青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

149-2/2 環境利権と マネーゲーム

温暖化ガス排出削減に関し「世界最高の低炭素社会を実現した日本が目指すべきは、技術移転を通してエネルギー効率が悪い国の温暖化対策に直接に貢献することを目指し、無茶な目標で、途上国に生産や工場を移転させてしまうことではない」に賛同します。

WEDGE 2009年6月号の寄稿では「公正で実現可能な“05年比削減率4%”だ。」とあります。年末のコペンハーゲン会議(COP15)に向けて、日本政府中期目標が5月末に決定されるそうですが、日本だけに著しく不公平な目標設定により、製造業の国内生産と雇用の両方を海外流出へと押しやったり、ペナルティの排出権取引というマネーゲームで次世代に何十兆円もの国富流出付回すことにならぬよう、祈るばかりです。136[2008.7]で前述しましたが、戦後外交で最大の失敗ともいわれるCOP3の京都議定書では、GDPあたりで最もCO2排出量が少ない高効率の日本一国だけが、なぜか排出権取引という新種のマネーゲームまがいを通じて“数兆円の国民負担”を強いられてしまいました。中部工業大学教授の武田邦彦氏は「“ストップ温暖化”とは“ストップ台風”を叫ぶのと同じではないか?温暖化科学の問題だが、“排出削減目標の基準年”は政治の問題である。COP3の京都議定書では、基準年をEU1990年を採用したことで、EUは“排出の増加枠”を得ている。例えばドイツは、1990年東ドイツ西ドイツ統一され、旧東ドイツ石炭発電所を止めたので、形式的には削減ですが、実質的に増加になっています。」と著書*1で、科学を装って行われる政治ゲームの結果を解説してくれています。また環境省も省益を目指してからのことなのか、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書をわざと誤訳して、国内で発表したりしています。温暖化海水面上昇に関しIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書には「南極の氷も北極の氷も、ほとんど海水面上昇には関係がない」と英語で明記してあるのに、日本の環境省は「地球が温暖化すると極地の氷がとけて海水面が上がる」と環境白書に真逆の誤訳を記載していると、上述の武田邦彦氏が著書*2で紹介していました。環境大臣環境省は“環境利権”に迎合したり、省益追及に走ることもなく、粛々と科学的な根拠に基づいて“国益世界益両方”を追求して欲しいものです。
京都議定書が生み出した排出権取引”への疑義危惧に関し、COURRIE JAPON 2008年8月号は英国(UK)ニューサイエンティスト誌への寄稿「京都議定書はCO2に値段をつけることで、CO2削減が企業の利益になる仕組みを作ったといえる。銀行ブローカーが続々と現れて排出権市場のための金融インフラを整備しており、すでに大きな利益を手にしている人もいるという。英コンサルタント会社、カーボン・インターナショナルのトム・ホワイトハウスは“CO2こそ新しいコモディティであり新しい通貨なのです”と語る。」を掲載していました。以下引用します。「排出権取引で危惧されるのは、“環境版エンロン事件”もおきかねないことだろう。帳簿にはCO2の大規模な削減だけが残され、簿外にCO2の大規模な増加分が飛ばされかねないないからだ。・・・排出枠を課された企業が、CO2を排出する製造現場を排出枠(制限)のない開発途上国に移すといったようなことが起こりかねない。英国の鉄鋼の業界団体、UKスティールのイアン・ロジャース代表は2007年11月、“排出する場所変わるだけで、排出量そのもの減らない”と警告を発した。・・・京都議定書では、途上国で排出量削減の事業に投資をした先進国企業CER(認証排出削減量)が付与される。クリーン開発メカニズム(CDM)とは、つまり誰かが中国工場煙突から出るCO2やメタンなどの温室効果ガスの排出量を1トン減らすと、別の誰かが1トンのガスを欧州の工場の煙突から排出できるという仕組みだ。・・・はたして排出量取引は、排出される温室効果ガス本当に減らしているのだろうか?実際、排出量取引では温室効果ガスを削減できないと考える人も少なくない。・・・現時点では、国連の認証を受けたCDM事業3分の1以上水力発電ダムで、その大半中国にある。例えば、甘粛(Gansu)省の2003年着工の子狐山ダムでは、CDM事業に認証されたのは、着工後しばらくしてからのことだった。ここで生じた排出枠は、おそらく欧州の企業が買い取ることになるだろう。すると、本当は排出するのが許されなかったはずの約3百万トンのCO2が欧州で大気圏に吐き出されてしまうのではないか。ダム建設に反対するNGO、インターナショナル・リバースによると、CERを創出しているダムの多くは、排出量取引インセンティブとは無関係に建設されていたダムに後付CERが付保された可能性が高い。」以上引用、と論考していました。
