中間財の薄型パネルが普及していくことで、派生需要の連鎖が生み出すマテリアル系生産財の電子材料の需要も、2015年頃には少なくとも10兆円以上、多分で20兆円規模へと急成長していきます。
電子材料全体の産業規模は、今現在の8-10兆円から2010年頃に少なくとも2倍の20兆円であれば、2015年頃には多分で3倍の30兆円へと拡大します。産業の規模で30兆円というのは「今現在の半導体産業と同等の規模になる」ということです。
電子材料全体の需要規模が2015年頃に多分で3倍の30兆円であれば7割弱の20兆円を占めるのが「薄型パネル向け電子材材料」です。
前述の松下電器の2010年の市場予測「プラズマテレビ3千万台、液晶テレビ1億台」と「コスト構成は、パネルで材料費が占める割合が、プラズマが1/4に対し、液晶が1/2程度」をお借りして超大雑把に少なめの試算を行うと、以下です。
以下2010年頃の電子材料の需要規模
以上、2010年頃の薄型パネルの材料費見通しは合計で8-10兆円です。
17[マテリアル系と電子材料王国ニッポン]で前述の泉谷渉氏は著書*1で、世界市場の規模に関し「(2005年度の)現状でデジタル素材分野は9兆円で6割弱がフラットパネルディスプレー(FPD)の5兆円・・・・・・・2015年度はデジタル素材は30兆円で7割弱がFPDの20兆円以上」と試算しておられ、またエレクトロニクス製品のグローバル競争に関しては「ついにやってきた素材の新時代、100年企業を中心に化学、繊維、鉄、非鉄、印刷などの伝統ある素材産業は今『日本の集団性』を武器に『電子材料』という黄金テクノロジーで復活してきた。エレクトロニクス最終戦争はニッポンがデジタル素材で勝つ。」と表現しておられます。
森羅万象のスパイラルな進化に関し、多くの100年企業が、こつこつと忍耐強く長期的な経営観で何十年もかかって開発し育て上げてきた技術やノウハウで、在来型のマテリアルをマテリアル系の商材に進化させ、薄型パネルという金城湯池の膨大な需要に遭遇し、伝統と蓄積の上にスパイラルに進化した新しい企業の姿で事業を展開し再び成長を開始する、というスパイラルでダイナミックな産業構造の進化のうねりを、泉谷渉氏は実に活き活きとした鮮度を保ちながらレポートしておられます。
*1:[電子材料王国ニッポン]泉谷渉著 isbn:4492761608