韓アジア諸国への輸出も最終的には米国で消費される場合が多いからです。もうひとつこの統計のお蔭で判ったのが、日本の輸出に占める「国内付加価値の割合は85%(2009年)」で「他のOECD諸国よりもかなり高い」ことです。米国向け国際生産分業からの収益依存度が高いだけに、トランプ政権の貿易政策から影響を受けやすくなっているから要注意ではあります。

リベラル国際主義のポリティカルコレクトネスにケチをつけるわけではありませんが、国際舞台で「人種平等最初に主張したのは日本だという歴史的事実」を銘記しておきたいと思います。パリ講和条約(1919)で日本の牧野伸顕が提出した「人種差別撤廃提案」に反対し葬ったのは、議長だった米民主党ウイルソン大統領と英豪です。・・・太平洋戦争については、1933年の米大統領選で共和党のフーバー第31代大統領(日本と連携して共産主義と対決する)が敗れて、第32代でFローズヴェルト(ソ連・中国と連携して日本と対決する)が就任した影響が大きかったと思います。この点では、米政治学会長と歴史協会会長のチャールズ・ビーアドなるお方が1948年の出版で「日米は戦う必要なかったのに、ローズヴェルトは表向き不戦の態度を貫きながら、裏では日本に先に撃たせるべく、日本を追い詰めて、開戦へと突き進んだ」と発表されたことがあるそうです。
144[2008.10.25 米国人による東京裁判批判]で、江崎道朗氏の寄稿「「戦前において米国の保守主義者たち強い日本がないと、米国による極東への介入が起こり、戦争に巻き込まれると考えていた。戦争は必然的に政府権力を強大化させ、国民の自由を抑制する全体主義に発展するから保守主義者は戦争に巻き込まれることを嫌った。」を紹介しましたが、この一文は、米大統領になるトランプさんの発言通底するものがあります。米共和党保守主義者(反共且つ親日嫌中・嫌国連の国益重視の対外不干渉主義)にとっては、強い日本が防波堤となって、米国を巻き込まないでくれというところが本音でしょう。そのうえで対等な日米同盟を期待しているのです。中国寄りで日本を抑え込みながらの米民主党の容共リベラル国際主義の中での従属的な日米同盟よりは、対等な日米同盟に発展させていくチャンスが到来してきているといえます。

過去1百年の国際政治の二大潮流(共産主義リベラル国際主義)のスパイラル変化、螺旋を上から見ると巻き戻し、横からみると次の次元への昇華が始まったようです。日本にとっては「リスクと機会」が大きく広がっているといえます。ロシア革命以降の共産主義は、ソ連崩壊(1991.12)で下火になり、米民主党のFローズヴェルト大統領(1933-)以降に猛威を奮ってきた、そして敗戦後の日本を支配し洗脳してしまった「リベラル国際主義と戦後」の終わりの始まりです。その脈絡で、トランプ大統領の登場は、クリントン大統領よりもベターといえます。この機会を活かしていきたいものです。政治家の皆様、よろしくお願いします。手前どもビジネスマンも「日本国の稼ぐ力」をさらに高めていきましょう。