青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

124-2/2 携帯電話向け電子部品

携帯電話向け電子部品では水晶デバイスとセラミックコンデンサの需要拡大が続いています。

電子部品統計上で受動部品その他部品に分類される水晶デバイスに関し電波新聞2008年5月5日付は「日本水晶デバイス工業会(QIAJ)がまとめる生産統計によると、日本の水晶デバイス国内生産07年度実績27.9百億円だった。特に市場が拡大しているのが携帯電話で、生産台数増加に加えて、カメラ付き、ワンセグ対応などの高機能化で1台当りの搭載点数増加が需要を押し上げている。携帯電話以外の用途では、自動車電子化で自動車1台当りの搭載点数が増加している。品種別内訳では、携帯電話を中心に使用される産業用水晶振動子3.4百億円、同じく携帯電話が主な市場の産業用水晶発振器7.0百億円、自動車用水晶振動子は1.3百億円。他に、時計などに使われる音叉型水晶振動子は5.3百億円、民生用水晶振動子は4.0百億円、パソコンなどで使われるクロック用水晶発振器は2.7百億円、光デバイスは2.2百億円、SAWデバイスは0.7百億円、業務用無線などで使われる水晶フィルターは0.4百億円。」と、また08年度需要見込みに関し半導体産業新聞2008年4月30日付は「日本水晶デバイス工業会(QIAJ)が2008年度国内水晶デバイス市場は、前年比5.8%増の2,943億円、数量で15.5%増の111.2億個になるとの予測を発表した。品種別には、携帯電話向けで需要が拡大する産業用水晶振動子が数量で24.2%増15.5億個、金額で4.1%増の355億円と予測。また音叉型水晶振動子も携帯電話用途に加えて、デジタル家電機器用に需要が堅調で、数量が16.1%増の46.9億個、金額が7.7%増の570億円に成長するとしている。」と、また電波新聞2008年4月4日付では「水晶デバイスで最もSMD(電子基板への表面実装)の比率が高いのが産業用水晶振動子98.5%、続いて産業用水晶発振器97.3%。この2品種は携帯電話をはじめ、ブルートゥース無線LANGPSなどの無線通信関連で採用されているもの。同分野は小型化が強く要求されるためSMDタイプの需要が拡大している。」と報道していました。
同じく電子部品統計上で受動部品セラミック部品は、携帯電話1台当りで、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を約3百個(薄型テレビでは1千個)以上も搭載しているそうです。携帯電話向けセラミック発振子に関し村田製作所は2008年1月10日付で「携帯電話はワンセグテレビやオサイフケータイなどの高機能化で、外部機器との通信スピードも従来のUSB Full speed(12Mpps)からUSB High speed(480mbps)が標準となりつつある。ICのクロックデバイスであるセラミック発振子も高精度化が要求される。当社は、1999年にFull speed通信で要求されるトータル周波数精度プラスマイナス2500ppm以下に対応した商品化を皮切りに、継続的改善を続け、この8年間の間にトータル周波数精度を5分の1以下にすることにより、セラロック(商品名)の市場拡大に成功している。」と説明していました。
電子部品統計上で受動部品インダクタ(コイル)に関し電波新聞2008年3月24日付は「携帯機器は小型、軽量化とともに動作時間を長くすることが強く求められている。しかも多機能化することで複数のDC-DCコンバータが搭載されるようになってきた。その電源には高性能なパワーインダクタが必要で、定格電流1A以下厚み2ミリ以下のものが求められている。巻き線インダクタの場合は、DC-DCコンバータのスイッチング周波数300kHz4ミリ角もしくは6ミリ角サイズのものが使用される。厚みは1ミリ以上もある。