青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

耐久生産財の製造設備では精密塗工装置や乾燥装置、熱処理装置、真空成膜装置・・・等々が使われますが、直近の新聞報道を列記してみることだけでも、業界のホットな動きを感じ取れます。

日経新聞2006年8月22日付で液晶向け露光装置:ウシオ電機が御殿場事業所内に30億円を投じて新工場棟を建設する。液晶パネルメーカーの増産投資で需要が拡大している露光装置の増産並びに分散している製造拠点を集約して生産効率を高めるため。半導体産業新聞…

FPD製造装置や半導体製造装置からの派生需要は、マテリアル生産財や中間財の製造企業にとっても需要の一セグメントを形成しています。

前述のFPD製造装置と半導体製造装置を合計した日本製の販売高は2005年度で2兆4百億円と巨大です。別の機会に整理したいと考えていますが、マテリアル生産財でステンレスやアルミ厚板、合成石英、特殊炭素、中間財でスイッチ、モーターやポンプ、制御基板や制…

日本製のFPD製造装置の販売予測は06年度が6082億円で前年比15%増です。薄型テレビの普及でFPDの生産拡大が続きますからFPD製造装置の販売も拡大が続きます。

液晶パネル製造向けが一時的な減退に入りましたが、PDPパネル製造向けが相変わらず好調で有機ELパネル向けも上向きだしていることからFPD製造装置の全体は拡大基調のままと報道されています。 電波新聞2006年8月22日付で「日本半導体製造装置協会(SEAJ)が6月…

2006-8-27 1/4 購買センター概念 (組織的購買を構成する主要諸機能)

消費財営業と生産財営業の違いに関し、生産財営業の標的は派生需要ですから展開地域が偏りますし、営業プロセスもQCDSとE(環境)に加えて販売引渡後の関係性のメンテナンスが重要になります。 消費財である薄型テレビの販売は、製造企業はマーケティング活動…

高額商品のプラズマテレビや液晶テレビの普及は系列の地域販売店のスパイラル進化を促進しているともいえそうです。

営業プロセスの顧客関連プロセスに関し、消費財の薄型テレビの販売では「地域店強し」との話を聞くことが多くなりました。 松下電器の常務役員でパナソニックマーケティング本部の牛丸本部長は「私が嬉しいのはこれら(デジタル家電製品)がすべて日本発の商…

日本発のIPS液晶テレビの供給能力が整備され始めたことで、東芝が液晶テレビで攻勢に出始めました。

電波新聞2006年8月24日付は、東芝の液晶テレビ「REGZA(レグザ)」の商品発表会で、新倉執行役員常務が「06年度26V型以上液晶テレビ市場のなかで国内15%、グローバル10%のシェア達成を目指し、積極的に攻勢をかけていく。・・・国内では4-7月で12%を達成し、グ…

液晶テレビのキーデバイスである液晶パネルの生産シェアに関し、松下・日立・東芝の3社連合が日本発のIPSパネルを搭載した液晶テレビで本格参戦を開始したことで、孤軍奮闘のシャープに加えて日本勢の巻き返し気運が高まってきました。

日立製作所、松下電器、東芝の三社が共同出資する液晶パネル製造会社であるIPSアルファテクノロジに関し、日経新聞2006年8月23日付は「8月22日の液晶パネル工場開所式で日立の古河一夫社長は『日本発の技術で世界で勝ちたい』と述べた。・・・IPSアルファテ…

日本の電子材料メーカーは、日本・韓国・台湾という高密度の市場を抱える「地の利」を得ているともいえます。「台湾や韓国に加えて、両国に近い九州立地」の工場建設の動きも出てきました。

マテリアル系生産財の電子材料で、日本の製造企業は、日本企業に加えて韓国のサムスンやLGあるいは台湾のパネルメーカーへのバリューチェーンとサプライチェーンにも参画することで、世界シェアの6-7割を維持しています。

テレビ用液晶パネルの生産国籍の8割は韓国と台湾です。OEMやODM生産を含めた生産シェアは、世界シェア4割強の韓国勢と、僅差で4割弱の台湾勢の伸びが大きく、日本勢トップのシャープは世界シェア13.5%で5位に後退しました。

Electronic Journal 2006年8月号が報じた米DisplaySerchの発表によると、2006年第1四半期のテレビ用TFT-LCDモジュールの出荷額は51億ドルで、国籍別には韓国2社で46.7%、台湾4社で38.4%、日本はシャープと日立の2社で14.1%です。 企業別内訳では、トップがソ…

薄型テレビのキーデバイスであるPDPパネルと液晶パネルの比較に関し、2006年7月26日の松下電器第1四半期の発表会の説明が参考になります。

松下電器・日立・東芝の3社は、韓国や台湾勢との競合が激しい37型以下の液晶パネルに関しては協調し、2006年1月に差異化技術のIPS液晶パネルの共同生産を開始しました。37型以上では、松下と日立がプラズマ、東芝がキャノンと共同生産するSEDパネルで各社各…

