青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財営業でイノベーション共創と社会貢献を目指す。

220. 平成の大変化を象徴する関西企業 時価総額で新旧交代

産業政策や民主主義にとって最適の規模といわれる「道州制」の規模にすると「起こっている変化がよく見える」ようになります。全国レベルでは埋もれて見えなかったことも、関西の単位くらいにすると「大きな変化」が見えてきます。時価総額でみると、平成元年(1989)に時価総額が4兆円に達していたのは、パナソニック関西電力の2社のみでした。ところが30年後の今、平成31.3(2019.3)現在では、トップのキーエンスがダントツ1位の8兆円で、これに日本電産任天堂の2社が4兆円超で続きます。

       日本一給与が高い会社キーエンスは、1974に尼崎で創業し、吹田市を経て高槻市で大きく飛躍し、今は新大阪駅の横に本社ビルが1百m越高層でそびえたっています。織田信長が、成長段階に合わせて居城を那古野から清洲を経て小牧へ、岐阜で飛躍し、最後は安土へと移転した発展の歴史と重なります。キーエンス時価総額8.4兆円関西企業としてはダントツ1位です。

         2位に1973創業の日本電産が4.2兆円、3位が花札からゲーム機の市場を開拓した任天堂で4.2兆円。4位がダイキン工業の3.8兆円、同社は業務エアコンから家庭用エアコンを拡大し、グローバル展開で飛躍しました。5位が1944創業の村田製作所で3.7兆円、同社は清水焼から電子部品用セラミックスを市場開拓して発展、6位が京セラの2.5兆円、7位が大和ハウス工業の2.3兆円。

         30年前に首位企業だったパナソニックは8位で2.3兆円。この30年間で3倍増の塩野義製薬が2.2兆円で9位、クボタが11位で2.0兆円、11位に自転車のインテルと称されるシマノが1.7兆円と続きます。

         土から姿を見せたつくしんぼタケノコのように、戦後生まれの小企業世界を相手成長を続けてきてここまできたという明るい変化です。これらの明るい変化も日本全体ではかき消されてしまってます。日本全体は「失われた30年」と「先進国最悪の経済不振」です。しかし独連邦米合衆国のように分権化された州の規模、維新が政策提言する道州制の規模だと、これらの変化がくっきりと見えるようになります。これらの明るい変化を時代の本流に押し上げて行かねばなりません。会社も行政も発展していくための適正規模がありますが、201[2016.7.31]や200[2015.12.31]で前述してますのでこれでとどめておきます。

         日本は、明治・大正・昭和一桁戦後復興世代が残してくれた蓄積を、平成の30年間で、団塊を核とする全共闘ノンポリ世代で食いつぶしてきました。国民の豊かさを示す一人当たりGDP最低賃金給与の伸び、これら全てで先進国最低にまでダウンしてしまいました。戦後の「一括採用・年功序列・ローテーション」に象徴される個人差を無視した一律で画一雇用システムが、価値を生まない「内向き権威主義政治的サラリーマン」の大量輩出を続けたからです。

         LIXILのように持株3%でしかない創業二世が会社まるごとで越権私物化できてしまうような株主不在未熟な株式会社と資本主義が温存されているからです。アトキンソン氏が指摘されておられるように「日本には資質を欠いた経営者が多い。世界4位の勤労者を雇って、先進国最低の世界28位のパフォーマンスしか生み出せていないのはその帰結だ。」はその通りといえます。競争や選抜を経ずに政治的にポストを得る政治的サラリーマンや創業二世が、日本経済の獅子身中の虫といえます。

        人々を豊かにしていくシステムとしては資本主義と株式会社や会社の制度に勝るものはそう見当たりません。新しい価値を生み出せるブルーオーシャン型のリーダー経営者に必要な資質です。日本電産永守創業者は「日本には管理職そのままの経営者みたいな人が多い」とコメントされたことがありますが、筆者/青草新吾は同感です。新しい価値を生み出すのではなくて、他人の労働の成果を吸い上げるだけのような方々は経営者とはいえません。

         米合衆国は資本主義の行き過ぎの弊害もありますが、日本は逆です。未熟なままの資本主義と株式会社の制度、マネジメントの根幹である勤労者の動機づけにまで頭が回らない資質を欠いた経営者や政治家、役人が低迷の主要因だと感じます。価値を生み出す力が弱い日本では「格差よりも貧困化」が問題の本質です。全体を豊かにしていくためには価値を生み出せるリーダーもっと応援し、経営者の本流になってもらう必要があります。

            全体を豊かにしていくには、株主的思考ができる社員、会社に使われるのでなく会社を使う社員・・・が本流になるようなビジネス社会に変えていく必要があると感じます。

 

 

 

 

219.次世代の会社組織や職業への発展と日本再生/ 株主ガバナンスの強化を

20世紀から21世紀へと、ビジネスは「業界別の競争」から「業態別の競争」へ、職業も「AIやロボットが苦手で人間にしかできない職種」へと、会社組織も「計画経済的 中央統制命令型 階層組織」から「市場経済的 多元的自律型 プロジェクト組織やティール組織」へと、「時代に合わせていくための変化」が続きます。このメガトレンドでは、日本の脆弱な部分である「株主ガバナンス」を強化して、日本国民の膨大な株式資産をもっと活かせると、日本国民がより幸福度を高めていく助けになると思います。

  本朝の日経新聞2019.3.16で「伊藤忠デサントに対するTOBが成立」と報道されていましたが、株主ガバナンスの点で日本を良くする動きだと感じました。理由は、とても公正な方法だからです。持株比率51%を取得しての力づくでもぎ取るような経営権強奪ではなくあくまでも持株比率40%ですから、株主間、あるいは株主と経営者との議論が成立します。しかも中立な社外取締役を入れて「株主やステークホルダーの立場から、世間に開かれた常識的な見方を入れる」というとてもフェアな方法です。さすが伊藤忠と感じます。経営者や、持株比率を超えた特定株主過度の越権私物化歪み是正適正化していくよい事例になると期待します。

  米合衆国は資本主義の行き過ぎの弊害がでていますが、日本は逆です。資本の論理未熟なままの日本では、適正を欠いた経営者が跋扈して、株式会社の制度やガバナンスを歪めて、日本経済再生の邪魔をしているように感じます。

