青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

173. 鉄道機器向けサプライチェーン

2016年に約20兆円が見込まれる鉄道インフラ向けの鉄道機器につながる部材(マテリアル系生産財)の需要増が続きます。環境と省エネへの気運の高まりから脱自動車化促進政策としての鉄道輸送や新交通システムへの期待が高まる一方です。

筆者/青草新吾は今月は、定期訪問の泰国のバンコク(曼谷)に加えて、越南国のハノイ(河内)も回ってきました。ハノイは今年が“建都1千年”の年にあたるそうです。ハノイは漢字では河内と書きますが、文字通り、ホン川(紅河)のデルタ地帯(河で挟まれた内側の土地)で発達してきた都市です。紀元前に支那漢王朝に征服されて以降、興亡した支那の各王朝による支配1千年の間にも、独立の戦いが続き最後に独立を実現していますから、ベトナム人はかなり強いアイデンティティを受け継いできているようです。ダイヤモンド社のガイドブック「地球の歩き方*1によると、支那唐王朝が滅亡してからは、廣州(Guanzhou)に起こった南漢の支配に移行したものの、勢力バランスが大きく崩れたことや、938年にベトナム人の地方勢力のゴークエン(呉権)が、紅河デルタの入り口のバクダン江南漢の軍を破ったことなどから、支那から独立しています。その後、今から1千年前のハノイ(河内)近隣で勢力を伸ばしていた李王朝が、1010年に今のハノイ(河内)にあたる当時のタンロン(昇龍)を都と定め、国号を大越と定めたそうです。13世紀には、140[2008.8]で前述した史上最大の世界帝国として当時の世界人口の半分を支配したモンゴル帝国(今のモンゴル人・カザフ人・コサック人などが建国した大元大モンゴル国とキプチャクハン国などの4王国)の中心の大元大モンゴル国の侵攻をゲリラ戦で撃退しています。しかしながらアジア大陸連邦の超大国だった大元との戦いで国力の消耗が進み、15世紀になると、支那で興った明王朝が火事場泥棒のように“混乱に乗じて侵攻”し、再び1417年から支那の支配が始まりますが、早くも13年後には支那の勢力を追い出して1428年には再び独立を取り戻しています。・・・・ハノイ近効でみた鉄道は狭軌、たまにしか走らない鉄道のように見えました。その越南国で、ハノイから南のホーチミンまで高速鉄道を建設しようとする政府の計画があるそうです。・・・・泰国の曼谷(バンコク)では、スワンプーム空港から曼谷都内にまで高架鉄道エアポートレイルリンクが開通し、列車が頻繁に走っていました。この泰国でも、複数の鉄道建設計画が発表されています。
鉄道は、省エネ二酸化炭素排出削減に直結する輸送手段です。一人当たりエネルギー消費量でみると、鉄道は飛行機の4分の1自動車の6分の1炭酸ガス排出量では、自動車の10分の1といわれます。エコノミスト2010.1.12によると「欧州鉄道産業連盟(UNIFE)によると、世界の鉄道インフラ市場規模は、05-07年の平均で12.3百億ユーロ(約16兆円)だったが、16年には15.4(約20兆円)に拡大する。世界の鉄道車両メーカーは、仏のアルストム、独のシーメンス、加のボンバルディア鉄道ビッグスリー3社と、日本5社(川崎重工業日立製作所日本車両近畿車輛東急車輛)。世界シェアでみると、鉄道ビッグスリーが56%を占め、日本勢5社9%に過ぎないが、高速鉄道に限ると、日本勢32%となり、アルストムの23%を上回る。日本の鉄道車両輸出は戦後賠償から始まったが、今では車両輸出にとどまらず、信号保安装置軌道などシステム一体の輸出にまで広がり始めた。21世紀となり、再び鉄道の時代がやってきた。鉄道王国ニッポンが蓄積してきた技術を、世界で活かすときがやってきた。 」と報道していました。
