青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財営業でイノベーション共創と社会貢献を目指す。

134-1/2. パル判決書と東京裁判史観(戦勝国の勝手史観)

パル判決書を銘記していく上では、学者の事実と論証による真理探究への期待が高まります。但し北海道大学/中島岳志氏の著書のようにマスコミ受けするイデオロギー論争にすりかえた偽装本に近い政治本なども出回っていますから、惺々著と眩まされないようにせねばなりません。

中国共産党反日日本人歴史問題プロパガンダによって日本国民が払わされてきた多大なコストを軽減する有効策について、親日英国人のビル・エモット氏は「日米両政府パル判決書銘記すること」を提言しています。厄介なのは、日本のマスコミ業界大学日教組などに叢生(そうせい)する反日日本人によって日本全体が[嘘のジャングル]に覆われていることです。パル判決書を銘記するにはイデオロギー問題にされてしまった歴史問題を「事実と論証、学術的成果に基づく知的判断の問題」に引き戻す必要があります。「知的判断の問題」であれば議論によって知識増やし変化・修正を加えていくという知のスパイラル展開知的判断質的向上を実現できます。
パル判決書に関る本物は、主張や評価の根拠の示し方が学術的論理的です。「知の問題(事実と論理)」として学術的により確実に事実を伝えようとしています。知的判断作法に基づいています。反対にニセモノ(偽装本)は主張や評価の根拠曖昧だったりイデオロギー(良いか悪いか、信じる信じない)だったりします。中国共産党歴史プロパガンダ同じです。イデオロギー論戦とは、信仰の問題ですから、主張は一方通行で「相手に転向・改宗を迫るのみ」です。正確な知識を持たずに主張できます。双方向の議論成立しません。「議論が成立」するのは「論争当事者が知的判断の問題として論戦に参加」する場合のみです。・・・知的判断の問題を信仰の問題にすり替えイデオロギーの善悪判断に持ち込む学者もどき自称学者が大勢います。故山本七平氏は著書*1で「私/山本七平が前に対談した会田雄次(あいだゆうじ)氏は[信念の人、つまりそりゃアタマの空っぽな人間やね。学者にも運動家にも篤農家にもいるな、それは。そういう姿勢をとらにゃ、自分のカラッポがばれるからね。]といって笑われたが、これは知にかかわる知的判断が皆無の人間ということであろう。」と論述しておられます。
パル判決書に関し、北海道大学大学院准教授/中島岳*2小林よしのり氏を批判したことで論争がおきています。筆者/青草新吾は実際に両方を読み比べてみました。国際法や法学を多少なりとも学んだ者ならば「知的判断の問題に限れば、小林よしのり氏の方が知的作業の作法においてより学者的であり、逆に大学研究者のはずの中島岳志氏の方が作法において政治評論的」です。もし中島岳志氏の研究対象がパル判決書よりもパール判事の個人的な思想であったとしても、パール博士自身が英語で”Japan,Not Guilty”(日本無罪)と明確に述べた証拠も残っているようですから、中島岳志氏の論述は、実証主義の米国の大学であれば実証(事実に基づく論理的思考)のレベルが低すぎて相手にされないのではないでしょうか? 研究対象である[パール判事の意見書]を厳密に観察して記述するという実証作業が薄い反面で、思想面での「私はこう思う」ばかりが強く出ています。・・・・社会保険庁の問題の本質は、勝手に流用したり、改竄したりしたことであり、職業倫理の問題です。人文系の学者の中には知的判断の問題を事実に基づかない憶測や嘘で歪曲してしまう人が少なからず存在します。日本の人文系アカデミズムの問題については別の頁で記述します。・・・北海道大学大学院の中島岳志氏におかれては、個人的信条が右であれ左であれ、知の領域で貢献すべき学者として、世界で通用する実証を行う義務があります。
