青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

住商の浜中氏の下で働いておられた江守哲氏と青柳孝直氏の共著「住商事件」*1では、次のように訴えています。

相場とは、宗教に似た、摩訶不思議な「人間が制御できない自然」である。「明日はなぜ雨が降るのか」を論議しても始まらない。−中略− 人間が唯一できるのは、市場を制御することではなく、人間が行う市場取引に対するルールを確立することである。相場に付きものの損失に関する完璧な管理体制を構築することである。4頁。

海外の金融機関を儲けさせるためだけの商品」が個人にまで販売されているという実態がある。―中略―相場の世界で働く人々の中において「世界の相場発祥の地」が日本であったことは意外に知られていない。−中略−先物取引の技術が欧米で大きく発展する一方で、日本ではほとんどそのノウハウが蓄積されず、ますます世界の先物市場から取り残されていく現状を考えると非常に残念に思う。

尚、同時期の経済事件では大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件*1が表ざたになったのは1995年9月でした。井口氏は著書で以下のように述べています。

事件の中心人物であった私が恐らく最も正確に事件を描写できるであろうし、もとはといえば自分の誤算に端を発したこの事件の社会的責任をとる意味でも、是非この手記を出版しようと決意しました。−中略−こういった不祥事が発生すると、関係者は都合のよい言い訳をした後、責任をとっていわゆる引責辞任をするのが日本の習慣です。−中略−辞任すれば事実を認める義務から赦免されると考えているから、日本の不祥事は、最後はうやむやになってしまうケースがほとんどです。

ディーラーといわれる人達が裏世界で巻き込まれた事件ですが組織と個人の能力向上で能力と心技体をテーマに別の機会に整理したいと考えてます。

*1:「告白」井口俊英著 1997年 isbn:4163524509