青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

162-1/2. 太陽光発電システムの主要構成

21世紀初頭の2001年から2009年にかけて太陽電池(PV)は一大産業分野に変貌しました。今一度、生産財営業の視点からデバイスと主要部材とを俯瞰してみます。

資源総合システム・社長の一木修氏はElectric Jpurnal[2010年3月号]で「過去10年間で、太陽光発電市場は、年間導入量が200MWレベルから30倍6GW(6,000MW)へと、累積導入量も700MWから29倍20GW(20,000MW)レベルへと拡大した。太陽電池製造では、企業数が30社から200社に増えた。導入促進施策補助金余剰電力購入が中心であったのが、フィードインタリフ(固定価格優遇買取)、税額控除RPS制度も生み出され、普及を加速する原動力となっている。技術面でも結晶SIアモルファスSi(a-Si)に加えて、CdTe型CIGS型など、Siを使わないタイプも登場し、材料が多様化している。産業群としても、原料メーカー部材メーカー装置メーカーシステムインテグレーターなどの関連産業も巻き込んで、幅の広い産業群へと変貌している。・・・世界市場規模は、近い将来に10GW/年に到達後は、急速に20GW/年に拡大し、50GW/年規模を目指す展開となる。 」とまとめてくれていました。昨年2009年度は、リーマンショックで世界景気が停滞する中で、太陽光発電システム分野では事業拡大や新規参入の発表が相次いだ年でした。昨年2009年度の元気印の発表を今一度レビユーすることで、システムで使われる主要機器やデバイスの全体が分かり易くなります。
太陽光発電システムの主要機器構成に関しElectric Journal 2009年6月号は「回路としては、太陽光発電モジュール(パネル)で発電された直流を、DC100-300Vでチョッパ回路(DC-DCコンバータ)で350-750Vに昇圧し、インバータ回路(IGBTかFETにFRD/Logic)の直行変換で交流200Vを出力するという流れ。機器としては接続箱、接続箱にはFRD(ファーストリカバリダイオード)が搭載される。接続箱以外ではPC(パワーコンディショナー以下パワコン)、電力メータなどがある。」と、また太陽電池(PV)で発電された直流(DC)を交流(AC)に変換するパワーコンディショナー(パワコン)については157で記述しましたが「標準的なパワコンは、主に5KW用10KW用の2種類に区分され、家庭用では通常は5KWのパワコンを採用。10KW以上の出力が必要な場合は、10KWを複数台組み合わせている。家庭用のパワコンでは、モジュール状態のパワーディスクリート製品が装着されており、モジュールの中にはIGBT5個(高圧用3個低圧用2個)とFRD(FRダイオード)、コントロール用のMCUなどが実装されている。」と説明していました。
電子部品統計では受動部品として集計されるコイル電圧変換DC/AC変換周波数コントロールで使われます。日経新聞2009年6月24日付は「プリント配線板材料の利昌工業は、コイルを主要な太陽電池・装置メーカーに幅広く供給しており、国内シェア6割の程度。兵庫県尼崎市の生産ラインは現在、月15千個生産し、ほぼフル稼働。既存の建物を利用し、コイルの製造装置を新設する。10年後半の稼働をめざす。また10年メドで栗東市の滋賀工場に専用生産ラインを新設し、既存工場と合せ、月産能力を現在の約2倍の30千個に引き上げる。投資額は2億円。」と報道していました。電子部品統計で接続部品に分類されるリレーに関し、太陽電池パワコン1台当り4個程度が使われるようです。同じく2009年6月頃の電波新聞は、京都企業のオムロンが近くDC/AC電流切り替え用途で新製品リレーを発表すること、タイコエレクトロニクスイーシーインバータ制御用高容量リレーで、接点間距離1.5ミリメートル以上を確保したAC遮断用リレーのPCFNソーラーを市場投入すること、富士通コンポーネントが海外向けで、接点ギャップ1.5ミリメートル以上の製品で、消費電力を約半分に実現した小型高容量品を市場投入し、併せマイクログリッド化への対応としてプリント基板型小型直流高電圧リレーを製品化したこと、等々を報道していました。またパワコンの安全遮断用として使われるパワーリレーに関し、パナソニック電工の制御機器本部スイッチングデバイス事業部、営業企画部長の京野聖司氏は電波新聞2009年5月19日付で「パナソニック電工は、太陽光発電システム向けには今年2-4月からパワーリレー新製品4機種を投入。一つ目がビル・オフイス向けのパワコン出力8-10kWコイル保持電圧は定格電圧の40%Vまで低減可能(周囲温度20摂氏度)、消費電力310mW相当(定格消費電力1920mW)、二つ目が住宅向けでパワコン出力5-7kWで、コイル保持電圧低減は35%Vまで、消費電力170W相当(定格消費電力1400mW)、三つ目がパワコン出力6-8kW、四つ目が住宅向けでパワコン出力1-4kW。業界トップの品揃えで臨む。」と述べておられました。太陽電池パワコンでは、上述のリレーに加えて、コンバータ回路やインバータ回路の中高圧コンデンサとして、アルミ電解コンデンサフィルムコンデンサが使用されます。太陽電池向けコンデンサルビコンに関し、電波新聞2009年6月2日付は「販売推進部の部長/ 林幸利氏は“コンシューマ向けを主力としてきたが、成長戦略として工作機械インバータ関連といった産業分野への取り組みを強化している。当社にとって太陽光発電はアルミ電解、フィルム、電気二重層のいずれもビジネスチャンス。電解コンデンサとともに事業拡大が期待できるのがフィルムコンデンサ高耐圧という特徴を生かし、エレベータなどとともに太陽光発電分野での拡販に注力していく。