青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財営業でイノベーション共創と社会貢献を目指す。

2012-09-25 187-2/2 大陸中国日系企業の材料調達で日本以外からの非日本調達材

生産財の材料調達に関し、大陸中国に進出した多くの企業が"貿易協定で不利な日本からの輸入"を圧縮する動きが強まっています。

187-2/2.Industry:大陸中国での材料調達で"日本以外からの非日本調達材"

今回2012年9月の大陸中国反日運動、特に9月15日の青島(Qindao)日系企業襲撃は、世界にその“品格なき国家”の“馬脚”をさらけ出してしまいました。筆者/青草新吾は、9月13日に青島(Qindao)の黄島新区に滞在し、翌週には上海の浦東新区に滞在していました。上海現地で上海人の方々からお聞きした話では、デモ参加者に多いのが公務員や教師、日本でいえば自治労日教祖、騒乱で破壊活動を行っているのが地方出身の専門学校や大学生華南では地方出身の労働者のようです。中国共産党の上層部では、一番の知日派だった薄照来(Bo Xi Lai、日本読みで「はくきらい」)さんが、党内抗争で逮捕されるという政変の影響もありそうです。今回の騒動に関する見聞と所見は下術します。
このページ(頁)のテーマである「生産財材料現地調達」に入る前の現状認識として、我が日本国は、“輸出立国から対外投資立国へ”と転換を遂げていく過程にあること、タイ王国政府政策顧問の松島大輔氏が「空洞化のウソ」[ ISBN:9784062881630 ]で指摘通りと思います。構造的な貿易赤字になっていく蓋然性にあるのかもしれません。しかし「投資リターン<貿易赤字」即ち、投資リターンが増えていく速度よりも、貿易赤字が増えていく速度の方が上回るようなことになっていくと、日本国内では様々な痛みがでてきます。・・・日本のお家芸とされてきた素材・部材ですが、最近では、特に大陸中国では、陸中国の国内材に加えて韓国・台湾を含めた日本以外からの材料調達の比率が急上昇しています。158-2/2[2011.12 対外投資]で前述しましたように、欧米諸国に比べて“対外投資と受取額が少ない日本”にとっては、まだまだ輸出での稼ぎが大切なのですが・・・。何といっても今はまだ"65兆円もの輸出"があるからこそ"70兆円の輸入ができる"というのが現実ですから・・・。
金属素材分野では国内最大手の業界紙である鉄鋼新聞や日刊産業新聞にも、素材現調に係るような記事が増えてきました。日刊産業新聞の事例でも、過去1−2週間分だけで次のような記事が掲載されています。まず、9月4日付では廣州JFE鋼板の“中国製熱延材の採用”に関し「JFEの原板と、中国製原板を使い分け、コスト削減して受注の拡大余地を広げる。冷延CAL(連続焼鈍ライン)とCGL(溶融亜鉛めっき鋼板ライン)への投入素材では、中国製熱延材を月間万トン単位で使用している。自動車向け素材はJFE西日本製鉄所から調達しているが、一般薄板向けには大陸中国の鉄鋼メーカー6社ほどから。最終的には2-3社に絞り込みたい。日本からの調達に比べて、競争力があるかどうかが判断のポイントとなる。」と、また日本軽金属の子会社、日軽金アクトに関し日刊産業新聞(Japan Metal Bulletin)2012.9.6付は「日軽(上海)汽車配件は2008年に設立。現地ローカルメーカーからアルミ押出材を購入し、サンルーフレールに加工して、華中地域に進出している欧米系や日系などの自動車部品メーカーに販売している。現地の自動車部品需要が拡大しており、11年時点で15ラインが稼動していたが、新たな需要の獲得もあり、ラインを増設することを決定した。」と報道していました。エアコン用銅管では、住友軽金属が「大陸中国での銅管加工の材料(原管)は、日本からの輸入でなく”現地ローカル材に切り替える"との方針」を発表しています。大陸中国現地の加工事業では、親会社が日系素材メーカーであっても、現地では“自社材ではなく現地材を使う”方向に発展しています。・・・・大陸中国で生産された材料の"大陸中国から日本への逆流"ということでは、同じく同紙の9月3日付は「銅管輸入が過去最高。財務省の貿易統計で7月2,415トン。2010年まで多い月でも1,200トン程度だった。銅管メーカーにも国内生産で不足する量を国外拠点から輸入してカバーする動きも広がっている。コベルコマテリアルや古川電工の子会社がある泰国からの輸入も48%増の390トン、と報道していました。・・・さらに大陸中国では、素材メーカーに加えて、素材加工(調製加工)を行う加工流通企業が育ってきています。
