青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2018-04-13 210.会社員もフリーランスも 「稼ぐ力」で乗り切る大変化の時代

バブル崩壊以降、自動車産業が大きく伸びて日本経済を支えてくれました。その自動車産業もピークアウトに向かっています。環境規制への対応と電動化(Electrification)・インターネット常時接続化(Connected)・自動運転化(Autonomous)の流れで「非連続的イノベーション」が加速します。大企業の正社員であることが安定を意味しない、個人が稼ぐ力をつけて家族と地域、世の中を盛り上げていく時代への大変化です。

今の日本の足元の景気の良さも、外需の自動車産業への依存が高いという側面があります。電子デバイス産業新聞2018.4.5付が「国際ロボット連盟(IFR)が産業ロボットの需要が強い、16年対比で17年は118%の347千台、20年は177%の521千台と発表している。中国で19年から開始されるNEV規制EVへの補助で、中国では工場建設設備調達が活発。日本の産業ロボット各社では、減速機や直動部品のロボットメーカーどうしの取り合いが激しくなっている。」と伝えていました。

また世界のエコカー販売動向について、電子デバイス新聞2018.3.29付は「IHSマークイットの予測では、20年の約13百万台が29年に約53百万台。20年以降は、トヨタプリウスのようなフルHVよりも、より簡素で低価格のスズキのハスラーのようなマイルドHV(エンジン中心でモーターがアシスト)が急増してエコカーの過半を超える。・・・EVはフル充電に10時間もかかり、もし30年に日本の新車販売の半分がEVになると原発3基分2.7ギガワット(2.7百万KW)分の電力が新規に要るから簡単ではない。・・・中国はそれでもエコカーEV優先でいく。20年までにエコカー1台に充電設備1台を普及させ、太陽光などの再生可能エネルギー原子力発電を大幅に増やしていく政策をとっている。世界の自動車市場の3分の1を占める中国のインパクトは大きい。」と、エコカーは欧米日の主流がマイルドHV、中国の主流がEVというトレンドを報道していました。・・・今後の自動車需要の拡大地域であるアフリカを含む新興国では、既存のガソリン車やディーゼル車がさらに進化したモデルの販売拡大が続くでしょうから、グローバルでは自動車需要が増え続け、既存技術が一挙に消滅するわけではないでしょうが、米欧日と中国で起こる非連続イノベーションがもたらす大変化は避けられません。
本日2018.4.13の朝刊で、トヨタ系の日野自動車トヨタとつばぜり合いの独VW商用車部門での提携が報道されています。「自動運転などでは商用車の方が変化が速い。先頭を走るダイムラーの後は中国勢がひしめく。トヨタグループの中だけでは対応できない。トヨタと独VWは乗車車ではライバルだが、商用車だとこれまた別の話」ということのようです。

米GMの幹部が「自動車産業は、過去50年で経験した変化を、これからの5年くらいで経験していくことになる」と覚悟を示していたそうですが、産業社会で最大規模の産業である自動車産業の変化は社会変動へのインパクトも大きいでしょう。・・・日本の組織の多くが持続的(sustainable)な連続的イノベーションで強みを発揮してGDP世界3位の経済大国を作ってきました。その典型事例が自動車産業です。その自動車産業がこれから立ち向かうのはビッグバン的(disruptive)な非連続的イノベーションです。内燃機関がモーターへ、独立空間のキャビンがインターネットに常時接続するコネクテッドカーへ、所有から利用のシェアリング・・等々。

日本社会は、底から這いあがる力連続的イノベーションは世界有数ですが、大変化に対応する力非連続的イノベーションは必ずしも強くありません。どちらかというと日本は弱い。日本社会が弱い分野では、社会や組織に頼りたくとも頼れませんから、個人が力量と付加価値を高めていく必要があります。・・・個人が価値を高めていこうとすれば、会社で働く場合であれ、フリーランスで会社を取引先として働く場合であれ、環境変化に弱い会社と強い会社、環境変化に負けて衰退する会社と、環境変化を乗り越えて発展が続く会社、の違いを知っておくのがベターです。
産業再生機構カネボウ丸善の社長を務め、今は都市部から地方に経営人材を送り込むのが仕事の日本人材機構の社長の小城武彦(おぎたけひこ)氏は、ご自身の調査研究を上梓*1されました。内容は経験的に言われてきたこと膨大な調査データで立証したことに意義があります。・・・環境変化に適応できずに衰退が始まる会社とは、日本型組織の弱点(衰退惹起サイクル=サイレントキラー)に歯止めがかからない会社です。・・・そのまま引用しますと「破綻企業における経営幹部の最大の特徴は、社内政治力がとても強いことです。役職・立場・人間関係をてこに仕事をします。そこにロジックはありません、経営リテラシー実務能力低いのも特徴です。議論の大半が経験談と持論であり、ロジック・理論・データは存在しません。事実に基づく戦略論が苦手で勉強してません、だからスタッフへの丸投げが多いです。彼らの指示に特徴があって手続きに偏重します。調整しろ、頑張れ、とは言いますが、どうすればいいかは言えません、数字も後講釈で「営業利益がなぜこれだけ」とは言いますがどうしたらいいかは言えません。」ということです。環境変化で衰退が始まる会社とは、「極めて政治的な企業風土」で「社員の話題も人事の噂など内向きなことが中心だった」というのは頷(うなづ)けます。・・・反対に環境変化を乗り越えて発展が続く会社とは、サイレントキラーの日本型組織の弱点に歯止めがかかっている会社です。そのまま引用しますと「優良企業も意外と破綻企業と似ていることに驚きましたが、決定的な差異が見つかりました。”事実をベースにした議論尊重する規範の存在”と”人事において公正な登用プロセスが機能していること”の二点です。」ということです。事実に基づく判断、知的で公正な仕事の進め方が規範として確立されているような会社風土は、歴代のリーダーの真摯な姿勢によって醸成されていくものです。・・・ミスミグループの元会長の三枝匡(さえぐさただし)氏*2は「熱き心と論理性こそがリーダーの条件」といい、一方では多くの日本企業の宿痾(しゅくあ、持病)は「日本企業にはびこる政治性」と指摘をしてきています。・・・・日本的組織の弱点については、堺屋太一氏の著書の組織の盛衰で訴えた「日本的組織死に至らせる三つの病](環境への過剰適応・成功体験埋没・機能組織の共同体化))*3などがとても参考になりました。野中郁次郎氏などの共著「失敗の本質」*4も含め、日本型組織の弱点を知っておくことは、経営や働き方改革の上でも役に立ちます。
日本社会は未だに敗戦後の高度成長時代の右肩上がりの時代に定着した「均一な効率性に偏った社会」です。画一的で外れ者を排除する社会ですから独創的で図抜けたエリートが育ちにくい社会です。学校教育を変えていく必要があります。・・・他の先進国に比べて日本は産業の新陳代謝が緩やかです。規制やしがらみが多いからです。政治と行政イノベーションを阻害しているような面があります。今の国会をみていると、政局の政争ばかりで、日本が世界の変化のスピードについていけてない状態は残念です。高齢貧困者や、貧困層の子供が増えている状態に危機感を覚えないのでしょうか。残念ながら日本社会の教育・行政・会社組織の多くは頼りになりません。日本社会は時代についていけてない面が多いのですが、時代の流れ世の中の変化どのように変わってきたのか、そしてどのように変わっていくのかを知っておく必要があります。

