青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

91-1/4 日本化(Iapanization)のスパイラル展開 漢字や自動車の事例 

日本文化の特徴に日本化(Japanization)とスパイラル展開があります。2000年ほど前に輸入した漢字や、ここ100年ほどの自動車でもみられます。

漢字に関し、日本文化は輸入漢字を日本化して性能を高め、更に日本語とハイブリッド化させて日本語の新しいシステムを創造したといえます。北大名誉教授の大島正二氏の漢字伝来*1によると、私たちの祖先は中国から漢字を輸入してもそのままで終わることはなく、漢字を借りて日本語を写す仮借(かしゃ)を生み出して万葉仮名が始まり、やがて中国語にはなかった峠や辻のような日本独自の漢字を発明するようになり、また漢文に返り点(レ)をつけて訓読する漢文訓読が発明されました。その後は音訓混用を経て漢文の日本語化が始まり、片仮名平仮名が発明され漢字仮名混じり文に至り、近代以降は日本発の日本語単語中国に輸出されるようになり中国語単語としても定着しました。89で前述した呉大学福山大学で教鞭をとっておられる金文学氏が著書*2で実例を紹介してくれていますが、革命、賠償、歴史、民族、国家、自然、手続、民主化、機械化・・・と近代の日本からは大量の日本語中国に輸出されています。
ハイブリッド車もスパイラル進化と展開の実例です。自動車は蒸気自動車に始まり、日本が明治維新の頃に世界初の電気自動車(EV)が発明されたことで、普及が始まりました。
その後にベンツが発明したガソリンエンジンも当初は始動が不便な代物であったためにそれまでのEVやハイブリッド車もかなり作られていたそうです。ガソリンエンジン性能向上とともに電気自動車やハイブリッド車は一部を除いて世間からは忘れられた存在になっていましたが、環境対策車としてEV(電気自動車)への関心が高まり、特に米国加州のCAFE規制やZEV規制などの動きでEV開発が加速されました。トヨタ自動車が現実検討の結果として1997年プリウスを皮切りにハイブリッド車の市場投入を始めたことで、普通の乗用車の選択肢の一つとしてハイブリッド車がラインナップされるようになりました。

*1:「漢字伝来」大島正二ISBN:4004310318

*2:「中国人による中国人大批判」金文学著 ISBN:4396314191 祥伝社黄金文庫