青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

223. ノーベル賞LIBと平成30年間の回顧「↑(香港・深セン)と↓(日本)」

リチウムイオン電池(LIB)は「平成元年(1989)にソニーが世界初の上市」を行い、上市から31年を経て「発明者の一人である旭化成/吉野彰さん」のノーベル賞受賞が決定しました。・・平成元年とは、中国の八九六四(天安門事件1989.6.4)の年でもありました。民主化運動で行き場を失った「天安門世代」の方々の中にBYDやCATLを起業した方々がおられました。・・日本の平成30年間は「高度成長エスカレータ世代」( 1935-1949生まれの「焼け跡世代」と「団塊世代 」、戦後復興世代の子供たち ) が担う時代でしたが、会社単位ではユニクロ日本電産などの成長企業は少数事例で、会社の多数事例と日本の政治や行政は「凋落と低迷の時代」でもありました。

  2次電池ともいわれる蓄電池の平成30年間の進化」を振り返りながら、蓄電池産業を通して日本の稼ぐ力の在り方を考察してみます。LIBの進化では、液体LIBに続いてゲルLIB (リチウムポリマー電池)が登場し、今は全個体LIBの実用化が始まっています。ノーベル賞とは40年前の発展の起点となった発見者や発明者への表彰ですが、現実は絶え間なく進化が続き、グローバルな競争が続いています。

  慶大教授の井出栄策氏によると、日本は先進国で「母子家庭の貧困率1位(最悪)」です。生活保護を使わずに働く、母子家庭のお母さんが働く割合がトップであるにもかかわらずです。明らかに「稼ぐ力が薄い会社」ばかりが多くて「賃金が低い会社多い」のです。なのに一方では「税金を扱う統治構造行政仕組み是正改善すべき点があるからです。個人の稼ぐ力会社の稼ぐ力を高め、産業の稼ぐ力も高め、行政の仕組みを改善していかねばなりません。以下、蓄電池を産業として稼ぐ力の潜在力を考察していきます。

  まず二次電池ともいわれる蓄電池ですが、富士経済の調査では、2016年度の世界の蓄電池需要7.88兆円。内、7割LIB2割その他1割25年14.4兆円へと倍増と予測しています。

  次に、車載や産業用の大型電池と、スマホやPCで使われる小型電池に大別すると、矢野経済の調査では、2016年の時点で、自動車・産機用の大型と、スマホなどの小型の需要が、ほぼ半々となり、2017年以降は、大型が小型を上回るようになったそうです。

  大型電池を代表する車載電池(主にニッケル水素電池とLIB)の産業規模をみてみます。2018年度世界生産は 92.5 GWhです。 CATLパナソニック世界の半分を生産しています。出荷量では、首位がCATLで世界生産の1/4、ほぼ同規模での2位がパナソニ ックで世界の1/4、3位 BYD 13%、4位 韓 LG化学 8%、5位 中 AESC 4%、6位 サムスンSDI 3.7%、・・です。5位のAESC( Automotive Energy Supply )は、元々はNECと日産の合弁会社でスタートしましたが、エンビジョン( Envision ) なる中国の再生可能エネルギー会社に80%が譲渡され、今は主要顧客で株主でもある日産の持株20%NECの持株ゼロだそうです。

   リチウムイオン電池(LIB)を発明したのは、今回ノーベル賞を受賞した三名に、米グッドイナフ氏の下にいた東芝の現エグゼクティブフェローの水島公一さんです。今回のノーベル賞受賞と東芝の水島さんによってベースモデルが発明され発表されました。・・・LIBを製品化して実用化したのがソニーです。ソニーが91(平成2)年に「世界初で製品化して市場投入しました。電池事業のトップだった西美緒さんにリードされた

ソニーです。ラミネート型LIBを世界初で世に送り出したエナックスを起業した小沢和典さんも当時のソニーの起業メンバーです。本稿97-2/3 ( 2007-9-8 リチウムイオンでマンガン系 )で前述しました。エナックスはその後、自動車部品のメガサプライヤーである独コンチネンタルや日本の積水化学との協業をして発展しているようです。・・・今回受賞された吉野さんの旭化成は、東芝との合弁(ATバッテリー)で製造販売を開始しました。・・・日本の電池メーカーは、GSユアサ(当時は日本電池と湯浅電池)、日立マクセルパナソニック(当時は松下電池と三洋電機) などが参入しました。・・・TDKは、下術の香港ATLの親会社として、今やIPhone向けLIBの主要サプライヤーですが、当時は電極のみを製造する部材メーカーで、電池メーカーに電極をOEM販売していたと記憶してます。・・・LIBの産業としての発展の様子は、まるでラグビーのようです。「後ろの走者へのパス」と「キック」で、ラインアウトスクラムを交えながら前進していく様子にとても近いものを感じます。

  1995(平成7)年に、今や車載用LIB世界最大手の一角を占める BYD( 比亜迪)深セン起業されました。筆者は翌年に同社関係者から、起業家・創業者のWan Chafu( 王伝福 )さんは確か「豪州の留学から帰国されたお方」と聞いた記憶が残ってます。・・・当時は、ニカド電池を高性能化したニッケル水素電池の成長期で、LIBは導入期でした。筆者/青草新吾は、成長期のニッケル水素電池向けを主力としながらも、導入期のRIB向けの受注を追いかけていました。

  上述のBYD(比亜迪)は、2002年に香港H市場で上場し、2003年に自動車製造に進出し、2008年に世界初PHVを発表し、9月にリーマン破綻直後に、投資家ウォーレンバフェット氏率いる米パークシャハサウェイが出資、12月に世界初でPHVを発売開始しました。BYDは、日本でも2010年に自動車金型でオギハラ館林工場を買収し、2011.6に深センAで上場しました。