明治以降のキャッチアップアップ型社会と右肩上がりの社会が終わってパラダイムシフトして世の中は、成熟社会とか脱工業化社会と言われます。筆者/青草新吾は堺屋太一氏の知価社会という表現がイメージし易いと感じてます。堺屋太一氏が著書の知価革命で訴えた規格型大量生産社会から知価社会*5への移行のイメージはとても参考になりました。

1985年のプラザ合意、89年のベルリンの壁崩壊、その後のバブル崩壊と20年デフレを経てもなお、明治維新以降の欧米に追い付き追い越せのキャッチアップ型・規格大量生産型の制度が、あまりにも深く日本社会の各分野に沁(し)み込んでしまっており、一番時代遅れなのが、政治・教育・行政などの世界ではないでしょうか。

メディア報道や国会があまりにも偏っているので、国民主権の立場からも「働いて納税する国民である私どもは、事実に基づいてバランスよく公平に判断することが必要」です。・・・ギリシャ並みの公務員天国と言われてきた大阪市ですが、この2018.4.1付で大阪メトロが誕生しました。市営地下鉄が民営化されてました。関市長や大阪維新の功績です。・・・加計学園は、52年ぶりの獣医学部新設です。地元の愛媛県は農業畜産県です。文部省官僚や既設大学の利権を突き破って新設されたことに意義があります。これは安倍政権の功績です。加計学園が競争相手よりも利益誘導された事実があるとすれば問題ですが、競争相手もなかったのならば何が問題なのでしょうか? TPP11(環太平洋経済連携協定)を放置してまで優先審議するようなこと?なのでしょうか。どちらが国民にとって重要なのでしょうか。自国民が北朝鮮に拉致されたままでよいのでしょうか。立憲民主党社会民主党日本を規制だらけで貧しくするようなことばかり言ってないで、もっと国民生活を豊かにするような日本国の付加価値を高めていくような仕事をすべきではないでしょうか。

立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏は、生保勤務時代には、トップと考えが合わず子会社への異動を発令されて出向。58才でライフネット生命保険を起業し、東証マザーズで上場と売上1百億円の会社を実現。社長退任で「若い世代を前面に立て、後陣から支える役割に回る」と挨拶し会長に就任、さらに2017.11に立命館アジア太平洋大の次期学長に選出されて、最後はライフネット生命の全役職を退任されたお方です。ご本人は「「ガバナンスの点からは最高顧問は良くないし、社長と会長を10年やって、10年ってきれいなのでライフネットの全役職からの退任を決めた。」と述べておられます。・・・その出口治明氏は日経新聞2018.3.5付で”自分が働く会社への信頼度”に関し「米エデルマン社の調査では、日本の勤労者の自分が働く会社への信頼度は主要28カ国中では韓国と並んで最低。理由は企業が高度成長の成功体験から脱却できず、時代の変化に対応できていない肌感覚で知っているからではないか。一方で、社会や組織の未来よりも、自分の立場を守り、逃げ切ることを重視する。日本を覆う閉塞感の正体は、様々な立場で日々繰り返される不作為の累積であるような気がしてならない。」として、日本人勤労者への提言として「世界に目を向け、次世代のためにできることを考えよう。不作為をやめ、今の職場で、家庭で、地域で、できることから行動してみよう。」と寄稿しておられました。まったく同感です。