  失われた30年は、株式会社に巣食う「資質を欠いたままで政治的にトップに就任した経営者創業家二代目、それらにとりいる政治的サラリーマン」によってガバナンスが歪んで、メガトレンドからぽつんと置いてけぼりになった会社や組織が多いからです。

  日産ではゴーンさんがトップ一任と称して一人で全役員の個別報酬額を決めていたことが問題になりました。がその横で、日経新聞 2019.3.20付の報道では、今回の会社法改正要綱では「トップに一任への規制(新ルール導入)」が見送りで葬られたられたそうです。雇われ経営者が多い経団連などの横やりです。米国の経営者報酬は高額すぎると思いますが、株主への説明をした上でのことです。・・・株式会社後進国の日本固有の事情では、大企業被雇用者団体労働組合など、日本の1-2割日本国民全体を巻き込むような過度の影響力行使したりするのもガバナンスが歪む一因です。

  日本人材機構の小城武彦氏が著書「衰退の法則*1で示したように、環境激変でも衰退しない会社には、適正で公正な人材登用プロセスがあります。同族系会社であっても持続的に発展が続く会社には、必ず競争と選別のプロセスが働いてます。

  例えば、キッコーマン創業八家の中で適正があるお方経営者に推薦されるルールのようですし、トヨタサントリーなども複数の創業家の中からルールに基づいて経営者に推薦されてます。そうでなかった松下電器の場合は「パナソニック人事抗争史」に書かれているように、創業家二世(松下正治氏)以降は、政治的な風土になってしまったからなのか、衰退と回復の浮き沈みの繰り返しです。

  同じ企業犯罪なのに、東芝の旧経営陣逮捕されずに、日産のゴーンさん逮捕されるというチグハグさは、日本のメディア報道政治や行政歪みを象徴していると感じます。2011年のオリンパス事件では、逮捕された菊川会長に役員全員が賛成して、不正を表に出して処理しようとした英国人社長(Michael Woodford)を解任し、全世界に向けてその自浄能力のなさガバナンスの歪みをさらしています。昨年はLIXIL創業家二代目の潮田洋一郎氏が「指名委員会で嘘の説明を行い、説明後にプロ経営者の瀬戸欣哉氏との社長交代を決定し、自身をトップに選出した」(日経3.16)というのが世界中に報道されて「日本では、3%株主でしかない潮田氏なんでそんな専制経営ができるのだ?」とLIXILの大株主の米資産運用会社などが問題視しているそうですが、当然と思います。日本では株式会社制度悪用事例が多々見受けられます。

  なぜこんなことがまかり通るかといえば、株主によるガバナンスまったく機能していないからです。そのような中で、昨年2018.2にUACJが発表した人事に、筆頭株主古河電工がガバナンスに問題ありとの異議申し立てを行い、UACJ修正に追い込まれたのは、株主ガバナンスが働いたまれな事例といえます。

  日本が残念なのは、日本国民のせっかくの個人資産が、死に金寝た金にされていることです。上述の「資質を欠いたままで、政治的にトップに就任した経営者創業家二代目、それらにとりいる政治的サラリーマン」がこの非効率と低生産性の元凶です。例えば、日銀資金循環統計2017.9末では、個人金融資産の中には株式が約198兆円もあります。さらに分解すると上場株107兆円非上場株84兆円です。

  株式会社とは、生産性を競いながら産み出した付加価値分配する仕組であり社会の公器です。多くのステークホルダーが係る社会の公器ですからガバナンスが必要です。株主は、出資金の持分と運用を、株主総会選出した経営者に委任しています。なのに上述のLIXILのように、持株3%でしかない創業家二世が持株比率を超える越権私物化をしたり、東芝オリンパスのように株主に雇われた立場の経営者が、こそこそ目立たぬように自分達にはお手盛りをしながら、一方では、株主への配当や従業員への給与を渋ったり、リストラしたり、株主に不利益を付け回しをしたりなど、ガバナンスの歪み放置されたままでは、回りまわって多くの国民が困ることになります。「国民全体では貧しくなってないか?」という結果になってます。日本の常用雇用の8割を占める資本金10億円以下非公開企業で、かなり見苦しい少数株主抑圧従業員抑圧が発生している実例も多々あるようです。

  弁護士で「少数株主」(幻冬舎)*2の著者でもある牛島信氏が「少数株主が何とかフェアに扱われるようにして、併せて非上場会社にもコーポレートガバナンスしっかりと浸透させることは、日本経済再生の上で重要な課題だ」述べておられることには全くの同感です。

  元気印若者の起業などで目を見張るような事例がありますが、日本全体としては、上述のような歪んだガバナンスによる死蔵金非効率の方が何倍も大きくて、国民にとってせっかくの良い変化かき消されてしまう傾向にあります。

  これら日本を上に押し上げてくれている「若者起業家とこれを支援するシニア伯楽」の輝かしいスタートアップへの注目と応援も必要と思いますので、次回以降は、こちらの経済を押し上げてくれている面々についても、見聞きしたことや自分の考察を記述していきます。

 

