青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2007-11-18 106-3/3 中間財のHDD業界

グローバル化の中で、水平分業モデルと垂直分業モデルの両方が進化を続けていますが、太陽電池やHDDの世界では垂直統合モデルがしのぎを削っています。

太陽電池垂直統合モデルとシャープの太陽電池コンビナート計画(堺市)を109で前述しましたが、半導体産業新聞2007年11月14日付は「太陽電池で、投資額が実に4929億円と巨額で、完成時の生産能力は年産1.5ギガワットという異例のスケールの計画が明らかになった。有力ソーラーメーカーをごぼう抜きし、世界トップに躍り出る投資戦略である。太陽電池ポリシリコン原料世界シェア30%強リニューアブルエナジー社が、星国(シンガポール)に世界最大の(原料からセル、モジュール、パネルまでの)太陽電池一貫生産工場を建設することを決めた。JETROを通じて日本国内にも用地面積800千平方メートルで立地の打診があったが、日本では先端産業に対する優遇措置(立地後5年間の無税など)が少ないことから日本立地を断念したらしい。06年度における太陽電池の世界シェアは、日本のシャープがシェア17.4%(生産額1千5百億円)で7年連続で世界首位だが、二位に独Qセルが二位に急浮上し、三位が京セラ、四位はこれまた中国サンテックが浮上し、五位に三洋電機。まったくのノーマークであったリニュアブルエナジーが世界最大の工場を作る計画を打ち出したことで、日本勢も設備投資プランの上方修正を迫られることは必至だ。」と報道していました。太陽電池では、新規設備投資の競争ですが、HDD業界では、M&Aによる寡占化と垂直統合が進行しています。
HDD業界では、2001年にマックストア(Maxtor)がカンタム(Quantum)のHDD事業を買収して一時的にシェア首位に立ったものの、維持できずに3位に転落したところで、今度は首位のシーゲート(Seagate)がマックストアを2005年に買収してしまいました。HDD業界のM&A垂直統合化の流れについては次頁116で整理してみます。