21世紀はアジアの時代といわれますが、アジア各地で時速200km以上で走る高速鉄道の計画が目白押しです。大きくは日本発の新幹線方式と仏国発のTGV方式に大別できますが、2004年に韓国がTGV方式でソウル・プサン間、2007年に台湾が新幹線方式台北(Taipei)・高雄(Kaohsiung)間、中国は両方の方式を採用して北京(Beijing)と天津(Tianjin)間を開通させています。2020年までの計画としては、中国総延長16,000km南北4路線東西4路線インドでも6路線、泰国越南国などで壮大な計画が発表されています。ソウル・プサン間4百km2兆円台北(Taipei)・高雄(Kaohsiung)間345km1.8兆円といわれていますし、越国のハノイホーチミン間16百kmだと5兆円、泰国の曼谷起点4路線2千kmと尼国のジャカルタ・スラバヤ間7百km各々2兆円以上と試算されているそうです。巨額の初期投資を長期に亘って利用者から回収していく事業採算性の現実検討からは、実現が難しい計画もありそうです。高速鉄道の事業としては、数百km間隔人口1百万人規模以上の大都市連なりがないと難しいようです。
鉄道車両・部品に関し、住友金属の事業展開について鉄鋼新聞2010年11月15日付は「世界で走行中の高速鉄道で使用される車輪で、住金推定シェア3割を占める世界首位。北米、伯国(ブラジル)、越南(ベトナム)、印度などの高速鉄道展開では日本連合に参画し、拡販に注力している。国内出荷鉄道車両部品・装置のシェアは、鉄道用車輪・車軸鍛鋼ブレーキディスク100%連結器8割駆動装置6割台車では公営・私鉄向けで6割強。製鋼所の鉄道用鍛鋼車輪の年産能力は240千枚で、10年度見通しは国内90千枚、輸出90千枚。 」と、また日経ものづくり2009年10月号では車輪について「2009年6月にドイツ鉄道高速鉄道のICE(Inter City Express)用に、住友金属工業から車輪の供給を受けることを決めた」事例を紹介するとともに「日本が国外で貢献できる点は多い。提供できる技術をきちんと整理して、説明していくことがますます重要になってきそうだ。」と、また日本の鉄道車両メーカーや鉄道用機器メーカーの独自技術について「海外からは、確かに車両の受注も多いのだが、鉄道用部品でも大量受注が相次いでいるのだ。例えば中国の北京地下鉄向けで三菱電機東洋電機製造が受注事例がある。車台については“米国ニューヨーク市交通局と川崎重工の4半世紀近くの関係”の事例があるし、電気機器でも三菱電機VVVFインバータ(可変電圧・可変周波数インバータ)は、架線から得た直流電流を受け、IGBT(Insukated Gate Bipolar Transistor) で三相交流を作り出し、電圧と周波数を主電動機である三相交流かご型モーターの特性と状況に応じて変えていき、複数の電動機を駆動制御を行う、あるいは (電力回生ブレーキ)のようにブレーキのときは逆方向に動作して、モーターが発電する電流直流変換して架線に返す省エネ技術、車両そのものでも、“川崎重工の350km/hを目指す高速運転車両efSET”や、“日立のディーゼルハイブリッド”」の事例を紹介していました。
日立製作所の鉄道関連事業に関し、日経新聞2010年10月26日付で「日立製作所東洋電機製造は25日、業務資本提携を発表した。日立は、都市鉄道や高速鉄道の車両製造で強みを持つが、パンタグラフなど電子品は他社からの供給に頼っている。東洋電機は、パンタグラフ国内1位で、鉄道用電子品で高いシェアを持つ。日立が手がけない都市鉄道向け制御システムも強い。両社の得意分野を相互補完し、受注窓口一本化する考えだ。」と、電波新聞2010年7月14日付は「日立製作所鉄道車両国外売上高を09年度の約1.8百億円から15年度には35百億円へと倍増、国外売上高比率を現在の23%から60%に引き上げる方針。