2012-12-04 188-2/2 元気日本への政策と政党の考証
2012衆院選(12.16) は“低迷する日本の経済・外交”の“流れを変える“チャンスです。“脱・官僚社会主義の統治構造改革”を政策実行する“改革派保守”への大量投票を期待します。失われた20年間、守旧派保守とリベラルの政治で停滞が続きましたから・・。
経済活力の源泉は“民間のエネルギーとアイデア、実行力”です。 “おバカ規制”に象徴される“官僚社会主義”は民間の活力を邪魔することが多くなっています。時代に合わなくなった官僚社会主義をこのまま放置すると、日本がゆでガエルになってしまいそうです。日本が沈没してしまいそうです。筆者/青草新吾は、目下の最重要課題は「デフレ脱却」と「官僚社会主義・中央集権からの脱却」「防衛・安全保障」の三つと考えます。これら三つの課題を是正改善し、日本を再び元気な国にする処方箋は、一に「道州制」、二に「経済政策の地方分権」、三に「新メディアの活性化」だとの確信に至っています。確信に至った根拠の詳細は下術します。危機を乗り越える処方箋はあるし、まだ間に合います。
“美味しいお米”や“美味しいりんご”を台湾や香港、大陸/中国の富裕層が買い求めています。美味しいお米やりんごを作ることができる“競争力に溢れた農家や農業法人”が多々存在し、トヨタやコマツ、ダイキン、ユニクロに代表される競争力に溢れた“元気な日本企業”が多々存在するこのニッポンが、何故にここまで経済が落ち込み、外交(武器を使わない戦い)でも弱々しいのか・・。デフレが企業活動を痛めつけ、官僚社会主義・中央集権が地方自治の創意工夫を奪い、国会議員が国政レベルの仕事をせずに、利権に直結する地方レベルのことばかりに集中し、結果として、国政レベルの外交や安全保障の課題が先送りされる傾向にあります。外交や安全保障の貧しさが「中国共産党や韓国政府が内政の問題をごまかすために、反日を利用」するスキを与え続けています。東京一極集中の大メディアの記者クラブに代表される既得権益との癒着・複合化が、国政の混乱を煽っています。・・・・今、日本国にとって必要な政策は“民間活力を回復”させることです。民間活力を回復させるために“中央政府が処方すべきマクロ政策”のカンフル剤は、“民間投資”と“輸出の回復”です。“民間投資”と“輸出の回復”のために“即効性が高い”のは「円高是正」と「法人税減税」です。同時に民間活力を回復させるために“地方政府のレベルでやるべきこと”は“都市間競争”で“都市の競争力を高めていく”こと、“地方の実情に合った産業政策の積み重ね”です。地方政府の規模は、欧州各国と同じ規模を持つ道州制がベターです。北海道、東北、関東、関西や中国、九州などは欧州の一国並みの経済規模や人口があります。愛知・岐阜・三重の東海三県だけでオランダに匹敵します。四国はポルトガルに近い。・・・地方でできることは地方で、民間でできることは民間で、中央政府はデフレ脱却と外交・安全保障、社会保障に集中する、これらを総合的に考えると、一に「道州制」、二に「経済政策の地方分権」、三に「新メディアの活性化」が必要と考えます。
日本衰退の主要な根源は、外部環境の変化に応ぜず、頑迷なまでに“既得権益を温存しようとする既得権益集団です。自民党はこれら既得権益を持つ農協や業界団体の巣窟となり“政官業”と“大手メディア”が癒着した構造と守旧システムを作り上げてきました。一方で民主党は、自治労や日教組、連合などの大組合・既得権益の巣窟であることが、民主党が政権奪取した後の事象で明らかになっていきました。こちらは“巨大組合”と“大手メディア(組合)”が癒着した構造と守旧システムを作り上げてきました。税金にたかる既得権益集団とは“政官業”に“大手メディア”と“巨大組合”を加えた“政官業+報組”の癒着構造です。これら守旧システムを属性で分解して括ると、一に「中央官僚システム」、二に「政治経済システム」、三に「メディアシステム」の三つです。時代に不適合となり、高度成長終焉後の日本の政策を歪め続けてきた主要なシステム三つです。処方箋はこの反対です。上述通り、日本を再び元気な国にする処方箋は、一に「道州制」、二に「経済政策の地方分権」、三に「新メディアの活性化」一に「道州制」、二に「経済政策の地方分権」、三に「新メディアの活性化」です。