*1: 「衰退の法則」 ISBN:9784492533901

*2: 「少数株主」ISBN:9784344428065

218.はてなブログへの移行と世の変化 2019.1.18

  「生産財営業の心技体」の標題で、2006年からはてなダイアリーに投稿してきました。BtoB生産財営業をテーマにしたのは、参考情報が入手しづらい分野だったからです。BtoC消費財分野では広告宣伝の視点からも様々な話題がメディアに登場します。大学のマーケティングの教室も殆どがBtoC消費財分野を題材にしていました。BtoB生産財マーケティングの刊行物は殆どありませんでした。自分が重点的に取り組んできた電子部品や自動車部品を中心に深堀していくためのツールで投稿を続けました。
   BtoB生産財営業を深堀りすればするほど、生産財で価値を生み出して稼ぎ続ける事業経営と、係るステークホルダーの満足度に直結する組織の品質経営の両方が重要であること、そして「ビジネスは時代の変化には勝てないこと」を痛感しました。時代の変化の中で、先人の遺産を受け継いで未来を切り開く「継往開来」への取組です。
   世代論でいえば、英エコノミスト元編集長のビルエモットさんの日経新聞2018.1.11付への寄稿で指摘していた内容は私/青草新吾と全く同意見でした。・・・明治・大正・昭和一桁の方々が戦後復興1970年代前半の二度の危機への見事な対応で世界から賞賛されました。ところが戦後復興世代の子供世代である全共闘世代になると、戦後復興や70年代とは打って変わったバブル崩壊以降の拙劣な対応で、拙劣過ぎて世界中から冷笑を受け、日本の官僚や政治家、大企業経営層に対する国際的な評価がガタ落ちしました。・・・バブル崩壊以降の失われた20年人災とも言われます。明らかに日本の当時の指導層人材ミドル人材劣化によるものです。・・・一般論としては大組織の主流大企業病に感染していたかもしれない全共闘世代ですが、各論では、永守重信さん(1944生)、松本晃さん(1947生)、出口治明さん(1948)、栁井正さん(1949)など、市井をみても素晴らしい例外も多々あります。ですから、指導層が悪ければ悪いなりに国民一人一人、会社の社員一人一人では「どう対処して生きていくかの知恵」が重要になります。
   世の流れが向かう方向を見定めて「正しい努力」をしていく必要があります。筆者/青草新吾の世代は、次世代の皆様をサポートしていく役目もあります。そのための一助でブログに書き留めていこうと思います。
青草新吾 2018.1.18

2018-12-30 217.TPP11で事業の高付加価値化と働き方改革を

本日発効したTPP11は、日本の中堅中小企業、地方企業と勤労者が発展していくインフラとして活用しましょう。働き方を、個人重視の自律分散型に変えて”創造性や革新性が求められる仕事”を担う人材を集め、事業の高付加価値化を進めていきましょう。

TPP11は世界GDP約13%、総人口約5億人の環太平洋地域の自由貿易圏となります。日本政府の試算では、日本のGDP底上げ効果が年7.8兆円、雇用創出効果約460千人だそうです。11カ国に続いて、台湾比国泰王国尼国(インドネシア)などが加わってくれば、環太平洋からインド洋につながる経済圏へと広がっていけます。・・・・TPP11を追いかけて2019.2には世界GDPの2割を占める欧州(EU)との日欧EPAが発効します。この時点で、日本国が参加する自由貿易圏は、世界GDPの約3割貿易総額の約4割となります。・・・・米合衆国はトランプ政権がTPP12から離脱してしまって、TPPは米国を除く11カ国のTPP11になってしまいました。米合衆国とはこのまま日米二国間のEPAでいくとしても、日米EPAを締結すると、日本国は、TPP11を基盤に持つ、EUとのEPA及び米合衆国とのEPA世界GDPの6割をカバーする自由貿易圏への参加国となります。
  戦前の日本は、植民地をベースにした経済圏を持つ欧米からはじき出され大東亜共栄圏へと進んだものの、中国国民党の反発でアジアがまとまることもなく、相手国や周辺国も含めると膨大な犠牲がでました。当時の方々からすると夢のような話だと思います。
  筆者/青草新吾は、TPP11発効は、明治以降の制度疲労、戦後日本型の大企業病型・減点主義サラリーマンの蔓延という、時代に合わなくなった残滓を泥さらいする良いきっかけ、ニッポン改革の大きな機会でもあると考えます。185 [2012.5.6 ]で前述したことですが、地方に元気な中堅中小企業が多い独連邦は見習いたいと考えます・「ドイツ経済の強さは“地方の中堅中小企業国際化の厚み”」、「米国経済の強さも“地方の分厚さ”と“産業の分厚さ”」です。・・・地方が元気なのは、地方に元気な産業が興っているからです。地方で元気な産業を興していく上では、「会社の個人の抜本的関係」を、先進国パターンに変えていく必要があります。戦後日本型大企業病まみれ旧弊管理職文化時代遅れです。日本電産永守重信 創業者氏は「日本には管理職みたいな経営者が多い。日本電産でも使えない大企業出身者が多かった」と述べておられましたが、利権分捕りの権力抗争に走り易い減点主義から加点主義へ、働き方も「アウトプット中心の評価軸」にしていく必要があります。
    東証一部の人材大手アトラエ新居佳英CEOが日経2018.12.28付で「20世紀型組織創造性を欠く高度成長期の日本では指揮命令型の組織がはまりやすかったのだろう。しかし創造性や革新性が求められる仕事では、現場に裁量と責任を任せて判断してもらった方が早いし、精度も高い。・・・社員のエンゲージメント(自発的貢献意欲)さえ高ければ、規模に関係なく社員は能動的・自律的に動く管理・管掌しようとする強すぎるヒエラルキーなどは変えていかないと、そろそろ限界ではないか」と時代の流れを分り易く語ってくれていました。・・・「自律したプロフェッショナル個人とチーム」が増えていけば、日本社会は未来に向かって発展していけます。・・・215[2018.10.23]で前述しましたが 「今の日本人一般で足らないのは“欧米への個人主義への正しい理解、”個人主義孤立主義とは違う似て非なるもの“ということへの理解」だと感じます。
  2018年の回顧。米合衆国のトランプ大統領のお蔭で、利権化した戦後型の国際秩序は、良くも悪しくもガラガラポンが起き始めて、日本国内では、バブル崩壊以降、日本経済を支えてきた自動車産業1百年に一度の大変化の大波と嵐に巻き込まれ始め、一方では、一括採用・年功序列・終身雇用過剰な悪平等に象徴される戦後日本型の雇用システムも崩れ始めています。「自律したプロフェッショナル個人とチームを基盤にした自律分散型の働き方」へと働き方の変化も加速し始めたように感じる今日この頃です。
  来年2019年は、干支(えと)が亥(いのしし)ですが、手短にネットで調べると「巳亥(つちのとい・きがい)の年」で「巳(つちのい)は、これまで繁栄したものへの統制が強まり、」「亥(いのしし)は、新しい生命が閉じ込められている状態」だそうですから、何やらぴったりです。これから起こる大変化に向けて「目先は足元を固めて守りに徹し、一方では新しく起こってくることに対して先読みしながら準備を進めていく」年です。正に大きな時代の転換が始まる年、私たちが新しい時代の流れへの合流を覚悟して新しい時代に向けての行動を徐々に高めていく年です。変化もピンチもチャンスです。皆さん、「臨機応変・随機応変・活機応変」で、チャンスを活かして未来に向かって歩み続けましょう。