中国向け輸出については09年度の1.8百億円から15年度には約5百億円約3倍に伸ばす目標を明らかにした。モーターインバータなどの車両用電機品や、信号列車制御システム運行管理システムを積極的に売り込む。中国では、高速鉄道の車両だけでも毎年約3千両の需要が生まれる見通し。車両自体は現地生産が整ってきているので、関連製品やシステムで受注拡大を図る。」と、また日経新聞2010.6.23で「日立製作所三菱重工は、国外の都市向け鉄道システム分野で業務提携すると発表した。三菱重工鉄道関連事業売上高約12百億円プロジェクト管理能力を生かすため、車両・機器メーカーと密接な連携に乗り出す。 」と、同じく日経新聞2010.3.30では「日立は、鉄道車両車両用電機品に加え、信号受変電設備座席予約乗車券システムなどを手がける。15年度には、日本国内ほぼ横ばい14百億円で維持する一方で、英国1千億円中国5百億円など、国外で21百億円を見込む。比較的利幅が大きな保守事業を強化し、鉄道関連全体で8%の売上高営業利益率を目指す。国外では、中国現地での月産能力を現在の50台から130台に高め、英国でも大型案件が成約すれば、主力工場の笠戸事業所と同規模現地工場を立ち上げる。 」と報道していました。
三菱重工鉄道車両事業について、日経新聞2009年4月4日付は「三菱重工は、米国運転保守受託運営会社を設立し、三菱重工が建設受託した空港ターミナル内路線などへのサービス業務を八月から順次始める。資材や機材の価格変動でプロジェクトの採算管理が難しいなか、長期契約できる運転保守業務安定収入の確保に役立てる狙いもある。広島県三原市和田沖工場で車両を生産する三菱重工は、昨年、マイアミ国際空港向けに米国で四件目APM路線約270億円で米国企業などと共同受注した。米国では年間4-5件APMの新設計画が見込まれている。」と報道していました。神戸ポートライナー東京ゆりかもめなどの新交通システムは、コンクリート製軌道の上でゴムタイヤ式無人運転車両(APM)を全自動で無人走行させますから、通常の鉄道と異なり、レールや架線が不要となり、路線の敷設から運転・保守のコストが抑えられます。
三菱電機の鉄道システム分野向け事業展開について、日経新聞2010年9月22日付は「2015年の鉄道関連向け売上を、三菱電機現状比1.5倍2300億円東芝は、2倍2千億円超、を目指している。三菱電機の調査では、鉄道車両地域別市場規模2009年時点の比率は、欧州42%、中国が21%、日本北米及びアジア太平洋各々10%中南米が5%。」と、また8月27日付で「三菱電機は、中国の“中国南車青島四方機車車両”から広州市地下鉄6号線で採用されるリニアモーター駆動車両196両向けに、モーターや制御装置など鉄道車両向け電機品27億円を受注したと発表した。三菱電機は、中国17百両を越える車両向け納入実績を持つ。」と、電波新聞2009年12月25日付は「三菱電機は、鉄道事業者と車両メーカーへ、車体と台車を除く、主電動機車両用空調装置車両情報管理装置(TIMS)、トレインビジョンなどの車両用電機品の他、主に国内で列車への電力供給を行う受変電設備電力貯蔵装置運行管理システム列車無線システムなどの地上分野の製品を販売している。この事業では国内トップシェア世界でも4位のシェアを誇る。社会システム事業本部長の四方進・常務執行役は“北米・中国を中心に中南米アジアなどの成長市場での事業拡大や、車両メーカーとの協調・連携、保守ビジネスの拡大、高速鉄道商談への参画などで08年度の4百億円から15年度には8百億円に引き上げる”と倍増を狙っているという。 」と、日経新聞2009年5月15日付は「三菱電機三菱商事及び韓国・現代自動車系の現代ロテムと印国営のBEMLの4社連合は、インド南部バンガロールで建設中の都市高速鉄道車両向けに車両150両を335億円で受注した。