まず一の「道州制」と二の「政治経済システム」について。国家の外交や通貨は、規模が必要です。規模が大きければおおきいだけ有利になります。しかし、産業政策に関しては、企業経営と同様に“適正規模”が存在します。マネジメント(経営)は“規模の適合性”がモノをいいます。52[ 2006.9.2]で前述しましたが、“軍隊の中隊”と会社は英語では同じcompanyです。お互いの顔が分かり“機能集団としてのまとまり”をもてる“認知的集団の規模の目安が150人”といわれます。・・・産業政策の適正規模については、星国(シンガポール)や台湾、上海市、フィンランドなど、成長著しいトップランナーの人口は5-30百万人規模であるという事実が参考になります。米国、英国、ドイツなどは連邦制ですから“中央政府”は“外交と安全保障、通貨管理とマクロ経済、司法”などに集中できます。日本も道州制にして、中央政府は他国と同様に“外交と安全保障、通貨管理とマクロ経済、司法”などに集中すべきです。道州の広域自治体(地方政府)が、地域の実情にあった産業政策で自己完結性を高めれば、“特徴ある産業育成”や“税金の有効活用”が図りやすくなります。国民からみても“密室化しやすい霞ヶ関”よりも“ぐっと身近な地方政府”の方が“税金の使い道を監視しやすく”なります。税金の無駄遣いも減らしやすくなります。江戸幕藩体制はいわば連邦体制でした。“約80の国に約3百の藩”が配置され、各藩には徴税権が与えられ“自主責任経営”が貫かれていました。世界有数の都市として江戸や大坂が存在し、さらに地方にも元気な中核都市や人材が散らばり、お国自慢も盛んだったようです。・・・鉄道や自動車などの移動手段が高速化し、通信技術も格段に進歩し、経済がグローバル化した現在では、地方政府としての広域自治体は道州くらいの規模が適当です。一方で生活に密着した行政サービスについては、今の“基礎自治体の規模としてはコンパクトシティ(エコシティ)の規模とも重なりますが人口300千人くらい”が適当ではないでしょうか。
三の「メディアシステム」について。“自浄装置”が組み込まれていない組織は腐敗します。日本の大手メディアが報道しない事実にこそ“腐敗の根深さ”があります。判りやすいのは“官房機密費”です。新聞やテレビは、記者クラブのヒラ記者から政治部長クラスまでが賄賂の利益供与塗れのようだということです。この問題を報道したのは“週刊ポスト”くらいでしたから推して知るべしです。小渕内閣で官房長官だった野中広務氏が2010.4のテレビ番組で「評論家など5百万円、大物だと10百万円くらいを届けた。受取を拒んだのは田原総一郎くらいしかいなかった。」そうです。元参議院議員の平野貞夫氏が週刊ポスト2010.6に「月2回くらい、番記者たちに料亭で食わせ、銀座で飲ませて、女を抱かせ、翌朝には副議長公邸で公費の朝食会をやって解散した」との経験談を語っていました。田中角栄番の某記者だったお方は「ジョニ黒飲ましてもらって、帰りにはジョニ赤もらい、盆暮れにはワイシャツ仕立券が自宅に届いた」そうです。・・・大手メディアの売国体質はNHKの中に“中国共産党のプロパガンダ機関”である“CCTV日本支局”があるというところに象徴されています。同じ国営放送でも英国BBCは定期的に“国民審査(投票BBC referendum)”を受けています。日本のNHKには国民審査がありません。今のNHKは反日活動家やプロ市民の巣窟になっています。2009.4.5放映のNHKスペシャルに対しては台湾人のお方が「取材内容が言ったことと正反対の内容で報道され、反日に利用された」として訴え、日本でも支持者が集まり“NHK反日やらせに抗議する10千人訴訟”で係争中です。他にも国益毀損の事例が、90年湾岸戦争で支援を受けたクウェート政府が米紙に掲載した感謝広告で“日本が拠出した13億ドル(1兆円)が無視されていた”とされる事件です。