青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財営業でイノベーション共創と社会貢献を目指す。

2018-07-07 212.戦後日本型から「先進国型の働き方」へ

*トランプ政権による「対中制裁発動(知的財産侵害)2018.7.6付」は、戦後世界の秩序を米国第一(America First)で軌道修正をしていくための号砲のようです。 耐久消費財の自動車も、生産財半導体や電子部品も、大きな構造変化が始まっています。戦後日本型組織に過剰適応した「個を押しつぶした働き方と人生」を払拭し、日本経済の生産性と個人・家族・共同体の幸福度を高めて、継往開来で次世代につないでいきたいものです。

   日経2018.7.5付で「農業はオランダに学べといわれるが、漁業はノルウェーに学ぶべきだ」と訴えていましたが、全く同感です。マーケティングと顧客接点を含めた働き方や仕事の組み立て方が参考になります。オランダは、九州ほどの国土で米国に次ぐ農産物輸出大国です。ノルウェーは、漁船一隻あたりの漁獲量日本の20倍漁業者一人当り生産量が8倍弱で「漁船に水揚げされた時点からオンラインで国内外の顧客と取引が始まるシステムを構築」できているそうです。日本は官僚主導の指導的行政で、官僚が規制に基づく管理の中心にいて、農業や漁業の方々を作業者で動員しているような側面があるのですが、民間の現場の方々の知恵を活かすような環境整備のためのサポート行政に回るべきではないでしょうか。
   今の働き方改革も実際は「上から目線の働かせ方改革」のようで、本来の「多様な一人一人の事情に応じた働き方で、一人一人の生産性を高めていく」という目的からはずれているような気がします。「クリエイティブな仕事ができる人材の層より分厚く」していくには、戦後日本型の「一括採用・年功序列・終身雇用」を変えていく必要があります。・・・日米の人事制度に詳しい有賀誠氏(ミスミグループ本社)なるお方が「日本ホワイトカラー年功的色彩が強い。反対に工場や店舗のブルーワーカー能力主義。この点で日米は真逆。」しかも「現在の日本の人事制度では世界に通用するリーダー育てることが難しい。日本では、会社が社員のキャリアパスを決め、社員会社の指示によって働いているように感じます。・・・自分自身のキャリアプランすら作れない人間に、企業戦略など作れるわけがありません。米国では社員がキャリアパスを選択し、社員が自らキャリアを構築することが推奨されます。」と世界に通用するリーダーを育成していく上で米国のやり方がベターと述べておられましたが、このあたりは筆者/青草新吾も同じことを感じています。
   自動車の大変化を最近ではCASE( 接続 Connecting/ 自動運転 Autonomous / 共有貸借 Sharing / Electrification )と表現する方が増えていますが、所有よりもシェアリングでの利用が増えていけば、クルマの販売では、法人の購入比率が高まる一方で、台数はいずれピークアウトして減じていくことになります。・・・自動運転に向けては先進運転支援システム(ADAS)で、ミリ波レーダーや、レーザーレーダー(LIDAR)、高精細カメラと人口知能(AI)の開発が進んでいますが、電子回路基板では高周波対応基板の開発が活発です。フッ素樹脂LCP(液晶ポリマ)などの機能性樹脂が採用されています。村田製作所はLCPベースのメトロサークなる画期的な基板の量産を開始しています。自動車に先行してアップルのスマホで採用されたようです。・・・電動化では、電力変換のパワーモジュールインバータが日進月歩です。電子基板では放熱基板が使われます。日本電産は、モーターとギアボックスとインバータを含めたトラクションもたーシステムを開発中と発表しています。自動車の大変化では材料やデバイスも連動して大変化が進みます。・・・車載用リチウムイオン電池では、2011年創業のCATL( 寧徳時代新能源科技 ning2 de2 shi2 dai4 xin1 neng2 yuan2 ke1 ji4 )が17年の出荷量で首位に立ち、3位のBYD( 比亜迪 bi3 ya4 di2 )など中国勢で世界シェア6割だそうです。米テスラと組んで世界首位だったパナソニックは2位に後退したそうです。
   日本のお家芸だった二次電池でも、165[ 2008.9,6 高性能2次電池 ]の頃からは様変わりしてきています。TDKは、2005年に買収した香港ATLリチウムイオン電池を製造し、iPhoneなどに供給しているようですが、これからは電動二輪車向けへの供給も開始する準備に入っているようです。またセラミック全固体電池の量産開始も発表済みです。高周波部品の王者ともいえる村田製作所も電池に参入しました。リチウムイオン電池を世界最初に市場投入したソニーは同事業を村田製作所に託し、2017.9に譲渡しました。村田もTDK同様に全固体電池を市場投入(2019予定)すると発表しています。村田は電子基板にも参入しました。上述のメトロサークは、12層多層樹脂基板でありながらFPC並の屈曲性を持つそうです。詳しくはウエブサイト「iPhoneX 分解して理解する」 *1で見れます。
