青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

金属資源&レアメタル

166. 銅産業のメタルピークアウト /資源ひっ迫

日本のGDPの4割を支える製造業の中でも極めて競争力が高い“素材・部材”の産業の中でも、特に銅産業(鉱山・製錬・圧延)については、資源の希少性が高まることで、国家存亡の戦略的な産業へと重要性が高まっていくものと推察します。 これから起こる未来に影響…

158\1/2. CO2排出削減に貢献する日本の高炉メーカー

世界の鉄鋼産業が“日本の鉄鋼産業並みのエネルギー効率”を実現すれば、それだけで4%排出国の日本一国分の排出削減ができます。 日本は、温暖化ガス排出量で世界の4%を占める4%排出国です。4%排出国の日本の国内排出量を部門別にみると、直接排出量の側面か…

131-1/2.モンゴル帝国のユーラシア・アジア連邦

アジアの地政学的特徴は、モンゴル帝国の歴史を再考・再調査すると理解しやすくなります。アジアとヨーロッパには16百万人ものチンギス・カン(汗=ハン、遊牧君主の称号)の子孫がいるそうです。 モンゴル国のレアメタル鉱山を対象にした下術の投資ファンドが…

85-3/4 非鉄精錬7社のスパイラル進化

非鉄精錬7社の歴史から産業構造がスパイラルに進化していく様々な事例をみることができます。 非鉄製錬企業の多くが40年前に一度ピークアウトして、30年前に構造不況業種といわれるようになり、長い忍耐の時代からのスパイラル展開で、今はグローバル市場で…

82-1/4 工業化と資源獲得で中国

工業生産の拡大が著しい中国の資源獲得に関し、大勢の中国人がアフリカにおしかけ、現地との利害トラブルが発生し、エチオピアでは多数の犠牲者がでたそうです。 75.76.で金属資源、80.と81でレアメタルについて記述しましたが、エチオピアでは中国系の石油…

液晶パネル製造のアレイ工程とカラーフィルター工程のパターニングでは複数種類のターゲット材が使われます。ターゲット材はバッキングプレートにボンディングして供給されます。

液晶パネルの配線膜で使われるモリブデン粉末に関し、三菱マテリアルの子会社で、モリブデン粉末のトップメーカーである日本新金属(大阪府吹田市)は、兵庫県三田市に本社工場の分工場を建設し、液晶向け生産能力を倍増する、と日刊産業新聞2006年10月23日付…

ITOターゲット材は世界首位の日鉱金属と2位が三井金属、3位の東ソー・・と続きます。ターゲット材の生産能力そのものは十分なようですが何とか足りそうな原料インジウムの供給逼迫が続きます。

業界2位の三井金属に関しては半導体産業新聞2007年2月21日付が「三井金属は06年の当初計画であった月産40トンを下方修正し、06年後半の月産30トンを07年度夏場までに月産35トン程度に引き上げるとの見直しを行った。福岡県の三池薄膜工場と台湾の2拠点で、FP…

液晶テレビの需要も短期的には06年6月のサッカーワールドカップが期待はずれだったためにITOメーカー各社は増産計画の見直しを余儀なくされてしまったようです。

上述日鉱金属の大野守一事業長は2006年度ITO販売実績に関し「06年度は大型テレビの伸びが期待したより下回ったことで計画に実績が届かなかった。2005年の月26tに対し、2006年の実績は、月30t(年360t)程度の前年比伸び15%に留まった。計画では、2006年は月38.…

薄型テレビの主要デバイスであるTFT-LCDやPDPの透明導電膜の形成で使われるITO(インジウム・スズ酸化物)ターゲット材の供給が逼迫していますが、リサイクルを含めた増産と代替材料の実用化で需要は何とか賄えていけるだろうというのが大方の見方です。

レアメタル・ニュース2007年1月1日付で透明導電膜用ITO(Indium Tin Oxide/インジウム・スズ酸化物)ターゲット材で世界トップの日鉱金属 ・電子材料カンパニー・液晶ターゲット事業部の大野守一事業長へのインタビユー記事を紹介していました。 曰く「世界需…

フラットパネルディスプレイ(FPD)の透明電極や透明回路の形成では透明度が高くてエッチング性に優れるITO(インジウム・スス酸化物)がターゲット材として使われています。

生産財マーケティングでは、顧客業界の製造プロセスの流れを把握することが重要です。透明導電膜はITO(インジウム・スズ酸化物)がガラス基板にITOプロセスのスパッタリングで形成されます。液晶テレビのTFT-LCDではカラーフィルターの対抗電極とTFTアレイの…

