青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

113-4/4 生産財 事業要員の能力開発で心理学や脳科学

本稿は、生産財の事業要員を想定した能力開発の各社各様の工夫を心理学や脳科学の成果も参照しながら記述していきます。

脳の内部を安全にスキャンできる技術と機器の発達で脳の機能解明が急速に進んでいます。能力開発の上で大きな支援材料です。けいはんな文化学術研究都市では「スキル(わざ)の科学」の学際研究が進められているそうです。人間の能力とは、様々な能力要素の複合が生み出すものですから、能力MECEである心技体をより科学的に記述できる日がくるかもしれません。
営業力とは曖昧な言葉ですが、まずは営業能力と言い換えて、次に能力要件の整理を行うことで人材育成能力開発のヒントへと繋がります。

経営コンサルタントで現ミスミ社長の三枝匡氏は「出来るだけ小さい組織で、創って作って売る、という事業サイクル全体経験と、修羅場越えの経験から(稼ぐ力とマネジメントする力量を持つ)経営人材は育つ。埋もれている気骨人材、元々リーダーシップ論理性併せもっている人材であれば、(そこから更に)経営リテラシーを高めることで、世界の競争に伍していける人材に育つことが可能なはずだ。」と熱く語っておられます。また幹部教育の専門家で日本能率協会の畠山芳雄氏は著書*1で「細分化された大部門の管理者タイプは事業要員(事業経営者)にはなり難い。(同一業務の昇格などで)タテに育てると弊害の方が多いし事業要員になり難い人々を大量に養成する傾向がある。幹部の成長は、未経験の事態に直面したときに全力投球で克服することの繰り返すこと力量が高まっていく。」とも。同様に経営人材が育つ経験に関し、121で前述の神戸大学大学院経営学研究科教授/金井壽宏氏の著書*2によると、関経連の人材育成ワーキンググループの調査結果からは、主要企業経営トップ一皮向けた経験一番多いのは、新規事業新市場開発などゼロからの立ち上げ(Starting Something From Scratch)、悲惨な部門や業務の事態改善再構築(Fix-It/Turnaround Jobs)で、続く経験が昇格・昇進による領域拡大(Leap in Scope)とのことですから、上述の三枝匡氏や畠山芳雄氏の論を裏付けています。本稿は、これらの研究成果や論旨も記述していきます。

*1:「役員いかにあるべきか」畠山義男ISBN:4820716492

*2:「仕事で一皮むける」金井壽宏ISBN:4334031706