日本はものづくりが強いといわれてきましたが環境激変で、必ずしもそうはいえなくなってきています。藤原敬之なるお方が「日本が強いのは目に見えるモノの連続的な変化。象徴が自動車やゲームなどの世界的競争力の強さ。一方で、苦手で弱いのが不連続な製品をゼロから作り出すこと。象徴的なのが90年代以降のグローバリゼーションの波に乗れなかったこと。」と述べておられましたが筆者/青草新吾も全くの同感です。・・・歴史的に蓄積されてきた強みと弱みですが、敗戦後のGHQ統治(例えばWGP War Guilt Information Program など)と日教組教育で増幅されてしまったのが「戦後日本型の悪平等や序列優先組織」です。
    東大初の女性教授で現名誉教授の中根千枝さん(今年87才だとか)が半世紀前の1967(昭和42)に上梓した名著「タテ社会の人間関係 単一社会の理論」*2は今でも輝きを放っています。日本社会には元々から、1.その人の属性よりも所属する場を重視する偏り。(例えば自己紹介では「営業です。今はこの会社でやってます。」ではなくて「○△一流会社に勤務してます」と答えてしまうなど。)・・・ 2.横の関係が希薄なままの閉鎖的なタテ社会での序列を偏重する嫌い。(西欧の階層社会のような、各階層の横のつながりはあまりない。)・・・ 3.能力差や個人差を認めたがらない悪平等信仰。(高度成長時代の年功序列や職能人事制度がこれを助長した。)・・・4.論理性と国際性の欠如。感情を優先した議論が許されてしまう土壌。・・・これら元々から日本社会にあって、戦後に助長されてしまった悪弊が「会社依存」や「戦後日本型組織のごちゃごちゃ責任分担や悪平等」です。筆者/青草新吾は、先々週の北大阪地震(2018.6)の「高槻市の塀倒壊・女児死亡」で重なって見えました。
    この高槻市寿永(じゅえい)小学校のブロック塀については、2015.11に専門家が危険性を指摘していたそうです。ところが高槻市教育委員会の対応はといえば、無資格の素人職員に簡易点検をさせて「安全性に問題はない」と結論づけていたそうです。ここに戦後日本の増幅された「悪平等=専門家軽視」と、誰が責任者で、誰が専門家なのか、ぐちゃぐちゃなままで色んな人が色んな口を出す「戦後日本型組織ぐちゃぐちゃ責任分担」が見てとれます。最後は素人が専門家の意見を軽く無視したという点では、戦後日本型の働き方の典型事例ではないでしょうか。ウエブサイトから「戦後日本型の働き方を止めて、先進国型の働き方働き方改革しよう。日本サラリーマンの奴隷化は責任分担の明確化で改めよ」*3と、「戦後の働き方 いつからおかしくなった? 勝負できる人材になろう」*4をピックアップしてみました。参考になれば幸甚です。
    日本の生産性は先進国最低レベルです。工場での生産性は高いのに、オフィスの生産性が低いのです。何でこんなことになっているかといえば、工場の働き方をそのままオフィスに持ち込んでしまったからです。戦後日本型の働き方を改革して一人一人の生産性を高めていかねばなりません。「働き甲斐がある会社」の上位人気会社/半導体ウエハー精密切断と精密研磨で世界ナンバーワンのディスコ http://www.nikkei.com/video/5668429900001/ の関家一馬社長が日経ビジネス2018.6.11で「世の流れは、”内発的動機をエンジンにした自由主義型経営”の時代。命令と統制の統制経済型経営は時代遅れ。”命令と恫喝で人を動かそう”とする人は、官僚的なやり方で上がってきた人に多い。当社ではポジションの高い人はほぼやめました。」と述べておられましたがその通りだと感じ入ります。・・・「おおたとしまさ」さんといわれるお方が「多様な人々が同じビジョンに向かって少しずつ主体的に変わっていくことで、結果的に社会もじわじわと変わるそのような変化のモデルをイメージして、これからの時代においては、社会の変え方も変えなければいけないのかもしれない」と投稿しておられましたが、その通りだと思います。人生80年から100年時代と言われます。健康寿命、職業寿命、資産寿命を延ばしていく上でも「先進国型の働き方」へと皆で変えていくことで、幸福度が高い世の中を目指していきましょう。 

*1: 「iPhoneX 分解して理解する」http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1712/11/news037.html

*2: 「タテ社会の人間関係」 ISBN:9784061155053

*3: 「先進国型の働き方へ改めよう」 http://agora-web.jp/archives/1565803.html

*4: 「戦後日本型働き方を改めて、勝負できる人材になろう」 https://shuchi.php.co.jp/the21/detail/4990