青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

155-1/2. 高性能二次電池と部材

日本の製造業で、国内生産と雇用創出の最後の砦は“素材と部材”のマテリアル系生産財です。リチウムイオン電池の部材は日本企業が世界シェア8−9割を占めています。

最近のリチウムイオン電池の開発動向について、オートモティブエナジーサプライ社は電波新聞2009年7月1日付への寄稿で「オートモティブエナジーサプライの自動車用で大容量積層ラミネートマンガンリチウムイオン電池セル仕様は、ハイブリッド車(HEV)向けはパワー重視電気自動車(EV)はエネルギー重視の設計。ハイブリッド車は、時間は短いが大電流の充放電を頻繁に繰り返す使われ方をするが10年以上の寿命を持つように設計されている。ハイブリッド用セルの大きさは251x144x3mm、容量は3.7Ahである。電気自動車は、搭載される電池そのものが大きいため容量当たりの充放電電流はハイブリッドほど大きくはないが、外部からの急速充電ができる設計になっている。電気自動車セルの大きさは、261x216x7.5mmで、容量は30Ah。・・・これらのセルを直列または並列に接続してモジュールを作る。・・・
実際に自動車に搭載されるパックの構成は、複数のモジュールを接続し、スイッチヒューズセンサーコントロール回路などの電子部品を付加して自動車にそのまま搭載できるようにしたものである。・・・例えば、セルの平均電圧は3.6Vなので、80セルを接続すると総電圧288V90セルを接続すると総電圧345Vとなる。パックの形状は自動車に合わせて決められることが多く、モジュールを並べ替えることによってパックの形状を変更することができる。・・・ 」と説明してくれていました。
NECトーキン台湾電動バイク電動スクータ向けにリチウムイオン電池供給開始するそうです。半導体産業新聞2009年4月29日付は「NECトーキンは、ラミネート型リチウムイオン電池セルの状態で台湾TD社に供給し、台湾のTD社はこれを電池パックシステムにして販売する。二社が開発した48V/20Ahのリチウムイオンパックは、業界で初めて「台湾電動バイク助成金政策基準」の認証取得をできる通しとなった。」と報道していました。台湾の電動バイクに対し、大陸の中国でも電気自転車リチウムイオン電池を搭載する動きがあります。
大陸側の電気自転車に関し半導体産業新聞2009年5月20日付は「中国の自転車生産台数は年間1億台を超え、そのうち15百万台電気自転車とみられる。日本の電動アシスト自転車と異なり、完全に自走が可能なフル電動自転車だ。95%が鉛蓄電池で、Li電池の利用はまだ5%以下と少ない。」と報道していました。電池メーカーではBYD(比亜迪)が、リチウムイオン電池の生産に加えてハイブリッド車の生産にも乗り出しました。リーシェンバッテリー(天津力神電池股份有限公司)は、主に電気自転車などの電動車両向けのリチウムイオン電池の生産に乗り出すそうです。半導体産業新聞2009年4月29日付は「Li電池1981年ソニーが世界で始めて量産に成功し、三洋パナソニックが参入した。続いて韓国企業が参入。台湾メーカーはノートパソコンなどの円筒形Li電池のパック工程に特化する道を歩んだ。中国では深圳(Shenzhen)のBYD(比亜迪)と天津のリーシェン・バッテリー(力神電池)がノキアモトローラから認定を取得して供給を開始。トップ2社以外の大手は、年間1億台以上もの生産規模があるノーブランド携帯電話への供給を行っている。3位のBAK(比克電池)は携帯電話の交換予備バッテリーでは中国でシェア6割のトップメーカー。BYDは、自動車メーカーでもあり、2009年にハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)を発売開始する。BYD以外のメーカーは年間に15百万台も生産されている電気自転車を狙っている。」と、また同紙4月22日付は「リーシェンバッテリーは1997年、中国電子科技集団傘下の第18研究所(電池研究機関)の技術転用により設立された。携帯電話向け角型電池では、モトローラサムスンの認定を取得し、供給業者に指定されている。08年末の第4工場まで合計した生産能力200百万個。今度建設する第5工場の生産能力は50百万Ah。」と報道していました。
ハイブリッド車(ハイブリッドEV)と電気自動車(EV)の生産拡大で、エネルギーデバイス2次電池の進化も著しいものがありますが、鉛蓄電池のスパイラル展開で高性能電池が発表されました。日刊産業新聞2008年9月30日付は「古河電池は、米国のイーストペン社に対して、ハイブリッド車用のウルトラバッテリーに関するライセンス供与契約を締結したと発表した。ウルトラバッテリーは豪州連邦科学産業研究機構のCSIROで発明された製品で、鉛の負極板へのキャパシタ組み込み一体化することで、高い充電性能を実現しながら複雑な回路を不要とした。ニッケル水素電池と同等かそれ以上の寿命を有し、価格リサイクルの容易さにおいてはリチウムイオン電池より優れているとしている。」と報道していました。エネルギーデバイスではキャパシタ(コンデンサ)の進化も著しいものがあります。127で前述しましたが、リチウムイオンキャパシタについて電波新聞2008年10月2日付で「NECトーキンは、電気二重層コンデンサの約4倍(約20Wh/L)のエネルギー密度を持つリチウムイオンキャパシタ(スーパーキャパシタHL)を開発し、09年1月からサンプル出荷を開始する。新製品は、電気二重層コンデンサの原理を使いながら、負極リチウムイオンドーピングすることで飛躍的にエネルギー密度を向上させた蓄電デバイス。活性炭の技術とラミネートセル技術を駆使することで実現した。建設機械瞬間電圧低下補償装置などの高パワー(電流200Aで約6秒間の給電が可能)で長寿命を期待される用途に最適。風力・ソーラー発電などの用途への検討もさらに進んでいくと期待。」と報道していました。」