プラズマテレビと液晶テレビに関し、捕食者と被食者のように影響を及ぼし合いながら進化する共進化*5とすみ分けが進んでいくものと予想されます。

クルマやルームエアコンがそうであったように、一家に一台の家電から一部屋あるいは一人に一台の個電へと使い分けが進んでいくものと予想されます。 電波新聞2006年8月8日付で米パナソニック社の山田喜彦会長が「米国では居間でのプラズマテレビ、寝室での液…

中間財の薄型パネルが普及していくことで、派生需要の連鎖が生み出すマテリアル系生産財の電子材料の需要も、2015年頃には少なくとも10兆円以上、多分で20兆円規模へと急成長していきます。

電子材料全体の産業規模は、今現在の8-10兆円から2010年頃に少なくとも2倍の20兆円であれば、2015年頃には多分で3倍の30兆円へと拡大します。産業の規模で30兆円というのは「今現在の半導体産業と同等の規模になる」ということです。 電子材料全体の需要規…

中間財の薄型パネルのグローバル需要は2015年頃には数十兆円規模が見込まれます。今現在の半導体産業並の需要規模であり、自動車産業に比肩する産業連関も期待できます。

薄型テレビの需要予測と電子材料への産業連関に関し、2006年7月26日に松下電器第1四半期の発表会席上の川上副社長の説明が判り易くて参考になります。 1.世界需要の見通し 松下では2006年度のテレビの世界需要を1億6千万台程度(うちプラズマは1千万台、液…

薄型テレビの普及で生み出されていく派生需要の連鎖の規模に関し、今後の10年間で急成長することで2015年頃には数十兆円規模に拡大しているものと見込まれます。

薄型テレビは中間財の薄型パネルの需要を生み、薄型パネルからは様々な中間財の部品需要が生み出され、中間財の部品需要からは様々なマテリアル系生産財である電子材料の需要が生み出されます。 在来のCRTテレビとは異なる新しいアーキテクチュアと技術に基…

テープ積層板(CCL)に関し、2層CCLに限れば、世界トップはキャスト方式が主力の新日鐵化学ですが、大型LCD用に限るとめっき方式の住友金属鉱山が首位となります。

テープ積層板で首位の三井金属はラミネート方式、キャスト方式、めっき方式とフルラインアップで対抗しています。TAB主力の新藤電子、日立電線は、銅箔と基材の熱圧着・高温接合やめっき法で2層TABを市場投入しています。 2層CCLで検索すると、ヒットした記…

テープ積層板に関し、新規参入が活発な2層CCLだけに限定すると、新日鐵化学がキャスティング方式の2層CCLで世界トップ、 住友金属鉱山がめっき方式の2層CCLで世界トップです。

テープ基板の生産額は、電子基板の構成比で7%強と小粒ですが、日本企業が尖った強い国際競争力を持つ分野です。 マテリアル系生産財であるテープ積層板のTABテープ/COFテープは、最初は接着材を介して銅箔と基材を張り合わせる3層CCLで顧客開拓が行われまし…

テープ積層板は、3層CCLが液晶駆動回路の需要を掘り起こし、2層CCLの登場で選択肢が増え、今現在では実装高密度化の追い風を受けた2層が成長ドライバーです。

2層CCLの製造方法は、以下の3方式があります。 溶かしたポリイミド樹脂を銅箔に塗布して2層構造をつくるキャスト方式、 ポリイミドフィルムにスパッタをした上にめっきで導電層を形成するスパッタ・めっき方式、 ポリイミドワニスを使うラミネート方式。

テープ積層板に関し、3層CCLはTAB実装、2層CCLはCOF実装へと使い分けられています。3層と2層を合計したテープ積層板(CCL)の総合1位が三井金属です。

三井金属のホームページ。TAB/COFテープで世界シェア5−6割。 次世代COF用テープ基板の開発。 http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/jinji/shigoto/cof.html

テープ積層板(CCL)の分野では、抜群の国際競争力を発揮できている日本企業の裏の競争力と組織能力を垣間見ることができます。

テープ積層板(CCL)の分野では、 マテリアルを工業材料化した在来型のマテリアル生産財に留まらず、更なる摺り合わせや合わせ技でマテリアル系生産財へと進化させ、継続的改善を持続することで抜群の国際競争力が発揮されています。 泉谷渉氏の表現で「10年や…

テープ基板のマテリアル系生産財であるテープ積層板こそはマテリアル系と100年企業の組み合わせで抜群の国際競争力を生み出している象徴的な生産財といえます。

泉谷渉氏*1の表現する「100年企業」が、気長に辛抱強く在来型のマテリアル生産財をマテリアル系の技術で進化させてきたマテリアル系生産財で抜群の国際競争力を生み出している点で、日本の産業競争力を象徴する分野の一つといえます。中間財の液晶パネルの規…