実は無視したのは、クウェート政府ではなくて、日本政府と記者クラブだったことが判明しています。日本政府と記者クラブが国外メディアを閉め出して“政府発表”を行ったことで、英国BBCやニューヨークタイムズなどが日本の戦費負担を報じることができず、クウェート政府側担当者が意図的に日本へのお礼を掲載しなかったのではなくて、“日本の援助を知らされていなかっただけ”だそうです。・・・・公務員改革をしようとしたり、記者クラブを解散させようとした小沢一郎氏は、記者クラブと役人の癒着システムから徹底的に叩かれました。・・・181[2011.7.10“日本の何が駄目なのか〜メディア”でも前述しましたが、日本を駄目にしている主な要因に大メディアの既得権益との癒着構造があります。メディア改革については別の場で詳細します。次に官製不況とデフレによる長期低迷がどの程度のものであったのかをレビユーしてみます。
1991年バブル崩壊以降、産業構造の新陳代謝と正反対の“膨大なハコもの公共投資”で政府債務が積み上がり、1997年以降“デフレ”によって、世界の先進国の中では“日本一国だけが目立って長期低落”してきました。1995年から2011年の“実質GDP”でみると、米国が9.085兆ドルから13.299兆ドルへと1.5倍増、独(ドイツ)は1.969兆ユーロから2.448兆ユーロへ1.2倍増、仏は1.387兆ユーロから1.801兆ユーロへ1.3倍増、韓国は46兆ウォンから1.237百兆ウォンへ2.7倍増、台湾は0.7536兆台湾ドルから1.478兆台湾ドルへ2.0倍増、大陸中国は3.4兆人民元から15.447兆人民元へ4.5倍増。・・・一方で、日本は4.554兆円から5.079兆円へと1.1倍の微増です。1990年10月の日本株暴落(バブル崩壊)以降の失われた20年間。基礎資材の銅地金の消費量でいえば、ピークだった90年の1.62百万トンが、00年代に1.1-1.2百万トンへと減少し、08年のリーマンショック以降は更に減退し、今年はついに1百万トン割れとなりそうです。もちろん、省エネ省資源の努力もありましょうが、日本国内の生産活動そのものが大きく減少し、産業連関での雇用も減っているものと推察します。・・・。世界経済と比較する上で、日本だけの特異現象がデフレです。“慢性デフレ”は1997年頃から始まりました。底なし沼のようにずるずると落ち込み、名目GDPは97年5.21百兆円から11年4.7百兆円へと、日本国民と企業が生み出す付加価値額が0.51百兆円も縮小しました。民間部門では設備投資と住宅投資、純輸出が減り続け、政府部門では、公共投資が減る以上に医療介護機関への支払い(現物給付)が増え続け、民間部門と政府部門の合計では現物給付だけが増え続けています。この分野でも改革が進まないこと、174[2010.6.19“日本国の経営破たんの足音”]、175[2010.7.25“官製不況からの脱出”]で前述の通りです。次に“官製不況”についてレビユーしてみます。
186[2012.7.8]で前述しましたが、日本経済は、ジェームススキナー(James Skinner)氏が「略奪大国」[ ISBN:978494514768 ] で弾劾している如く、国民が稼ぎ出す付加価値額(GDP)の半分以上の283.8兆円、GDPの59%を政府が浪費する統治構造に陥っています。河村たかし氏が「復興増税の罠」[ ISBN:9784098251でいわれるように、政府部門は企業でいえば総務部門です。今の日本の統治構造は、企業でいえば、事業部門が稼ぎ出す付加価値額の半分以上を総務部門が総務部門で勝手に使い切ってしまうようなおかしな構造になっています。例えば、官僚・役人は許認可や特殊法人を介して既得権益を拡大し、エネットなどの新規参入を邪魔する既成に守られた地域独占・電力会社、農協や漁協の既得権益、政官癒着業界の既得権益、等々。これら様々な既得権益者と癒着した政官癒着に対する“国民の怒り”が、2009衆院選(7.18)では民主党への大量得票となり、政権交代となりました。筆者/青草新吾の周囲でも“自民党に投票してきた多くの方々”が“今回は民主党に投票”し“自民党の反省と改革を促す”といっておられました。しかし、野党に下った自民党は今でも“世界の動きや国民の声に鈍感で鈍重な議員ばかり”が残り、いまだに反省や改革の声は聞こえてきません。次に“なぜ改革派保守でないとダメか?”“守旧派保守はなぜ駄目か”“リベラルが今はなぜ駄目か”について検証してみます。
