青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

自発光ディスプレーのCRTやPDPとの比較で「液晶パネルの弱点は動画性能と視野角」ですが、蘭Royal Philips Electronicsが市場投入を開始したHCFL(熱陰極管)を使用したバックライトは「PDPを凌ぐ動画性能」を実現できるそうです。

生産財の営業プロセスでは、イノベーション対応と量産後のQCDSのバランスが要求されますが、液晶テレビのHCFL(熱陰極管)バックライトは良い考察事例を提供してくれています。電波新聞2006年10月20日付は、液晶パネルの弱点をカバーする技術としてフィリップ…

大型パネルでプラズマと液晶のコスト比較に関し、前述の内池平樹氏は「製造プロセスからはPDP約70ステップが、TFT-LCD約140ステップよりも有利だが、半導体強国となった韓国・台湾の高品質化と低コスト化は侮れまい、但し部材は殆どが日本製」と、マテリアル系生産財の部材での日本企業の圧倒的強さをレポートしておられます。

薄型テレビ向けでPDPパネルを製造しているのは、独走態勢の松下電器とこれを追う韓国Samusung SDI(三星電管)と韓国LG、日本のFHPとパイオニアです。台湾のFORMOSA(台朔光電)とCPT(中華映管)は事業展開を中止しました。 薄型テレビ向けの液晶パネルでは、…

「PDPが弱点としてきた消費電力でTFT-LCDと逆転した現在、PDPテレビの次の開発目標は、更なる画質改善とコスト低減」と元佐賀大学教授(理工学部)でPDP研究40年の内池平樹氏は総括しておられます。

前述の内池平樹氏は「大画面の消費電力でPDPと液晶が逆転した。パイオニアが、対角43インチで293W、50インチで380Wを実現した。発光効率2.2lm/Wと高輝度1000cd/m2、コントラストでLCDの2倍」と最新事情をレポートしておられます。 「パイオニアが消費電力で3…

薄型テレビに関し、49で前述の「米国では、居間のプラズマと寝室の液晶、といった使い分けが定着しつつある」ようですが、付加価値が高い大型パネルの需要獲得を巡ってPDPとTFT-LCDという二大ディスプレー技術の競争と競創が続きます。

太陽電池パネルで世界トップを独走するシャープは、生産シェア世界4位のテレビ用液晶パネルでは、単価下落が著しいボリュームゾーンの中小型よりも、30型以上特に40型以上の大型パネルへの集中を鮮明にしています。 06年度販売見通し6百万台のサイズ別内訳に…

PHPパネルの生産シェアは、日本勢が生産シェアの半分弱を維持できています。トップ独走の松下電器以下、2位SamsungSDI(三星電管)、3位LG、4位FHP、5位パイオニアで、九州も生産集積地の一つになりつつあります。

PDPパネルの生産では日本勢の勢いがみられます。韓国と台湾が世界シェアを二分する液晶パネルとは様相が異なります。富士フィルムの熊本工場建設は前述の通りですが、PHPパネルの生産に関して、パイオニアが出水市の鹿児島工場で、富士通日立プラズマディス…

九州では薄膜太陽電池の生産拠点の集積が進みつつあります。

次世代薄膜型太陽電池の生産工場で九州地区への集積が進んでいます。半導体産業新聞が全体をまとめて報道してくれていましたが、既存メーカーの三菱重工がアモルファス太陽電池と微結晶シリコンのタンデム型で長崎県に、新規参入で富士電機システムズはフレ…

生産財の需要は派生需要ですから、生産財の事業者は産業集積地にマーケティング展開を集中することになります。特定分野の産業集積は産業クラスター形成を促進します。

ビジネスマンと観光客の来日に関し「2004年に九州から入国した外国人は560千人で、韓国・台湾・中国で8割」と西日本新聞2005年12月2日付が報道していました。 電波新聞2006年7月6日付で、超音波・高周波・マイクロ波・ミリ波などの応用製品を事業展開する東…

筆者も九州地区に出張することがありますが、九州は韓国・台湾・中国(東北と華東)との経済的結びつきが年々強まってきています。空港や地下鉄で、ハングル文字や中国語の両方で案内されているのはこの地区だけのような気がします。

鉄鋼で世界3位の韓国ポスコ(POSCO)は北九州市で子会社のポスメタル(POSMETAL)を設立し61で前述した鉄鋼製品のコイルセンターを展開しています。また中国で委託製造し中国からそのままで日本を含めた各国各地に出荷している上場企業の九州工場や、韓国のサム…

九州の経済規模43兆円はロシアや大阪府と同規模ですが、近年は自動車や薄膜・太陽電池で産業集積が進んでいるようです。

九州はシリコンアイランドといわれる集積回路の製造出荷額が日本の1/4で1兆円超、カーアイランドといわれる自動車生産も百万台突破で日本の1割となり、最近では、次世代太陽電池の工場建設が相次いで発表されています。九州の総生産並びに工業出荷額の4割が…

九州出身の創業者に関し、東芝の創業者の田中久重(たなかひさしげ)は131年前に77歳で創業したというのだから、驚きです。稀有なことといえども長寿社会に夢を与えてくれます。