  車載LIBの生産量で世界一にのし上ったCATLは、TDK子会社香港ATLから独立したLIBメーカーです。創業者で起業家の Robin Zeng (曾毓群)なるお方が、前職上司の梁少康なるお方と香港でATL ( Amprex Technology )を設立し、2005年TDKに売却して資本を積み上げ、創業メンバーはそのまま車載向けの事業化を進めました。広東省政府の電気自動車プロジェクトに呼応して、2011年に、福建省寧徳市に CATL ( Contenporary Amprex Technology 寧徳 時代 新能源 科技 )を設立し、ATLから車載部門まるごと、技術者や研究者などをそのままCATLに引き連れて、中国政府のEV支援策に乗って急成長を果たし、2018.6に深センマザーズに上場しました。

   平成の30年間を振り返ると、上述の1995(平成7)年は、日本経済がピークアウトして失われた20年へと凋落していった転機の年でした。例えば、1月に阪神大震災、オーム地下鉄サリン事件村山富市首相の中韓向け「反省と謝罪」表明、金融機関の経営破綻、急激な円高で円相場が初の70円台への突入、世界貿易ではGATT廃止とWTO発足での再スタート、等々、凝縮して数年分が重なって起こったような年でした。

  香港民主化デモを見るたびに、BYDATLCATLのように、香港の世界に開かれた窓を使って、天安門世代起業して飛躍していった中国新興産業分野起業家会社を想起します。中国を政治支配するのが毛沢東の真似事に走る習近平(66歳)など紅衛兵世代ですが、イノベーション盛んな新興分野で起業して事業を大きくしてきたのが天安門世代です。民主化運動に関わった方々は就職で苦労しながらもその後に起業した方々も多々おられるようで、電池やITサービスの分野に多いようです。電池やITの例で、上述のCATLのRobin Zeng( 51歳 3割株主 )やHuang Shilin( 黄世霖 1割株主 )、eコマースのアリババを起業したJack Ma( 56歳 馬雲)などの各氏は、民主化運動ピークの天安門事件の頃に20代前半だった方々です。Jack Maは就活で30社から断られたお方だそうです。

  米国と直結した深センエコシステムについては、本稿211 [ 2018-05-02 ( 会社の役目は営利とイノベーション)で前述しました。深センでは、経営機能を分業するインキュベータ(Incubator 起業支援会社)やアクセラレータ( Accerator 成長加速支援会社)に加えて、設計製造機能を分業する ODM (Original Design Manufacturing )や IDH ( Independent Design House ) など、スタートアップや成長事業をサポートするエコシステムが充実しています。・・・深センが発達したことで、香港の機能と役割が相対的に低下していくといわれてきました。がしかし、米中摩擦や、先進各国の対中政策をみていると、潮目が変わって「やっぱり香港がないと」で香港の役割再び高まっていく方向です。最後に、今回のLIBノーベル受賞分野を、ラグビーのようにパスとキックで、この日本でパワフルにつないで前進しながら、稼ぐ力を高めて好社会実現へのエネルギーにしていけそうかどうか?を考察してみます。同じデバイス分野の半導体バイスの歴史的事実が参考になります。

  銘記すべきは、パワー半導体及び、半導体バイス向けの機能材料今でも世界最強であることです。パワー以外のその他の半導体バイスは凋落したのですが・・・。凋落した主な原因は、経営人材の薄さと、日本政府の政策の誤り(対米交渉)に依ります。 ・・・ 反対に、パワー半導体機能材料が個々の会社としても産業としても、今でも世界最強なのはアナログ技術材料技術の広がりと厚みによります。日本は要素技術が豊かで強い。しかし付加価値厚く広くしていくには、本稿214 ( 2018-09-15 変化に強い会社と働き方 )で前述しましたが「強みの要素技術を生かしたシステム技術」を強化していく必要があります。LIBとその産業連関ではどうなっていくのでしょうか??

  筆者/青草新吾は1995年頃に「成長期のニッケル水素電池向けを主力としながらも、導入期のRIB向けの受注を追いかけていました。」と上述しました。日本の電池業界は「総合電池メーカー」が担っていました。ニカド電池ニッケル水素電池は「酸化還元反応を使うアルカリ蓄電池」です。これに対してLIBは「イオン移動を使うイオン電池」です。当時は「連続的な改良」で理解されていましたが、実は「不連続な激変」だったのではないかと、今は考えています。

      イオン電池のリチウムイオン電池( LIB )は、液体LIBの進化でラミネートタイプに代表されるゲルLIB( ポリマーLIB /リチウムポリマー電池 )が登場し、今は全個体LIBが次世代電池として開発の競争下にあります。ゲルLIBではソニー日立マクセルが先行しましたが、全個体電池では、TDK村田製作所が小型電池で先導しています。進化とともに日本勢が再び世界市場で盛り返すか、このまま衰退していくか・・会社の経営者と政治家の力量と働き次第です。

  不連続なイノベーションの特徴であるアウトサイダーの参入に関し、日本のLIBではソニーが参入し、TDKが今や小型(ポータブル)では世界トップグループです。更にソニーは「2017年に電池事業を村田製作所に譲渡」しました。業界の垣根を越えたイノベーションが起こり、産業構造が激変していくのは、半導体バイス電機業界で経験済みで、自動車業界でも始まっています。・・・このような変化の中でも、日本の「部材化された機能材料」と「電子部品」の両産業は、競争力を維持できています。そして日本をより豊かな好社会にしていくには、稼ぐ力もっと厚く広くしていくことが望まれます。・・・個々の会社としては各々「ニッチトップな会社」が増えて、シナジーで「システム化された製品」がもっと増えて「産業連関もっと広がって」いく姿は、まるでラグビーです。「後方へのパス」と「キック」でスクラムラインアウトを交えて戦い、試合が終われば敵味方なく称え合うノーサイドのイメージです。台風直後ですが、本日の「スコットランドx日本」は面白そうです。

