青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

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137-2/2.電子部品の内訳で機能部品

電子部品統計の中の受動部品の内訳で機能部品の水晶デバイスに関し日系企業は世界シェア6-7割を獲得しています。

電子部品統計で一般電子部品の主要品目である受動部品とは、抵抗器コンデンサコイル・トランス機能部品4品目で構成されます。さらに機能部品とは、水晶振動子フィルター複合部品で構成されます。村田製作所高周波表面フィルタの事業展開に関し電産新報2008年10月27日付は「村田製作所は、富士フィルムから取得した仙台工場を、高周波デバイス生産担当会社の金沢村田製作所(石川県白山市)管轄下の仙台工場として運営することを明らかにした。仙台工場を高周波表面フィルタの量産工場とし、2010年までに1百億円を投資する。従業員も引き継いだ1.5百人から2011年には6百人までに増員する。村田製作所は、携帯電話の高周波表面フィルタで35%超のシェアを有し、震災等の災害時など事業継続計画(BCP)の点からも生産工場を分散させる必要があった、と説明している。」と、同じく村田製作所車載向けSAWデバイスについて「リモートキーレスエントリーシステム(RKE)やタイヤ空気圧監視システム(TPMS)では、弾性表面波(SAW)を利用した発信子のSAWレゾネータと、受信回路フロントエンド部にSAWフィルターが搭載される。地域に合せ300MHz帯、400MHz帯、及び800MHz帯で当社では、狭帯域フィルターには水晶基板を、広帯域フィルターにはLT基板を用い、低ロス、広域衰量を実現している。・・カーナビゲーションでは、GPSの受信感度確保のためにGPS用RFフィルターとしてSAWフィルターが、ETCでも、ETC受信部のIFフィルターとしてBGS波を用いたSAWデバイスを商品化している。」と寄稿していました。複合部品では、無線通信分野向けにバンドパスフィルタやカプラ高周波対応デバイス向けに、コイルやコンデンサ焼成積層技術などで一体化した複合部品の需要が拡大しているそうです。
95[マテリアル系の電子部品]で素材から電子部品までの一貫加工の事例で、フェライトの一貫加工でTDK、チタン酸バリウムの一貫加工で村田製作所を前述しましたが、水晶デバイスも同様に、人口水晶から素子の振動子を経てデバイスまでの一貫加工です。業界トップのエプソントヨコムに関し、野村進氏は著書「老舗企業大国ニッポン」*1で「2005年に東洋通信機とセイコーエプソンの水晶デバイス事業が統合されて誕生したエプソントヨコムは、米国の特許を使わず日本で最初に人口水晶を工業化し、水晶発信器世界標準的な回路を発明した老舗」と紹介していました。エプソントヨコムの常務取締役/林睦夫氏は電波新聞2008年7月3日付で「タイミングオプトセンシングという三つのバイス事業を拡大していく。情報通信デジタル家電に加え、事業展開が遅れていた自動車分野での拡販に注力していく。通信基地局の分野も強化していく。自動車と通信インフラの両分野への対応として、営業部門内にグローバルにカバーできる専属部署を新設した。」と述べておられました。また電波新聞2007年7月19日付ではエプソントヨコムの社長/宮澤要氏が「高安定のクォーツ(Q)微細加工技術のMEMSを組み合わせたQMEMSで、水晶のバイスを進める。タイミングデバイスは、音叉型水晶振動子では携帯電話向け世界シェア50%以上だが、パワーマネジメントのあらゆる局面で利用できるチャンスが広がっている。オプトデバイスは、水晶の材料技術が市場裾野を拡大していくことになる。ブルーレイの普及などで有機フィルムベースのオプトから水晶ベースのオプトへと、新しいアプリケーションの可能性が出てきた。センシングデバイスは、恐らくQMEMSを最大限に応用できる事業。MEMSはシリコンウエハーベースが一般的だが、水晶ウエハーを用いることで、高精度、高安定な新しいセンサーを見出すことが可能だ。」と述べておられました。