陸中国のステンレス分野では最大手ステンレス・コイルセンターである江蘇大明金属製品の周克明薫事長が同紙9月5日付で「ステンレスコイルの調達先は、10年前は欧州材が半分以上を占めていたが、今は“国内メーカーからの調達が主”で、国外からの輸入材は“国内メーカーが製造できない品種”が主になる。購入先は、太原鋼鉄が最も多く、宝鋼集団酒泉鋼鉄集団POSCONSSCオウトクンプなど。顧客はより深い加工を求め、複雑な機械加工まで必要になってきた。厚板加工分野では日本の有名企業である大谷加工と提携している。当社は加工を始めてまだ9年。管理の経験が不足している。お互いに勉強していこうと話している。」と、また創業以降に歩んだ道のりについて「19歳で貿易(売買)会社を設立し、毎年20%の販売増を実現していく中で、素材加工(調製加工)の将来性に着目した。欧州メーカー工場を見学し、サービスセンターのやり方を学び、01年から加工に取り組み始め、03年7月から生産に入った。競合他社は“販売量を追及”していたが、自分は加工分野への進出を決め、欧州の機械メーカーを回り、日本、台湾、韓国のサービスセンターを見学し、品質管理会社の運営法を吸収し、国内外から経験者を招き入れ協力を仰いだ。日本の加工流通大手の大谷加工とも付き合いが深い。蘇州工場を建設し、お互いに協力したい。顧客は加工された完成品を求めている。貿易(売買)だけでは存在価値がなくなっている。」と述べたそうです。同紙は周社長に関し「周さんは謙虚で勉強家。10年前は月10千トンクラスの問屋が10社以上あったが、他社は加工の重要さに気付いた後もまったく追いつけず、今では2番手以下を3社合わせても大明金属1社にかなわない。切断や曲げから複雑な穴開け、切削加工まで行い、しかもハイエンドの加工製品を増やしている。造船対応の溶接チームも組織し、ロイド船級の認定を年末に取得予定など、加工体制の一層の充実が進む」と紹介していました。・・・大陸中国の企業に関し、上述の江蘇大明金属製品(周克明薫事長)のように、民間企業ではとても競争力が高い優良企業が増えてきています。国営企業には“図体がデカイだけの巨大企業”が多いようですが・・・。
陸中国家電企業経営者が"日本の家電メーカーの経営"をどう見ているのか?週刊ダイヤモンド2012.6.9号がインタビュー記事を掲載していました。ハイアール社副総裁の杜鏡国氏は「 日本の家電メーカー消費者に対する理念素晴らしい技術力一流だ。一方で経営二流だ。チャレンジ精神をあまり感じない。さらに組織運営管理となると三流だ。例えば日本メーカーの“年功序列”という仕組みを破るのはなかなか難しい。私たちは、本社役員であっても“常に昇格と降格にさらされ”ている。これは日本の組織にないことだ。・・・ハイアールの目標は“美しい住生活のソリューション”を提供すること。私たちは将来、製造企業からサービスで稼ぐ企業になっていく。」と、また中国では液晶テレビ1位、エアコン4位のハイセンス総経理の周厚健氏は「 今の日本には“戦後日本の成長”を引っ張った“がむしゃらに働く人たち”がいなくなったようだ。・・・日本の家電メーカー経営効率が悪い。ハイセンスでは社員A、B、C、D、E、の5段階で評価して、下位5%に当たるEの判定を受け続けると“淘汰”される仕組みになっている。悲しいけれど、これは会社の命に直結することだ。会社が死ねば、社員全員がメシを食えなくなる。・・・販売目標や成長目標は、社内にしっかりと持っている。しかし外部に発表することにあまり意味があるとは思えない。グローバル化で、“経済も市場も一体化”している。液晶テレビ事業は規模こそが利益にリンクするので、もっと上位を狙いたい。」と語っておられました。以下、今回の中国共産党反日デモ(一部はテロそのものといえる)の話題へと戻ります。