小林よしのり氏は著書「パール真論*3で「中島の著書無数の嘘をちりばめた偽装本であるにも拘らず、偽装を見抜かず、新聞の書評欄では、中島著書を斜め読みし、読んでもいないパール判決書やパールの言行録を読んだふりをして書評を書きデマを増幅させている不道徳な学者がいるという事態を看過できなかったし、中島が捏造したデマ[パールは憲法9条を支持していた]をNHKが流すに至ったことに危機感を覚えた。」と記述しています。また国際日本文化研究センター教授の牛村圭氏は正論2008年11月号で「研究者の著作には史料を扱う手法につき誰もが納得できるという意味での客観性がなければいけないと考えている。中島岳志著[パール判事-東京裁判批判と絶対平和主義]の一書に対し、その叙述に納得いかないと感じた論者が異論を提出してきた。私もその一人である。・・・一方で小林が展開した日本無罪論に関る議論は、日本無罪論を考察する重要な視角を示したと思われる。・・・私も他ならぬ小林の展開してきた議論を追いかけたことで、日本無罪論は副次的な議論であるという視角に辿り着いた。だからパル判決は全被告無罪論ではあるが、(小林よしのりへの異論ではあるが)日本国無罪論とまでは言っていないというのが私の考えである。副次的な問題である日本無罪論に関し、私は[読みの可能性]としての[パル判決=日本無罪論]までも否定はしない。パル判決=日本無罪論とすべきだ、との論に強く疑義を呈するのである。」と寄稿しておられました。東京裁判同様にアジア各地で開かれた軍事裁判に関し長浜浩明氏は著書[文系ウソ社会の研究]*4で「会田雄次氏の[アーロン収容所]を読むと英国人の悪辣さがよく判る。気に入らないと彼らは日本兵捕虜の口を開けさせ、便器代わりに小便をするなど序の口だった。だが世界にはもっと悪いやつがいた。中国人はチューブを咥えさせ、チベット人の胃に小便を流し込んでいた。彼らは復讐に燃え、東南アジア各地日本兵を裁く軍事法廷を開いた。検事も判事も戦勝国の人間だった。彼らは表向きの死刑だけでなく、陰湿卑劣な手段で多くの日本兵捕虜を殺害していたことも会田は書き残している。有罪とする証拠は殆どなかったが、欧米諸国降伏した日本兵1,068人を処刑することで復讐心を満足させたのだ。これは裁判の形をしたリンチであった。というのも朝鮮戦争の勃発と同時に死刑が廃止されたからである。身に覚えのない罪を着せられ、欧米の腹いせに処刑された日本兵は、日本とアジア、アフリカ独立の犠牲となったのである。」と伝えています。
パル判決書は、判決書に記載されている事実に基づいて議論されるべきです。生産財営業であれ、医者であれ、料理人であれ、凡そプロたる者は、個人の思想や信条に関係なく、いったん契約した以上は、契約内容を実現すべく日々努力しています。プロの業績プロとしての成果物で判断されます。真理探究で報酬を得る学者は[事実と論証]という学術的作法知的論争に挑むべきです。学者としての職業倫理からは、知的領域で影響力が大きな学者の立場悪用して、イデオロギー都合で事実を歪曲するなどの破廉恥行為は恥ずべき違反事項です。パル判決書(パール判事の意見書)の内容を銘記する上で、原典であるパル判決書そのものを上書きして書き換えようとしたり、パール判事の個人的思想を持ち出して解釈論で偏見と予断を与えてイデオロギーに誘導しようとするのは困りものです。
敗戦後の日本を支配したGHQ東京裁判史観を徹底宣伝しました。そのGHQの主流はニューディーラーとよばれるリベラル左派の集団だったようです。ニューディーラーはマッカーシー赤狩り1950年頃勢力を弱めるまで米国でも政権の中枢を押さえていたそうです。次頁では「敗戦後の日本で占領政策を実施したGHQメンバーとはニューディーラーとよばれるリベラル左派の学者・官僚たちだった。このルーズベルト体制ニューディーラーが構築した政治体制を打破するために始まったのがレーガン大統領に代表される米国の保守主義運動である。ルーズベルト史観を非難する立場をとる米国の保守主義者たちであれば、ルーズベルト史観そのものともいえる東京裁判史観見直し理解されやすい。・・・・米国でもニューディラーたちは教会を中心とした地域共同体家族解体し、道徳教育を否定した連中だった。保守主義とは家族地域共同体を強化することで自由と民主主義を守ろうとする運動である。社会主義的な官僚による支配に反対し小さな政府を希求する。」との江崎道朗氏の指摘と提言について記述します。

*1:「日本人と組織」山本七平著 ISBN:9784047100916

*2:「パール判事」中島岳志ISBN:9784560031667

*3:パール真論小林よしのり ISBN:9784093890595

*4:「文系ウソ社会の研究」長浜浩明著 ISBN:9784886563231