  久方ぶりの投稿でしたが、次回は「グローバル化よりも国際化!!」を寄稿します。 

222.米中摩擦の中でも「稼ぐ強い生産財」を考える

3年前の今頃、メディアの多くが「トランプ当選はない」との報道でした。筆者は「違和感を感じた」のですが結果は「トランプ大統領誕生」でした。今回の米中摩擦についても多数派報道のような「拮抗する衝突」ではなくて「パワーバランスの変化。潮流は共産党衰退も含めて大転換。日米中ともにビジネスチャンスが多々」とみます。

  ビジネスチャンスが多々な事業分野は、日本をベースに展開していく上では、どうしても「目の前の見える素材極めていく領域」になると考えますが、後述します。

  2016年の米大統領選では、日本のメディアの殆どが「トランプ大統領ありえず」との報道でした。例外は、木村太郎さんや、筆者/青草新吾が201[ 2016.7.31 英国EU離脱と米国大統領選 ]で引用させてもらった江戸川大学名誉教授の高山眞知子さん(トランプはバカじゃない)などの少数派でした。青草新吾はこの方々の見立ては外れていないと感じました。理由は当時も記載しましたが「米国の潮流が変わりつつある。米国のメディアとインテリの多数派リベラル国際主義への偏りが大きい。日本のメディアはそこからの翻訳を伝えているだけが多いのでは。」と感じていたからです。

  米合衆国は多人種多民族世界の縮小版ですから、幾つかの米国があると考えるとわかりやすいです。世界を席巻した都市部やCNNのリベラルな米国に対する歴史の揺り戻しで「俺がアメリだ」の中西部Foxニュースからの異議申し立てで流れに乗ってせりでてきたのがトランプ大統領といえます。米国の場合は、会社でいえば起業家タイプパワフルなリーダー押し出す社会です。そのことで「回りまわって結局は自分も得をする」という資本主義と自由主義の考え方が根付いているからだと思います。

  中国同様に多民族国家なのですが、米国と違うのは世界の縮小版ではなくて、国というよりも地域です。中国共産党と官僚、一般大衆がばらばらです。中華民国を建国した孫文の嘆き(漢人砂のような民族 )を142 (2009.2.14)で前述しました。中華民国以前は国家というよりはすべて王朝です。米国と中国のリーダーシップの違いと、その時々のリーダーを生み出す潮流の変化を見続ける必要あります。

  中国大陸の歴代の王朝で名君 といわれるのは康熙帝(こうきてい Elhe taifin)など満州族の清が最多で、漢族では漢の起業家の劉邦くらいのようです。満州族は「跡継ぎは親戚から一番優秀な人を選ぶ風習」があって、長男や子供に限定しなかったようで、このあたりは日本企業のキッコーマンサントリートヨタと似ています。

  逆にいうと、中国は、戦後の日本と同様で「優秀な人材を潰す」傾向が強い社会のようです。拮抗する勢力の真空地帯潰されなかった者が生き残って権力を手にする。今の習近平 ( Xi Jinping ) さんもこの類のように感じます。反対に、才覚溢れ出て、潰されてしまったのが薄熙来(はくきらい Bo Xilai)さん・・。何がいいたいかといいますと、習近平さんが毛沢東( Mao Zedong )の真似事をしたりで完全独裁者のようだとの報道が増えているのですが、取材力に乏しい日本のメディアの報道外れていること多しです。実は習近平さんは裸の王様になりつつあり、中国大陸で繰り返されてきた歴史のように、習近平王朝の遠く離れたところでは、様々なパワーが勃興して、共産党ジーピークアウトして分裂衰退の方に向かいだしているのではなかろうか・・そう感じることが増えてきているように思います。米国の潮流が変わって米国が仕掛けだした中国との摩擦で、中国共産党の衰退の潮流がとめどもなく大きくなっていく可能性あり、とみます。もしそうならば、国営企業を中心とした中国の産業も「民」中心に変わっていきます。変化はピンチですがチャンスでもあります。

  ここで本題の「稼ぐ生産財ビジネス」を考えてみます。日本の会社として米中摩擦の中で稼ぎ続ける生産財であるためには、対米と対中の両方で強い競争力を持っていることが必要です。以下で生産財全般を俯瞰してみます。

  生産財ビジネスは「資源活用」が主な領域です。川上からみていきますと、最初は資源エネルギー産業です。資源エネルギーから素材や工業材料、部材や部品など中間財を経て消費財へと付加価値を高めていきます。これらの多段階なサプライチェーン耐久生産財の製造設備も供給されます。

  日本が強いのは「再生資源の回収」です。それまで捨てられていたもの利用できなかたもの資源化する産業モデルです。電子基板から貴金属などの有価値材を回収したりの都市鉱山や、鉱山で捨てられて放置されてきた低品位から精密抽出・精錬はとても強い。世界6位海洋面積を持つ海洋大国としては、東京都の南鳥島の周辺海底のレアアースなど、海底からの採取技術も有望です。米国は石油・ガスをシェール層から採掘する技術が発明されたことで石油ガスのビジネスでイノベーションを起こし、今や世界NO1の産油国になりました。筆者/青草新吾は南鳥島の深海レアアース同様の期待を寄せています。

  これらの資源を工業材料にするのが素材産業や加工産業です。JFEスチール社長の北野嘉久氏が日経2019.6.5付で「中国勢が強いのは、汎用の鋼材。鉄は装置さえ揃えば同じレベルの製品がつくれるほど簡単でない。自動車鋼板は加工ノウハウの固まり。質の高いデータと最新のAIを組合せてリードしていく。」と述べてられましたが、日本の会社が強いのはこの極める制御技術です。装置産業株価で反映されにくかったのは、規模の経済で汎用材も生産しないといけないからです。しかし世界需要が拡大していくことで、汎用材の量への依存度が低下していくことで株価も上がっていくと思います。筆者/青草新吾は、JFEの株主ですが、今や高配当株の有力銘柄入りし、有難い存在です。確か、20年前の日産のゴーン改革で、日産自動車の調達から跳ね飛ばされた当時の日本鋼管川崎製鉄にアプローチして2002年に合併した当時のストーリーを思いだすのですが、日本の会社どん底まで追い込まれると火事場の馬鹿力を発揮するものだとしみじみ感じ入ります。 