これに対してスイッチング周波数1.5MHZ程度に高周波化することで、3ミリ角サイズへと小型でき、厚みも1ミリまで低背化が可能になる。更に最近では積層プロセスを適用した積層パワーインダクタの採用が進展している。構造はシートにスパイラル状の内部電極を形成、印刷し、スルーホールで層間を接続したもの。積層インダクタDC-DCコンバータスイッチング周波数1メガHz以上高周波で駆動し、定格電流1A以下での使用に適する。」と報道していました。同じくDC/DCコンバータに搭載される積層パワーインダクターを生産するFDKに関し半導体産業新聞2008年3月5日付は「携帯機器の高機能化に伴い、消費電力の増大が問題となっており、充電されたリチウムイオン電池を効率的に使用するためにパワーインダクタの搭載が進んでいる。積層タイプは従来の巻き線タイプと異なり、積層プロセス技術を使用することで、小型化しやすく、また材料費が安いという利点がある。生産能力を早期に月産6千万個へと倍増させることを目標に掲げている。」と報道していました。
電子部品統計で変換部品については「変換部品小型モーターは携帯電話用に着信告知振動モーターが多用されるのに加え、最近はカメラ付携帯電話のズーム駆動など新用途も拡大しつつある。スピーカーは、携帯電話では音楽機能やワンセグ搭載が新たな需要を創出。」と報道していました。電子部品統計の接続部品では、130で前述した精密スイッチに関し半導体産業新聞2008年4月30日付は「パナソニックエレクトロニックデバイス移動体通信機器向けにライトガイドフィルム付タクティールシート(ESPタイプ)を製品化した。導光板の代わりとなるライトガイドフィルムも新たに開発し、(素材には)特性的に最適な軟性フィルム材料(ウレタンフィルム)を選定した。同社でタクティールシートと一体化して提供するため、セット側での導光板設計やアッセンブルが不要。LEDの使用数削減、低電硫化に貢献できる。08年9月から月3.5百万個の規模で量産を開始する。動作寿命1百万回。」と報道していました。ワンセグの普及で、スイッチは薄型化が進み、4方向操作+センタープッシュスイッチや超小型多方向操作スイッチの開発が活発化している。スイッチ表面をなぞることで画面のスクロールが行えるなどの新コンセプトの操作デバイスの開発も進んでいるそうです。
モバイル用DRAM世界トップエルピーダメモリに関し半導体産業新聞2008年3月5日付は「エルピーダメモリは、低消費電力性能を武器に、他社を圧倒する強さを誇り、同社がシェア65%を自負する稼ぎ頭のモバイル用DRAMについては、今後も国内生産を堅持する。同社では今後も市場シェア50%を確保したい考えで、国内生産で高性能化を進めることで、コモディティ化を防ぎ、市場競争を有利に進める。広島エルピーダの月産100千枚の3-4割を占めるPC用DRAM合弁会社台湾レックスチップに移管し、広島をプレミアDRAM(モバイル、デジタル家電用)に特化させ、更に二年後をめどにデジタル家電用も台湾レップスチップに移管し、広島エルピーダモバイル用DRAM専用工場とする。」と、また携帯電話用の液晶ドライバーでは、ルネサステクノロジシャープ及び台湾パワーチップ(PSC)の3社が設立したルネサスエスピードライバの社長/鳥居周一氏が半導体産業新聞2008年4月9日付で「ルネサスエスピードライバが展開するのは、15インチ以下中小型TFT液晶に絞ったドライバ・コントローラ事業で、事業規模は約5百億円となる見込み。売上の70%は国内。中小型液晶ドライバーでは世界シェア20%程度2位。高品質TFTでは1位と自負。アプリケーションでは50%携帯電話。車載、PND、ウルトラモバイルPCが30%。ゲームなどアミューズメントが20%。価格競争力を高めるために、今後は台湾の能力(PSC)を積極的に利用していく。ファブレスとしての軽量経営、最適な製造プロセスの採用、そして先駆けたコストダウンで2010年度には7百億円、市場シェア25%でトップシェアを実現したい。」と述べておられました。