青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

164.伝統を基盤に創造を続けるのが真正の保守主義 /利権保守との違い

日本の明るい未来を再構築するためには、日本企業に蓄積されている競争力や人材力を活かすこと、伝統創造並びに家族と地域などの共同体に価値をおく保守主義がとても有効であると青草新吾は考えています。

退陣した鳩山政権のように“根拠を欠いた、無いものねだりの願望”ではなく、今あるものをベースに現実検討しないと、何事も実現しません。ドラッカーの名言の中で筆者/青草新吾が好きなのは“既に起こった未来”です。“既に起こった未来”は体系的に見つけることができます。
地域共同体地方の再生について、ローソン社長新浪剛史氏は日経新聞2009年8月3日付で「日本人はもともと、自然の中で周囲の人と助け合いながら生きるのが好きなのです。私は横浜出身ですが、昔は都会でも隣近所でおすそ分けし合う交流がありました。しかし、今はほとんどない。特に東京は仕事で忙しすぎて心が癒されない。東京暮らしでは、新たな発想生まれません。・・・地方に人を戻すためには便利でなければ難しい。夜も路面電車が走るコンパクトシティです。そして周辺部は田園にして農業をやり、地方大学文化講座に力を入れる。こうすれば行政コストは下がり、東京よりも質の高い生活地方でできるようになります。自然が豊かな地方自らの存立基盤を確立してこそ、グローバルな社会で生きていけるのです。国がやるとどうしても標準化、画一化してしまうから、コンパクトシティ地方が自発的に取り組むべきです。」と述べておられましたが同感です。
共同体ということでは、日経新聞2009年7月26日付で「出生率が全国で最も高かったのは、奄美群島徳之島にある鹿児島県伊仙町2.42、2位の天城町2.18、3位の徳之島町2.18。鹿児島県は、出生率が高い背景の調査結果として、主な要因として3点を列挙した。まず地域全体の価値観だ。奄美群島では“子は宝”との考え方が強く、理想的なこどもの人数を4人以上とみる住民が多い。次に共助の仕組みである。親族や地域の人々による支援網が充実しており、民生委員の活動も盛んだ。3点目は、保育所幼稚園の数が多く、サービスを利用しやすい、という。」と報道されていましたが納得できる内容です。共同体の絆がなくなり、共通の規範が失われたといわれる現代について、社会学者で首都大学東京教授の宮台真司氏は「人間が新しいことに挑戦したり、リスクを取って試行錯誤したりできるのは、ホームベースがあるから。支えになる人間関係があってこそ。・・・現代日本社会の特徴は、“分断の激しさ”。世代間のギャップだけでなく、同じ年代でも趣味の違いで、バラバラの島宇宙に閉じこもってコミュニケーションが広がらない。孤独では志もなえるし、袋小路に入る。 」と述べておられましたが、この見方には賛同します。
保守主義とは、歴史や伝統の連続性共同体の相互扶助を重視した概念です。保守では創造革新を必要とします。時代に応じた創造が繰り返されることで伝統は維持されて保守ができます。京都の工芸品の多くは、時代に合わせて保守点検を行い時代に合わせて創造されてきたから今日まで持続して維持されています。国家も同じです。現存する国家の中で、外交史の上から確認できる国家としては、日本は世界最古の持続性を持った国家です。筆者/青草新吾が住む高槻市今城塚古墳は6世紀の継体天皇(507-531)の御陵といわれています。日本史はこのあたりから遺構と物証が残っています。隋書倭国には「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。」と倭国(日本)からの遣隋使が隋の煬帝国書を携えてきたと記録に残っているそうですから、このころには日本という国家存在していたことが史実として解ります。“京都の千年都”など悠久の日本国の歴史、つまり連綿と続く国家の歴史を持つ日本では、支那や欧州の大陸で繰り返された“前体制を破壊するために虐殺を伴う革命”よりも、虐殺や粛清を伴わない、文化や伝統の破壊を伴わない維新の方が向いていますし、維新で難題を乗り越えてきた歴史は誇れるものではないでしょうか。
