95-3/3 パワーデバイス部材でSiC基板
パワーデバイスの基板材料では炭化シリコン(SiC)のウエハーへの期待が高まっています。
SiC単結晶基板を用いた製品開発に関し、米クリー社が日本インターに基板を供給し、日本インターがSiCを用いたSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)の製造販売を開始するそうです。電波新聞2007年7月26日付で「日本インターは1957年設立。日本で初めてパワーシリコン整流器の製造に成功した。サイリスタ、IGBT/MOSFET、ハイブリッドICなどを供給する。(今回発表の)SiCを用いたSBDは、シリコンをベースとしたダイオードに比べ、装置全体のコスト比較では2割削減が可能。チップ当りの価格は従来のシリコンベースよりも高いが、システムトータルでは20%程度の低価格を実現できる。1Aから5A、300/600/1200V品を段階的に供給していく予定。環境問題解決の一つである省エネ設計で白モノ家電、エアコンのインバータ、自動車電装、といった多様な展開が期待され、対象とする用途市場は大きい。」と報道されていました。
SiC単結晶基板の供給では、新日鐵が新規参入で動いています。日刊産業新聞2007年6月8日付は「新日本製鉄は(昨日の)7日、100ミリ(4インチ)口径の炭化ケイ素(SiC)の単結晶ウエハーで世界最高レベルの低欠陥化に成功したと発表した。ターゲットとなる数百から1千ボルトのパワーデバイス世界市場は現在、年間2千億円規模。SiCはシリコンと炭素が1対1の組成比で構成された化合物半導体材料。摂氏2400度以上の坩堝の中でSiC粉末原料から昇華させた蒸気を種結晶上に再結晶させることで結晶成長を行う。超高温の結晶成長なのでプロセス制御が難しく100ミリ口径の高品質SiC単結晶ウエハーの開発が待たれていた。世界のSiC単結晶ウエハーメーカーは、米クリー、ダウ・コーニング、欧ノーステル、ジクリスタル、新日鐵、ブリジストン、HOYAなど約10社。高品質4インチは新日鐵とクリーの2社が開発に成功した段階。」と報道していました。
SiC単結晶基板の加工流通と調製加工では、昭和電工が技術提供する有限責任事業組合のエシキャット・ジャパンに関し日刊産業新聞2006年11月9日付で「エシキャット・ジャパン(茨城県つくば市、産業技術総合研究所、電力中央研究所、昭和電工の3者がLLP制度と産総研の技術移転ベンチャー認定制度を活用して2005年9月に設立)が、炭化シリコンのエピタキシャルウエハーを今月から販売開始したと発表。ウエハー径は2インチと3インチ。カーボン面にエピ層を堆積したウエハーもサンプル出荷する。」と報道していました。