青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

耐久生産財

222.米中摩擦の中でも「稼ぐ強い生産財」を考える

3年前の今頃、メディアの多くが「トランプ当選はない」との報道でした。筆者は「違和感を感じた」のですが結果は「トランプ大統領誕生」でした。今回の米中摩擦についても多数派報道のような「拮抗する衝突」ではなくて「パワーバランスの変化。潮流は共産党…

182. 工作機械産業で「すでにおこった未来」

耐久生産財を代表する工作機械でも、自動車などの耐久消費財の国外生産拡大に引き続いて、国外生産の動きが活発になってきました。 FA産業機械の市場動向を通して産業構造の変化が見えてきます。特に工作機械業界は、強い国際競争力に支えられて、輸出一辺倒…

163-1/2. 太陽光発電の設備と部材

太陽光発電システムに関するニュースが日常的に報道される今日この頃ですが、当産業分野での日本勢の強みは何と言っても“材料・部材の全般”と“一部の製造装置”です。 太陽光発電システムとは、太陽電池(PV)を使った発電システムのことですが、太陽電池を製造…

131-2/2. 電子基板検査装置

電子機器に内臓される電子部品の精密化で、電子部品を搭載するプリント配線板も精密化が進み、プリント配線板の検査装置も進化が進んでいます。 電子基板(プリント配線板とモジュール基板)に関し、電子基板のモジュール基板・テープ基板の検査装置に関し、電…

130-2/2. アジアの電子基板製造用装置

電子基板(プリント配線板/モジュール基板)の進化と並行して、電子基板製造用で直接描画装置や熱プレス積層成型プレスで使う真空プレス装置など製造装置の進化も続いています。 プリント配線板上(以下PWB)の微細な付着ゴミを除去するく基板クリーナーに関し半…

125-2/2 携帯電話の実装設備と金型など

携帯電話の小型・薄型化を主な背景として部品のマウンタ(実装機)メーカー各社による半導体製造の後工程分野への参入が活発になっています。 電波新聞2008年3月4日付は「多機能をいかに軽薄短小の筐体に収めるか。薄化を目的に、パッケージングしない裸のICチ…

122-2/3 ISO 9000sと営業プロセス

名古屋NKS社の社長/松尾茂樹氏は、ISO9000sを活用した事業再編に止まらず、営業プロセスの改革にまで踏み込んだ経験を上梓してくれています。 中堅中小企業にとっては、ISO9000sは安上がりな改革ツールとなります。筆者/青草新吾が目を通した十数冊のISO9…

103-3/3 太陽電池向け部材と装置

太陽電池(PV)用の製造装置では、1)ターンキーソリューションでポストFPDを狙う企業群と、2)単体装置で受注を狙う企業群、3)他企業との協業でライン一括受注を目指す企業群が三つ巴で商戦を展開しています。 太陽電池製造装置の営業展開に関し半導体産業新聞2…

100-1/3 太陽電池(PV)の多様化 有機系や薄膜化合物

太陽電池(PV)は2000年以降は需要急増が続いていますが、更に多様化でシリコンを使わない薄膜化合物の生産も立ち上がり、有機系太陽電池の量産も足音が聞こえ始めています。 生産財営業の標的は派生需要であり、太陽電池の派生需要は部材や設備です。生産財マ…

98-3/3 省エネ・蓄電デバイス

製造工場における瞬時電圧低下(瞬低)と停電のリスクに関し、例えば半導体・液晶工場では瞬低1回の発生で1千万円以上の年間被害額が発生するといわれているそうです。 102と103で前述のUPS(無停電電源装置)と瞬低装置に関し、半導体産業新聞2007年7月11日付…

93-1/3 エネルギー低炭素化でオール電化とコージェネ

ガス業界のコージェネ提案と電力会社のオール電化提案が様々なイノベーションをもたらしています。産業用省エネではコージェネ(熱電併給)の導入が進んでいます。 コージェネ(Co-Generation)とは、発電で発生する熱を回収し有効活用することでエネルギー効率…

90-3/3 耐久生産財とはんだ接続の鉛フリー化

はんだ接続の鉛フリー化の派生需要で耐久生産財のビジネスも進化が続きます。 鉛フリー化が追い風となり、レーザーはんだ付け装置の需要が増えているそうです。Electronic Journal 2007年6月号で「ジャパンユニックスのレーザーはんだ付け装置への引き合いが…