三菱電機は、現代ロテムBEMLが製造する車両向けに中核部品のモーター制御装置を納入する。インドの鉄道インフラ案件では、同じ企業連合で受注した首都ニューデリー高速鉄道(デリーメトロ)向けの470両(約850億円)に次ぐ規模。」と、また2009年2月24日付では「ニューデリーに駐在する吉野宏・インド三菱商事上席取締役は“インドの鉄道整備はこれからが本番”と強調する。たとえばニューデリーとムンバイの二大都市を結ぶ貨物鉄道は電化されておらず、平均時速はわずか毎時20km前後。この路線は日本でいえば東京―大阪に当る大動脈。日本政府は高速化計画に45百億円の円借款を決めている。自動車や家電など消費財には旧ブレーキがかかったが、新興国のインフラ需要は底堅い。」と紹介していました。
鉄道システム向けパワーエレクトロニクス製品パワー半導体の事業では、日立製作所の電力システム社・パワーデバイス本部・本部長の田中主税氏は半導体産業新聞2010年8月4日付で「主力の高耐圧IGBT電鉄用かなり伸びている。電鉄用は今後しばらく年率10%成長が見込めそうだ。自動車用IGBTでは、三菱自動車アイミーブのほか、複数の車種に採用実績をいただいており、これから数量が伸びてくる。 」と述べておられました。また、電鉄向けパワー半導体製品では業界トップ三菱電機に関し、電波新聞2010年1月21日付は「三菱電機SiCダイオード(炭化ケイ素ダイオード)を搭載した大容量パワーモジュールの開発を発表した。このパワーモジュールを3個用いたインバータで、鉄道車両用3相モーター駆動し、300kWの出力が低速から高速まで良好な動作を確認している。鉄道車両分野への展開に大きな一石を投ずるものとして注目される。同インバータは、従来のSi(ケイ素)製鉄道車両用インバータと比較して、ランカーブ損失シミュレーションにより、電力損失最大約28%削減、実走行を想定した平均損失で約19%s削減される。新開発のモジュールは、IGBT(絶縁型バイポーラトランジスタ)とSiCダイオード(炭化ケイ素)を組み合わせたもので、Si(ケイ素)のトランジスタ部に150A/1700VのCSTBT(キャリア蓄積効果を利用したIGBT)を8個並列接続し、SiCダイオード(炭化ケイ素ダイオード) 部に75A/1700VSiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)を16個並列接続することで、1200A/1700V大容量パワーモジュールとした。関連特許は国内83件、海外17件を出願済み。」と報道していました。半導体産業新聞2009年7月8日付は「各車両IGBTモジュール30個程度が搭載される。700系新幹線の場合で、耐圧3300V帯IGBTモジュールが用いられる。各国で相次ぐ導入計画の中で、中国では2009年度内に780車両の納入が計画されている。アイサプライによればIGBT市場規模22百億円規模。同社の07年IGBT生産ランキングによれば、トップの三菱電機、2位の富士電機バイステクノロジー、3位のインフィニオン、4位の東芝、5位のフェアチャイルドセミコンダクターと上位5社の内3社を日本勢が占めている。一般的にIGBTモジュールでは、メタルベース基板が使用される。アルミ窒化アルミナアルミなどである。」と、半導体産業新聞2009年4月22日付は「三菱電機パワーデバイス09年度売上高9百億円規模となるもよう。直近の用途別内訳では、産業用40%民生・車載・電鉄用各20%となっており、電鉄向け需要が高まっている。中国での電鉄需要が牽引しており、耐圧3300V-6500VのHV-IGBT、HV-IPMの供給が旺盛だ。ちなみにIPMとは、IGBTの最大性能を実現するために、IGBTモジュールに最適なドライブ機能、自己保護機能、自己診断機能を追加し内蔵したモジュール品だ。