*1: ISBN:9784492533901「衰退の法則」

*2: ISBN:9784532191450「戦略プロフェッショナル」

*3:ISBN:9784569539416)「組織の盛衰」

*4: ISBN:9784122018334 「失敗の本質」 

*5: ISBN:9784770014429「知価革命」

2018-01-04 209.戦後世界の大転換を乗り切って次世代への継往開来を

戦後世界の秩序が大転換中です。”良いこととされてきたグローバリズム”の幻想が剥げ落ち、エスタブリッシュメントへの反発で米合衆国ではトランプ大統領が登場。金融緩和で世界中でマネーが溢れかえる金融危機後の世界。世界を巻き込む危機を内在する中国共産党が独裁する中国。日本は、消費が14年の消費税増税から回復できていないものの、好調な世界経済のお蔭で企業業績が良い内に、子育て世代や社会保障への不安を取り除いて、次の発展へとつないでいきたいものです。

    平成30年度(西暦2018)の干支の戌(いぬ)は真面目のシンボルです。真面目に働く個人の幸福度を高めて、社会的公器である真面目な会社などの社会的価値を高めていく、そのためには、事実に基づく現状認識自分が活動していく方向性が大切です。・・・世界の景気は良いのですが、金融はバブルです。バブルはいずれはじけます。バブル崩壊で持ちこたえるには強い実体経済が必要です。世界の金融は世界GDPを上回る通貨供給量世界GDPの325%もの世界の政府債務残高という統計的には危機状態です。危機がが忍び寄っています。・・・年金も政府もあてにならないと社会不安が高まります。そうならぬよう、個人も組織もこの大転換の荒波を乗り切っていかねばなりません。
    まずは世界秩序の大変化。パックスアメリカーナ(PAX AMERICAN 米国による平和 )の転換からみていきましょう。米合衆国は、第二次世界大戦を経て戦後政治と金融の世界秩序の中心となりました。ソ連や中国との東西冷戦時代は、それなりに利益を享受していたのだと思いますが、ソ連が崩壊し、中国が改革開放で国家資本主義へと動いて1992年以降グローバル化が一気に加速し、中国が最大のグローバル化受益国となり、EUなど米と並び立つ勢力が登場し、米合衆国の一方的な持ち出しになっていることに気づいた米選挙民がトランプ大統領を当選させたともいえます。・・・このグローバリズムへの失望感トランプ大統領選出の背景という部分は、下術の中野剛志なるお方の寄稿がよくまとまっていますので引用します。
>http://toyokeizai.net/articles/-/145294 トランプ勝利もBREXIT衆愚政治ではない 中野剛志 東洋経済2016.12> (富と平和をもたらす最善の道でより平和な世界をもたらす)と喧伝されてきたグローバリゼーションのイデオロギー(信仰)破たんした。反省も方向転換もしないエスタブリシュメントに業を煮やした多くの米国民が、方方向転換を求めトランプ大統領を選出した。・・・グローバリゼーションは米国民の豊かな生活を約束しないし、米合衆国の経済力を弱体化させた。この20年間、米英をはじめとする先進諸国の実質賃金は伸びなくなり、(ごく僅かの受益者と大多数の国民との)格差が極端に拡大した。一方で中国米国の支援グローバル化の最大の受益国となり富国強兵を進めている。もはや米国民が多大なコストを負担してまでグローバルな秩序を守る動機は失せた。

2017-12-31 208.会社も相撲協会も「プロの真面目さ高潔さ」で更なる発展を!

相撲協会東芝も不祥事の根っこは同じです。日本型組織の構造欠陥です。日本型組織は相互協調的自己観*1ですから、内在する衰退惹起サイクルの歯止めの楔(くさび)を打ち込んでいない会社では、集団に溶け込み埋没した個人が組織のためと称して反社会的なことをしでかすのです。最終的なソリューションは「職業に忠実で高潔なプロ(Professional Integrity)」を世の中の主要な規範と価値観の一つにしていくことだと思います。

平成30年(西暦2018年)の干支である戌(いぬ)は真面目さと勤勉さのシンボルです。世界の中で衰退が続く今の日本に必要なのは真面目さを取り戻すことだと思います。真面目とは「会社の常識や上司の命令に反しても誠実に振る舞うこと」です。言われたことを言われた通りにやることではありません。真面目は英語でいえば、Honest(正直で真っ直ぐ)、Trustworthy(信頼できる)、Genuine(素直)、Faithful(誠実)です。

「悪い意味で真面目という場合の表現」のSerious(杓子定規)やSquare(四角四面の堅物、面白味がない人)は英和辞書の誤訳ともいえます。気安く使わないようにしましょう。
 藤野英人なる投資会社代表の御仁は「従業員が真面目経営者が素直な会社は組織が生き生きしており、長期的に高い利益成長が期待できます。逆にいえば、そうでない企業は不祥事が起きやすいといえるでしょう。個人投資家の皆さんにも参考になる視点ではないでしょうか。」と、真面目や素直に本来の意味について詳述してくれていますので以下で引用させてもらいます。
>https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22239120T11C17A0000000 :title=相次ぐ不祥事 私が企業を見るポイント(藤野英人)> どうして不祥事は起こり続けるのでしょう? 日本企業に共通した悪弊社員が真面目でないからです。一番悪いのは不正を指示した経営者にきまっていますが(不正な指示に)従った真面目でない社員もいるわけですね。日本人は真面目の意味を履き違えていると思います。真面目とは本来、真剣であり、誠実であること。そして「本質とは何か」をしっかり考えることです。原点に立ち返ると、たとえ会社の常識や上司の命令に反したとしても、誠実に振る舞うことが真の意味で真面目な行為といえるでしょう。・・・松下幸之助さんはこう記しています。素直な心とは、何ものにもとらわれず 物事の真実と何が正しいかを見きわめて、これに従う心です。 単に人に逆らわず 従順であるということではありません。・・・・不条理な命令を「上司に逆らえないから」と社員が受け入れてしまう、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の観点からはとんでもないことです。