太陽光発電コンバータでは、800V定格/200uFクラスコンデンサが求めれれる。電気二重層キャパシタは充放電の繰り返し寿命が長く、しかも蓄電容量が大きいことから、回生エネルギーバックアップ蓄電としての採用が見込まれる。”」と述べておられました。パワコンの雷保護では、避雷電器でグローバルトップのPHENIX CONTACT社の展開に関し電波新聞2009年6月4日付は「太陽光発電システム用サージ保護機器に関し、独PHENIX CONTACT社は、08年に、最大1千VDCのシステムに対応する新製品を販売開始した。業界標準の仕様が従来の500Vから1000V耐電圧に引き上げられたことにいち早く対応し製品化したもの。また同社はパワコン用に大電流対応基板用端子台を販売しており、従来の125V対応に加え、今年から新たに125A対応コネクタも投入した。コネクタ化で脱着が容易となる。パワコン用の端子台・コネクタは、主回路のエネルギー伝達系に使用される大電流・高電圧対応品と、制御回路の信号系に使用される低電圧対応品の両方が使用されるため、“両方を提案することで顧客のトータルソリューションに対応していく”とマーケティング部長の加藤裕之氏は話す。」と報道していました。
太陽電池で発電された電力を一時的に貯蔵する蓄電型太陽光発電システムに関し、電波新聞2009年5月13日付は「ニチコンは04年12月に竣工した本社ビルに業界初の蓄電型太陽光発電システムを設置。自ら太陽光発電の蓄電実績を検証しながら太陽光発電システム用のコンデンサコンデンサ・モジュール、システムの開発、商品化、販売に取り組んでいる。ビルの使用電力の10%を賄っている。取締役技師長の古矢勝彦氏は“当社の最新の電気二十層コンデンサを使えば、今の1/3の大きさの蓄積盤で8MJを蓄積できる。太陽光発電システムを同社重点分野のインバータ用途での成長分野と位置付けている。”という。天候などに左右されずに10kWの太陽電池の発電エネルギーをAC200V系統に供給する同社のエネルギー蓄積盤には8MJのエネルギーを蓄積でき、電気二重層コンデンサ(製品名:EVerCAP)の2.5V4千Fの220直列を3並列で構成したコンデンサユニットを採用している。太陽電池の発電エネルギーをAC200V3相系統に供給するパワーコンディショナー盤、及びそのパワーコンディショナー盤や蓄積盤に発電エネルギーを供給するコンバータ盤にはブロック形とねじ端子形のアルミ電解コンデンサを供給している。」と報道していました。蓄電デバイス電気二重層キャパシタ向け電極シートのメーカーでエア・ウォーター巴川製紙所の合弁企業、ATエレクトロードの社長で、エア・ウォーターのベルパール事業部長も兼ねる茨木眞吾氏は半導体産業新聞2009年5月20日付で「電気二重層キャパシタ市場は、微弱な電力を貯められるので太陽電池の蓄電デバイスに適している。急速充放電に優れているので、自動車のブレーキ時のエネルギー再利用にも適している。主用途と見込む太陽電池が普及することで12年頃までに市場が拡大してくると予測している。同時に普及してくるリチウムイオン電池とは、蓄電にすぐれたリチウムイオン電池充放電に優れたキャパシタという棲み分けができるだろう。ATエレクトロードは、エア・ウォーターカーボン焼成制御技術巴川製紙所塗工技術で、電極材導電材などをスラリー化させてアルミなど特殊箔に塗工した電極シートの製造を行う。事業目標として12年度数十億円程度の売上目標を掲げている。」と抱負を表明しておられました。
太陽光発電の需要拡大で配線ユニット(接続部品)の需要も拡大途上です。電波新聞が2009年3月頃に特集を組んでいましたが、全体動向については「太陽電池モジュール間接続が、設置工事作業性を高めるために、最近ではネジ止めからコネクタ接続方式への置き換えが進みつつある。数年後には世界需要1百億円程度に達するとの試算もある。太陽電池パネルの電極ピッチや仕様はメーカーごとに異なるため、顧客仕様に合わせたカスタム設計が求められる。コネクタ各社はジャンクションボックス電源ケーブルコネクタセット供給を推進しており、電線メーカーとのタイアップも進んでいる。」と、また個別メーカーの動きについて2009年4月21日付で「太陽光発電(PV)配線ユニットメーカー各社の増産対応が進んでいる。日系太陽電池パネル市場で約半分のシェアを持つオーナンバは、試作、開発、一部量産を大阪府和泉市寺田工場に集約し、ベトナム工場の月産能力を09年上期で倍増の月産500千個にする。中国国内向け供給拠点の中国・昆山工場は月産50千個、チェコ工場も増強し、PVユニットグローバル生産を寺田工場の月産300千個と合せた月産能力1百万個にする。現在の販売比率日系メーカー7割海外メーカー3割。欧米の太陽電池モジュール用コネクタ&ジャンクションボックス(JB)市場で3割以上のシェアを持つタイコ エレクトロニクス アンプ(TE)は、太陽電池モジュールコネクタとともにPVユニットも手掛け、欧米で高いシェアを持つ。山一電機も、太陽電池モジュール用コネクタとともにPVユニットを製品展開し、太陽電池関連売上高は11年度には年間30億円規模まで拡大する計画だ。木谷電器は、中国・東莞で月産50千個、スロバキアで30千個のPBユニットの生産体制を整えた。家電製品の電源コード用圧着端子、TV用RGB用端子台、HDD用などのFPC補強板で培ったプレス、成型のコア技術を生かしたPVユニットの同社売上高比率は09年度には4-5割に高まる予定。」と報道していました。リーマンショック以降の世界同時不況の沈滞ムードが蔓延していた2009年の前半は、これら太陽電池の周辺機器の活発な動きが明るい話題を提供してくれていました。