日経新聞2005年3月6日付で紹介してくれていましたが「1873年に九州の久留米から75歳で上京。2年後に銀座の煉瓦街で田中製造所を開業。これが後の東芝へと発展する。当時の先端技術を吸収し、83歳で亡くなるまで発明に明け暮れる。」とありました。 熊本出身…

半導体リードフレームの三井ハイテックが、要素技術を活かしたスパイラル展開でハイブリッド車・モーターコアの金型やコアの製造に注力するニュースに接し、環境変化にダイナミックな挑戦を続ける三井孝昭・創業者のベンチャー魂を感じます。

同社は、事業リスクが大きくて長期展望を描きにくいインテル向けビジネスから決別し、三井孝昭創業者・現会長は2002年にトヨタカナダから坂上・現社長を招聘しましたが、自動車向けビジネスが着実に育ってきているようです。同社は新日鉄と2003年に三井…

九州の自動車生産が2006年度内に年間1百万台を突破する見通しです。大型の耐久消費財の生産増で生産財の派生需要も増加します。特に運賃負担が大きな素形材やエアコンなどの大型部品では現地生産のニーズが高まります。

九州地区の自動車組立能力に関し、年間能力は日産九州工場が520千台、トヨタ自動車九州が430千台、ダイハツ車体が250千台で、合計1200千台です。この数字の枠外で山口県には復活著しいマツダの防府工場があります。 九州で最初に自動車生産を立ち上げた日産…

米ニューズウイークの「最もホットな10都市」で日本からは福岡が選出されました。福岡県のGDP18兆円はデンマークやノルウェーに匹敵する規模です。

「米ニューズウイーク誌は『最もホットな世界の10都市』で、日本からは福岡を選んだ。同誌は、福岡は『アジアへの出入り口』として成長著しく、博多港が扱うコンテナの量が6年前に比べ50%増となっている、豊かな文化・伝統にも恵まれ外国人観光客も急増して…

自動車生産の集積が進む九州では、鉄鋼製品の加工流通の機能強化が進められています。

日刊産業新聞2006年9月26日付で「関包スチールは福岡で大型スリーターを新設した新工場を稼動させた。建材向けに加えて、コイルセンター機能を強化し自動車向けの対応も考えている」と報道していました。 日刊産業新聞2006年6月23日付では、自動車産業の拡大…

キロ商材のステンレスに関し、トン商材の鉄鋼製品と同様に[全国ステンレスコイルセンター工業会](JSCA メンバー35社・41事業所)があります。

日刊産業新聞2006年6月29日付で、山田邦夫理事長は「ステンレス協会などの協力を得て、品質検査技士研修制度を導入することや、梱包資材に関する取り組み、資材の共同購入など案件はいくつも出ている。コストダウンについては普通鋼のコイルセンター並みのコ…

トン商材の鉄鋼製品の加工流通に関し、例えば薄板切断加工業者は[全国コイルセンター工業組合]を組織しています。

ピークの平成2年度には国内全鋼材需要量7千6百万トンの30.6%、2千3百万トンをメンバー117社で加工したということですから、鉄鋼製品の流通における存在の大きさが判ります。 全国コイルセンター工業組合 事業の概要:鉄鋼メーカーの製造する広…

トン商材の鉄鋼製品の営業プロセスと顧客関連のプロセスに関し、川下の大手需要家による集中契約や集中購買が拡大することで、多くのコイルセンターで受託加工の比率が高まる反面で、製品販売の減少が続いているようです。

鉄鋼製品のコイルセンターは、サイズ合わせの調製加工と商社機能を併せ持つことで利便性を提供してきましたが、今現在では、調製加工に機能集中が進み、販売の商社機能が低下しつつあるようです。

生産財流通のメーカー商社に関し、大同特殊鋼系の大同興業は「ハイブリッド型商社」を目指すそうです。

流通機能に関し、日刊産業新聞2006年8月22日で根崎健一社長は「全日本特殊鋼流通協会のリポートで示された流通機能である品揃え、加工・熱処理など機能付加(調製加工)、物流、金融、情報、新たなオペレーションを含む業態開発の6大機能を強め、ハイブリッド…

2006.10.1 生産財流通で特殊鋼商社のウメトク

生産財流通で特殊鋼商社に関し、2006.7.10付で記述したウメトクは、商社機能と調製加工のシナジーで成長発展を持続しているモデルといえそうです。 ウメトクが加工流通で行っている調製加工に関し、日立金属のホームページでは「(天津の拠点では」切断機、…

生産財流通で特殊鋼商社に関し、独立系で東証一部の佐藤商事は電子材分野で電子基板向けマテリアル系生産財の販売事業を拡大しています。

佐藤商事は、加工流通で丸棒・鋼板の切断、溶断、機械加工などの調製加工もこなし、主要顧客のいすずや日野などトラック分野で強みを発揮していますが、鉄鋼製品や非鉄金属に次ぐ柱が電子材料とのことです。 日刊産業新聞7月13日付で「佐藤商事はハガネから…

生産財流通の多くは商社が担っていますが、全体を俯瞰すると業界や業態によっておぼろげな特徴が浮かび上がってくるようです。

鉄鋼製品で、普通鋼の鋼板は大ロットで大規模な取引が多いことから生産財流通の段階でも「規模の経済」を追求する再編が進みましたが、特殊鋼業界は小ロットで木目細かな取引が多いので、普通鋼の鋼板とは異なった分業と機能分化の進化が続いているようです。…