堀場製作所で最高顧問の堀場雅夫氏は日経ビジネス2008年12月22日号で「私は、科学について妥協したくはない地球温暖化対策が“サブプライム問題同じでした”とならないことを祈るしかない。私はCO2排出量の削減に反対しているわけではない。要は優先順位の問題である。実は京都議定書が締結された当時の故・橋本龍太郎総理にも、ある委員会の席で“これには絶対に乗ったらあかん”と提言したこともある。食糧も資源も乏しい日本結局割を食うハメになるかもしれないのに、格好つけて自らイニシアティブを取ろうとしている。貧しくなるため一生懸命努力するなんてとんでもないと言いたい。CO2削減は万能ではない。それを進めれば世界で起こっているすべての問題が解決するわけではない。途方もない資金と能力を使うのなら、例えば今この瞬間にも次々と餓死している子供たちを救う方に、そのいくらかでも使うべきでないのか。これではまるで、100年先の宿題をするために、明日提出する宿題サボっているのと同じである。」と述べておられましたが、まったくの同感であります。
国内雇用維持を図るためには、国際競争力が高い製造業生産活動できるだけ国内に残していく努力をしていく必要があることを157で前述しました。大前研一氏の“製造業の海外流出に対し、素材・材料の分野こそ国内生産で日本の最後の砦になっている。まずはこれらの素材・材料の産業が日本から逃げ出さないよう考える必要があるだろう。”を紹介しました。自動車向けなど高級鋼材では日本鉄鋼製品メーカーが製品競争力(QCDS)で秀でていることは世界が認めています。その日本鉄鋼連盟ポスト京都議定書に向けての提言を5月22日に発表しています。日刊産業新聞2009年5月25日付は「日本鉄鋼連盟の環境・エネルギー政策委員会委員長の進藤孝生氏(新日本製鉄副社長)は、“京都議定書不平等だが、われわれは排出権を買ってでも約束を守ろうとしている。その上で新たな約束公平なものにしようと主張している。・・・斉藤環境大臣が2005年比4%減について、京都議定書より後退しており、世界の笑いものになる、と指摘しているが、京都議定書がそれだけ不完全だったということ。笑いものになるとの言い方は、交渉担当者としていかがなものか。笑いものになろうと、きちんと国益を主張すること行政の責任ではないか。”と述べた。」と、また鉄鋼連盟が発表した“地球温暖化対策の中期目標に対するパブリックコメント”には「既に世界トップクラスの低炭素社会を実現しているわが国では、米国やEUと比較して2020年までの削減余地は少なく、厳しい目標不合理に設定された場合には、その達成のために今後十数年にわたっておおきな負担が続き、経済雇用深刻な影響を及ぼすことになりかねない。・・・わが国の中期目標の策定は、米国中国インドなど主要排出国すべて参加大前提とされるべきである。日本政府には、今後とも毅然とした態度で国際交渉に臨んでいただきたい。その上で中期目標の策定に際しては“国際的公平性”“国民負担レベルの妥当性”“実現可能性”を確保することが不可欠である。・・・・政府が示した選択肢6案の中では、日本鉄鋼連盟が最も合理的と考える第1案2005年比4%減であっても、家計負担月当たり5-16千円増加する。失業者11-19万人増加する。GDPも累積で、マイナス0.5%からマイナス0.6%程度低下する。第2案も一定の合理性を有していると考えるが、現時点での米・EUの目標を前提とする限り、選択肢として成立しにくいものと理解している。第3案だと、一般家庭最大5百万円以上もの初期負担を必要とするものであり、限界削減費用米国EU2.1倍から5.3倍にもなる。わが国だけが突出した限界削減費用を負担することとなり、“国際的公平性”を著しく欠いたものとなる。第3案以上の負担を強いる第4案、第5案、第6案は、選択肢として到底認められるものではない。・・・ポスト京都の枠組みでは、国別の削減幅のみが評価されるのではなく、セクター別アプローチによる技術を軸にした具体的な削減活動が、地球温暖化対策への貢献として国際的に正しく評価され、これらの取り組みが加速するような仕組みが確立されるよう、国際交渉における日本政府強いリーダーシップに期待する。」との主張が表明されていますが、とても合理的な意見だと考えます。
NHKには科学番組などで優れた番組が多々あります。しかし、こと政治に係る環境問題と中国関連問題についてはとても偏った報道が目立ちます。中国共産党が神経を尖らす台湾やチベットなどの特集では、明らかに中国共産党プロパガンダを代弁するような極端に偏った報道が行われています。“環境や歴史について特定イデオロギーに偏った番組製作者”が巣食っているように見受けられます。料金を払い続けてきた一人としては、是正改善を期待しての抗議活動として受信料支払いを止めることができないか、考え出しています。次頁では、環境利権で誰が既得権益者なのか?環境利権について記述します。