2017-12-23 207 日馬富士のモラハラと東芝経営陣の内向き政治性

日馬富士傷害事件は、典型的なモラルハラスメントのパターンを世に知らしめてくれました。加害者の日馬富士の発言「貴の岩は礼儀礼節を忘れずに頑張って欲しい」は「加害者が自分を正当化してしかも被害者面までするモラハラそのもの」です。東芝の経営危機は、「ミッションへの忠誠を誓うプロ意識」を欠いたサラリーマン経営者の属人化と私物化の被災状況を世に知らしめてくれました。

 東芝について言えば「東芝が6千億円の増資をできた。引き受けたのはすべて国外の投資家である。増資が可能ならば、最も将来性があるメモリー事業を売却する必要などないではないか。日本の銀行団は東芝に対して、メモリー事業の売却による債務超過の回避と貸付金の返済を迫るだけだった。本来は、貸付金をデット・エクイティ・スワップで資本化して債務超過を回避し、メモリー事業を支援すべきでなかったのか?」という日経新聞(大機小機)2017.12.22付コメントはその通りだと思います。・・・・東芝の経営危機は「ウエスチングハウス買収という、身の丈を超え適切な事業ポートフォリオからも逸脱した事業の選択と集中の誤りに起因する」(東京理科大学教授の若林秀樹氏、日経2017.11.17)ものです。明らかに経営体力を超えた案件にチャレンジするにあたっての合理的な判断を伴っていたのか、それとも空気に支配され*1て突き進んでいったのか・・。
>https://blogs.yahoo.co.jp/itinnovationconsulting/66003718.html?__ysp=6KGw6YCA44Gu5rOV5YmHIOWwj%2BadvuS7gQ%3D%3D
以下引用。破綻企業における経営幹部の最大の特徴は、社内政治力がとても強いことというのも尤もだと思う。役職・立場・人間関係をてこに仕事をし、そこにはロジックはなく、経営リテラシーと実務能力が低いのも特徴といい、議論の大半が経験談と持論であり、ロジック・理論・データは彼らの議論には存在せず、事実に基づく戦略論が苦手勉強していない、したがって、スタッフへの丸投げがとても多い、というのもよく理解できる。以上引用。

*1: 「空気の研究」山本七平 ISBN:9784167306038

2017-10-15 206 主要政策と国防安全保障を 国民が選べる政界再編を

グローバル化の弊害である「中間層の所得減少」を改善し、「国防安全保障」の安心を高め、次世代に引き継ぐニッポンの未来を明るくする政策が望まれます。国民が政策で選択できるような政界再編が期待されます。

 安倍政権が分りにくいのは「政治主張は右派で保守なのに、実際にやってる経済政策は左派でリベラル」だからです。基盤とする自民党は反共で自由党民主党が合同した55年体制のままです。右派から左派まで幅広く同じ党内に揃ったことで、国民の選択狭くなったままです。国民は「反共」だけで投票するのではありませんから・・・。
日本の政党を右派から左派へとまとめてみると、国民の過半が保守なのに、政党の過半がリベラル寄り、つまり政界が国民よりも左寄りに編成されていることが分ります。・・・・維新は、自民党大阪府連から分裂して出来た政党ですが、「地方分権改革保守小さな政府」を代表する政党、安倍政権の自民党は「政治主張は保守だが、経済政策はリベラルの大きな政府」を代表する政党、希望は自称で改革派保守ですが、今現在ではよく分りません。立憲民主党は自称リベラルですが「国際的には左翼政党」です。これはこれで選択肢として大切な存在です。・・・世界に類を見ない難解なガラパゴス的存在が、社会民主党共産党です。ソ連崩壊後西側の共産党すべて解散したようなのですが、日本だけが残っていますが共産主義との関係がよくわかりません。社会民主党も何を目指しているのかよく分りません。・・・民進党立憲民主党と希望に分かれてくれて分りやすくなりました。自民党保守とリベラルに分かれて党内ではなく国民の前で政策論争をしてくれればと思います。以下、依って立つ政策原理について整理してみます。
 今の西側社会では「新保守主義リバタリアン/ネオリベラリズム)」とリベラル国際主義、欧州の社会民主主義が主要な選択肢ですが、いずれもグローバリズムを標榜してきました。歴史を振リ返ると、世界大恐慌民主党/ローズヴェルト大統領ケインズ主義ニューディール政策リベラル国際主義大きな政府に舵をとり、以降、第二次世界大戦後まで世界の趨勢となりました。1981年に登場した共和党/レーガン大統領ケインズではないハイエクフリードマン新自由主義で米ソ冷戦で勝利を収め、英国でもサッチャー政権新保守主義で英国病を脱して英国景気が上向きだして、以降、西側社会ではグローバリズムが主流になりましたが、リーマンショック以降反グローバリズムの動きも活発になっています。
 グローバル化一番恩恵を受けたのは中国共産党です。グローバル化を引き寄せて自国の経済発展に成功することで、国民の多くが豊かになり、中国共産党も延命できています。東南アジアなど多くの途上国もグローバル化の恩恵をうけました。がしかし、先進国では中間層の所得が減少するなどで、先進国内部の格差が激しく拡大しています。国境なきコスモポリタン的なリベラル国際主義や、新自由主義自由貿易弊害が大きくなってきています。そこで米国ではトランプ大統領が登場して「アメリカファースト」を主張し、英連合王国も国境コントロールの力を回復する声が高まりEU離脱を決定してしまいました。・・・九州大学准教授の施光恒(せてるひさ)氏はVOICE(2017.11)で「近年リベラル・ナショナリズム、つまり自由や平等、民主主義は安定したネイション(Nation)の下で最も実現する、グローバル化ナショナルな言語や文化が廃れ外国出身者が溢れれば、大多数の普通の人々は”我々の社会という意識”を抱かなくなり、公の問題への関心を持たなくなる。・・・日本の戦後リベラルは、ナショナルなもの軽視もしくは敵視してきた。広範な支持を得られずにきた大きな原因であろう。日本で今求められているのは、庶民のための経済政策を実施する政党である。愛国・経済左派の政党の出現が日本の民主主義の活性化のために求められている。民進党は主に愛国の点で駄目だった。」と寄稿していますが、中間層を分厚くしていくためにも、大きな政府小さな政府の両方から庶民のための政策連立政権なりで影響力を発揮して実行していく政党が発展して欲しいと期待します。
 1985年のプラザ合意以降、過去30年間の急激な円高、特にバブル崩壊以降の1994年以降の異常な円高に追い立てられたグローバル化の反面で、多くの企業が追い立てられるように外国に進出していきました。ポジティブな側面としては、地方企業のレベルまでの国際化が進み多くの日本企業が一回りも二回りも大きく成長できたことです。アベノミクスポジティブな側面は、異常な円高起こりにくくなったことです。安倍首相ポジティブな側面は「日本は中韓とは異質な国」だという理解を世界に広めてくれたことです。これからは有能な外国人を引き寄せて付加価値を生み出していくようなニッポンの一層の魅力づくりと、若者世代の子育て支援貧困層支援など、大きな政府、小さな政府、政策論争をしながら中間層をできるだけ分厚くしていけるような可能性に一票を投じ、仕事を通してそのような社会の実現に励みましょう。