2018-11-15 216.ハイテク製造業の米中「大競争」と人生100年時代

米中貿易戦争は国力を競う“米国側の「強固な製造業基盤の国内構築」と中国共産党の「製造業2025」の衝突”です。実力は米合衆国が圧倒的ですが、生産財営業の視点からは製造業や商社・物流業の未来を先読みしながら、自分の付加価値を高めることで次世代をサポートしていく人生100年計画が望まれます。

  日産のゴーン会長の逮捕(2018.11.19)はショッキングな出来事でした。1999.10の日産リバイバルプランの発表を、筆者/青草新吾は銀座近くの宿泊先のテレビで見て感動した記憶があります。対話型リーダーの代表格だったゴーンさんが、権力の頂点に立って人格が変質し、側近に囲まれた独裁の専横リーダーに腐っていたことが本当ならば驚きです。「絶対権力は腐敗する」「魚も組織も頭から腐る」は真理だと痛感しました。・・・組織の大小を問わず、組織トップのガバナンスの適正の確保こそは、持続的な発展の肝であると感じます。本題に入ります。
  筆者/青草新吾は、マスコミ用語の貿易戦争という言葉は多くの誤解を招く不適切な用語だと感じます。正しくは「米国が仕掛けた力比べパワーゲーム(力比べ競争)」という表現が事実に近いと思います。・・・国家政策の点では、仏国マクロン大統領の「生産国としての復活」も、米合衆国トランプ大統領の「米国第一」もともに「付加価値と従業員所得が高い製造業の生産自国生産比率高める」との政策目標が共通しています。これに米国の場合は共和党民主党の共通認識として「中国共産党の本質は高度技術の略奪的な取得に代表される。米国は中国共産党に騙されてきた。これ以上はもう騙されない。」という見方が米国世論の主流になりつつあるようです。
  米国トランプ政権がしかけた米中パワーゲーム(力比べ競争/強い合衆国を目指す“戦略通商政策”)の根幹は、米合衆国が国力と軍事力を支えるハイテク製造業の基盤再強化して、これ以上は中国共産党の独善的な台頭許さないというものです。その根底にあるのは、あるいは通底するのは、これまでよいこととされてきたリベラル国際主義グローバリズムの行き過ぎに対する揺り戻しです。
  2016年の米国大統領選では、多くのメディアがトランプ大統領が誕生することはないとの報道をしていましたが、筆者/青草新吾は「可能性あり」と感じ、201[ 2016.7 英国EU離脱と米国大統領選でニッポンこれから]でその根拠を列記しました。一言でいえば、米合衆国・民主党のリベラル国際主義の流れ、第28代ウィルソン大統領(1913-1921)に始まり、特に第32代ローズヴェルト大統領(1922-1945)で加速した“リベラル国際主義の行き過ぎ”に対する小さな政府共和党支持層からの揺り戻しを強く感じていたからです。・・・203[2016.12.30]で、良いこととされてきたグローバリズム言論の自由を奪ってきたポリティカルコレクトネス(日本流で言えば「言葉狩り」)に対して、懐疑的な米国民増えていることを記載しました。
  トランプ大統領が米国を分裂させたのではなく、分裂した流れ片方から政治マーケティングが上手トランプ大統領岩盤支持層を獲得したのだと考えます。・・・トランプ政権は、米国内でポリティカルコレクトネスを打ち破り、中国が悪用しだした国連の制約も打ち破ってしまいました。そのうえで中国との大競争(冷戦)を始めたと考えると、今のトレンドと近未来(「すでに起こった未来」PFドラッカー)が分り易くなります。
  拓殖大学教授の富坂聡(とみさかさとし)氏はVOICE2018.10で「米合衆国の圧倒的な技術優位を崩そうというような“目標を立てるな。許さない。”という警告を発すること」との見立てを示しておられます。また丸三証券経済調査部長の安達誠司氏は「株価は米中貿易戦争の結果を予見するように、中国に近い独連邦韓国株価大きく下落し、米国に近い日本インド株価小幅下落に止まっている。・・・今回のトランプ政権による対中貿易戦争は“(知財の侵害や窃盗など中国が)自由貿易体制にただ乗りして産業構造の高度化をはかるのは許さない”との中長期的な戦略ではないかと考える。戦前の大恐慌後にみられた保護貿易主義とは様相が異なるのではなかろうか。」と寄稿しておられました。・・・ハドソン研究所の日高義樹氏は、トランプ政権三つの政策発動が決定的に不利な立場に中国共産党を追い込んだとして紹介していました。一つは、中国の国営企業の米進出を禁止したこと。二つ目は、対米投資監視委員会を設置して、中国企業の米国進出への監視を強化したこと。日本のLIXILはこれで米国子会社の中国企業への売却を却下されたようです。三つ目が、WTOの上級委員会7名の再任で、中国系3名の再任を認めず、中国に有利な決定ができないようにしてしまったこと。以上三つです。これら方針に従って「商務省は外国の技術を盗んでつくられた中国の新幹線関わりあった企業米国から締め出すことを決定した。財務省は“中国ZTEが対イラン禁輸協定に違反した疑い”で、STEへの制裁措置をとった。」と起こった事実を説明していました。・・・世界経済のシステム大きく変わっていく中では、私たちが係る産業の姿も変わっていかざるを得ません。
  日立製作所社長の東原敏昭氏は日経新聞2018.10.14付で「(今のままの)製造業はなくなる」とのタイトルで掲載しました。久原房乃介が開いた日立鉱山(明治38/1905)の電機技師/小平浪平が大正7に独立した日立製作所は、その後に鮎川義介が起業した戸畑鋳物(現日立金属、明治43/1910)と合流して鮎川義介日産コンツエルンの一員となり、戦後は大きく発展して今日に至ります。時代の大変化の中で生き抜いて発展した歴史を背負うだけあって、時代の変化に真剣に対応していける代表的な会社と思います。
