青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

139-2/2. 電子部品とスーパーエンプラ

電子部品の小型・高密度化、低背化、鉛フリー対応の進展で景気波動の影響を受けながらも基調としてはスーパーエンプラの需要拡大の方向です。

樹脂製品のグレード(品質等級)は大雑把には、汎用品エンプラスーパーエンプラといった三階層で構成されますが、ハイエンドの電子部品需要の拡大で、スーパーエンプラの需要拡大が続きます。車載を含めた電子部品用で使われるスーパーエンプラは、主にLCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PFA(ポリフタルアミド)、ポリアミド(工業用ナイロン/PA46・PA6T・PA9Tなど)、最近ではPEEK樹脂などがあります。
スーパーエンプラを使ったフィルムで、電子基板FPCCOFで使用される電磁波シールドフィルムに関し日刊産業新聞2008年12月15日付は「タツタ電線の子会社で東大阪市タツタシステム・エレクトロニクスは、機能性フィルム、金や銅のボンディングワイヤ導電性ペーストなど複合的な導電性材料を製造販売している。携帯電話のFPC(フレキシブルプリント配線基板)で使用される電磁波防止用の世界市場では、銀ペーストで印刷した製品と同社の機能性フィルムシェア半々で分け合っている。機能性フィルムは金属膜、導電性接着層、柔軟性・耐摩耗性の2層の絶縁層で構成されている。2005年に発売開始したSF-PC5000は厚み22ミクロンPPSのフィルムを使用した従来品よりも薄くなっている。京都工場は、コーティング、スリット、無人搬送ラインなどの全工程を完全クリーン化、公称生産能力は大阪工場と同じ月間160千平方メートル。」と紹介していました。
スーパーエンプラを使った樹脂成型品に関し、PEEK(ポリエーテルエーテル・ケトン)は車載用でも需要が増加中ですが、PEEKの使用量では国内で1-2位といわれる豊田市日進工業に関し日経ものづくり2008年12月号は「2003年には、トヨタをはじめとする複数の自動車メーカーのブレーキ・モジュレータに採用された。横滑り防止システムモジュレータでギアポンプシーリングに使われた。プラスマイナスで10umの厳しい平面度が要求されたが、達成できた。PEEKの難点である極端に高い価格は、主要特許が切れた2007年以降、価格が下がった。PEEKの場合。金型温度180-200摂氏度にして成型しないと、本来の材料特性がでない。日進工業の強みは、量産時における材料の挙動を熟知していることである。変形の原因となる固まる際に生じる内部応力に対し、膨張と収縮の係数に応じて射出圧力や速度を制御できること。」と報道していました。
電波新聞2008年9月24日付は「携帯電話をはじめとする高性能電子機器の小型化・高集積化にともない、搭載されるコネクタソケットの小型化と形状の複雑化が進んでいる。加えて電子基板への表面実装ではハンダの鉛フリー化からのリフロー温度上昇で、耐熱性低ソリ性などの要求が厳しさを増している。コネクタ用LCPトップシェアリプラスチックスは、08年5月で富士工場LCPポリマー重合能力年産82百トン体制に増強。台湾のコンパウンド能力増強に加え、上海、香港、廣州(Guanzhou)、深圳(Shenzhen)、重慶(Chongqing)にサポート拠点を展開している。住友化学の電子部品材料事業部は、08年2月にはLCPスペシャルグレードの第一弾としてリフロー中も低ソリ性を維持できる新グレードを用意した。LCPニートレジンの生産能力は、現状7千トンから09年初頭には年産92百トンに増強するとともに、中国にコンパウンド設備を新設する。クラレは、耐熱性ポリアミド樹脂であるジェネスタの樹脂複合能力を年産11千トンに、原料モノマー(ノナンジアミン)の年産能力を倍増し、モノマー生産能力を年産7千トンに整えた。ジェネスタは同社が世界で初めて工業化したノナンジアミンを使用した新しいポリアミド樹脂(PA9T)で、耐熱性低吸収性、優れた摺動特性などを強みに、携帯電話PC薄型テレビなどのコネクタ用で実績を拡大している。英ビクトレックス社は、PEEK樹脂の年産能力を07年秋に年産42.5百トンへと倍増させた。PEEK樹脂は、耐熱性摺動特性機械的強度などの特性をバランス良く有し自動車エレクトロニクス一般工業医療機器などの分野で主に金属代替材料として採用されている。ダイセル・エボニックは、ポリアミド12系樹脂やPEEK樹脂などの高機能性樹脂を取り扱う。オランダの大手化学メーカーDSMは、主力の46ナイロンで民生や自動車向けで好調に拡大している。昨秋には高機能熱可塑性エンプラの新ポリマー(PA4T)を開発した。オランダでPA4Tのレジン工場を建設中で、09年後半からの稼働を予定。SABICイノベーティングプラスチックスジャパンは真岡工場に3億円を投じてエンプラの小口/カラー対応ラインを増設する。増設後は小口オーダー品のL/Tを7日に短縮することを目標とする。」と報道していました。
LCP(液晶ポリマ)LCPは、電子部品のコネクタスイッチ接続部品を中心にグローバル需要拡大が続いています。自動車のECUユニット向けなどでの需要増大から2010年/45千トンが見込まれていると前頁で記述しましたが、LCP以外の機能性樹脂に関し電波新聞2008年7月28日付は「PPS樹脂のフォートロンは自動車部品用途を中心に採用が拡大中、PBT樹脂のジュラネックスは環境対応型難燃タイプと難燃・良外観・低そりタイプを開発した。クラレは、耐熱性ポリアミド樹脂のジェネスタで、鹿島事業所で年産55百トンの重合設備を建設し、クラレ西条と合せて年産11千トンの重合能力が整い、原料モノマーのノナンジアミンの年産能力も7千トンに増強した。住友化学は、液晶ポリマーの旺盛な需要に対応するため、ニートレジン生産能力を現状の7千トンから09年初には92百トンに増強し、中国にコンパウンド設備を新設する。」と報道していました。