  工業材料を部品にするのが部品産業ですが、日本は電子部品、特に回路部品のLRCといわれるコイル(L)・抵抗器(R)・コンデンサ(C)が圧倒的に強い。台韓の追い上げもありますが、高機能な精密部品は日本が数歩リードしているように見えます。強い理由は、例えば村田製作所のように、材料調合加工加工機械もすべて内製しているからです。巨大産業でもなく、こじんまりの巨大でない産業変化も激しくて、そうならざるをえないのですが、結果的には外部からは完全なブラックボックス化が実現できています。その村田製作所高周波領域での事業強化で、2017年にソニーから電池事業を買収し、樹脂多層基板メトロサークを立ち上げました。世界的にも稀な高周波電子部品の総合企業が誕生しつつあるのかもしれません。このあたりは後日にまた投稿します。 

  材料中間財総合してシステム活用するのが耐久生産財FAシステムロボットなどの産業と、耐久消費財自動車などです。この領域も日本には強い会社が揃ってます。・・・FAシステムロボットでは、安川電機が中国の同業へのサーボモータ汎用インバータの販売にも力を入れています。ライバルにもコア部品を供給しながら市場全体の拡大を目指す戦略です。

  中国世界最大の自動車市場にのし上がったのですが、共産党の衰退が潮流にあるならば、この中国の自動車産業を取り巻く力関係も大きく変わっていくことになります。自動車産業の競争力を高めていこうとして、中国では電気自動車(EV)の産業育成を急いでいます。しかしここでパワーバランスが変われば、官が退いて民が前にでてくるようになると、エコカー全般では、日本の自動車会社からの支援必須です。多少の混乱とともにビジネスチャンスが多々でてくるものと期待できます。

  最後に日本の産業の弱点です。広範にシステム化するシステム製品が弱い。216 [ 2008.10.23 ] や 214 [ 2018.9.15 ]、旧くは2006.7.23 [ 米国が強い産業でシステム製品 ] で前述しましたが、学校教育や、国民性や歴史の積み重ねなどからのギャップがあるように思います。まずは日本が強い製品群を複合化させたシステム製品的なものが増えていけばと期待してます。

 

221 令和は「会社組織を活かした自営業的働き方」でより幸福に

  「会社組織を生かせない日本社会」を象徴する産業が漁業です。同じ漁業大国なのに、ノルウェー漁業者の一人当たり生産量は日本の8倍で、平均年収も日本の3-4倍の9百万円、40歳以下の若者が全体の4割で、人気の職業です。この日諾 ( ノルウェー ) 両国の漁業者格差の原因は一言でいえば「ノルウェーの会社組織と、日本の既得権組織の、両者の創造性と生産性の格差」です。日本の既得権組織の構造は「農水省(経営者)>漁業組合(管理職)>漁業者(作業者) 」です。

  「漁業ノルウェーに学べ、農業はオランダに学べ」を、212 [ 2018,7,7 働き方戦後日本型から先進国型へ ] で引用しました。これからの日本にとって食品産業とても有望です。漁業の場合には、加工設備や加工食品用中間財のような生産財で取引される割合は大きくはないのかもしれませんが、商材や事業の競争力の点ではとても参考になります。

   ノルウェーの漁業は「起業家のイノベーティブな創意工夫」」と「事業家の組合せによる事業拡大」が能力発揮を続けている状態です。反対に、日本は「農水省( 管理者 ) >漁業協同組合( 中間管理職 ) >漁業者 (作業者 ) 」といった規制型既得権モデルの典型事例です。174 [ 2010.12.18 農業大国ニッポンへの夢 ]で指摘した「 農水省>農協>農家」の発展を妨げる管理過剰マーケティングなど工夫や朝鮮を阻害する組織の典型事例です。

   新幹線岡山駅の隣接エリアで「海水魚淡水魚同じ水槽の同じ水の中で泳いでいる」のをみて感動したことがあります。岡山理化大学 専門学校アクアリウム学科 研究チーム が発明した古代水( 好適環境水 )だそうです。他にも日経新聞2019.4.2付が報道していた「日本水産日立造船生食サバ陸上養殖を事業家」、近大マグロなど、技術面では期待できること多々あるのに、産業の全体としては規模が大きなだけで貧しくて脆弱で残念日本の水産業・・。活性化していく一番の方法は「資本主義株式会社適正な導入」です。漁業権の再配分資源管理では福岡県の成功事例( 週刊ダイヤモンド 2011.10.8 )もあります、行政も大規模な中央集権から、地域の事情に応じやすい道州制の方がベターです。

  太平洋戦争の敗戦後、生き残った明治・大正・昭和一桁の世代の方々が、戦後復興を成し遂げてくれました。その復興世代の子供世代の「団塊世代を中心とした全共闘ノンポリ世代」には少数派としては、世界レベルで見劣りしない事業家・経営者が多数輩出されています。しかしこの世代の多数派は、大企業病に感染してバブル崩壊以降の競争力低下をもたらした方々が多かったように感じます。大企業病で硬直化し、他人を管理する仕事ばかりが増えた反面ではイノベーションを阻害した側面が強かったからです。

