青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

136-2/2. 電子部品の内訳で回路部品のR(抵抗器)

回路部品のLCRでR(抵抗器)の生産は、普及品の海外生産拡大で国内生産の減少が続いてきましたが、電子機器のデジタル化とスパイラル展開で高付加価値製品の需要が拡大し、抵抗器の国内生産は05年をボトムに増加傾向に転じています。

固定抵抗器を軸にした製品戦略を展開するKOAの常務取締役/吉池勝彦常務は電波新聞2008年7月29日付で「当社の製品戦略は固定抵抗器が基本。0402サイズの超小型チップ低抵抗チップ耐サージチップ高耐圧チップアレイ精密級チップなど、固定抵抗器技術を進化させる。同時に固定抵抗器技術から派生した製品として、電流ヒューズサーミスタバリスタ、さらにはLTCCまで手掛けるようになってきた。」と進化について語っておられました。
受動部品の抵抗器に関し電波新聞2008年7月7日付は「抵抗器の国内生産額は、05年の12.3百億円をボトムに07年度実績13.6百億円。数量は2,595億個、内訳で可変抵抗器4.6百億円31億個。産業機器、自動車向けのセンサー需要が増加している。半固定抵抗器は光ピックアップのレーザーパワー調整用や薄型テレビなどの電源回路の調整用として伸びている。固定抵抗器8.9百億円2564億個。ネットワーク抵抗器の国内生産が拡大しているが、高密度実装化への対応として、携帯機器のデジタル信号回路での採用が進展しているものとみられる。一方で電源に使われる酸化金属皮膜抵抗器やリード付のカーボン皮膜抵抗器、巻線などのパワー抵抗器は海外生産の定着化で国内生産はマイナス。チップ抵抗器の需要増の内訳では、新製品では、電流検出用途に向けた低抵抗チップ抵抗器は、モーター回路や電源回路での採用の活発化しており、他にも長辺電極化によるハンダ接合信頼性の向上で熱衝撃に対して強い接合強度を持つに至った高電力チップ抵抗器、耐サージ特性に優れる耐サージチップ抵抗器、硫化発生による抵抗値断線を防ぐことができる耐硫化型チップ抵抗器など新製品の採用が進んでいる。チップ抵抗器では、国内生産は0603サイズ以下の超小型や低抵抗チップなど高付加価値製品の生産に特化し、海外生産では量的生産を強化して国際競争力を高めていこうとの考えが趨勢。カントリーリスクを考慮して、中国一辺倒の生産体制を見直す動きもみられ、ASEAN地域は海外生産の利点を引き出せるとの評価が高まっている。」と全体トレンドを解説していました。
薄膜抵抗器は、厚膜抵抗器よりも高精度な領域で使用され、京都の進工業が世界シェアの過半を獲得しています。進工業の商品開発では、電波新聞2003年7月4日付が「金属箔抵抗器に匹敵する超精密特性を金属皮膜(薄膜)で実現する技術を開発した。抵抗値許容量がこれまでの+-0.1%から最高で+-0.01%まで超精密化できた。センサーの搭載が活発化している自動車での採用に弾みがつくと期待している。」と発表していましたが、その後の2008年10月17日付では欧州販売について「進工業の欧州販売子会社は高精度・高信頼を特徴とする薄膜抵抗器で、自動車、産業機器での採用を大きく伸ばしている。欧州では一部通信インフラ向けに限られていたが、今は自動車や計測・試験機の分野で需要が拡大した。自動車ではエンジン周りやブレーキ周りなど最も高い信頼性、性能が要求される用途を開拓できた。」と紹介されていました。一方で追撃を受ける金属箔抵抗器では、アルファエレクトロニクスが2004年頃の電波新聞で「シャント抵抗器電源モーターにおける電流検出用として需要が増加。アルファエレクトロニクスは金属箔抵抗器でフェイスダウン型を半導体製造装置や医療機器などの精密機器分野に供給してきたが、昨年新たに車載分野をターゲットにラップアラウンド型を整列化した。抵抗値許容差が+-0.5%、抵抗温度差は+-25ppm、定格電力2Wとハイパワーを実現し、抵抗値は1-100ミリオームという低抵抗を実現した。最高使用電流は50Aに対応する。すでに車載分野での電流検出用途としての評価が始まっている。」と紹介していましたが、車載用途で需要開拓が進んでいるようで、2008年1月には金属プレート型シャント抵抗器の生産発売を開始しています。