青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

127-1/2 対中ODA

対中ODAに関し、欧米は人道支援に絞るケースが多かったようですが、日本からは軍事転用目的や共産党幹部向けで利用される事例が多かったようです。そして今、装いを新たにした対中ODA(環境ODA)が持ち上がってきました。

本日2008年7月6日付日経新聞(朝刊)は洞爺湖サミット議長国の日本に対する英国ファイナンシャル・タイムズ(FT)の日本批判「行方知れずのまま姿が見えないホスト国/日本。過去の議長国は、例えば英国アフリカ援助ドイツ地球温暖化と、それぞれ(地政学的な特徴からの)得意テーマがあったが、洞爺湖サミットの議長国である日本には得意テーマが欠けている。サミットに参加する首脳は、常に自国の地政学的展望を考え続けているが、日本(の首脳)は自国の地政学的展望に無思考だ。」を紹介していました。地政学的な国家観を欠いた日本首脳とマスメディアの平和ボケをよく言い当てています。国益世界益パッケージを示せない日本は、国際政治の中では存在感がないのです。だからこそ日本は、世界で最もGDPあたりCO2排出量少ないのに、なぜか日本だけ膨大なペナルティを払うことになりつつあります。
環境問題経済戦争の様相を示しています。戦後外交最大の失敗といわれる京都議定書では、日本だけが不公平な削減義務を負ってしまいました。当時の自民党幹事長今の福田首相ですから、明日7月7日からの洞爺湖サミットでも一抹の不安が拭えません。中部大学教授武田邦彦氏は、WILL8月号への寄稿(食糧難日本が北極グマの心配してる場合か)で「京都議定書に参加した155ヶ国のうち、CO2実質削減実現しているのは日本だけです。それなのに京都議定書では、世界中で一番CO2排出量が少ない日本カネを支払う立場においやられた。10兆円規模と半端ではありません。内訳は財務省試算で1兆4千億円、ODAで1兆円、それに産業や国民が支払う対策費です。・・・他国はすべて自国の現状に沿った主張をし、きちんと損をしないように(国際政治の現実の中で)環境問題進めているのです。・・・日本京都議定書調印時から(国際政治の現実の中で)世界の孤児となり、蚊帳の外にいてはめられたわけです。それは、環境省経産省が会議場でお互いを責め合うという醜態をさらしたほどの出来事だったのです。・・・EUにとって2012年までの8%削減など、1990年基準年を押し通したことで、楽々達成できる低い目標でした。これに対し米国京都議定書に中国と印度が入らない限り批准しない議会全会一致を受けて会議に参加した。京都議定書のCO2削減では、7%削減の米国と6%削減のカナダ達成不可能宣言して京都議定書から離脱した。そして取り残された日本だけ数兆円支払いを強制されることになった。京都議定書では、工業製品の平均エコ率削減量算出すべきだったと、専門家は皆言っています。クルマ1台が1キロメートル走った時のCO2排出量など製品のエコ率を元に削減率を計算すれば、日本は一銭も払う必要はなかったはずです。しかし京都議定書ではそういった主張そのものが一切行われていません。会議の場で主張をしていないのです。・・・そもそも温暖化でダメージを受けるのは北海沿岸の閉鎖領域にあるドイツなど大陸の国々であって、温帯の日本では、東京が台湾と同じ気候になるだけの話です。福田政権には、横断する問題をまとめる能力も力量もないのだそうです。食糧問題エネルギー問題環境問題軍事問題は、実は一つにつながっていることすら戦略に入らない。現在、国際的にはCO2削減よりも食糧問題の方が差し迫った問題です。ですから今の政府の勢いのまま洞爺湖サミットを開けば、国際的には笑い者です。こんな当たり前のことが日本の新聞でもテレビでも全く議論されず洞爺湖サミットでは地球温暖化対策が話し合われると報道されているのです。」と述べておられました。上述京都議定書日本だけ著しく不利な削減義務を負ってしまったことに関し、「1997年の京都議定書で、共同宣言採択に固執した日本政府の姿勢が、議長国ならば共同宣言を採択しない選択もあると考える米国人からすれば、当時の日本政府は明らかな本末転倒に映った」との小笠原泰氏の記述*1を07年8月の104で引用しました。国際社会では、採択しない選択肢もあると考えるのが普通ですが、京都議定書当時の日本政府は、手段である採択を目的にしていたようです。