青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

146-1/3. インバータエアコン

エアコン産業は先進国では成熟産業と思われていた時期もありましたが、インバータ技術との新結合(イノベーション)によるスパイラル展開で新たな市場が拡大中です。

モーターの駆動をインバータ制御にすると、大幅な省エネを実現できます。インバータ制御とは回転制御を“周波数電圧で制御する”方式です。エアコンにインバータを搭載したインバータエアコンの登場で、エアコンの電力消費大幅削減が実現されました。一般的にインバータエアコンはノンインバータエアコンと比べ約30%消費電力削減によるCO2排出削減効果があるといわれます。エアコンのモーター駆動が、従来の“断続的な電源のオン・オフ制御”から“断続なく駆動させるインバータ制御”に進化したことで、木目細か冷暖房能力制御が可能となり、消費電力が低減されました。インバータエアコンの内部では、1百Vの交流電圧から2百V以上の直流電流をつくり、インバータで数十Hzから1百Hz程度の三相交流電圧を発生させ、この交流電圧でモーターを駆動しています。
電波新聞2008年7月8日/6月8日は「日本では既に出荷されるエアコンの100%がDCインバータ制御を採用したエアコン。エアコンインバータ化率は、日本は既に100%だが、世界市場では欧州20%を除くと、殆どノンインバータ(一定速)。インバータエアコンは、コンプレッサを空調負荷に応じて滑らかに可変速制御することで、無駄な運転を抑えて省エネ空調を実現する。海外のエアコンは大半が一定速タイプで、空調負荷にはオンオフでしか対応しない。エアコンのインバータ技術は日本が10年はリードしているといわれる。ダイキン工業インバータ・コンプレッサをはじめとするエアコン省エネ技術で先行しており、07年の世界のインバータエアコン14百万台の内、ダイキンは2.9百万台を販売し、世界のインバータエアコン市場でシェア21%を持つ。同社はグローバル空調市場約10兆円の中で、エアコン大国中国(インバータ化率7%)で、格力電器との協業ローエンド・インバータ機の開発を図り、12年度にはインバータエアコンの販売を5百万台にまで高める。」と報道していました。電波新聞2008年12月16日付では「ダイキン2010年度空調グローバルナンバーワンを目指す上で、インバータ技術ヒートポンプ技術など同社が持つ環境コア技術を武器とした省エネ商品の普及を柱としている。中期的にインバータルームエアコン市場シェア30-40%を目指す方針だ。“インバータ化率”は、日本では100%だが、欧州2-3割、日本の約3倍の需要規模がある中国10%北米・中米に至ってはほぼゼロで一定速のみ。中国では中国の空調トップである格力電器と2008年4月に提携した。同社が買収したOYL・マッケイダクト型・アプライド(大型空調)に同社のインバータ技術を導入し、インバータ化の加速を図る。インバータはもとよりヒートポンプ技術を活かした暖房・給湯分野への本格参入や、デシカント技術を活用した製品の展開も進める。」と報道していました。
エアコン世界需要は伸び続けています。日本電機工業会(JEMA)が発表した“白モノ家電7品目の世界需要調査”について電波新聞2009年3月31日付は「ルームエアコンの世界需要は、03年の45.3百万台が、07年には61.3百万台へと、2ケタ伸張。BRICsの伸びが大きい。07年61.3百万台の地域別内訳では、中国4割近く北米16%日本12%。」と報道していました。コベルコマテリアル銅管社長の大城英夫氏は日刊産業新聞2009年3月23日付で「2007年暦年家庭用・業務用エアコン合計需要74.9百万台。03年からの4年間年率8%増加した。地域別には、中国年率9%増で24.6百万台、北米4.6%増で15.9百万台、欧州が10.9%増で7.7百万台で、日本2.4%増で8.1百万台。足元は、タイ工場の受注が前年同期に比べ約4割減少しているが、いずれ景気が回復すれば、また忙しくなる。当社の強みはタイとマレーシアに現地工場を所有していること。とくにタイ工場は、最新鋭の一貫設備を備えており、近い将来、アジアを始め欧州、中東、ロシアなどにも銅管を供給する一大生産拠点になる。当社全体の利益の半分以上をタイ工場が稼ぐ時代が必ず来る。」と述べておられました。
エアコンを含めた熱機器という視点で新技術をみると、コンプレッサーを使わない沸騰冷却クーラーも商品化されています。デンソーデンソー時報(2008.October)では「密閉容器の中、自然対流の原理で冷媒を循環させるため、気化した冷媒が液化しやすいファンで送風すればよく、維持費などが安く抑えられます。基地局用の冷却ではエアコンに比べ電気代約1/10省電力。稼働部が少ないため簡単なメンテナンスで約20年継続使用できます。・・・デンソーは1997年3月に基地局用冷却装置の国内市場投入を開始しました。2007年3月に欧州向けで第1号を出荷し、以後世界中で採用されるようになりました。また1997年に商品化した素子冷却用PUC(パワーユニットクーラ)がエレベータなど産業インバータ用で需要が拡大しています。」と紹介していました。エアコン以外への家電製品へのインバータ搭載についてパナソニックは“インバータたて型洗濯機・洗濯乾燥機”を発表しています。パナソニックの社内分社でホームアプライアンス社・ランドリービジネスユニットの菊池一郎氏(ビジネスユニット長)は電波新聞2009年4月10日付で「本日4月10日から発売する“エコウォッシュシステム”搭載のインバータたて型洗濯機・洗濯乾燥機は、今夏から中国で、今秋からアジアでも発売する。今年度以降、ボリュームゾーンを含めた戦略を考えている。洗濯機でも環境性能を高めた製品のグローバル展開を推進する。」と抱負を述べておられました。