山梨県韮崎市リバーエレテック表面実装(SMD)向けで小型の水晶振動子と発振器の最先端分野に特化した事業展開を行っていますが、電波新聞2008年10月22日付は「リバーエレテックは従来品に比べ、容積で52%、実装面積で約60%に小型化(1.6x1.2x0.7mmサイズ)した水晶発振器を開発した。独自技術の電子ビーム封止工法を用いることで、高信頼性を確保している。周波数範囲は1-80メガHz、周波数安定度は+−20ppmから+-100ppmで選択可能。電源電圧は1.8-3.3V。40メガHz、3V動作時の消費電流は1mAと低消費電流を実現した。」と、また埼玉県川越市エス・エム・アイに関し電波新聞2008年3月7日付は「エス・エム・アイは、高温槽付き水晶発振器(OCXO)の新製品を発売した。月産数十万個体制で供給を行い、携帯電話基地局放送機器など通信機器用途での拡販を目指す。同製品は、水晶振動子の温度特性を利用して高温槽内の温度を一定に保つことで、非常に高い周波数安定度を実現した。汎用的な周波数は常備しており、ニーズに合わせた広域な周波数帯にも対応することができる。製品サイズによって安定度は異なるが、基本はプラスマイナスで0.01ppmから0.1ppmまでとなっている。携帯音楽プレーヤー、携帯電話、デジカメ、無線モジュールなど、小型化を追求する分野に適する。」と報道していました。
水晶デバイスSMD(表面実装デバイス)化率年々上昇していますが、電波新聞2008年7月22日付は「日本水晶デバイス工業会QIAJによると、2007年度における水晶デバイス生産量90.0億個の内訳でSMDタイプ66.5億個73.9%に達した。携帯電話、デジカメ、携帯音楽プレーヤーなどの携帯機器をはじめ、ブルートゥース無線LANといった近距離無線通信などの生産台数増大を背景に、SMDタイプの市場が拡大している。サイズ別には、が3.2X2.5ミリが21.4億個で最も多く、5X3.2ミリが8.2億個で続く。逆にSMD化率が低いのは、53%の音叉型水晶振動子、54.5%の水晶フィルター、58.4%のSAWデバイス。音叉型水晶振動子は筒型の搭載が多い時計用が含まれ、水晶フィルターは業務用無線向け、SAWデバイスは通信分野での使用が多いため。」と、また2007年度の国内水晶デバイス市場に関する日本水晶デバイス工業会(QIAJ)の報告を半導体産業新聞2007年11月14日付が「前年比7.8%増の28百億円、数量ベースでは前年度比17.5%増の96億個となる見込み。品種別にみると、産業用水晶振動子は携帯電話用のリファレンス、アプリケーション用途に需要が堅調で、金額で10.1%増の3.4百億円、数量で24.9%増の11.8億個、音叉型水晶振動子も携帯電話用途に加えて、デジタル機器への搭載が牽引役となり、金額で17.3%増の5.3百億円、数量で21.3%増の39.8億個、発振器分野は、産業用が金額で8.7%増の7.3百億円、数量で20.5%増の8.6億個、クロック用は搭載機器が増加傾向であるが、振動子化が進んだ影響で金額は7.5%減2.6百億円、数量は前年度並みの3.4億個。SMD化の流れは止まらず、全体数量におけるSMD率は72.2%。」と報道していました。
2008年度における水晶デバイスの生産数量に関し、日本水晶デバイス工業会(QIAJ)の予想を電波新聞2008年3月31日付は「08年度における水晶デバイスの生産数量が、前年度見込み比で15.5%増の111.2億個、金額で同5.8%増の29百億円。加々美QIAJ会長(エプソントヨコム会長)は、小型・高精度化が進み、日本の水晶デバイスメーカーがさらに強みを発揮できる、としている。品目別では、産業用水晶振動子は、携帯電話用リファレンス及びアプリケーション向けが、数量ベースで同20.9%増、ブルートゥースなどの近距離無線通信関連で同40%増を予想。産業用水晶発振器は、携帯電話のリファレンスとGPS用TCXO向けは同14.2%増、カーナビ、通信インフラなどその他向けが同40%増を見込む。音叉型水晶振動子は、携帯電話向けで同13.7%増、その他デジタル機器向けで同17%増、とみる。民生用水晶振動子は、デジカメ、薄型テレビ、PMP(ポータブルマルチプレヤー)向けで増加。自動車用は電子化の更なる進展で搭載点数が増加する。光デバイスは、コンパクトデジカメにおけるOLPFのガラスへの移行が完了し、一眼レフ用OLPFが増加すると予想。背景には、携帯電話機が前年比13.7%増の13.3億台に加えて薄型テレビ、携帯ゲーム機、ナビゲーションなども2ケタ成長すると見ている」と報道していました。日系企業の世界シェアについて電波新聞2007年1月8日付は「QIAJ(水晶デバイス工業会)の06年における金額ベースでの世界シェアは64.4%世界市場の規模が4075億円だったのに対し、QIAJの生産額2625億円だった。」と報道していました。

*1:「千年、働いてきました-老舗企業大国ニッポン」野村進著 ISBN:4047100765