89年に登場し、91年から汎用インバータACサーボなど産業用途で本格採用が始まり、94年には産業用途特化型のASIPMと電鉄用のHV-IPM、96年にはエアコンのインバータ化などインバータ家電向けのDIP-IPM、その後ハイブリッド車向けIPM製品など次々とIPM製品を生み出してきた。環境・省エネをキーワードに世界的に需要が高まり続けるパワーデバイスの今後の展望について、技師長のマジュムダール コーラブ氏は“風力や太陽光の新エネルギー分野、中国を中心とした電鉄向け、中国や欧州でのエアコンのインバータ化、ハイブリッド車向けIPM需要拡大など、15年にはパワーデバイス15百億円達成を目標に邁進している。”」と紹介していました。
鉄道機器用のパワーモジュール電源ということでは、電波新聞2010年1月7付けが「コーセルは、鉄道関連機器用のパワーモジュール電源で、クォーターブリックサイズで50W100Wハーフブリックサイズ200WのAタイプ3モデルを開発し2月から市場投入を開始する。3年後には売上高5億円を見込む。入力電圧はDC60-160Vで、耐振動・耐衝撃特性でIECの鉄道関連規格を満足する。出力電圧のバリエーションは5-24Vで全12機種。」と報道していました。
新幹線などの車両用コンデンサに関し、指月電機製作所の梶川社長は生産子会社の九州指月で2月に着工していた研究開発棟を完成し、同工場で記者発表会を開催、電波新聞2009年10月7日付は「生産子会社の九州指月は産業ドメイン分野を担っている。新幹線など車両用や大型インバータ機器コンデンサを生産している。昨年10月以降、米国の金融破綻に端を発した世界的な経済不況にもかかわらず事業は安定しており、現在でもピーク時の8-9割の生産を維持し、年間の工場出荷額約70億円を確保している。梶川社長は“ユーザーの開発に入り込んだ、相互乗り入れでのソリューション型ビジネスを確立していく”と語った。既に2年前に秋田と岡山の生産子会社で研究開発棟を立ち上げている。」と、鉄道車両のインバータ制御の回路で使われるコンデンサに関し指月電機製作所のコンデンサモジュール開発部の藤原健吾氏は電波新聞2008年8月21日付で「鉄道車両インバータ制御回路に使用される直流平滑コンデンサには、小型大容量化が可能なアルミ電解コンデンサへの流れもみられたが、低損失・長寿命・高信頼性。環境負荷低減などへの要求の高まりから、次第にフィルムコンデンサへの置き換えが進んでいる。・・・フィルムコンデンサは油侵式(電極箔と誘電体)が主流だったが、今は小型軽量化のために乾式(オイルレス蒸着金属タイプ)へと移行していく流れにある。指月電機は材料を使いこなす技術としてのフィルムへの蒸着加工技術に注力しており、国内有数の蒸着加工装置を有するコンデンサメーカーとしての強みを活かした要素技術開発に取り組んでいる。その他、鉄道分野有望商品として電気二重層コンデンサ(EDLC、当社品名はFARACAP)がある。回生ブレーキ蓄電電圧補償用などの電源として、さらには路面電車や新都市交通の電源として具体的な検討が進められている。」と寄稿しておられました。
鉄道車両用の空気ばね防振ゴムに関し、日刊産業新聞2009年8月18日付は「住友電気工業連結子会社東海ゴム工業は17日、中国の鉄道車両内装品メーカー、今創集団合弁会社を設立すると発表した。江蘇省(Jiangsu Sheng)の常州市で鉄道車両用空気ばねと防振ゴムを製造販売する。空気ばねは車両と台車の間に装着され、車輪から車両に伝わる振動を軽減する。台車1台当り2個が使われる。中国では20年までに約16千キロメートルの中・高速鉄道路線が整備される計画。 」と紹介していました。