世界最古の共和国といわれるミニ国家のサンマリノ共和国が文献に出てくるのは951年らしいので、文献や記録で外交実績を確認できる国家として、日本は世界最古です。尚、歴史的にも日本語表現としても誤りなのが、よく言われる“中国4千年の悠久の歴史という作り話”です。152[2009.2]に前述しましたが、支那大陸には様々な王朝が出現し、過去1千年の歴史の半分は、チベット吐蕃(トゥボ) が大部分を支配したり、モンゴル帝国の一部であったり、満州族清王朝であったりで、漢民族孫文中華民国を建国したのは1912年ですから、中国の歴史は1百年です。支那大陸に中国(中華民国)という国が登場してからまだ1百年です。それまでの王朝今の中国との連続性はありません支那大陸中国共産党が支配するようになると、133[2008.5]と134[2008.6]で前述しましたように、チベット王国ウイグル共和国に侵攻し、印度(インド)、越国(ベトナム)、ソ連などと武力紛争を繰り返して今日に至ります。尚、英語のチャイナは、欧州の蘭語や葡語シーナスペイン語ではチナサンスクリット語ではチーナですし、日清戦争は英語では“The Sino-Japanese War”ですから、発音重視の立場からは、日本語では支那の方が妥当性が高いような気がします。
欧米の保守主義は、急進的で血なまぐさかった仏革命への反発と、西欧近代の傲慢さへの反発から生まれました。パーク保守主義は「維持せんがために改革する」を標榜しています。西欧近代の傲慢さに対しては「人間の智力などとてつもなく浅薄で、殆ど無知に近い。だから人間が文明社会を設計しようとするのは間違っている。人間社会や文明社会の政治制度は、自然科学や科学技術とは異なる漸進的に注意深く進まなければ、自由は破壊され、暗黒の全体主義に転落する可能性が高い。」と考えます。
米国の保守主義については144[2008.10]で前述しましたが、米国について、日本のメディア大学は米国のリベラルな側面ばかりを伝えてきました。多様な民主主義国家の米国では、大きくは保守主義リベラルの大きな二つの流れがあります。敗戦後の日本を一時的に統治したGHQには、過激すぎて米国本土でも相手にされないような方々が新天地を求めて流れ込んできていたようです。143[2008.10]で前述したように、これらニューディーラーと呼ばれるリベラル左派は、米国では地域共同体や家族の解体の促進に回った人達で、これらニューディーラーに対抗して立ち上がったのが保守主義運動の方々でした。
日本の保守主義は言葉の定義から入る必要があります。なぜならば保守革新左翼右翼という言葉ががごちゃごちゃに使われているので、とても分り難くなっていますが、保守の対抗概念リベラルで、左翼の対抗概念右翼です。直行座標四象限グラフにすると分かり易くなります。横軸左端に極左全体主義右端に極右全体主義縦軸上に保守主義(自由尊重)、縦軸の下にリベラル(自由尊重)を置いてみます。保守主義とは“家族の自由共同体の自由”を尊重し、家族や共同体の相互扶助を重視し、全体主義に向かいやすい大きな政府に反対します。反対にリベラルとは“個人の自由”を尊重しますから、家族や共同体からもできるだけ独立しようと大きな政府を期待します。この米国のリベラルの中でも急進派が、敗戦後の日本を一時的に統治したGHQになだれ込んだようです。
日本を壊し続けてきたのは、明治維新以降、特に日露戦争以降に蔓延った学校秀才偏重官僚主義、特に軍官僚敗戦後は、日本弱体化を推進したGHQ、米国でも過激すぎて相手にされず日本のGHQになだれ込んで思いの実現を図った米国リベラル急進派メンバー、これらの米国リベラル急進派を利用して勢力伸張を図った売国反日日本人、より端的には、大学からマスコミ日教組になだれ込み、あるいは大学に残って活動を続けた進歩派やら文化人と称する左翼主義者、自民党を内部から腐敗させた利権政治屋試験上手なだけで志を欠いた事なかれ主義とお手盛りばかりでやるべきことをしない不作為高級官僚外部からの影響としては中国共産党の対日工作・・・・等々です。マスメディアということでは、かっては朝日新聞最近ではNHK偏向・捏造報道が際立っています。捏造報道を真に受けた日本国民の判断を誤らせることで、結果的に日本に対する破壊活動を続けています。これらのマスメディアに紛れ込んでいる反日日本人に共通するのは自虐史観ですから、日本の歴史フェアに伝えようとしません