81-4/4 FPDパネルの製造装置で小さな池の大きな魚

FPDパネルの製造装置も89で前述の露光装置のような巨額製品から地味な製品まで多々ありますが、小粒な分野では小さな池の大きな魚がいます。 大型基板対応のXYステージの製造に関し半導体産業新聞2006年10月18日付で「第6世代以降では淘汰が進み、第8世代以…

81-3/4 FPDパネル向けでマテリアル系生産財と耐久生産財

FPDパネルの生産数量では台湾や韓国が日本を凌いでいますが、FPDパネルを製造するためのマテリアル系生産財と耐久生産財では日系企業群が競争優位を維持しながら次世代事業群の柱を育成中です。 装置各社はFPD分野で獲得した収益で次世代の柱を育成中ですが…

81-2/4 プラズマテレビで中国

中国の四川省でプラズマテレビと主要デバイスであるPDPの生産ラインが着工されました。長虹(Chon Hong)は世界4強入りを目指しているそうです。 中国政府はPDPの産業群確立を国家プロジェクトとして推進しているそうです。電波新聞2007年5月9日付は「新華社電…

81-1/4 耐久生産財で中国

グローバル品質の耐久生産財でも中国は世界最大の市場になりました。輸入では台湾などの華人資本の調達がかなりのウエイトを占めているようです。 日本からの輸出は、統計上は中国向け輸出として計上されますが、現地の輸入企業の多くは華人資本の企業と日系…

80-4/4 TFT-LCDの生産性で露光プロセス

液晶テレビの主要デバイスであるTFT-LCDの生産性を高めていくヒントに関し、大型化すればするほど投資が巨額になっていく露光プロセスの投資生産性をいかに高めていけるかがキーのようです。 液晶パネルの投資生産性に関し、DisplaySerch社のCharles Annis氏…

80-2/4 薄型テレビでプラズマと液晶の競争

画面大型化の経済性に関し、松下電器は(大型画面になればなるほど)部材コストと設備コストの二点でプラズマの方が液晶よりも有利である、と説明しています。 生産財の需要は、最終製品の需要からの派生需要ですから、大局観に基づく布石が極めて大切になりま…

薄型テレビの派生需要でガラスに関し、耐久生産財の加工設備も進化が続きます。

大型液晶向けガラス基板のエッチング装置」に関し、日経新聞2006年6月2日付で「ワイエイシイが第八世代対応のガラス基板を加工できる縦横2メートル超で世界最大のエッチング装置を開発した。エッチング装置は、ガラス基板の表面に形成した薄膜を削り、回路を…

TFT-LCD大型パネル向け光学フィルムの素材(原反)に関し、偏光板素材のPVAフィルムでは世界シェア8割のクラレと日本合成化学、位相差フィルムの素材も古河系の日本ゼオンとJSRが主たる供給者です。

位相差フィルム素材は、古河系の日本ゼオンが自社開発のCOP(シクロオレフィンポリマー)を溶融押出で加工したゼオノアフィルムを開発し市場投入を本格化したことで、それまで独走していたJSRのアートンと逆転してトップに躍り出たと報道されています。それま…

耐久生産財の製造設備では精密塗工装置や乾燥装置、熱処理装置、真空成膜装置・・・等々が使われますが、直近の新聞報道を列記してみることだけでも、業界のホットな動きを感じ取れます。

日経新聞2006年8月22日付で液晶向け露光装置:ウシオ電機が御殿場事業所内に30億円を投じて新工場棟を建設する。液晶パネルメーカーの増産投資で需要が拡大している露光装置の増産並びに分散している製造拠点を集約して生産効率を高めるため。半導体産業新聞…

FPD製造装置や半導体製造装置からの派生需要は、マテリアル生産財や中間財の製造企業にとっても需要の一セグメントを形成しています。

前述のFPD製造装置と半導体製造装置を合計した日本製の販売高は2005年度で2兆4百億円と巨大です。別の機会に整理したいと考えていますが、マテリアル生産財でステンレスやアルミ厚板、合成石英、特殊炭素、中間財でスイッチ、モーターやポンプ、制御基板や制…

日本製のFPD製造装置の販売予測は06年度が6082億円で前年比15%増です。薄型テレビの普及でFPDの生産拡大が続きますからFPD製造装置の販売も拡大が続きます。

液晶パネル製造向けが一時的な減退に入りましたが、PDPパネル製造向けが相変わらず好調で有機ELパネル向けも上向きだしていることからFPD製造装置の全体は拡大基調のままと報道されています。 電波新聞2006年8月22日付で「日本半導体製造装置協会(SEAJ)が6月…