        大企業病とは、オムロン創業者が言い出した日本特有の表現ですが、筆者/青草新吾は、江戸時代以降の閉鎖的タテ序列偏重に、戦後の雇用システムの行き過ぎ( 一括採用・年功序列・終身雇用 から生まれやすい悪平等画一主義)と、世界共通の官僚組織の逆機能が、複雑に絡み合ってもたらされた非効率な会社組織のことだと、経験的にも理解してます。

  失われた20年を象徴する「就職氷河期世代」とは、一括採用と年功序列の犠牲者だったという側面もあります。つまり一括採用で中高年になった団塊全共闘ノンポリ世代の雇用を維持するために、新卒の一括採用を1993年から2004年頃の約10年間も急減させたことで発生したものです。

  金子勝 慶大名誉教授の寄稿によると「日本のGDPは、平成9年 (1997)でピークアウトして停滞し、名目賃金( 現金給与総額 )も同372千円が平成27年(2015)の314千円へと84%に、実質賃金指数でも同年を100とした場合に88.7へと収入が減っている。世帯所得も平成7年( 1995 )の 5,5百万円から平成27年( 2015 )には 4.27百万円へと減少」しています。

  小西美術工藝社の社長/アトキンソン氏は「日本の経営者は、世界4位の優秀な人材を使って、一人当りGDPが世界28位先進国最低の生産性しか生み出せていない。GDP以外でも、日経新聞の報道では、会社のPBR最低賃金勤労者1時間当たりの収入伸び率で、日本だけがマイナスだそうです。稼ぐに追いつく貧乏なしといいますが、日本の会社の稼ぐ力先進国並みに再生することが必要だと感じます。そのためにはイノベーティブな起業家を増やし、事業を大きくする事業家を増やし、安定して成長して事業継続できる経営者を増やしていくことが望まれます。

  神戸大学教授/ 三品和広氏がVOICE2019.5月号で「 日本の経営者の質上げていく必要がある。サラリーマンポスト上りに過ぎないような人が多い。米欧の今の経営者は、若いころから経営者になるため投資と時々のリスクもとってきた能力と実績が図抜けた人が多い。比較すると、今の日本の経営者の報酬高すぎるのではないか」と指摘しておられましたが、筆者/青草慎吾も同感です。

   団塊世代の少数派例外の稀有な例では、日本電産永守重信 創業者( 1944生まれ/ 現74歳 )、ユニクロ柳井正 会長 (1949生まれ/現70歳 )、ライフネット生命創業者で現立命館アジア太平洋の出口治明 学長 ( 1948生まれ/ 現71歳 )等々多数おられますが、若手の起業家も世界的に羽ばたきそうな頼もしい方々が増えてきているような気がします。

           テレビ東京モーニングサテライトあたりからの受け売りですが、慶大発ベンチャーで「タンパク質から作る人工クモ糸」の Spiber 株式会社、紙の代替で「石灰から作るストーンペーパーLIMEX」の 株式会社TBMなど。特にTBMの場合は、34歳で起業したTBM社/ 山崎敦義(のぶよし)氏は中卒。台湾の方から教えてもらったストーンペーパーで輸入から入り、元日本製紙専務の角裕一郎さんと出会って応援メンバーと品質を獲得し、今は伊藤忠DNP凸版三洋化成GoldmanSacksJR東日本スタートアップSBI から1百億円の投資を集めて、事業が本格化するそうです。

  本日は平成最後の日。明日から令和です。平成は、平和であったけれども、起業家事業家、そして訓練された経営者、が足らなくて、政治は政争ばかりで、未熟な資本主義と会社が多くて、明治・大正・昭和一桁の戦後復興世代が残した「世界から賞賛された偉業の遺産」を食いつぶしてしまった感があります。今の日本は、稼ぐ力が弱ってしまったので、格差よりも貧困化が問題です。氷河期世代や母子家庭の苦境を緩和することを急ぐべきです。でないと日本人全員に降りかかってきます。本当に困ってる方々を助けることが結局は自分を助けることにもなります。

  国民全体が豊かになるには、競争で富をもたらす資本主義と、その主要なしくみである会社を正しく機能させて、経済を強くしていくしかありません。働き方と組織の世の趨勢は、20世紀型組織( 階層・規律・統制 )から 21世紀型組織 ( 自立・分散・協調 )へと変化が続きます。働き方も、自営業的となり、収益をもたらすクリエイティブな能力を求められる職業では、目的に応じ離合集散を繰り返すプロジェクト的チーム仕事が増え、そこでは、相互補完でお互いの能力をシェアし合う協調がベースとなってゆきます。明日からの令和は、職業人にとってより良き時代となりますよう・・。

220. 平成の大変化を象徴する関西企業 時価総額で新旧交代

産業政策や民主主義にとって最適の規模といわれる「道州制」の規模にすると「起こっている変化がよく見える」ようになります。全国レベルでは埋もれて見えなかったことも、関西の単位くらいにすると「大きな変化」が見えてきます。時価総額でみると、平成元年(1989)に時価総額が4兆円に達していたのは、パナソニック関西電力の2社のみでした。ところが30年後の今、平成31.3(2019.3)現在では、トップのキーエンスがダントツ1位の8兆円で、これに日本電産任天堂の2社が4兆円超で続きます。

       日本一給与が高い会社キーエンスは、1974に尼崎で創業し、吹田市を経て高槻市で大きく飛躍し、今は新大阪駅の横に本社ビルが1百m越高層でそびえたっています。織田信長が、成長段階に合わせて居城を那古野から清洲を経て小牧へ、岐阜で飛躍し、最後は安土へと移転した発展の歴史と重なります。キーエンス時価総額8.4兆円関西企業としてはダントツ1位です。

         2位に1973創業の日本電産が4.2兆円、3位が花札からゲーム機の市場を開拓した任天堂で4.2兆円。4位がダイキン工業の3.8兆円、同社は業務エアコンから家庭用エアコンを拡大し、グローバル展開で飛躍しました。5位が1944創業の村田製作所で3.7兆円、同社は清水焼から電子部品用セラミックスを市場開拓して発展、6位が京セラの2.5兆円、7位が大和ハウス工業の2.3兆円。