鉄道車両用の制振装置では日刊産業新聞2008年10月6日付が「2010年に開業する成田新高速鉄道を走行する京成電鉄新型スカイライナー住友金属アクティブサスペンションが採用された。このアクティブサスペンションは、東日本鉄道の東北新幹線に世界で始めて使用された装置で、新幹線以外では小田急電鉄特急の一部で採用されている。現在、広く使用されているダンパーなどによる衝撃や振動の振幅を吸収する装置と異なり、外部からの振動とは逆方向の力を発生させ、振動を積極的に打ち消すようにコンピュータで制御されるサスペンションで、従来方式に比べて揺れが半減できる」と紹介していました。上述の東洋電機製造は、電車用の駆動装置とパンタグラフの製造大手で、特に永久磁石モーター強みを持つそうですが、日本電産が、同社を買収して鉄道用車両モーターに進出する計画を発表したこともあります。当時の電波新聞2008年9月17日付は「日本電産は16日、東洋電機製造に資本・業務提携を関する提案書を提出したと発表した。永守重信社長は[鉄道事業は非常に将来性のある事業。両社の技術ノウハウが融合することで、自動車・鉄道用モーターの世界トップメーカーを目指すことができる、と語った。」と報道していました。
ハイブリッド車鉄道車両には電化区間で走行する電車と、非電化区間で走行するディーゼルなどがありますが、最近ではディーゼル発電で電力を得て、電動機で走行するハイブリッド車が増えているようです。そしてこれらの電動車両のパワーコントロールユニットにはインバータ制御が採用されています。日立製作所大型2次電池事業新神戸電機などから日立ビークルエナジーに集中し、展開を進めていますが、鉄道車両向けの発表を行いました。また鉄道車両でのリチウムイオン電池採用の動きについて電波新聞2009年10月8日付は「ジーエス・ユアサ・パワーサプライは7日、同社の産業用リチウムイオン電池モジュールが、JR東日本が開発中の“蓄電池駆動車システム”に採用された、と発表した。蓄電池駆動車システムでは、電化区間では通常の電車として走行するとともに、非電化区間では蓄電池のみでモーターを駆動させて走行する。非電化区間環境負荷の低減方策として開発が進められているもの。 」と報道していました。電波新聞2008年9月18日付は「日立製作所は減速時に生じるブレーキの回生エネルギーをバッテリーに充電し、走行時の動力源として再利用する[ディーゼルハイブリッド鉄道システム]の実用化を進めているが、17日、日立ビークルエナジーと共同で、高出力・大容量の高速ディーゼルハイブリッド鉄道車両向けリチウムイオンバッテリーシステムを開発したと発表した。従来のシステムに比べ、最大4倍の大容量バッテリー監視制御するコントローラーと、約2倍の冷却性能を実現する新構造を開発したことで、時速2百キロメートル以上の高速鉄道車両リチウム電池を使うこと可能となった。現在ディーゼル鉄道車両は、世界で100千両以上が使われている。冷却構造は、バッテリーモジュールと冷却ダクトを一体化して機密性を高め、少ない冷却風で効率よくバッテリーを放熱できるモジュールとした。大容量バッテリーの監視制御に対応するコントローラは、隣接基板のみとの通信で絶縁基板を軽減し、15百Vクラスの電圧に対応。」と報道していました。川崎重工は、車両用ニッケル水素電池の事業化を進めているそうです。半導体産業新聞2009年2月18日付で川崎重工の車両ビジネスセンター技術本部の理事・本部長の奥保政氏はニッケル水素電池について「全面低床路面電車を開発する中でニッケル水素電池のギガセルの実用化を進めた。ギガセルの最大の特徴は、急速に1000Aクラス大電流充電が可能な点にある。独自の折り畳む構造で278Ahの定格容量も実現できる。放電末期までパワーを維持できるため、DC/DCコンバータも不要となる。リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタとの比較では、電車ではニッケル水素電池優位性がある。大阪の谷町線で07年11月に実証試験を実施した。正極・負極の生産拠点は兵庫工場、組立は明石工場が担当しているが、新工場建設も視野に入れている。」と述べておられました。