青島黄島新区では、被害を受けたジャスコの隣のホテルに宿泊しました。もともと青島(Qindao)は、こんな騒動が起こるような場所ではなかったのですが、数年前に地方政府が再開発事業として、専門学校大学をこの黄浦新区(huang dao xin qu)に強制的に集めたことで、江沢民(Jiang Zemin)が始めた“反日愛国教育”を信じ込んだ、実社会に出る前の膨大な地方出身の学生が集まってしまい、これらの無垢な学生が、かっての日本の学生運動の一部でみられたような破壊活動を行ったわけです。一方、上海の“浦東新区はとても平穏”で、政治都市の北京や、元々が物騒な華南とは様相がかなり異なっていました。地方からバスで集まってきたようなデモに対しても上海の公安は実によく抑え込んでいました。お会いした上海人の経営者や現地スタッフは“上海人ビジネスで忙しいから、騒ぐ者は殆どいない”と言っていました。・・・それにしても大陸中国での反日運動は、「地元経済に大きく貢献してきた日本企業への襲撃を野放し」にした点で、WTO加盟の条件である法治国家としての資格を欠くというか、大津市教育委員会が“校内犯罪いじめと言い換え”で“校内犯罪を放置”したのと同様に、とても罪深い姿勢だと感じました。中華文明の歴史が長い大陸中国小中華朝鮮半島では“憎悪の団結”が伝統なること152[2009.2 漢人の歴史トラウマ] や151[2009.2 中国の国民性]で前述しました。韓国戦後ずっと反日教育を行ってきており、中国共産党江沢民(Jiang Zemin)以降学校での反日教育を徹底しています。教科書には証拠もない捏造話も多くの記載があるようです。そうまでして反日の憎悪掻き立てないと国をまとめていけないというのも哀れな感じがします。しかし、歴史を捏造してまでの事実に基づかない反日教育いい加減に止めて欲しいものです。歴史を捏造してまで憎悪を込めた反日教育を続けてきた韓国戦後45年も経ってわざわざ反日教育を始めた江沢民(Jiang Zemin)以降の大陸中国。・・憎悪を増幅する陸中国韓国、この二国とは正反対で未来志向なのが、フィリピン(比国)シンガポール(星国)です。・・・1945年マニラ戦妻、長女、三女を亡くしたキリノ大統領は「私は、日本人から妻と三人の子供を殺された者として、彼らを特赦する最後の一人となるであろう」との大統領声明とともに、死刑囚を含む108人の日本人戦犯特赦を発表しました。歌手の渡辺浜子さんのひたむきな訴えに心を打たれたと伝えられています。キリノ大統領は戦後間もない“日本人への憎悪の連鎖を断ち”“報復主義からの決別”を国民に訴えたのです。星国も“憎悪の連鎖を断ち”“未来志向の教育へと転換”した国なること、152[2009.8 未来志向の教育]で前述の通りです。
日本でいえば、ビジネスと実社会(競争社会)に疎い日教祖や自治労が、反ビジネス的な主張をするのと同様、大陸中国でも、ビジネスとの関わりが少なく、日本人との接触が少ない公務員や教職員に反日活動家が多いような気がします。・・・税関当局による嫌がらせ、具体的には、通関手続き強化と称しての通関遅れ、見做し価格の一方的な引き上げによる関税吊り上げなどが始まっています。中国共産党政府の“経済的威圧外交”に関し、井上和彦氏はSAPIO 2012.10.3号で「米戦略国際問題研究所(CSIS)上席研究員の論文によると、中砂諸島の領有権争うフィリピン(比国)に対し、“比国のバナナペストに汚染されている疑いがある”と言いがかりをつけ輸入制限し、中国人観光客の比国訪問禁止した。」と事例紹介していました。
陸中国経済成長の速度も高成長から巡航速度へと勢いが衰えてきています。大陸中国では、欧州危機による輸出減少に加えて、米欧資本事業縮小撤退の勢いが強くなり、経済成長にブレーキがかかりだしています。外資の中で、“唯一日本のみ”が“対中投資増勢基調”にありました。日本企業による対中投資の大幅増が大陸中国経済を下支えしていました。にもかかわらず、役人的目線で“経済的威圧”のためにWTO違反ともいえる人為的な嫌がらせを行う・・という点で、中国共産党が統治する今の大陸中国は「清朝末期と同じ」とか「日本の幕末」にとても似ているといわれます。まだまだチャイナリスクが大きいといえます。海洋国家の日本は"親日国が多い東南アジア"における事業拡大を進めながら、一方で大陸中国での事業も用心しながらほどほどに進めていくのがベターかと感じます。