青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

161-1/2. 太陽電池による創エネ

今の太陽電池でも、全世界の砂漠の4%程度の面積で、全世界の1次エネルギー消費量を賄えるそうです。

日本政府太陽電池の導入促進政策で“2020年太陽光発電産業で雇用110千人を創出”し“日本の太陽電池世界シェアを現在の20%弱から33%へ高める”ことを目標としているそうですが、本稿では太陽電池を構成する中間財の部品と、中間財を構成する部材(マテリアル系生産財)を扱います。
太陽光発電技術研究組合・理事長で三洋電機・元社長桑野幸徳氏は「私の試算では、2010年の全世界の1次エネルギー消費量(原油換算で14億kl/年)を変換効率10%太陽電池で賄おうとすると必要な面積は全世界の砂漠の4%程度(筆者注:日本の国土の3倍強)」と、また太陽電池経済性について「太陽電池による発電システムを作るのに要したエネルギーを、太陽電池が発電するエネルギー量で割ったEPT(エネルギー回収年数)は、年間1百MW生産の場合で1.5-2.0年薄膜Si系で約1年。原理的には1枚の太陽電池から得られるエネルギーで複数の太陽電池が生産できる。・・私の試算では、3kWh太陽光発電システム価格を2百万円と仮定し、システム寿命20年とすれば電力価格は33円/kHhとなるが、寿命を30年にできれば22円/kWhグリッドパリティに到達できる。」と述べておられました。
太陽電池発電した直流をそのまま使う直流給電に関し、パナソニック電工・社長の畑中浩一氏は電波新聞2010年1月13日付で「創エネが本格化してくると、太陽光発電などによる直流の電流を効率よく使い分け配電する仕組みが必要になります。それが当社が開発推進しているAC/DCハイブリッド配線システムです。太陽光発電から供給される300Vぐらいの直流を48Vに変換するとLED照明器具パソコンなどに使えます。もともと直流で作動する機器でしたら交流を直流に変換する必要がありませんから、エネルギーロスも少なくなります。創エネ蓄エネ省エネの各機器をAC/DCハイブリッド配線システムでつなぐことにより、家庭内マイクログリッドシステムができあがります。 」と、また太陽光発電システム対応の既存住宅用分電盤に関し電波新聞2009年12月18日付は「パナソニック電工電路は、住宅用分電盤市場で金額シェア5割強を誇るが、住宅着工の減少で受注環境が厳しい中、太陽光発電システム向けの住宅用の分電盤が、太陽光発電システム市場の拡大ペースを上回る勢いで伸びている。同社によると09年上期は金額ベースで前年同期比1.5倍に拡大し、直近の11月では倍増した。 」と報道していました。パナソニック電工・専務で電材マーケティング本部・本部長の長榮周作氏は「住宅・施設内新しい配電網という考え方で貢献したいのが“AC/DCハイブリッド配線”システム。太陽光発電システムなどで創った直流交流商用電源併用する、家庭内で交流と直流を効率良く使用するためにはAC/DCハイブリッド配線システムというインフラが不可欠です。普及に向けた第1ステップとしてDC対応LED照明システムなど順次開発していきます。 」と述べておられました。
太陽電池蓄電池組み合わせて使うシステムに関し、Electric Journal 2009年9月号で「日本国の2009年度補正予算には、“スクール・ニューディール構想”で、公立小中学校12千校太陽光発電整備することが計上されている。エジソンパワー社は、このスクールニューディル構想に合わせた太陽光発電の設置に注力している。太陽電池パネルのソーラーシリコンテクノロジー(SST)と業務提携を結び、同社が扱うLiポリマー電池組み合わせシステム販売で、目標は1千校。」と紹介していました。また太陽電池モジュール高電圧化について「通常の結晶Si系モジュールの解放電圧は60-100Vが一般的だ。シャープは自社の薄膜Si太陽電池モジュールの高電圧化を図り、システム施工時の全並列接続を提案。2010年ごろまでに、モジュール単体解放電圧400V以上に高めようとしている。例えば一般的な60Vモジュールでは5直列化し、システムとしてはモジュールを並列化して容量を調節する。これが400Vモジュールとなれば、1直列で並列数を増やす構成になるため、単純にモジュール枚数だけを増やせばよいということになる。故障モジュール(系統)の特定が容易になる他、モジュールが影にかくれた場合のバイパス機能になる。電線数が増えるため施工上は利点ばかりでないが、高電圧化が与える利点が多い。日本ではPCS(パワーコンディショナー)の駆動電圧はDC750V以下なのに対し、欧州ではDC1000V対応となる。 」と報道していました。
創エネ・デバイス太陽電池弱点の一つ日陰です。これまで日陰があるため太陽電池を設置できなかった場所にも設置できるようになるそうです。ナショナルセミコンダクタ(NS)が開発したソーラーマジック(SolarMagic)に関し半導体産業新聞2009年7月22日付は「NSが開発したソーラーマジックを使うと、日陰があるため設置できなかった屋根にも太陽電池パネルを設置できるようになる。部分的な日陰による電力損失を瞬間最大54%強回復させた例もある。NSのアナログ技術パワーマネジメント技術を結集して同オプティマイザとSolarMagicブロッキングダイオードを製品化した。同オプティマイザ太陽電池パネル1枚につき1個設置するもので、単価は20-30千円。同製品向けICはスコットランドグリーノック工場で製造される。・・・NSが日本市場での販売を開始するにあたって、販売窓口は環境リフォーム事業を手掛けるウエストホールディングスのグループ企業であるハウスケアが担当し、月3百棟、ソーラーマジックの設置数で月18百台、年間売上高6億円を見込んでいる。 」
帝国データバンクの“太陽電池関連企業調査”を電子材料2009年6月号で紹介していましたが「日本国内のセル・モジュールメーカー27社、材料メーカー221社、部品含む製造装置メーカー310社。セル・モジュール生産拠点28拠点の内訳で近畿が9九州が9生産能力4.5GWの内訳で近畿が2.2九州が1.5、北陸・甲信越が0.7。部品・材料メーカー221社は、業種別には、半導体含む電機製造が54社、化学品製造が46社、鉄鋼・非鉄・鉱業が38社、機械製造が26社、建材・家具・窯業・土石製品製造が25社。」ということでした。