         30年前に首位企業だったパナソニックは8位で2.3兆円。この30年間で3倍増の塩野義製薬が2.2兆円で9位、クボタが11位で2.0兆円、11位に自転車のインテルと称されるシマノが1.7兆円と続きます。

         土から姿を見せたつくしんぼタケノコのように、戦後生まれの小企業世界を相手成長を続けてきてここまできたという明るい変化です。これらの明るい変化も日本全体ではかき消されてしまってます。日本全体は「失われた30年」と「先進国最悪の経済不振」です。しかし独連邦米合衆国のように分権化された州の規模、維新が政策提言する道州制の規模だと、これらの変化がくっきりと見えるようになります。これらの明るい変化を時代の本流に押し上げて行かねばなりません。会社も行政も発展していくための適正規模がありますが、201[2016.7.31]や200[2015.12.31]で前述してますのでこれでとどめておきます。

         日本は、明治・大正・昭和一桁戦後復興世代が残してくれた蓄積を、平成の30年間で、団塊を核とする全共闘ノンポリ世代で食いつぶしてきました。国民の豊かさを示す一人当たりGDP最低賃金給与の伸び、これら全てで先進国最低にまでダウンしてしまいました。戦後の「一括採用・年功序列・ローテーション」に象徴される個人差を無視した一律で画一雇用システムが、価値を生まない「内向き権威主義政治的サラリーマン」の大量輩出を続けたからです。

         LIXILのように持株3%でしかない創業二世が会社まるごとで越権私物化できてしまうような株主不在未熟な株式会社と資本主義が温存されているからです。アトキンソン氏が指摘されておられるように「日本には資質を欠いた経営者が多い。世界4位の勤労者を雇って、先進国最低の世界28位のパフォーマンスしか生み出せていないのはその帰結だ。」はその通りといえます。競争や選抜を経ずに政治的にポストを得る政治的サラリーマンや創業二世が、日本経済の獅子身中の虫といえます。

        人々を豊かにしていくシステムとしては資本主義と株式会社や会社の制度に勝るものはそう見当たりません。新しい価値を生み出せるブルーオーシャン型のリーダー経営者に必要な資質です。日本電産永守創業者は「日本には管理職そのままの経営者みたいな人が多い」とコメントされたことがありますが、筆者/青草新吾は同感です。新しい価値を生み出すのではなくて、他人の労働の成果を吸い上げるだけのような方々は経営者とはいえません。

         米合衆国は資本主義の行き過ぎの弊害もありますが、日本は逆です。未熟なままの資本主義と株式会社の制度、マネジメントの根幹である勤労者の動機づけにまで頭が回らない資質を欠いた経営者や政治家、役人が低迷の主要因だと感じます。価値を生み出す力が弱い日本では「格差よりも貧困化」が問題の本質です。全体を豊かにしていくためには価値を生み出せるリーダーもっと応援し、経営者の本流になってもらう必要があります。

            全体を豊かにしていくには、株主的思考ができる社員、会社に使われるのでなく会社を使う社員・・・が本流になるようなビジネス社会に変えていく必要があると感じます。

 

 

 

 

219.次世代の会社組織や職業への発展と日本再生/ 株主ガバナンスの強化を

20世紀から21世紀へと、ビジネスは「業界別の競争」から「業態別の競争」へ、職業も「AIやロボットが苦手で人間にしかできない職種」へと、会社組織も「計画経済的 中央統制命令型 階層組織」から「市場経済的 多元的自律型 プロジェクト組織やティール組織」へと、「時代に合わせていくための変化」が続きます。このメガトレンドでは、日本の脆弱な部分である「株主ガバナンス」を強化して、日本国民の膨大な株式資産をもっと活かせると、日本国民がより幸福度を高めていく助けになると思います。

  本朝の日経新聞2019.3.16で「伊藤忠デサントに対するTOBが成立」と報道されていましたが、株主ガバナンスの点で日本を良くする動きだと感じました。理由は、とても公正な方法だからです。持株比率51%を取得しての力づくでもぎ取るような経営権強奪ではなくあくまでも持株比率40%ですから、株主間、あるいは株主と経営者との議論が成立します。しかも中立な社外取締役を入れて「株主やステークホルダーの立場から、世間に開かれた常識的な見方を入れる」というとてもフェアな方法です。さすが伊藤忠と感じます。経営者や、持株比率を超えた特定株主過度の越権私物化歪み是正適正化していくよい事例になると期待します。

  米合衆国は資本主義の行き過ぎの弊害がでていますが、日本は逆です。資本の論理未熟なままの日本では、適正を欠いた経営者が跋扈して、株式会社の制度やガバナンスを歪めて、日本経済再生の邪魔をしているように感じます。

  失われた30年は、株式会社に巣食う「資質を欠いたままで政治的にトップに就任した経営者創業家二代目、それらにとりいる政治的サラリーマン」によってガバナンスが歪んで、メガトレンドからぽつんと置いてけぼりになった会社や組織が多いからです。

  日産ではゴーンさんがトップ一任と称して一人で全役員の個別報酬額を決めていたことが問題になりました。がその横で、日経新聞 2019.3.20付の報道では、今回の会社法改正要綱では「トップに一任への規制(新ルール導入)」が見送りで葬られたられたそうです。雇われ経営者が多い経団連などの横やりです。米国の経営者報酬は高額すぎると思いますが、株主への説明をした上でのことです。・・・株式会社後進国の日本固有の事情では、大企業被雇用者団体労働組合など、日本の1-2割日本国民全体を巻き込むような過度の影響力行使したりするのもガバナンスが歪む一因です。

