青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

中小企業の下請けからの脱出に関し、産経新聞が「東京都の石原新太郎知事が折に触れて引用する谷啓製作所」を2006年5月7日付で紹介していました。

谷啓製作所は、金型の受託製造から自社開発の「指を切らない缶蓋」で新天地を切り開いたそうですが、感動を禁じえないリアルな記述なのでそのままで以下に引用します。。

谷啓製作所は当時、家族6人で経営する金型業。今は指を切らない缶蓋を開発したことで有名な工場。・・社長だった谷内啓二は、晴海の工作機械国際見本市でめまいを受けるほどショックを受けた。目の前には複雑な金型を簡単にこなす最新鋭の機械の数々があった。「あんな機械が出ては、今後の人生真っ暗だ」。年がいもなく涙があふれた。それでも気を取り直して「今まで通りのことをやっていては駄目だ」と決意を固めた。研究から約7年、MITなど国内外の学者が知恵を絞ってもできなかった安全な蓋開発に成功した。

不屈の挑戦と目標実現のための7年もの粘り強い研究開発には感動を禁じえません。55で前述した「多くの創業者が起業当時に発揮した図抜けた営業力」にも貴重な参考事例を提供してくださっています。
上述の工作機械国際見本市でみた機械というのは恐らく12で前述した伊藤製作所の伊藤社長が著書*1で説明しておられた「何千工程もの金型製作で、CNCマシンが加工工程の大半をカバーできるようになったのです。・・工作機が高性能になったため、加工工程は1-2年の経験者で充分こなせるようになったのです。」のことだと思われます。

*1:「ものづくりこそニッポンの砦」伊藤澄夫著 isbn:4769361564