公務員制度改革と統治構造改革は、保守の“小さな政府”のスタンスでないと難しいのが現実です。2009衆院選(7.18)で民主党は「総予算207兆円の組み替え、税金無駄遣い根絶、地域主権確立」を訴え、大量得票し、政権奪取しました。公約実行と公務員制度改革のエンジンで大量得票の原動力であった小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏は、その後迷走し、民主党を追い出されてしまいました。“日教組”や“自治労”“連合”といった既得権益組合という守旧派が、政権奪取後に露骨に浮かび上がって民主党に強い影響力を行使した結果です。民主党が駄目だったのは、マニフェストで改革を訴え国民の期待を集めて大量得票したくせに支持基盤が既得権益に固執する自治労や日教組などの左派勢力及び連合などのリベラルだったからです。かってのソ連共産党、今の中国共産党の腐敗ぶりをみればよくわかります。・・・自民党が駄目になったのは利権塗(まみ)れの守旧派保守がかなりの割合で紛れこんでいるからです。自民党が規制に守られた既得権益業界との癒着で政策を歪めてきましたが、一方の民主党も“規制に守られた巨大組合との癒着”で政策を歪めてしまう“税金バラマキの体質は同じ”だったわけです。野田政権の下で民主党が割れ“民主党がまともな政党へと軌道修正が始まったのかも”しれませんが・・・。“自民党と民主党は癒着する利権勢力が異なっていただけ”で、利権との癒着構造は同じです。日本経済が停滞したままなのは、様々な要因が重なっていますが、民間のエネルギーを活用できない統治構造、総じていえばあまりにも“左傾化し社会主義化してしまった行政と統治構造”に主な原因があります。
2012衆院選(12.16)では、日本を保守できる“保守のための改革”を実行してくれる改革派保守の各党が大量得票してくれることを期待します。“守旧派保守ではない改革派保守”であることが重要です。少なからぬ外国の方々が「世界が羨むような技術や企業に満ち溢れた日本で、何故に“政治だけが貧しい”のだろう。“日本の最大リスクは政治”だ。」と口をそろえておられます。・・・以下、各政党の真贋を考証してみます。
“デフレ脱却”の点では“TPPへの交渉参加”が目安です。熱意と本気度は「みんな→維新→自民」の順番です。“自民党の危険性”は「2百兆円国土計画」に象徴される“旧態依然の利権守旧派”、“土建ハコモノ政治屋”が“自民党内に多数紛れこんでいる”ことです。安倍総理が抑えきれるかどうか・・。公共投資は、“地方活性化”に直結する“若者を地方に呼び込む起業支援など”に向けるべきです。IT分野だけでなく農業法人、食品加工、新製品分野なども有望です。・・・“中央集権・官僚社会主義からの脱却”の点では「維新→みんな→自民→公明」の順番でしょうか。守旧派官僚・役人はサボタージュと癒着メディアからの情報リークで敵対視する政治家への攻撃を加えことがままあります。さらに政策よりも政局の守旧派保守や政局リベラル、政局左翼が火に油を注ごうとします。・・・“新メディアの活性化”の点では「維新→みんな→民主→自民」のような気がします。維新の橋下徹代表には守旧派保守系の週刊文春や週刊新潮、リベラル・左派系の週刊朝日などからのエゲツナイ流言飛語攻撃が加えられましたが、橋下徹代表の突破力は実に見事でした。このようなお方が増えると、“大メディアの思い上がり腐敗”も多少は自浄されていくと思います。・・・以上から総合すると、第一党になりそうな自民党が旧態以前の守旧派利権保守に戻れぬよう、維新とみんな、民主党の野田グループあたりが大量得票してくれることが、日本国が長期低迷から脱するための投票行動といえますまいか・・。