  日本人材機構の小城武彦氏が著書「衰退の法則*1で示したように、環境激変でも衰退しない会社には、適正で公正な人材登用プロセスがあります。同族系会社であっても持続的に発展が続く会社には、必ず競争と選別のプロセスが働いてます。

  例えば、キッコーマン創業八家の中で適正があるお方経営者に推薦されるルールのようですし、トヨタサントリーなども複数の創業家の中からルールに基づいて経営者に推薦されてます。そうでなかった松下電器の場合は「パナソニック人事抗争史」に書かれているように、創業家二世(松下正治氏)以降は、政治的な風土になってしまったからなのか、衰退と回復の浮き沈みの繰り返しです。

  同じ企業犯罪なのに、東芝の旧経営陣逮捕されずに、日産のゴーンさん逮捕されるというチグハグさは、日本のメディア報道政治や行政歪みを象徴していると感じます。2011年のオリンパス事件では、逮捕された菊川会長に役員全員が賛成して、不正を表に出して処理しようとした英国人社長(Michael Woodford)を解任し、全世界に向けてその自浄能力のなさガバナンスの歪みをさらしています。昨年はLIXIL創業家二代目の潮田洋一郎氏が「指名委員会で嘘の説明を行い、説明後にプロ経営者の瀬戸欣哉氏との社長交代を決定し、自身をトップに選出した」(日経3.16)というのが世界中に報道されて「日本では、3%株主でしかない潮田氏なんでそんな専制経営ができるのだ?」とLIXILの大株主の米資産運用会社などが問題視しているそうですが、当然と思います。日本では株式会社制度悪用事例が多々見受けられます。

  なぜこんなことがまかり通るかといえば、株主によるガバナンスまったく機能していないからです。そのような中で、昨年2018.2にUACJが発表した人事に、筆頭株主古河電工がガバナンスに問題ありとの異議申し立てを行い、UACJ修正に追い込まれたのは、株主ガバナンスが働いたまれな事例といえます。

  日本が残念なのは、日本国民のせっかくの個人資産が、死に金寝た金にされていることです。上述の「資質を欠いたままで、政治的にトップに就任した経営者創業家二代目、それらにとりいる政治的サラリーマン」がこの非効率と低生産性の元凶です。例えば、日銀資金循環統計2017.9末では、個人金融資産の中には株式が約198兆円もあります。さらに分解すると上場株107兆円非上場株84兆円です。

  株式会社とは、生産性を競いながら産み出した付加価値分配する仕組であり社会の公器です。多くのステークホルダーが係る社会の公器ですからガバナンスが必要です。株主は、出資金の持分と運用を、株主総会選出した経営者に委任しています。なのに上述のLIXILのように、持株3%でしかない創業家二世が持株比率を超える越権私物化をしたり、東芝オリンパスのように株主に雇われた立場の経営者が、こそこそ目立たぬように自分達にはお手盛りをしながら、一方では、株主への配当や従業員への給与を渋ったり、リストラしたり、株主に不利益を付け回しをしたりなど、ガバナンスの歪み放置されたままでは、回りまわって多くの国民が困ることになります。「国民全体では貧しくなってないか?」という結果になってます。日本の常用雇用の8割を占める資本金10億円以下非公開企業で、かなり見苦しい少数株主抑圧従業員抑圧が発生している実例も多々あるようです。

  弁護士で「少数株主」(幻冬舎)*2の著者でもある牛島信氏が「少数株主が何とかフェアに扱われるようにして、併せて非上場会社にもコーポレートガバナンスしっかりと浸透させることは、日本経済再生の上で重要な課題だ」述べておられることには全くの同感です。

  元気印若者の起業などで目を見張るような事例がありますが、日本全体としては、上述のような歪んだガバナンスによる死蔵金非効率の方が何倍も大きくて、国民にとってせっかくの良い変化かき消されてしまう傾向にあります。

  これら日本を上に押し上げてくれている「若者起業家とこれを支援するシニア伯楽」の輝かしいスタートアップへの注目と応援も必要と思いますので、次回以降は、こちらの経済を押し上げてくれている面々についても、見聞きしたことや自分の考察を記述していきます。

 

*1: 「衰退の法則」 ISBN:9784492533901

*2: 「少数株主」ISBN:9784344428065

218.はてなブログへの移行と世の変化 2019.1.18

  「生産財営業の心技体」の標題で、2006年からはてなダイアリーに投稿してきました。BtoB生産財営業をテーマにしたのは、参考情報が入手しづらい分野だったからです。BtoC消費財分野では広告宣伝の視点からも様々な話題がメディアに登場します。大学のマーケティングの教室も殆どがBtoC消費財分野を題材にしていました。BtoB生産財マーケティングの刊行物は殆どありませんでした。自分が重点的に取り組んできた電子部品や自動車部品を中心に深堀していくためのツールで投稿を続けました。
   BtoB生産財営業を深堀りすればするほど、生産財で価値を生み出して稼ぎ続ける事業経営と、係るステークホルダーの満足度に直結する組織の品質経営の両方が重要であること、そして「ビジネスは時代の変化には勝てないこと」を痛感しました。時代の変化の中で、先人の遺産を受け継いで未来を切り開く「継往開来」への取組です。
   世代論でいえば、英エコノミスト元編集長のビルエモットさんの日経新聞2018.1.11付への寄稿で指摘していた内容は私/青草新吾と全く同意見でした。・・・明治・大正・昭和一桁の方々が戦後復興1970年代前半の二度の危機への見事な対応で世界から賞賛されました。ところが戦後復興世代の子供世代である全共闘世代になると、戦後復興や70年代とは打って変わったバブル崩壊以降の拙劣な対応で、拙劣過ぎて世界中から冷笑を受け、日本の官僚や政治家、大企業経営層に対する国際的な評価がガタ落ちしました。・・・バブル崩壊以降の失われた20年人災とも言われます。明らかに日本の当時の指導層人材ミドル人材劣化によるものです。・・・一般論としては大組織の主流大企業病に感染していたかもしれない全共闘世代ですが、各論では、永守重信さん(1944生)、松本晃さん(1947生)、出口治明さん(1948)、栁井正さん(1949)など、市井をみても素晴らしい例外も多々あります。ですから、指導層が悪ければ悪いなりに国民一人一人、会社の社員一人一人では「どう対処して生きていくかの知恵」が重要になります。
   世の流れが向かう方向を見定めて「正しい努力」をしていく必要があります。筆者/青草新吾の世代は、次世代の皆様をサポートしていく役目もあります。そのための一助でブログに書き留めていこうと思います。
青草新吾 2018.1.18

