青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

126-2/2 携帯電話と電子基板

携帯電話をより薄く、小型化するために電子基板と実装技術の進化が続きます。

携帯電話の電子基板向け銅箔では、主に携帯電話に使用される高密度ビルドアップ基板ではレーザービア加工の加工性が高いことから樹脂付銅箔が使用されていますが、半導体産業新聞2008年5月28日付は「三井金属は、樹脂付銅箔の新ラインを増設する。マレーシア(馬国)のMCF(Mitsui Copper Foil SDN.BHD)で月産500千sqm体制、2009年の稼動開始を予定。すでに樹脂付銅箔の生産ラインを有している台湾のTCF(台湾銅箔股份有限公司)と合せた生産能力は従来比1.5倍1.3百万sqmとなる。」と報道していました。携帯電話向けFPCに関しElectronic Journal 2008年2月号は「携帯電話はFPCの市場・技術を牽引するアプリケーションになっている。ヒンジ部をはじめ、キーパッドカメラモジュールなどで不可欠とされている。携帯電話は引き続きFPCの中心市場となる見通しだ。」とまとめていました。
携帯電話の電子基板そのものの製品トレンドに関し電波新聞2008年6月11日付は「(リジッド基板の)[[エルナー]]は、高密度実装が求められる携帯機器向けなどでは、国内生産のフィールドビア構成ビルドアップ多層板を伸ばしていく。(FPC基板の)日本メクトロンは、携帯電話などのモバイル機器における軽量化、小型および薄型化を伴う高機能化進展に対応した最新技術を展開している。薄型多層FPCはマイクロビア付で、4層板が0.25ミリ厚、6層板が0.5ミリ厚。高密度薄型多層FPCは100ピン以上フルグリッドの0.4ミリピッチCSPに対応した薄型製品。高機能薄型多層FPCは、液晶ポリマーを採用したもので、抵抗器やコンデンサなどの受動部品を内臓した高周波対応の製品。」と報道していました。
携帯電話で世界トップのノキア向け電子基板ではオーストリアAT&S(Ausutria Technologies und Systemtecknik)がノキアを始めとする欧州シェア4割とのことで、AT&Sジャパンの代表取締役/中野健二氏は半導体産業新聞2007年8月29日付で「当社は1987年に設立され本社はウイーン。06年度売上高4億67百万ユーロの6割携帯機器向けで、産業機器向けが2割、車載向け1割、組立てサービスが1割。上海工場はビルドアップの6-8層品が中心、印度韓国は買収で工場を獲得。日本市場は、現在、国内外の日系大手電気メーカーにビルドアップ基板を中心に供給。用途はデジタルカメラ、カムコーダー、携帯電話などで、今後はカーナビ、ノートパソコンなどにも提供していきたい。早期に50億円を達成することが目標だ。」と述べておられました。
携帯電話のモジュールでは、樹脂系基板における多層化や部品内臓化及びLTCCによる微細化が進んでいます。携帯電話用SIP基板に関し半導体産業新聞2007年12月19日付は「京セラSLCテクノロジーがてがけるSip基板は、日本国内ではほぼ独占供給の状態で、生産が受注に追いつかず、増産に踏み切る。日本国内を中心に3Gなどハイエンド携帯電話で需要が拡大している。ベースバンドLSIモリーなどをスタック構造フリップチップ実装するもの。ピン数が少なく、小型化が要求されるため四層(1-2-1層)や六層(2-2-2層)が主流となっている。」とまた電波新聞2007年12月13日付は「電子機器の多機能化に加え、部品の実装面積の縮小と製造工程の簡略化によるコスト削減のために、機能ブロックモジュール化が急速に進んでいる。携帯電話では、アンテナ切り替えスイッチ部や、送受信フロントエンドTCXOVCO(電圧制御発信器)、RTC(リアルタイムクロック)など、またワンセグチューナーGPSもモジュール化されている。また無線LANBluetoothモジュールは、海外ではIC化したものも登場している。」と報道していました。筆者/青草新吾は、ここ数年の小型化・薄型化ではブルートゥース無線LANワンセグチューナーなどでLTCC(低温焼結セラミック)基板による貢献が大きいとの印象を受けています。電波新聞2007年10月1日付では「LTCC基板は、摂氏900度以下の低温で焼結可能なことから、電極をはじめとする異種金属を同時に焼結できるのが特徴。圧膜技術のスクリーン印刷が一般的であったが、最近は薄膜技術及びフォトリソグラフィ技術を用いることで、LTCC多層板上にパターンピッチ20ミクロンの微細パターンが開発されている。」と報道していました。
世界最薄携帯電話を実現したパナソニックモバイルコミュニケーションズの工法に関しElectronic Journal 2008年3月号で「同社は薄型携帯電話向けの実装技術としてボードモールド工法を提案している。ボードモールドはメイン基板に半導体や電子部品を実装後、基板表面全体樹脂モールドする技術。従来は、BGA実装周辺へのシールドケース実装、BGA端子部へのアンダーフィル樹脂充填、中間シャーシの設置などで剛性を確保する必要があった。ボードモールドは、2006年9月のソフトバンクモバイルSoftBank 705Pで適用された。今年2月には、折り畳みタイプの携帯電話において、世界最薄となる厚さ9.8mmNTTドコモFOMA P705iで実現した。最新の携帯電話では、3G+GSMやHSDPA、ワンセグGPSなどが搭載され、機能の追加が加速する反面で、極薄の携帯電話トレンドとなっている。」と報道していました。