浅羽通明氏は著書*1で「国内の不幸には限界があると悟った新左翼は、アジアへ目をむけ大東亜戦争の被害者や日本の高度成長を支えた資源輸出国たる貧困層の実情を突きつけて、日本国民へ、自分たちの豊かさについての自己批判道徳的反省を迫る途を選びます。いわゆる自虐史観贖罪外交一起源ですね。でも新左翼たち当人が、どう考えても豊かな先進国の若者だからこそ、こうした理屈をこね正義に燃えているのが見え見えでは、どうにも説得力に欠けます。」と述べておられますが同感です。、戦後の日教組教育朝日新聞NHK偏向報道で、私たちの知見も偏りがちです。日本の歴史の功罪フェアに見直していくためには自助努力が求められます。例えば、日本は、世界で初めて人種平等を国際会議で求めた国です。第一次世界大戦後の1919(大正8)のパリ講和会議で、日本は国際連盟規約の中で「人種平等の原則」を定めることを強く主張し、欧米の人種差別に堂々と反対しました。即座に反対したのが民族自決の理想主義者だった米国のウイルソン大統領だったといいます。つまり民族自決といっても白人だけで、有色人種などは最初から枠外だったのです。英仏露も反対で、植民地を持つ列強すべてが反対しました。90年前そのような世界だったのです。2年前の1917年には英国のバルフォア宣言に「日本政府ユダヤ人が自分の国家をパレスチナに建設しようとするシオニストの願望を支持し、その要求が実現することを望む」との書簡を発表*2しているそうです。朝日新聞NHKに紛れ込んでいる極左活動家の面々は、ニセ証言捏造までして歴史問題国際的な政治問題にしてしまったこと、そのことが原因で、事実を確認できないままで日本国は大きな血税の出費まで負担していること、145と146[2008.11]で前述の通りです。家族や地域の共同体が薄まり、個人がばらばらになってしまえば、どうしてもNHKなどに巣食う活動家が垂れ流す偏向・捏造報道を真に受けやすくなってしまいます。反日日本人の日本弱体化活動への抵抗力を高めていくためにも家族や地域の共同体の再生と、そのための共有する価値観として保守主義が有効であると考えます。
保守主義とは、人間の精神や文明社会の政治制度科学や技術と同列に扱うことに反対し、何でも改革(破壊)すれば必ず社会は良くなると考える進歩主義や未来主義に反対する概念です。また西欧近代の進歩主義史観行き詰まりを見せています。西欧近代とは、17世紀のデカルトの合理主義(理性を用いた真理探究)と、英国で始まったとされる啓蒙主義(デカルトの方法論で社会を分析し理想社会を描く)であり、ルソーの民主主義論(共和主義と人民主権)に代表される“進歩主義”が支配してきた社会です。デカルトによって科学技術がブレイクスルーしたのですが、人間の文明社会の政治制度は、科学技術と同列に論じるのは無理があります。マルクス主義のような階級史観で歴史や社会を善悪二分論で割り切ることには無茶があります。日本だけを悪者にする歴史観や地球環境問題の報道にも無茶があります。
対して日本とは川の流れに例えると、縄文文明古神道を水源とし、支流からは仏教儒教が流れ込んできて「東洋精神文明」を発達させた国と地域であり、文明としても、特に明治以降は貪欲に西洋の物質文明和魂洋才で吸収を続けてきたことで精神文明物質文明が融合してきた国であり地域です。
筆者/青草新吾と同じスタンスをお持ちの御仁の寄稿を見つけました。
[  http://21-civilization.com/senryaku/senryaku5.html  ]
この点では“進化”における“自然選択”の概念と重なります。進化とは子供を多く残す固体の遺伝子が増えていくことによってもたらされる“自然選択の結果”ですから、進化というのは保守的な概念です。保守主義とは“進化”の概念と重なるとともに、人間を全知全能の如く自然に超越する存在であるかのように扱う進歩主義史観とは対極の概念です。自然選択について、分かり易く説明してくれている投稿がありました。
[ http://www.fides.dti.ne.jp/~fuyamak/evolution.html ]

*1:「右翼と左翼」浅羽通明ISBN:434498000X

*2:「続 文系ウソ社会の研究」長浜浩明著 ISBN:9784886563231