青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

99-2/3 携帯端末用燃料電池

携帯電話などのモバイル機器の電源に関し、燃料電池の足音が聞こえ始めています。

携帯機器小型電池に関し105でニカド電池からニッケル水素電池を経てリチウムイオン電池へとより高いエネルギー密度を求めての電源シフトを記述しましたが、今はリチウムイオン電池でも足らない用途がでてきました。
JEITA(電子情報技術産業協会)が発表した「2007年度版日本実装技術ロードマップ」に関し、エスペック技術開発本部/部長の高橋邦明氏が電子材料2007年9月号で「(携帯機器向けに)電池容量の大きな電源開発が緊急課題となってきた。2次電池よりもエネルギー密度が高い燃料電池を取り上げて技術調査を実施した。モバイル機器用で注目されているのは、メタノール溶液を改質器で取り出した水素を燃料極に供給するPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)と、メタノールを直接に燃料極に供給するDMFC(Direct Methanol Fuel Cell)である。燃料電池は今はまだ2次電池の充電用、あるいは相補的役割を果たすケースが殆どで、機器にいかに実装するかという電池実装技術に至る前段階にある。現状の携帯電話の消費電力は、待受時2mA程度だが液晶バックライト照明だけで100mAを超し、地上波ディジタル放送受信では200mA以上を消費する。機器の長時間使用から消費電力が急増し、従来の2次電池では容量不足が懸念される状況になってきている。」と述べておられました。
携帯機器向け燃料電池(FC)に関し、1999年に米SRI Internationalから独立した米PolyFuel社は、燃料電池(FC)用電解質専業メーカーとのことですが、Electronic Journal 2007年8月号で「2008年遅くとも2009年には携帯機器向けFC需要が本格的に立ち上がるだろう。ICAO(国際民間航空機関)の承認により、2007年より航空機内へのメタノール持込解禁となり、技術以外の障壁はなくなった。(需要に関し)様々な見方があるが、平均値をとってみると2010年には2千万ユニット前後に達するだろう。当社の電解質膜は炭化水素で従来のフッ素系に比べ、メタノールが燃料極側から電解質膜を通過して空気極側に浸透するクロスオーバーを大幅に抑制できる。メタノールの濃度を上げるほど炭化水素膜系の優位性が高くなる。また20ミクロンと薄膜のため、副生成物である水をメタノール供給側に逆拡散させることができ、水の使用効率も高められるから燃料カートリッジが小型化できる。ゴルフボール2個分程度の体積でピーク電力45WのFCの試作に成功している。2003年の製品投入以来、現在では20社以上の電機・電池メーカー協業している。」と説明しておられました。