耐久生産財は、川の流れで云えば、流れの合流地点の水門や堤のように、工業生産でいえば、耐久生産財が付加価値を高める工程の持続性と品質安定をもたらし、組織経営のアウトプットである人間の知恵とノウハウが付加価値の大きさを決め、事業経営や財務経営によるオペレーションが付加価値を金銭価値に置き換える大きさを決めます。

付加価値が高まるポイントとは、トヨタ生産方式*1で云えば、働き(≠動き)、あるいは正味作業(≠付随作業と無駄)、藤本隆宏氏*2の表現を借りると「情報転写」のポイントとでもいえましょうか・・。 *1:「トヨタ生産方式」大野耐一著 isbn:4478460019: *2:「…

食品安全性に関し、HACCP(ハセップ)は、欧米が得意な事前合理の「こうすればこうなる」との思想に基づく予防のマネジメントシステムとしてはすばらしく価値が高いものです。しかし現実はHACCP認定工場で不具合が発生しているようなのです。細菌汚染食品が発生してしまった場合の流出防止と再発防止といった事後合理性のプロセスも必要です。

筆者はHACCP(ハセップ)については素人なので見当違いもあろうかとは思いますが・・。 HACCPで作り込むだけでは、トヨタ生産方式の開祖である故大野耐一氏の「データは大事、それ以上に事実が大事」の最初の方の「データは大事」までも辿りついていないような…

梅雨入りすると食品安全性が気になります。食品業界でも自動車や電機のものづくりでは常識の出荷前検査、つまり「検査を終えてから出荷する品質ルーティーン」の確立に向けて前進が始まったようです。細菌汚染の出荷前検査で様々な迅速自動検査システム(装置と判断ソフトの組み合わせ)の研究開発や市場投入が活発になり始めています。

キッコーマンのATP検査キットは10年以上の市場投入実績があるようですが、ここ数年でバイオセンサー技術を駆使した自動検査システムの市場導入が始まっています。松下電器・松下エコシステムのバイオプローラ、ダイキン系ベンチャー企業のバイオシータのDO…

金型製造企業のグローバル展開に関し、伊藤製作所のグローバル化モデルは示唆に富んでいます。比国(フィリピン)に進出し「設計を比国で行い日本で加工する」というモデルで組織能力の継続的改善に取り組んでおられます。「政治と行政の品質の国際競争で見劣りする日本国そのものが駄目になってしまうリスク」に対する予防策は、「日本本社を支えることができるような比国現地法人を育て上げていくこと」で対処するという逆張りの発想です。

google:ものづくり 伊藤澄夫 伊藤製作所http://www.itoseisakusho.co.jp/ 同氏が繰り返しの現実検討とシミュレーションを行った結果で、独立自営の経営者として「進出先は比国と決断」した理由はよく理解できます。既に過当競争の泰国でもなく、中小企業が単…

自動車産業や松下電器にプレス金型を供給する四日市の伊藤製作所の伊藤社長は、耐久生産財であるCNCマシンなどの登場による環境激変を以下のように説明しておられます。

「モノづくりこそニッポンの砦―中小企業の体験的アジア戦略」伊藤澄夫著 isbn:4769361564: 何千工程もかけて製作していた金型製作の工程において、CNCマシンが加工工程の大半をカバーできるようになったのです。・・中略・・設計と試し打ちをした後の対策…

間接生産財を代表する金型に関し、日本の産業規模は出荷高1兆円で就業者100千人を超えるそうです。その金型の最終製品である電機と自動車の組み立て工程の海外シフトが進み、更には90年代後半からは金型製造のコンピュータ化も進み、日本の金型各社の多くが、21世紀モデルに向けての変態脱皮を進めているようです。

参考:日本金型工業会 http://www.jdma.net/日本の金型製造企業は、90年代の顧客企業の急速な海外シフトと、どさくさで行われた日本から中国やアジアへの図面持ち出し、耐久生産財でCNCマシンの登場やコンピュータ化による加工の簡易化、中国で多い反則…

自動車部品製造企業の製造工程は、多くの外注工程で支えられています。マテリアル系生産財を加工する工程では、耐久生産財とものづくり基盤技術(プレス加工・鍛造・切削・熱処理・鋳造・めっき、など)を使って単体部品が製造されます。もの造りの工程分業を担う「調製加工の支援プロセス」はサポーティングインダストリーの主要プロセスを構成しています。特に金型製造とプレス加工は一大産業を形成しています。

川上の約30千の単体部品が約1千を超える機能部品に集約される階層の工程では、多くの工程が外注されています。金型製造の業界団体のHPによると、金型業界の規模は、1997年統計で、1兆8千288億円、向け先の内訳はプレス用35%、プラスチック…