  米国に亡命した資産家/郭文貴氏は、中国高官のスキャンダルを告発したことで、中国共産党から国際指名手配されているお方です。事実に基づく判断をベースに実に公平な世界観をお持ちです。実に的確な日本向けのアドバイスを行っています。曰く「日本の国民非常にかわいそうな目にあうことになってしまった。近年の日本は、金融の分野で世界で最も失敗した国家である。日本は過去数十年にわたる財産をいつの間にか使い果たしてしまったが、これは本当に深刻な失敗であった。・・・・今、日本が改革すべきは、進歩を阻害する社会の保守性であろう。中国人は日本人から多くのものを学ぶべきだが、逆に日本人が中国人から学ぶべきものもある。それは“大局的な国際感覚”だ。ローカルな殻に閉じこもり、進取の気風を失って思考が硬直したことが、かって世界に冠たる水準を誇った日本の戦略的優位性を失わせることになっている。・・・もっと国際的にイニシアチヴを発揮して世界の潮流をリードする国家になって欲しい。日本は世界で最も優秀な民度を持つ国民を要している国家だ。努力家礼儀正しく、政府に迷惑をかけない日本人の民度は世界で最も尊敬されている。日本のいちばんの財産だろう。この良好なイメージをもっと戦略的に利用して欲しい。」とSAPIO2018.(7.8)に寄稿しておられました。有難いアドバイスです。
  上述の資産家/郭文貴氏が指摘されておられる「本当に深刻な日本の失敗」であった「過去数十年にわたる財産をいつの間にか使い果たしてしまったこと」では、戦後の1946-1950頃生まれ団塊世代を抜きには語れません。・・・江戸時代以降の閉鎖社会の序列重視のタテ社会に、戦後の“勘違いの民主主義”などが重なった戦後「日本型大企業病に染め抜かれた方々」と「バブル崩壊以降の失われた20年」は重なっています。
  戦後復興は、戦争で多くの犠牲者を出した明治・大正・昭和一桁の世代の方々が、成し遂げてくれました。その遺産を食いつぶしたのが、その後に続いた1947-1950生まれの団塊世代といえなくもありません。・・・もちろん実にイノベーティブで新しい価値を世に提供してくれた方々もおられます。例えば、京都大学団塊世代では、1947生まれで松本晃さんのように、伊藤忠出身ジョンソンエンドジョンソンの飛躍的成長をリードし、カルビーでは改革で8期連続の増収増益をリードされたお方や、1948生まれ出口治明さんのように、60才を目前にライフネットを起業されて、今は立命館アジア太平洋大学の学長に就任されるような、とてもイノベーティブで素晴らしい方々がおられます。同時にパワフルな全共闘活動家1945生まれ奥平剛士1948生まれ上野千鶴子さんのような面々もおられます。・・・筆者/青草新吾は、団塊の世代に続く1955前後生まれの団塊に続く世代です。振り返ってみると、団塊世代の多くは戦後日本型の大企業病に染め上げられてしまった方が他の世代よりも多かったように思います。・・・上述の亡命資産家/郭文貴氏が指摘するところの「現状維持的で、大局観を欠いた硬直思考の日本人」の固まりのような方々が多い世代だったように思います。社畜という言葉も団塊世代の頃に流行ったことばです。・・・働き方改革で一番大切なのは、団塊世代以降、日本社会に染みついている硬直的な思考を改めて、画一的でない一人一人の事情も加味して仕事のオーナーシップを持って働ける環境を整備することで、一人一人の生産性高めていくことだと考えます。
  「稼ぐ力」すなわち生産性ですが、原動力は「新陳代謝」すなわちイノベーションリノベーションです。日本人はどちらかというと現場に近い狭い領域でのリノベーションが得意な企業家が目立ちますが、ユダヤアングロ系は、ブラックホールのよう周囲を巻き込んでしまうようなイノベーションが得意な企業家が目立ちます。・・・イノベーションのエンジンはリーダー人材その協働者で「ひと」です。優秀なリーダーが引っ張る高生産性・高賃金の会社へと事業と雇用集約していくことで、最大多数の最大幸福へと近づきます。そのような大きなトレンドの中で、個人はどのように職業人として役に立って報酬を得ていくか・・。
  企業とは個人事業を含む経済活動の単位です。企業の内訳で「営利法人会社」といいます。その営利法人の会社にはローカルな地域密着営業型グローバル営業型に二分できます。今の時代は、グローバル営業型であれ、地域密着型営業であれ、グローカル視点と思考が不可欠です。そのうえで論考を進めてみます。
  ローカル密着型は、規模よりも密度の経済が肝です。セブンイレブンの事業モデルは正に、特定地域で集中出店することで物流費などの共有コストを低減し、さらに範囲の経済で、同じ店舗で多くの売れ筋製品を並べることで共有コストを低減させて稼ぐ力を高めるモデルそのものです。・・・ここでは大都市やコンパクトシティが基盤となります。この領域でキャリアを積み上げていく方々は、業態や業種、製品や地域などの専門性を磨き続けていくことになります。
  グローバル営業型は、規模の経済で、同一製品のボリュームアップ共有コストを低減させて生産性を高めていく場合に効果を発揮します。この領域でキャリアを積み重ねていこうとすると、共通基盤は、外国語異文化対応力、マネージャークラスだと、全地球的なグローバルなセンスも必要です。それらの共通基盤の上で、特定地域貿易と物流製品やサービスなどの専門性に磨きをかけていくことになります。