液晶ドライバーの製造に関し、テープ基板の製造企業は、ドライバICの製造企業向けに顧客関連のプロセスと営業プロセスを形成しています。

生産財マーケティングの特徴の一つが派生需要の連鎖ですが、パネルメーカーからの派生需要でドライバICメーカーが受注し、今度はドライバICメーカーからの派生需要でテープ積層板メーカーが受注します。テープ積層板メーカーはドライバICメーカー向けのサプ…

薄型テレビやパソコン及び携帯電話の液晶パネルで使われるドライバーICと駆動回路は、TCP(テープキャリアパッケージ)や駆動モジュールとして組み込まれます。

TCP(テープキャリアパッケージ)や駆動モジュールは、テープ配線基板(テープキャリア)にチップ実装したもので、実装方式はワイヤーボンディングとギャングボンディングがあります。今はギャングボンディングのTAB実装が主流です。TABの進化系がCOFといえます…

フレキ基板(FPC)の屈曲強さを高める競争では、絶縁基材のフィルムでも開発競争が続いています。

半導体産業新聞8月2日付ではFPCで世界トップのNOKの製品開発に関し「日本メクトロンが液晶ポリマーを採用した両面フレキシブル配線板(FPC)を開発した・・中略・・特に10GHz以上の高周波信号で、その特性をいかせる。」として以下のように報道されています。 …

フレキ基板(FPC)では屈曲強さへのニーズが高いために、主に圧延銅箔が使われてきましたが、電解銅箔の採用も増えています。

電解銅箔では、数十万回折り曲げても切れにくい高級品が開発され、採用が増えています。電解銅箔で世界トップの三井金属は、このFPC向けの供給を増やすために、上尾工場の休止設備を再開し、07年度に生産能力を8割増やすと発表しています。同社の商品名DF…

フレキ基板(FPC)の材料となるフレキ銅張積層板(FCCL)の製造では、銅箔の性能向上の競争が続いています。

銅箔とフィルム基材の接着強度を高めるために蒸着による粗化処理などの表面改質を施された圧延銅箔の供給は、日鉱金属や福田金属箔粉といった老舗企業に加えて、2001年設立のマイクロハード*1が6μ極薄圧延銅箔の量産技術で参入しました。圧延銅箔ということ…

銅箔のものづくり競争と顧客であるFPC製造企業の回路の精密化の競争に関し、顧客側のFPC製造企業は素材性能への依存度を高め続けています。

銅箔の素材性能への顧客要求は在来の密着強度に加えてファインパターン形成のための平滑性への顧客要求が高まっています。密着性を維持しながらも粗度を低下させるという難易度が高い表面改質技術がキーとなります。まさに在来型のマテリアル生産財だった銅…

中間財の電子基板でフレキシブル基板(FPC)の材料であるフレキシブル銅張積層板(FCCL)は、絶縁基材のフィルムの上に銅の導電層を形成して製造されます。

銅箔製造企業やポリマーやフィルム製造企業は、サプライチェーンとバリューチェーンで結ばれるFCCL製造企業とは顧客関連プロセス並びに営業プロセスを形成し、マーケティングとセールスを行っています。

フレキシブル配線板(FPC)を製造するためのマテリアル系生産財であるフレキシブル銅箔積層板(FCCL)に関し「FPCの製造業者の内製比率が高い」のがこの業界の特徴です。

中間財のFPC(フレキシブル配線板)を製造するための材料となるマテリアル系生産財のFCCL(フレキシブル銅張積層板)を製造する企業は、FPCで世界シェア35%でトップのNOK(日本メクトロン)と同12%のフジクラ、住友電工(住友電工プリントサーキット)・・等々で、…

ハードディスクドライブ(HDD)や携帯電話のヒンジ部、デジタルカメラ、プリンタなどで使われる中間財の電子基板でフレキシブル配線板(FPC)は、マテリアル系生産財のフレキシブル銅張積層板(FCCL)に配線パターンを形成して製造されます。統計上は電子部品の一部です。

31(2006年6月24日付)で前述しましたJPCA(日本電子回路工業会)の2005年度統計では、JPCA会員企業の海外生産比率は25%で75%が国内生産と記載しましたが、このフレキシブル配線板(FPC)の39百億円に関しては、海外生産が51%の2千億円で、国内生産は48%の1千9百億…

6月21日付[30 電子基板で台湾企業がもたらす中国の高度成長]で引用させて頂いた中原捷雄(なかはらやすお)氏の講演内容がアップロードされていましたので以下に紹介します。

JPCA Show 2006 講師 中原捷雄氏 「21世紀はアジアの世紀」 http://www.jpcashow.com/show2006/index.html google:中原捷雄