手段を目的化してしまいがちな日本的思考の弱点です。明日からの洞爺湖サミットで再び日本政府の外交交渉が京都議定書当時のような国益無視(というか売国交渉)であれば、生産財企業の多くにダメージを及ぼすことにもなりかねません。しかも福田政権になって対中ODA再開が言われ始めています。表向きは環境ODAと称しています。当然、隣国の中国共産党や、河野洋平衆議院議長中共利権関係者は出番とばかりにハッスルしているものと推察されます。中国共産党政府対日工作では主要なプロセスを構成している朝日新聞あるいはTBSNHKなどには、もっと国際政治の多面的な現実と日本国がおかれた地政学的な国益を事実に基づいて報道してもらいたいものです。NHK環境特集は、地政学的な足元の日本の現実よりも欧米の環境活動家が発信する環境プロパガンダに近い内容で編成されているように感じます。NHKチベット鉄道を紹介するキャンペーン放送では中共プロパガンダに沿って放送していましたが、NHKの報道姿勢の軸足は日本国民の国益よりも海外のプロパガンダを反映しがちで偏っているように感じます。尚、排出権取引に関し上述の武田邦彦氏は「排出権取引とは、現状固定型システムの単なる政治的な道具にすぎません。わかりやすく言えば、大きな事故で操業が半分になったとすると、二酸化炭素の排出量が半分になり、その権利を売ることができるというシステムです。つまり、今現在の排出量から算出して排出権を決めますから、産業が成熟しているヨーロッパ諸国が一番有利です。各国ともに自国の現状に沿って損をしないように主張しているのですから、日本も自国の技術力を武器にして打開策を訴えるべきです。」と述べておられます。
櫻井よしこ氏はSAPIO(2008.7.9)誌上で「1997年の京都議定書で、中国は世界で最も多くの排出権持つ国となった。かたや最も多くの排出権を買わなければならない立場にあるのが日本だ。世界の中で厳しい目標基準を課せられているのは日本ただ一国なのである。では、日本は環境を悪化させていると批判されるべき国なのかといえば、まったく逆だ。アル・ゴア米国元副大統領の[不都合な真実]は、日本世界GDP約10%を創出しながら、CO2排出量は世界の約3.8%にすぎないと指摘している。・・・・・福田康夫首相は、福田ビジョンとセクター別アプローチを発表。福田首相環境ODAを中国に供与しようとしている。中国にとって濡れ手に粟。まさに空から月餅が降ってくるようなものだ。技術と金を与える日本の方が使ってくださいと中国に頭を下げるこの仕組み明らかにおかしい日本の技術力正当に評価される枠組みを提案する。それは日本の国益にかなうと同時に、地球益にもかなうことも間違いない。地球温暖化をめぐる交渉は、経済戦争であり、国益をかけた外交戦争となっている。事実上の安全保障問題なのである。日本だけが国益を軽視し、他国とりわけ中国を利することに懸命になっているかに見えるのは理解に苦しむことだ。だが相手にいい顔を見せることしか考えない福田首相には期待すべくもない。」と述べておられました。
筆者/青草新吾は、CO2削減では太陽電池による太陽光発電システム、国内森林間伐間伐材活用・・など日本ならではの施策で国民の税金を使って欲しいと希望します。対中ODAは、お金を渡すことよりも、植林などのような人的ノウハウ人的活動の提供に重きをおいて欲しいと思います。そして日本企業の知的財産である省エネ技術ビジネスとして展開されるべきものであって環境ODAでカモフラージュして無償提供されるようなものではないはずです。捕鯨問題IWCでは反捕鯨国の非難と環境テロリストの目立ちたがりパフォーマンスは日本に集中しています。同様に地球温暖化に関するIPCCでも日本だけが狙い打ちされないよう日本政府はまずは国益地球益のパッケージを主張した上で外交交渉にあたってもらわねばなりません。今の日本国はGDP世界2位の豊かな国なので、利害が衝突する国際政治の現場では資金源として期待されやすい立場にあります。環境問題の美名の下で行われようとする国際政治への対応を誤れば、日本国民の国家財産が事実上は諸外国によって略奪されるような事態になりかねません。年金問題と同様に、国民財産の毀損問題でもあります。

*1:「日本的改革の探求」小笠原泰著 ISBN:4532310393