2017-08-05 205 地政学プラス地経学の時代

国際政治では覇権国の役割で中国共産党が狡猾に米国にとって代わろうとしていますし、産業面では規模が最大の自動車産業で大変化が進行中です。内向きな日本のテレビや新聞の低俗報道は日本を悪くするだけです。惑わされずに判断していく必要があります。

 国際政治学者の中西輝政氏がWILL 2017.9月号で「米合衆国覇権の海洋の世紀から、ユーラシア・ヨーロッパ大陸の国々が経済的に結びつく大陸の世紀へと移りつつあり、対馬海峡英仏海峡が世界の大地溝帯になりつつあります。・・・軍事力を背景に覇権を持つ地政学の時代から、今は経済的手段を用いて地政学的な目的を達成しようとする地経学の時代に入っています。」と寄稿していましたが、筆者/青草新吾も同感です。欧州では、独連邦の国力が図抜けた存在となり、仏は何とか対等な立場を維持しようと懸命です。マクロン新大統領の最初の訪問先がベルリンではなくモスクワだったというのが象徴的です。英連合王国は、既に独連邦が盟主となった欧州連合からの離脱(EU離脱)を決め、米合衆国との関係を重視していく方向です。欧州の歴史は、英仏が連合し、仏がさらにロシアと提携し、独連邦と対峙してきた歴史です。二度の世界大戦は米合衆国を巻き込むことで独連邦を戦争では負かしてきました。しかし戦後はやはり独連邦の経済発展が図抜けており、「独連邦を抑え込みながらの平和共存策として欧州連合」に進んできたわけです。ところが英仏の思惑とは裏腹に独連邦の経済力が図抜けたことで、今や独連邦が欧州連合の盟主になっています。その独連邦は、こともあろうに中国共産党との連携で経済力を高めてきています。例えば独フォルクスワーゲンの販売は、チャイナは欧州全体と同じ4割を占め、自国(独連邦)の5-6倍の販売規模です。
 日本はどうすべきか? 歴史から学ぶことは? 120年前にアジアで独立を保っていたのは日本と泰王国だけでした。当時の泰王国のラーマ5世は「アジアの独立国同士の応援も兼ねて、明治33(1900)年に仏教開祖釈迦の遺骨真舎利を日本国民に寄贈」され、名古屋の日泰寺・泰安塔に安置されています。筆者/青草新吾もタイ人スタッフを伴い訪問したことがあります、明治日本の多極世界でのサバイバルは、明治人の優れた適応力のお蔭でした。つい昨日まではサムライだった方々が公の精神を発揮して頑張ってくれたからです。しかし体制が固まり学校秀才・勉強エリートが、例えば海軍のハンモックナンバー(海軍兵学校の卒業席次)のように、学歴と卒業席次でそのまま出世してしまう社会になってしまって昭和の迷路に入り込み、日英同盟を破棄して、あろうことかナチスドイツと組んだために、ナチスドイツと重ねられた日本のイメージが悪用され、今でも韓国や中国共産党反日ネガティブキャンペーンのネタにされ続けています。朝日新聞の執拗な捏造報道に端を発する慰安婦問題では「慰安婦を性奴隷に言い換え」たり、毎日新聞報道に端を発したであろう南京虐殺でもねつ造で誇張され続けたり、最近でも長崎軍艦島が地獄のような強制収容所だったりとかの捏造が行われ韓国で史実として映画化されたり・・・ヘタレ外務省の無作為やリベラルな自民党宏池会の言動(例えば河野談話)が悪用されるばかりです。
 日本としては、今形成されつつあるユーラシア枢軸(独連邦・中国共産党・ロシア)ともうまく付き合っていくことに努力しながらも、海洋国連合で、法治主義に基づく自由主義民主主義を原理とする米・英・豪や近隣の台湾や比国(フィリピン)と環太平洋経済圏を形成していくのがよいと思います。環太平洋から東南アジアさらにインド洋の印度へと繋がっていきます。朝鮮半島には深入りせず距离を置いた付き合いが良いと思います。北朝鮮の拉致犯罪許すべからずです。・・・経済面ではやはり強い製造業を維持していくことに努力すべきです。世間知らずの学者や評論家の無責任な評論と異なり、世界の現実は「製造業が強い国豊かであり続ける」です。米国は製造業・農業・エネルギーがすべて世界一です。これに1990s以降にITと金融が加わり、米国の経済の強さは揺るぎません。米合衆国よりも人口規模が小さな日本と独連邦は製造業の比率が高いのが特徴です。常葉大学教授の山本隆三氏が「日本の産業で圧倒的稼ぐ力を持っているのは製造業だ。製造業の一人当たり付加価値額は全産業平均よりも大きく、付加価値額から支払われる給与も産業平均を上回る495万円だ。製造業の稼ぎにより周辺のサービス業にもお金が回る。・・・その製造業の足を引っ張るのが電気料金だ。独連邦の輸出産業に属する製造業の会社は、再生エネルギー新興のためのFIT(Feed-In Tariff 再生エネルギー高価買取制度)の負担を免除され、輸出産業の電気料金は日本の半額程度である。導入決定者の民主党・菅元首相や反原発の小泉元首相には責任を感じて欲しい。」という指摘は参考になります。