2018-10-23 215.公正公平守る告発や投票 不正権力退治

「もはや内部告発しか改善の手が残されていない」と立ち上がった現場の方々のお蔭で、神戸製鋼や三菱マテ、先週からのKYBなどは「やり直しと健全な会社に回復する機会」を得ました。この「組織をあげて改善に向けて動きだせる」ところが、内向き利権組織の「相撲協会NHK」との違いです。両者のガバナンスの違いは「お客や社会への畏(おそ)れの程度」だと思います。

  オリンパスで2011年、巨額不正を明らかにしようとして解任されてしまった英国人の元社長/マイケル・ウッドフォード氏が「日本社会は、尊敬するサムライと、その反対の愚か者両極端に分かれてしまう。なぜか?」と嘆いたのは象徴的でした。2011年に、情報誌FACTAの記事(「オリンパス経営陣の不正」)をみて調査を始めたウッドフォード社長を追い込んで解任したのは、不正を行った菊川会長らの前経営陣でした。不正を行っていた菊川前会長らは元英国人社長を解任した理由で「この英国人社長は、独断専横的で日本の企業風土を理解していない」などと、癒着メディアを使って人格攻撃まで広めていましたが、2012年に逮捕されました。・・・菊川会長らが逮捕されるまでの加害者が被害者をいびりだすプロセスは、被害者側である貴乃花親方が相撲協会からいびりだされた一連のプロセスとよく似ています。・・・オリンパス相撲協会違いは、オリンパス事件では、外部の所管官庁などガバナンスの最後の砦が機能して加害者が逮捕され、相撲協会の暴行傷害事件では外部からのガバナンスが利かないで加害者が厚遇され、被害者が追い込まれていったことです。・・・会社であれ、公益法人であれ、日本型組織が背負う脆弱な部分は、本稿の後半で掘り下げてみたいと思います。その前に生産財営業に係るトピックスを幾つか列記させてもらいます。
  1989年のベルリンの壁崩壊東西冷戦終結に始まるグローバル化、日本では1991年のバブル崩壊、2000年頃からのインターネットの発展で、大きな会社も揉みくちゃにされながら変身しながら生き残ってきています。その中にイトマン・住銀事件日鐵住金物産があります。この時代のとても象徴的な事例です。
  繊維分野の名門商社イトマンは、1990年の日経新聞の報道で、住友銀行を巻き込んだイトマン事件が起こりました。内部告発住友銀行取締役の國重惇史(くにしげあつし)は「住友銀行秘史*1を上梓したので、より分り易くなりました。さすがに人材豊富な住友銀行イトマンでした。内部告発のお蔭で腐った頭が差し替えられ、路線が軌道修正され、1993年にイトマン住金物産が買収しました。イトマンの商号は110年の歴史に幕をおろしましたが、事業を継続できたことで、イトマンで育ったプロ社員の方々は移籍先の住金物産で事業を発展させていきました。・・・2013年には住金物産日鐵商事が合併し、日鐵住金物産へと巨大化し、さらに三井物産からの事業譲渡も受けて、4月から日鉄物産に商号を変更するそうです。イトマンからの繊維事業は「メーカー型商社」としてOEMメーカー事業で発展を続けてきているそうです。そしてこれからはODM事業の機能を高めていくそうです。世界のアパレル産業の規模180兆円くらいとのことですから、アパレル産業は自動車産業並みの規模といえます。
   テレ東BSのモーニングプラスで赤羽高(たかし)なる東海東京証券のアナリストがヘルスケア分野の解説をしていました。その中で医療手術ロボットでは、本稿214[ 2018.9.15 ]で早大の木村秀紀さんの「世界トップの要素技術がそろっているのにシステム製品がない事例が手術ロボット」を紹介しましたが、赤羽さんの説明では「ダビンチや、川重とシスメックスの協業が頑張ってる」そうです。本庶佑(ほんじょたすく)京大特別教授のノーベル賞受賞に象徴されますが、がんの分野日本がとても強いそうです。特に放射線では陽子線重粒子などでは世界の半分くらいのイメージでダントツとのことでした。
  自動車産業は、CASE(Connected /Autonomous /Shared /Electric)に向かった流れがどんどん強く広く大きくなっています。生産規模は、ビジネス+IT Magazine なる出版物(vol.31)でまとめてくれていましたので以下引用します。1位の独VW10.1百万台、2位のトヨタ9.9百万台、3位ルノー日産8.5百万台、4位現代自8.1百万台、5位の米GM7.9百万台、6位の米フォード6.3百万台、7位本田4.9百万台、8位がフィアットクライスラー4.9百万台、9位が仏PSA3.2百万台、10位スズキ2.8百万台。・・・VWナチス政権下の国策会社でスタートしたが、今はポルシェ家とピエヒ家の両家が支配株主で、ポルシェやアウディもグループ入りしており、英のベントレーや伊のバイク/ドゥカティもグループ入りしているようです。・・・米国勢は、GMがスバル、いすゞ、スズキ、スエーデンのサーブといったグループ会社の株をすべて売却、6位のフォードも、マツダ、英ジャガーと英ランドローバー、スエーデンのボルボを株を手放し、経営破たんしたクライスラーは、ランチアアルファロメオフェラーリ、マセラッティを傘下に持つフィアット経営統合し、フィアットクライスラーとして上位進出を目指しているようです。