日経ものづくり2009年10月号は「欧米の車両の特徴が“頑丈・強力”だとすれば、日本の車両は“軽量・省エネ・低騒音”。この3点セットによる環境負荷の少なさでは、日本は世界トップクラスの技術を持っている。軽くすれば少ないエネルギーで加速でき、減速も容易である。さらに低騒音で、軌道側に与えるダメージも基本的には小さくなる。もともと鋼のレールの上を走る鉄道は、転がり抵抗や摩擦によるエネルギー損失が少ない輸送方法だが、日本メーカーはそこに、さらに電力回生技術などを加えることで、ほかの交通機関に対して圧倒的に少ないCO2排出量を達成してきたのである。・・・人口が減少し始めた国内では、鉄道向け製品の需要が頭打ちになってきているから、鉄道関連の企業は危機感をもっていた。そこに国外での鉄道見直し気運の急激なに高まり。・・・車両やシステムを世界に買ってもらうために日本の鉄道技術が目指すべき方向について、工学院大学教授の曽根悟氏は“今よりエネルギーを少し余計に使ってでも、もっと旅客の利便性を向上させるべき。”と指摘する。 」と報道していました。
自動車から鉄道にシフトする余地を分析するために
日経ものづくり2009年10月号がまとめた輸送量(億人km/年)の資料によると、日本は、鉄道による輸送が3,939億人kmで、自動車による輸送9,179億人kmの42.9%です。同じ比較でみていくと、仏国の915億人kmで7,687億人kmの11.9%独国の790億人kmで9,285億人kmの8.5%英国の561億人kmで7,375億人kmの7.6%米国は、87億人kmで45,172億人kmの0.2%でしかありません。中国は特殊で、データ上は鉄道による旅客輸送の割合が高く、6,353億人kmに対し7,696億人kmと82.5%です。国土交通省の資料によると、旅客輸送で、1km走行で一人当たりのCO2排出量は、タクシーが388gCO2/人、乗用車168gCO2/人航空109gCO2鉄道19gCO2と、鉄道の排出量とても少ないのが判ります。貨物輸送では、1km走行で1トン当たりのCO2排出量が貨物自動車/トラック145gCO2/t船舶38gCO2/t鉄道22gCO2/tです。
世界的なモーダルシフト(輸送手段の転換)で自動車から鉄道へのシフトが進んでいます。日経新聞2009年4月22日付によると「オバマ大統領は4月16日には、高速鉄道網の整備を推進する考えを表明。加州や墨国湾岸などの10路線を挙げた。アイゼンハワー大統領が1950年代に推進した高速道路網の整備になぞらえ“21世紀にふさわしいスマートな輸送システムが必要だ。有害なガスを減らし、雇用を生む”と力説した。」と、また同紙2009年2月13日付は「米国では、景気対策法案の中に鉄道など交通網の整備が盛り込まれる見通し。オハイオ州は州内三大都市を結ぶ旅客路線を四十年ぶりに復活させる計画を立てた。中国は2009年、鉄道整備に前年の約二倍にあたる6千億元(約8兆円)を投じ、約6百万人の雇用を確保する計画だ。欧州委員会は、景気対策の一環として約5億ユーロ(約5.9百億円)を鉄道などへの整備支援に充てる。イタリアは、ローマ-ミラノ間の貨物鉄道整備事業などの着工を前倒しして“14万人の雇用を創出”する計画。フランスもTGVの路線延長距離を当初の約2倍となる45百キロに延ばす。」と報道していましたが、まさに21世紀は、鉄道の世紀となりそうで、生産財営業の観点からも、自動車機器やモバイル機器に続く旺盛な需要分野として認識しておいた方がよさそうです。