 今にして思えば、2001年が歴史の流れの転換点だったような気がします。9.11のテロ12.11のチャイナWTO加盟が同時並行でした。2008年のリーマンショック頃になると、チャイナの覇権国化と米合衆国の没落が明確に浮かび上がってきました。それにしても不甲斐ないのが日本の政治とメディアの体たらくです。政治の面では、自民党は分解して、地方分権の小さな政府の保守メンバーと維新が合同し、リベラルメンバーは民進党あたりと合同して保守とリベラルの二大政党を形成すべきです。米国で言えば共和党民主党です。現実はというと、自民党は保守といいながらもリベラル色が強く、野党といえばリベラルというよりも左翼政党ばかりです。日本国民にとっての不幸は、自民党がまっとうな保守政党でないことです。今の安倍首相で困るのは、言動は保守ですが実際の政策は社会主義大きな政府のようでリベラル色が強いことです。世界の主要な政治家と比較すると安倍さんは中道左派ではないでしょうか? それでも今の自民党政治家の中で比較する限りではやはり安倍さんがベターな存在といえます。最悪なのは民進党です。かっての社会党と同じで、政権党を引きずりおろせば、自動的に自党に票が集まるような勘違いをしているようです。アホとしかいいようがありません。
  メディアの問題は、やはり朝日新聞です。日本国民に対する背信行為は許されません。「朝日新聞慰安婦強制連行の報道誤報だった、よって朝日新聞の報道を根拠にした日本非難はあたりません。」と、韓国や米国そして欧州で訂正報道を行う義務があるはずです。国連を含めて訂正報道して回るべきです。朝日新聞誤報(実は意図的な捏造?)と日本国民に対する背信行為で、日本国の歴史が歪められ、国際的な信用を失墜し、どれほどの経済的な損失も強いられてきたことか・・。本日の産経新聞2017.8.6付で「国連ユネスコ記憶遺産に対し、中韓慰安婦(性奴隷)の記憶資産登録で申請した英国の帝国戦争博物館の資料30点が判明したが、内容は強制連行したり性奴隷であったりしたことを示す資料はなく、逆に慰安婦が戦地における公娼の役割を果たしていることが示してあったりで、中韓の申請を裏付ける資料見当たらない」そうです。同紙で高橋史郎・明星大特別教授は「申請資料は日本軍が管理した公娼であったことを示すが、中韓の申請は”日本軍が女性や少女を性奴隷に強要し、奴隷制度を設立・運営した”であり、公娼制を示す資料まで性奴隷の資料として世界で定着してしまう。」と日本政府の無為無策を嘆いています。・・・しかし日本語の資料誤りは日本から発信しないと資料の妥当性や適切性に問題があることさえ分りません。ここまでねつ造話を世界に流布した朝日新聞の責任は極悪犯罪並みに大きい。朝日新聞は罪滅ぼしで世界に向けて誤報訂正を繰り返し発信すべきです。
  手前どもビジネスマンは、日本人の公の精神を大切にしながら、武士道と商人道の心意気で、イノベーションを推進し、付加価値を生み出し、まずはこの日本国を国民がより幸福に生活できる国に改善し、そのうえで周辺諸国や国際社会のお役に立っていく努力をしていかねばなりません。久方ぶりにブログに参加しました。次回は、安倍政権が音頭をとる働き方改革や、会社のガバナンス改革などに触れてみたいと考えてます。
  



 

2017-01-21 204. トランプ時代のデフレ脱却と自動車ロボット産業

本日のトランプ大統領就任に象徴される大転換の一つは、アジア太平洋の時代の幕開けともいえます。生産財がおりなす最終製品で、ロボット分野は「米国を含むアジア太平洋が世界需要の過半を占める」ことになりそうです。またロボットメーカーの乱立が予想されるチャイナ(支那/中国)には中間財の供給が有望です。