よくEVハイブリッドかという議論がみられますが、単純な素人メディアの二分法では間違うので、以下で整理してみます。・・・バッテリー重たいコストも高いので長距離に不向きです。バッテリーとモーターだけのピュアEVは通勤用や近距離向きです。長距離だと、日産ノートのようなエンジンで発電してEV走行するシリーズハイブリッドプラグインハイブリッドは近距離をEV走行しバッテリー容量を超えるような長距離を内燃機関走行できます。プリウスのようなハイブリッドEV内燃機関電動モーター適宜で使い分けして長距離走行できます。
  燃料電池はバッテリーではなくて発電機ですから、発電機を搭載した電動車ということでは日産ノートと同じです。発電機がガソリンエンジンでなく燃料電池ですから、ガソリンの代わりに燃料の水素を充填する必要があります。・・・中国でも「2030頃燃料電池が本命」といわれています。電波新聞2018.9.27で「チャイナデイリーは“2030に全販売台数の30%が電動車両。電動車両普及の課題はその時点の燃料電池の耐久性能次第”との専門家の説明を紹介」と報道していました。
  続いて日本型組織の脆弱性に話を戻します。「日本社会は、尊敬するサムライと、その反対の愚か者に、どうしてこうも両極端に分かれてしまうのか」との元英国人社長の嘆きを上で紹介しました。筆者/青草新吾は、英国人ならではの実に的を得た嘆きだと感じ入ります。・・・筆者/青草新吾は、土井健朗(たけお)さんの名著「甘えの構造*2と、東大初の女性教授/中根千枝さんの「タテ社会の人間関係*3で多くが分析されていると感じます。
  日本社会は「組織トップ甘えている人が多い」という特徴があります。欧米社会や大陸チャイナ(支那/中国)の社会との違いです。精神科医土井健郎さんは1971年に出版された「甘えの構造」で、「日本では、他者依存社会規範に取り入れられている。家族や地縁への甘え潤滑剤ともなっている。」と適格な分析を行っています。しかし「政治家や経営者などエリートの甘え国や会社を滅ぼす」との憂慮も示しておられました。
  日本社会には、下克上の戦国時代に続く江戸時代には「閉鎖的な身分社会」と「序列偏重のタテ社会」が形作られました。「嘘も方便」は江戸時代に登場した成句だそうです。これらに敗戦後の戦後日本の「個人主義や民主主義のはき違えとその帰結である極端な悪平等」が重なってできた「日本特有の閉鎖的で序列偏重のタテ社会」を、中根千枝さんが1967年の「タテ社会の人間関係」で分析し記述してくれました。・・・更に高度成長期安定成長期に多くの日本人に染みついた「戦後型雇用システム(一括採用・年功序列・終身雇用)で会社の役所化・官僚化も進み、世界中どこにでもある「官僚制の逆機能」と重なったのが「戦後日本型の大企業病」です。
  オリンパス事件の場合には、会社法金融商品取引法(有価証券の虚偽記載)など、法律違反で会社の「執行組織の頭6人逮捕された」ことで、ガバナンスの軌道修正が図られていきました。・・・反社会勢力に浸食されたイトマン・住銀事件の場合は、会社法の特別背任でオリンパス事件と同じく会社の執行組織の6人が逮捕されています。・・・イトマン・住銀事件の場合には「内部に、膿をだしたいという少なからぬ改革派」が存在していたので、「ガバナンス正常化の速度が速かった」ように記憶しています。営利法人の会社では、ガバナンスの最後の砦内部告発法律所管官庁です。・・・相撲協会の場合には、これら外部の最後の砦がないのが致命的です。本来相撲協会の収益源であるNHKが、ガバナンスの常識国民目線から牽制の圧力でもかければよいのですが、悪いことにNHKそのものが税金のように徴収する受信料を収益源にしてますから、NHKそのもの役所と同じ相撲協会へのガバナンス利きません。・・・先週2018.10.19に発表された相撲協会の第三者委員会/但木(ただき)委員長の「暴力問題但木報告書」からは、昨年末2018.12.22の「相撲協会・危機管理委員会・高野報告書」が「嘘とねつ造の報告書」だったことが分ります。・・・江戸時代に登場した嘘も方便そのものです。相撲協会の事件では、事実に基づかない政治的な嘘が「癒着メディア経由」で大量に流布されたのもどうかと思います。・・・昨年末の事実でない発表(相撲協会・高野報告書)を取り消すとか、訂正する動きもみられません。高野利雄委員長名古屋高裁検事長だそうです。正義も何もあったものではありません。これが相撲協会の寂(さみ)しい現実です。正義も公正さも欠いている、そして内閣府などの行政もガバナンスの最後の砦として機能できないのが、実情です。
  科学民主主義自由主義もISOも「事実に基づく判断」が世界共通の普遍的な規範です。中国共産党や韓国や日本国内の反日活動家の問題は「事実に基づかない性奴隷などの政治的な嘘を世界に流布」することです。政治的な嘘の流布(プロパガンダ)は、民主主義や自由主義、人権尊重とは相いれません
  今の本の学校教育や社会に欠けているもの、今の日本人に足らないものは「欧米の個人主義への正しい理解」ではないでしょうか。個人主義孤立主義と似て非なるものです。個人主義とは「相互理解に基づいて個人を尊重する」ことですから、「他人を理解する努力」を前提した社会です。個人主義社会とは、相手とは違って当然という相互理解と、自分から人間関係を開拓していくためのコミュニケーションが前提された社会です。
  同志社大学教授の太田肇さんが「なぜ日本企業は勝てなくなったのか-個を活かす分化」*4で主張していたように「自律したプロフェッショナルな個人とチーム」が増えていくことで、公正公平を損なう立場あるものの権限の悪用や、取り入ろうとする者」を告発しやすい社会へ、民主主義が成熟した社会へと発展していくものと期待します。

