83-3/3 薄型テレビの派生需要で生産財
薄型テレビの登場で、様々な電子部品からプラチナのような貴金属に至るまで、様々な需要とイノベーションが派生しています。
FPDの総出荷面積に関し、富士キメラ総研は、2006年の6千9百万平方メートルが2011年には1億2千万平方メートルに拡大すると予測しています。Electronic Journal 2007年1月号で富士キメラ総研の調査結果が紹介されていますが、86で前述の位相差フィルムに関し「2005年の出荷面積が8千8百平方メートル、金額で1千4百億円、2006年は前年比65.9%増の1億4千7百万平方メートル、金額で同40.0%増の1千9百億円。PCモニタでは富士フィルムのWide Viewが業界標準で特に15-19型PCモニタでは採用比率が9割以上。」とのことです。
薄型テレビの急増でマテリアル生産財のプラチナも需要が急増しています。日刊産業新聞2006年10月4日付で田中貴金属の「Johnson Matthey作成/プラチナ2006」を掲載しましたが「05年のガラス産業によるプラチナ購入量は前年比22%増の355千オンスまで急増した。需要の原動力はフラットパネルディスプレー(FPD)用ガラス生産設備に対する大規模な設備投資である。05年の産業用プラチナ購入量は前年の水準から140千オンス増加して1675千オンスとなり、史上最高の水準に達した」と記載されていました。
薄型テレビや高性能ゲーム機の出現で電子部品の需要構造もパラダイムシフト中です。薄型テレビの出現で日系企業が世界シェアの過半を占めるセラミックコンデンサやアルミ電解コンデンサの需給逼迫が続いています。Electronic Journal 2006年9月号でデータガレージ社の佐藤氏は「セラミックコンデンサの搭載数に関し、プレステ3で2千個、薄型テレビで700-1400個、3G携帯電話で250-300個、ノートPCで750個、これらはアジアメーカーとは競合しない高性能品。例えば薄型テレビでは長寿命品。」とレポートしておられました。