青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

MRO間接生産財

222.米中摩擦の中でも「稼ぐ強い生産財」を考える

3年前の今頃、メディアの多くが「トランプ当選はない」との報道でした。筆者は「違和感を感じた」のですが結果は「トランプ大統領誕生」でした。今回の米中摩擦についても多数派報道のような「拮抗する衝突」ではなくて「パワーバランスの変化。潮流は共産党…

129-2/2 電子基板製造用 生産間接財 

プリント配線板分野では、技術難易度が高い副資材(MRO間接生産財)では日系企業が過半の世界シェアを獲得しています。 06年6月の30で前述通り、プリント配線板の生産では台湾企業による中国生産の勢いが強く、地域別生産では日中逆転が起こり、中国が世界最大…

122-2/3 ISO 9000sと営業プロセス

名古屋NKS社の社長/松尾茂樹氏は、ISO9000sを活用した事業再編に止まらず、営業プロセスの改革にまで踏み込んだ経験を上梓してくれています。 中堅中小企業にとっては、ISO9000sは安上がりな改革ツールとなります。筆者/青草新吾が目を通した十数冊のISO9…

薄型テレビ向けガラスでは、MRO間接生産財ではパネル製造段階で露光装置にセットして使われるフォトマスク、マテリアル系生産財ではモジュール製造工程で取り付けられる光源のバックライトにもガラスが使われます。

液晶パネル製造の露光で使うフォトマスクのガラス基板に関し「ニコンが第八世代など大型パネル向けで本格参入する。材料は純度が高い石英ガラス。これまで自社の石英ガラスを切り出して外部に研磨を委託して基板として納入していたが、神奈川県サ寒川町の新…

液晶パネル向けのフィルムに関し、光学フィルムの保護シートや回路接続フィルムなども使われています。

光学フィルムの搬送や打ち抜き時で汚れや傷を避けるために保護シートが使われますが、日立化成工業の生産拡大が続いているそうです。半導体産業新聞2007年1月10日付は日立化成の光学シート用表面保護フィルムに関し「日立化成の同フィルムを含む粘着フィルム…

液晶パネル製造の前工程では、マスク、フォトレジスト、薬液、特殊材料ガス、ターゲット材、などの生産財を使います。何れにおいても日本勢が世界シェアの4割から7割を獲得しています。

ガラス基板に画素ごとのパターン形成をするアレイ工程とカラーフィルター工程では蒸着・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト剥離・洗浄などがくり返されます。この分野ではJSRと東京応用化学(TOK)が圧倒的な存在感を示しているようです。 使用さ…

生産財営業のQCDSで、D(デリバリー)とS(サービス)に関し、液晶パネルの部材メーカーは最大需要国の韓国と台湾で拠点強化を進めています。

生産財営業のD(デリバリー)とS(サービス)では、競争が激しくなってくると顧客と自社サービス拠点との近接性と可触性の重要性が高まります。DとSの定石は現地代理店や自社出荷拠点の設置などで、ハイテク素材で言えば最終組立と出荷検査、自動車部品材料でい…

生産財流通の調製加工に関し、電子基板の生産で使用されるMRO間接生産財で、基板づくりの穴あけの工程で使われるアテ板(フェノール積層板)の製造企業である日本デコラックスは「これまで以上に顧客の希望サイズにカットし、納入するスタイルが増えている」と半導体産業新聞6月14日付で報道されていました。

上記事例では、製造業者自らが調製加工を行っているようですが、標準化による[規模の経済]とカスタマイズによる[コストパフォーマンス]の両方を追及するために、旧くは鉄鋼製品でいうところのコイルセンター、新しきは太陽電池向けシリコン材でいうところの…

食品安全性に関し、HACCP(ハセップ)は、欧米が得意な事前合理の「こうすればこうなる」との思想に基づく予防のマネジメントシステムとしてはすばらしく価値が高いものです。しかし現実はHACCP認定工場で不具合が発生しているようなのです。細菌汚染食品が発生してしまった場合の流出防止と再発防止といった事後合理性のプロセスも必要です。

筆者はHACCP(ハセップ)については素人なので見当違いもあろうかとは思いますが・・。 HACCPで作り込むだけでは、トヨタ生産方式の開祖である故大野耐一氏の「データは大事、それ以上に事実が大事」の最初の方の「データは大事」までも辿りついていないような…