*1:住友銀行秘史」 ISBN:9784062201308

*2:「甘えの構造」ISBN:9784335651298

*3:「タテ社会の人間関係」ISBN:9784062919562

*4: 「なぜ日本企業は勝てなくなったのか」ISBN:9784106037986

2018-09-15 214.変化に強い会社と働き方とは

大変化が進みます。衰退していく会社もあれば、AIで機械化される仕事も増えていきます。日本が強みとする産業で、より付加価値が高い仕事と働き方を工夫していくことで、危機に強い個人や組織が作られていきます。

大転換の時代を乗り切っていくために、仕事で関わる事業のイノベーション働き方をアウトプット中心の柔軟な働き方にしていくことで求められます。まずは日本が強い産業分野に注目します。国際競争力の一つの指標で、購買力平価ですが、数年前の調査で生産財・産業財などの企業物価が99円消費財が129円ということでした。日本の生産財競争力が強いといえます。生産財の中には食品原料調製品も含まれます。・・・・岡山駅の一角か隣のビルの入り口で“海の魚川の魚の両方が同じ水の中で泳いでいる”のをみたことがあります。岡山理科大学太古水(好適環境水)を使えば、海水がないところでも海の魚の養殖ができます。山村の小学校廃舎でのサカナ養殖がリアルに想像できます。また近大マグロ完全養殖は「近代のお蔭でマグロが食えなくなることはない。有難う。」と感じます。近大はほぼ絶滅危惧種のうなぎでも「うなぎ代わり琵琶湖なまず」の養殖に成功し、複数の民間会社が本格事業化を狙っているとのことですから、待ち遠しくてなりません。
   ロボットの世界需要の伸びについて、204[ 2017.1.21 ロボット産業 ]で全体を俯瞰しました。産業ロボットを含めたロボット5種世界需要は15年実績の1.7兆円から25年には38.5兆円へと、年平均36.6%で成長が続くというものでした。スマホと同様に、高級部材バイスに日本の産業集積の強みがあります。・・・・「精密減速機」では日系のハーモニックナプテスコ住友重機械3社ほぼ世界シェア100%を維持しているようですが、ここに日本電産が勢いよく参入中です。・・・・電子デバイス産業新聞2018.8.30付は「 自動車分野に加えて近年はEMS電機電子分野における小型産業用ロボットの需要が増加し、ハーモニック社の2017年度売上高は前年度比81%増の543億円を記録し更に今も拡大中。生産面でも増強を進めるが、供給が追い付かない。そこへ、日本電産グループと日本電産シンポが減速機の展開を急速に強化している。」と報道しています。・・・・要素技術大国の日本は、このような中規模・小規模の分野では図抜けた存在です、
   早大招聘研究教授の木村秀紀さんは日経2017,0.7付で「付加価値の源泉システムに移りつつある。日本が強い要素技術もシステム化に結びつけていかないと付加価値がとれなくなっていく。・・・日本は、“内視鏡、ロボットの腕、これらの操作技術”で世界トップを走りながら、要素技術が揃っているのに、それらのシステム化製品である手術ロボットは日本で現れず、米国で製品実現された。システム技術の弱さが日本の技術の足腰を弱めている。欧米には数多いシステム科学技術の研究所が、日本には一つもない。」との警鐘を寄稿されておられましたが、とても印象強く記憶に焼き付いています。一般的な日本の会社は、現場力が強い反面で、システム的思考が弱くなりがちです。ISOやTSなどマネジメントシステムでも、会社の中で表面的で断片的な作業レベルに終始してしまいがちな風土があるように感じます。
   例外的日本が強いシステム製品自動車です。その自動車も、「常時インターネット接続(C)自動運転(A)シェアリング(S)電動化(E)」が進行中です。従来とは異次元の競争が始まります。トヨタのような自動車メーカーと同じ土俵でGoogleなどが開発を進めています。クルマのインターネット端末化ともいえます。スマホよりは複雑で大きな製品ではありますが・・・・・・。
   筆者/青草新吾は、自宅の購入後14年のプラズマテレビ液晶テレビに新旧入れ替えました。やはりプラズマの画像というか色彩は図抜けていたのだな・・と実感します。このプラズマと液晶の競争については、FPD(薄型テレビ)を重点テーマとして、51(2006.8)から91(2007,5)にかけて追いかけた時期もありました。液晶テレビ(LCD-TV)をリーしたかに見えていたシャープが韓国勢に逆転され、パナソニックも2013年12月末にプラズマテレビ(PDP-TV)を終息しました。その後、韓国勢は、中国勢の勢いに押され気味になってきています。・・・・それにしてもシャープが台湾のHon Hai(鴻海)に買収されたのは、実に幸運な出来事だったように感じます。当事者でないので外見と外部情報だけからの印象ですが見事な再建を果たし、しかもシャープのテレビの売れ行き中国で好調と聞くと、日本企業にありがちな管理職の延長線上の序列と肩書きの経営者に対し、事業家魂に溢れた投資家とその投資家から委任された専門経営者という株式会社の基本がいかに大切か、を感じます。会社のマーケティングというか、経営者格差というか、リーダー格差を感じてしまいます。
   D.アトキンソンさんが「新・生産性立国論」*1で、「日本の経営者は、世界4位の優秀な人材を使って、先進国最低の生産性(世界28位)しか生み出せていない。しかも、人材ランキング世界32位の韓国よりも低い最低賃金で、世界4位の人材を使えるというおまけまで得てのことです。・・・他の先進国ではとうの昔に時代遅れになった“感覚と経験による経営いまだしがみついている”実態が見透かされています。」と述べているのは、耳痛ながらも有難い指摘ともいえます。
   スポーツの世界では、相撲日大アメフト女子レスリンボクシング女子体操日体大駅伝と不祥事が続きますが、民間の会社よりは半世紀くらい遅れているようです。例えば、良い見本として、前214で引用した東福岡高校や、青学の原監督のような、今の時代のリーダーもおられるにもかかわらず、正反対のリーダーというか、世の変化を無視したような、まさにアトキンソンさんが指摘する「時代遅れの感覚と経験の経営」そのものです。
   前稿213でも記述しましたが、江戸時代以降閉鎖的タテ序列社会に、戦後の人事システム(一括採用年功序列悪平等)が組み合わさった、中根千枝さんが「タテ社会の人間関係*2で研究発表してくれた、戦後の右肩上がりの時代に日本社会で特徴的にみられた雰囲気に、世界どこにでもある組織病(学問的には”組織の逆機能”)が混じって出来上がった戦後日本型・大企業病そのものです。
   女子体操界では、被害者からパワハラの加害者として訴えられた塚原さんは、これまたご自身の優位な立場を総動員して、見苦しい言動を繰り返していました。スポーツの世界でもマネジメントの常識が要ると感じました。その幇助をしていたのが、バラエティの坂上忍さんなどで、塚原さん寄りの発言を煽っていたと聞きましたが、ここまでくると有害メディアです。・・・・パワハラの意味そのもの理解してもいないのに、ルール違反の無責任な言動を繰り返していたようですが、テレビ局のガバナンスの問題ともいえます。安心してコメントを聞ける木村太郎さんあたりとの常識や知的レベルの格差が大きすぎます。
   パワハラ現場で起きたことがすべてですから、その事実関係の検証に集中すべきです。ここでは道理をわきまえた論理的な思考力も必要です。被害者と加害者を同等に扱って、無関係な話へと次々と脱線していくのでは、バラエティといえども悪質きわまりない行為です。判断に必要な客観的な知識ももたずに無責任すぎます。加害行為の上乗せ・上書きになりかねません。・・・・女子児童が犠牲になられた高槻市寿永(じゅえい)小学校のブロック塀事故について212で前述しました。この事故は、高槻市教育委員会が「専門家の危険性指摘を、素人判断で結論づけて放置した」ことで起こった人災ともいえます。体操のパワハラ問題と同様、素人の第三者の無責任な口出し、戦後日本型組織ぐちゃぐちゃ責任分担そのもの、「悪平等で専門家を軽視」する典型事例と通底します。
   大変化の時代を乗り切っていくためにも、会社組織は「先進国型の働き方」へと、そしてスポーツ組織も「合理的で効果的な運営」へのシフトを加速していくことが期待されます。

*1:「新・生産性立国論ISBN:9784492396407

*2:「タテ社会の人間関係」 ISBN:9784061155053