国民全体がある程度豊かになるためには「稼ぐ力を高める」ことが必要です。競争力の高い財サービスに移行し、労働が生み出す付加価値に対する適正な分配で、従業員が消費者として消費活動をより活発化することで循環が生まれます。個人会社地域国家稼ぐ力を高めていく必要があります。個人や会社の生産性を高めながら、役所政治家による税金の無駄遣い無駄ドリを進めるには構造改革規制緩和が必要です。個人の生産性や所得を高める働き方改革や、次世代への貧困の連鎖を断ち切るひとり親など貧困家庭の子ども支援も必要です。

生産財営業の観点からは、最終製品の次世代自動車ロボットに多くのビジネスチャンスを見出せそうです。自動車産業では、1百年ぶりの大転換が始まっています。パワートレインの電動化に加えて、自動運転やインターネット利用で、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)といったイノベーションから様々な派生需要が生まれてきます。
ロボット産業も、産業用ロボットに続いて様々なサービスロボットの市場投入の動きが活発になってきています。JEITAが2016.12に発表した需要予測を電波新聞2017.1.10付が紹介していました。産業用ロボットに加えて、これから実用化が始める「非産業用のサービスロボット」は、4種の需要、より具体的にはa.コミュニケーションロボット、b.業務支援ロボット、c.介護ロボット、d.掃除ロボット、が伸びていくようです。産業用ロボットを含めた「ロボット5種」の世界重要が、15年実績1.7兆円が、25年には38.5兆円へと、年平均成長率36.6%もの重要拡大の見通しが立つそうです。その内訳ですが2025年時点で、aのコミュニケーションロボット20.2兆円へと年平均で76.9%、bの業務支援ロボット7.0兆円へと85.1%もの需要拡大が見込めるそうです。この段階の向け先は、FAインフラ向け270千台、公共ビジネス向け24.8百万台、個人向け34.2百万台、医療介護向け7.0百万台、農業向け2.0百万台。・・・地域別では日本とアジア太平洋31%(内訳で日本が12%)、米州25%、中国20%、欧州24%、ということです。TPPとかぶりますが、米国を含めた広義のアジア太平洋(米国・日本・その他)で括ると過半の56%です。日本にとっては「アジア太平洋という括り」がとても大切で「国別では米合衆国」がきわめて重要です。チャイナについては、最終製品よりも高級部材やデバイスといった中間財が有望です。スマホの市場では、華偽(Huawei)や小米(Xiaomi)のようなグローバル志向の会社は日本製のデバイスや材料を多用しています。ロボットでも同様と見込みます。日本の国民経済の強みは産業集積と素材・部材・デバイスです。

日本にとって「米国とアジア太平洋」の重要性が高まります。その米国にとって「日本の存在価値」は「アジアで米合衆国の国益を維持していくための足掛かり」といえます。「民主党のリベラル国際主義」であろうと、「共和党の内政優先・対外不干渉主義」であろうと、米合衆国の勢力圏は「アジア太平洋米州」というのは変わりません。米国のアジア太平洋への関わりを理解するには、史料で裏付けられた「事実としての歴史」を知る必要があります。米にとって、アジア太平洋は自国の勢力圏です。
米の星条旗州の数を記していますが、米東部の「13植民地がそのまま13共和国」となり、さらにこれら13共和国が連邦を組んで「連邦政府に外交権、徴税権、徴兵権を委譲した1789年の合衆国憲法」からは13州(13 states)となりました。独立当時の13州が今は50州へと増えています。本国の「王権から離脱して共和国を建国」し「資本主義を発展させた」という点では「独立革命は1789年の仏革命と比肩」します。・・・・米の州の増加領土拡大は、1803年の仏からのルイジアナ買収1812年米英戦争を経て、先住民が英国を支援したことを口実に次々に先住民から領土を収奪していきました。先住民だったインディアンの方々から食料のとうもろこしを教えてもらうなどの世話になりながら、反面では西部開拓と称して侵略(中国共産党チベット侵攻とそっくり)を続けました。・・・1819年に西(スペイン)からフロリダを買収し、1823年にはモンロー主義(勢力範囲特定による相互不干渉主義)を発表します。モンロー主義とは「勢力範囲の相互不干渉」を意味します。一国主義とか孤立主義は誤訳です。当時はナポレオン戦争後で、勢力を盛り返した欧州諸国が中米(ラテンアメリカ)に介入しようとするのを牽制・遮断するためでした。・・・・1845年にはスペイン領だったテキサスで、入植者が独立運動を起こした上で、併合(ロシアのクリミア併合そっくりです)し、隣国メキシコとは米墨戦争へと持ち込み、1848年に加(カリフォルニア)州など買収形態で獲得。・・・米で西武開拓史と称する歴史を経て、西海岸に到達。以降、19世紀後半頃から「太平洋への対外拡張」へと進んでいきます。ラテンアメリカに続く勢力圏として狙いを定めたのが「アジア太平洋」です。今の米合衆国はこの延長線上です。1823年からのモンロー主義(勢力範囲特定による相互不干渉主義)は「誤訳(孤立主義)のままだと米の外交を理解できず」となります。本日、日本時間2017.1.21未明に就任したトランプ第45代米大統領の場合の発言も「勢力圏内の内政重視・勢力圏外に対外不干渉主義」と訳すべきと感じます。孤立主義は誤訳です。
アジア太平洋への拡張の最初は1853年以降のペリー艦隊の派遣です。チャイナ(支那/中国)との貿易の中継港を確保するのが目的でした。1898年にはキューバをめぐって米西戦争が起こりますが、最大の戦闘地域は太平洋の比国でした。カリブ海ではありませんでした。モンロー主義を発した共和党、当時のマッキンリー大統領や後の大統領となるセオドアローズヴェルトは、太平洋では実に活発な拡張主義でした。同じ1898年にはハワイ王国併呑を行い、加(カリフォルニア)州からハワイ経由マニラ太平洋の兵站がつながりました。
1905年には日露戦争和平を仲介したものの、日本が露から入手した南満州鉄道利権折半で失敗。日本に要求したものの、日本が反発しました。以降、チャイナ(支那/中国)の利権をめぐって日本との利害衝突が始まります。・・・それでも共和党フーバー第31代大統領までは、共産主義との対決を重視して日本との協力を模索していましたが、第32代大統領をめぐる1933年米大統領で、チャイナ(支那/中国)と協調して日本叩きを優先した民主党Fローズヴェルトが当選したことで、日米対決が加速されて太平洋戦争へと流れていきました。・・・太平洋戦争後、米民主党政権にとっては、チャイナ(支那/中国)の利権を独占できると踏んでいたようですがチャイナ(支那/中国)の共産化で思惑は見事に外れました。「米国というのは敵を見誤ることがよくおこる国」です。・・・冷戦終結90年代半ば以降、トゥ小平(Deng Xiaoping)の経済開放政策でチャイナ(支那/中国)の経済が活況を呈しだしたところで「米証券会社は中国株の急伸を演出して膨大な利益を手にした」ものと推察できます。このタイミングで自動車の「GMも進出」し、今では販売台数が中国で約4百万台弱と、米本土の販売台数約3百万台強を凌ぐようになってきています。・・・そのチャイナ(支那/中国)でも不安定さ不確実性が高まり、米国発のリベラル国際主義衰退が始まったとなると、日本にとってのチャンスが増えます。このチャンスを生かすには、政治家や官僚の「世界とのコミュニケーション能力」なかんづく「米国世論への働きかけ」が重要です。