営業プロセスに関し、中小の金型製造企業に生産財営業の原風景をみることができるように思います。中小の金型製造企業のトップは「営業も製造も兼任」というのが普通です。組織が大きくなり役割と機能が分化していく前の原風景です。京セラや村田製作所、あるいは日本電産など、京都企業の創業者の方々も起業当時のことをよく伝えてくださってます。2006-03-25で触れましたが、ソフトブレーン社創業者である宋文洲氏がその著書*2で「本来の言葉の意味では『営業とは事業を営むこと』ではありませんか?」と述べていますが、正にその通り

2006-05-06で触れた大野耐一氏の著書*1の中には、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏*2がトヨタ自動車が独立する前年に発表した「トヨタ自動車が今日に至るまで(昭和11年)」を紹介する次のくだりがでてきます。 以下、豊田喜一郎氏。 日本では製鋼…

金型製造企業のグローバル展開に関し、伊藤製作所のグローバル化モデルは示唆に富んでいます。比国(フィリピン)に進出し「設計を比国で行い日本で加工する」というモデルで組織能力の継続的改善に取り組んでおられます。「政治と行政の品質の国際競争で見劣りする日本国そのものが駄目になってしまうリスク」に対する予防策は、「日本本社を支えることができるような比国現地法人を育て上げていくこと」で対処するという逆張りの発想です。

google:ものづくり 伊藤澄夫 伊藤製作所http://www.itoseisakusho.co.jp/ 同氏が繰り返しの現実検討とシミュレーションを行った結果で、独立自営の経営者として「進出先は比国と決断」した理由はよく理解できます。既に過当競争の泰国でもなく、中小企業が単…

自動車産業や松下電器にプレス金型を供給する四日市の伊藤製作所の伊藤社長は、耐久生産財であるCNCマシンなどの登場による環境激変を以下のように説明しておられます。

「モノづくりこそニッポンの砦―中小企業の体験的アジア戦略」伊藤澄夫著 isbn:4769361564: 何千工程もかけて製作していた金型製作の工程において、CNCマシンが加工工程の大半をカバーできるようになったのです。・・中略・・設計と試し打ちをした後の対策…

間接生産財を代表する金型に関し、日本の産業規模は出荷高1兆円で就業者100千人を超えるそうです。その金型の最終製品である電機と自動車の組み立て工程の海外シフトが進み、更には90年代後半からは金型製造のコンピュータ化も進み、日本の金型各社の多くが、21世紀モデルに向けての変態脱皮を進めているようです。

参考:日本金型工業会 http://www.jdma.net/日本の金型製造企業は、90年代の顧客企業の急速な海外シフトと、どさくさで行われた日本から中国やアジアへの図面持ち出し、耐久生産財でCNCマシンの登場やコンピュータ化による加工の簡易化、中国で多い反則…

自動車部品製造企業の製造工程は、多くの外注工程で支えられています。マテリアル系生産財を加工する工程では、耐久生産財とものづくり基盤技術(プレス加工・鍛造・切削・熱処理・鋳造・めっき、など)を使って単体部品が製造されます。もの造りの工程分業を担う「調製加工の支援プロセス」はサポーティングインダストリーの主要プロセスを構成しています。特に金型製造とプレス加工は一大産業を形成しています。

川上の約30千の単体部品が約1千を超える機能部品に集約される階層の工程では、多くの工程が外注されています。金型製造の業界団体のHPによると、金型業界の規模は、1997年統計で、1兆8千288億円、向け先の内訳はプレス用35%、プラスチック…

マテリアル系生産財は、主に[直接生産財]と[MRO間接生産財]で構成されます。MRO間接生産財は、循環材とか副資材とか間材などといわれる金型・工具・梱包材などですが、この分野では地方発の[小さな世界の巨人企業]が群生しているのも日本の産業の強みです。

例えば半導体のウエハーダイシング用で高い世界シェアを有する広島県呉市発の[株式会社ディスコ]や、電子基板製造用の精密超硬ドリルの分野で新潟県長岡市発の[ユニオンツール]など、持続的な独自能力で競争優位を保つことに成功している企業の例の枚挙に遑…