2018-12-30 217.TPP11で事業の高付加価値化と働き方改革を

本日発効したTPP11は、日本の中堅中小企業、地方企業と勤労者が発展していくインフラとして活用しましょう。働き方を、個人重視の自律分散型に変えて”創造性や革新性が求められる仕事”を担う人材を集め、事業の高付加価値化を進めていきましょう。

TPP11は世界GDP約13%、総人口約5億人の環太平洋地域の自由貿易圏となります。日本政府の試算では、日本のGDP底上げ効果が年7.8兆円、雇用創出効果約460千人だそうです。11カ国に続いて、台湾比国泰王国尼国(インドネシア)などが加わってくれば、環太平洋からインド洋につながる経済圏へと広がっていけます。・・・・TPP11を追いかけて2019.2には世界GDPの2割を占める欧州(EU)との日欧EPAが発効します。この時点で、日本国が参加する自由貿易圏は、世界GDPの約3割貿易総額の約4割となります。・・・・米合衆国はトランプ政権がTPP12から離脱してしまって、TPPは米国を除く11カ国のTPP11になってしまいました。米合衆国とはこのまま日米二国間のEPAでいくとしても、日米EPAを締結すると、日本国は、TPP11を基盤に持つ、EUとのEPA及び米合衆国とのEPA世界GDPの6割をカバーする自由貿易圏への参加国となります。
  戦前の日本は、植民地をベースにした経済圏を持つ欧米からはじき出され大東亜共栄圏へと進んだものの、中国国民党の反発でアジアがまとまることもなく、相手国や周辺国も含めると膨大な犠牲がでました。当時の方々からすると夢のような話だと思います。
  筆者/青草新吾は、TPP11発効は、明治以降の制度疲労、戦後日本型の大企業病型・減点主義サラリーマンの蔓延という、時代に合わなくなった残滓を泥さらいする良いきっかけ、ニッポン改革の大きな機会でもあると考えます。185 [2012.5.6 ]で前述したことですが、地方に元気な中堅中小企業が多い独連邦は見習いたいと考えます・「ドイツ経済の強さは“地方の中堅中小企業国際化の厚み”」、「米国経済の強さも“地方の分厚さ”と“産業の分厚さ”」です。・・・地方が元気なのは、地方に元気な産業が興っているからです。地方で元気な産業を興していく上では、「会社の個人の抜本的関係」を、先進国パターンに変えていく必要があります。戦後日本型大企業病まみれ旧弊管理職文化時代遅れです。日本電産永守重信 創業者氏は「日本には管理職みたいな経営者が多い。日本電産でも使えない大企業出身者が多かった」と述べておられましたが、利権分捕りの権力抗争に走り易い減点主義から加点主義へ、働き方も「アウトプット中心の評価軸」にしていく必要があります。
    東証一部の人材大手アトラエ新居佳英CEOが日経2018.12.28付で「20世紀型組織創造性を欠く高度成長期の日本では指揮命令型の組織がはまりやすかったのだろう。しかし創造性や革新性が求められる仕事では、現場に裁量と責任を任せて判断してもらった方が早いし、精度も高い。・・・社員のエンゲージメント(自発的貢献意欲)さえ高ければ、規模に関係なく社員は能動的・自律的に動く管理・管掌しようとする強すぎるヒエラルキーなどは変えていかないと、そろそろ限界ではないか」と時代の流れを分り易く語ってくれていました。・・・「自律したプロフェッショナル個人とチーム」が増えていけば、日本社会は未来に向かって発展していけます。・・・215[2018.10.23]で前述しましたが 「今の日本人一般で足らないのは“欧米への個人主義への正しい理解、”個人主義孤立主義とは違う似て非なるもの“ということへの理解」だと感じます。
  2018年の回顧。米合衆国のトランプ大統領のお蔭で、利権化した戦後型の国際秩序は、良くも悪しくもガラガラポンが起き始めて、日本国内では、バブル崩壊以降、日本経済を支えてきた自動車産業1百年に一度の大変化の大波と嵐に巻き込まれ始め、一方では、一括採用・年功序列・終身雇用過剰な悪平等に象徴される戦後日本型の雇用システムも崩れ始めています。「自律したプロフェッショナル個人とチームを基盤にした自律分散型の働き方」へと働き方の変化も加速し始めたように感じる今日この頃です。
  来年2019年は、干支(えと)が亥(いのしし)ですが、手短にネットで調べると「巳亥(つちのとい・きがい)の年」で「巳(つちのい)は、これまで繁栄したものへの統制が強まり、」「亥(いのしし)は、新しい生命が閉じ込められている状態」だそうですから、何やらぴったりです。これから起こる大変化に向けて「目先は足元を固めて守りに徹し、一方では新しく起こってくることに対して先読みしながら準備を進めていく」年です。正に大きな時代の転換が始まる年、私たちが新しい時代の流れへの合流を覚悟して新しい時代に向けての行動を徐々に高めていく年です。変化もピンチもチャンスです。皆さん、「臨機応変・随機応変・活機応変」で、チャンスを活かして未来に向かって歩み続けましょう。