失われた20年間で「主要先進国の中で日本だけが底ばい」でした。国民の一人当り平均賃金は、過去四半世紀もの間、先進国が2倍前後に伸びた中で、日本だけが底ばいでした。消費者物価も同様でした。・・・過去1百年間の米国発リベラル国際主義最大の経済的受益者チャイナ(支那/中国)だったといえます。その米国発リベラル国際主義衰退しだしたことで、日本には追い風が吹きやすくなってきました。この潮の流れ変化を活かすためにも、日本の政治家は「米国への“親日世論形成”にもっと努力」すべきです。・・・歴史に学ぶとすれば「日本の政治家・官僚は世界と対話するコミュニケーション能力が足らない」ので、いつも日本は後手に追い込まれ日本国民へのとばっちりとなります。
戦前の日米はともに1933年ロンドン世界経済会議(64カ国)までは「ブロック経済に反対し自由貿易を主張」で共同歩調でした。がしかし、同年の第32代米大統領民主党のFローズヴェルトが当選し、潮の流れがニューディール政策を経てリベラル国際主義へと大きく変わりました。・・・ブロック経済形成に方向転換します。当時の日本は今以上に米国への貿易依存度が高かったようですから致命的でした。・・・日本の政治家・官僚は戦前も今も世界と対話するコミュニケーション能力が足りません。例えば満州事変では、「契約したら日本の主張世界に広めてあげます」との売り込みで広告会社セールスパーソン日本大使館に殺到した際に、当時の出淵勝次大使は「日本は下品な宣伝活動などやらない」と追い払ったそうです。一方で、中華民国大使館はその逆でどんどん契約していったといいます。数か月後ジュネーブ会議(1931.11)あたりからは日本の孤立目立ち始めたそうです。戦前のギャラップ調査の米国世論は「対日2%対チャイナ76%」ということだったそうですから、既に「対米情報戦日本は負け孤立していた」といえます。

米合衆国は、前頁203で前述の通り、民主党のFローズヴェルト第32代米大統領の下に集まったニューディーラー以降のリベラル国際主義行き過ぎに対する自浄作用で、共和党トランプ第45代大統領登場してしまいました。米中西部ハートランドラストベルトといわれる本流アメリカ意識の方々が「リベラル行き過ぎ反対」をつきつけた結果のようです。ですからポリティカルコレクトネス(PC/偏見や差別が含まれない言葉)に名を借りたリベラル主導の言論統制行き過ぎも正常化されていくと期待できます。・・・ただしグローバリズムについては、手前どもビジネスマンはもっと正確に分解して理解しておく必要があります。・・・自由貿易は、経済合理性を高めて消費面で人々の生活を豊かにしていると思います。・・・問題なのは「無国籍金融人の移動」です。実体経済からかけ離れたマネーが自由に国境を越えて移動するのは弊害が大きいから規制やむなしです。人の移動も然りです。
政治外交しっかりしてこそ民間の経済活動持続的に発展できますから、内弁慶が多い日本の政治家や官僚の諸氏には是非とも頑張って欲しいところです。テレビや新聞、特に朝日新聞毎日新聞NHKなどは政治色が濃い活動家のプロパガンダのような報道は差し控えて、読者が判断するため事実の報道に努めて欲しいところです。手前どもビジネスパーソンは「より価値が高い仕事の創出」にまい進していかねばなりません。