青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

98-1/3 大容量キャパシタ

リチウム電池キャパシタ太陽電池などエネルギーデバイスの分野では、新旧渾然一体のダイナミックな協業と躍動、止揚がみられます。

前頁106でパワー用の大型リチウムイオン電池ベンチャー/エナックスと小沢代表に触れましたが、パワー用の大容量キャパシタ(電気二重層コンデンサ/Electric Double Layer Capacitor略してEDLC)では、岡村廸夫代表のベンチャー/パワーシステム(旧岡村研究所)と理化学機器メーカー/日本電子との協働から湧きでたECaSS(Energy Capacitor Systems、キャパシタと電気回路技術の組合せ)が新しい流れです。日本電子のホームページでは「日本電子の元技術顧問の岡村廸夫の思想」として「電子回路技術4倍の性能向上を達成し、キャパシタ5倍の性能向上を達成すれば、掛け算20倍の電気を蓄えることができる。」と紹介しています。

筆者/青草新吾は、2001年11月のJEVA電気自動車フォーラム2001で岡村代表の発表を拝聴したことがありますが「電気の出し入れで壊れる心配がないキャパシタ出力密度500W/Kgで日産が使っている。」との件(くだり)がとても印象的でした。翌2002年12月のフォーラム2002では開口一番で「欧米ではキャパシタ蓄電の技術そのものの予備知識が我が国ほど普及していないため、どうしてもECaSSの基本から説明する必要がある。」と述べておられました。
岡村研究所(現パワーシステム)は、1999年鉛蓄電池並みの容積当りエネルギー密度26[Wh/l]を発表し、2002年6月には日産ディーゼル工業が発売開始したキャパシタハイブリッドトラックに共同開発した重量当りエネルギー密度6.3Wh/Kgのキャパシタ2次電池の代替で搭載されました。一方、日本電子は、2003年10月に重量当りエネルギー密度50-75Wh/Kgニッケル水素電池並みのナノゲートキャパシタを発表、2004年4月に製造子会社のアドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズを設立し、日産ディーゼルと提携しました。同じ2004年4月に、パワーシステム(岡村代表)の三者割当増資オムロン三井物産(鉄鋼原料非鉄金属本部)が引き受けECaSS(イーキャス)の事業展開が始まっています。下述の指月電機製作所もECaSSグループに参加しているそうです。