純度99.99%以上のインジウム地金の生産ではトップがDOWAホールディングスで日鉱金属や三井金属も生産しています。

DOWAは新地金の生産ではインジウム品位の高い亜鉛鉱石を混ぜ合わせて増産、リサイクルで再生地金の生産でも回収技術を高めて増産に努めているそうです。 日刊産業新聞2007年3月9日付けで「亜鉛鉱石の一般的なインジウム品位は0.01-0.02%程度だが、ボリビア産…

薄型テレビの普及でインジウムの3次製品であるITO(インジウム・スズ酸化物)ターゲット材の需要が急増し、派生需要で2次製品の粉末、更に1次製品のインジウム地金の需要が急増しています。

大面積の薄型テレビ、特にTFT-LCDの需要拡大で、カラーフィルターの対抗電極やTFTの表示電極のITOプロセス向けでITO(若しくは代替材)の需要拡大がまだまだ続きます。 インジウム地金の8割が透明電極用のITO(インジウム・スズ酸化物)のターゲット材で、更にIT…

液晶パネル製造のTFT(薄膜トランジスタ)パターニングで行われる成膜に関し、神戸製鋼とコベルコ科研が供給するアルミニウム・ネオジウム合金のターゲット材が世界シェア8割で今や業界標準とのことです。

液晶パネルの画素に付くTFT(薄膜トランジスタ)のパターン形成では、ガラス基板への成膜とエッチングがくり返されますが、最初の成膜で使われるのがアルミニウムにレアメタルのネオジウムを添加した[Al-Nd合金のターゲット材料]とのことです。TFTゲート配線の…

スパッタリングターゲット材の世界需要に関し、FPDパネル、半導体、HDD向けの伸びで年間2千億円規模にまで拡大してきているそうですが、特に薄型テレビの需要急増でITO(インジウム・スズ酸化物)の伸びが著しいようです。

ターゲット材の世界需要に関し日刊産業新聞2007年1月23日付は「FPD用が推定1千億円で03年比2倍、半導体用が6百億円で03年比倍増、記録用もHDDの需要拡大で白金系ターゲット材が伸びている。」と報道していました。 ITO(インジウム・スズ酸化物)の需要が、薄…

非鉄製錬メーカーや無機化学メーカーとは別枠で、日刊産業新聞2007年2月19日付がレアメタル上場6社を一覧化して業績を報道していました。

ジャスダック上場で非鉄金属専門商社のアルコニックスは電子・機能材事業で扱うチタンスポンジ、タングステン、モリブデンなどのレアメタルや希土類(レアアース)などが自動車、携帯電話などの根強い需要に支えられ事業利益も営業利益で1266百万円と大幅増、…

自動車分野の特殊鋼や車載電装デバイスなど、情報通信分野で携帯電話やパソコンなど、デジタル家電分野で薄型テレビなど・・の生産好調でレアメタルの輸入も増加傾向にあります。

レアメタル輸入に関し、レアメタル・ニュース2007年2月16日付は「2006年度実績(速報値)は1兆7千億円。対象は貴金属を除く184品目でCIF日本ベース。内訳は金属・化学品61百億円、金属鉱石49百億円、ニッケル地金・展伸材15百億円、触媒10百億円、レアアース4…

日本は「世界人口の3%で世界GDPの1割強の付加価値額を生産する経済大国」ですが、75で前述の通り「レアメタルの世界消費では3割を占める消費大国」でもあります。レアメタルへの依存率が極めて高いのが日本経済の特徴です。

レアメタルとは、15.と75.で前述の通りベースメタルである鉄・アルミ・銅・鉛・亜鉛の5金属以外の金属のことで、日本国の統計対象は、例えば通関統計では貴金属を除く184品目です。 レアメタルはマテリアルに様々な機能を付加し高付加価値化な高機能素材を実…

鉄と非鉄5金属(銅・鉛・亜鉛・ニッケル・アルミ)を除くレアメタルはデジタル素材として需要拡大が続く反面で供給が逼迫していますが、鉱石や中間原料を扱う商社の役割が高まっています。

川上の原料(鉱石・中間原料)の生産財流通と商社の機能に関し、レアメタル原料は多様な専門性が必要な上に小規模取引の集積なので専門商社が活躍しています。大手の総合商社が活躍するコモディティのベースメタル原料の大規模取引とは対照的な世界のようです…

非鉄金属業界は鉱石を生産する鉱山業と製造業(製錬、製品)及び商社などのサービス産業で構成されますが、国内鉱山が枯渇した製錬業にとって海外鉱山での権益獲得と国内におけるリサイクルが課題になっています。

非鉄金属に関し「需給バランスと価格動向」「日本の製錬業界の技術力」「日本国に期待する資源政策」の3点に関し、 日本鉱業協会の会長でDOWAホールディングスの吉川会長が日刊産業新聞2007年1月1日付で触れておられました。以下で引用します。 1.需給バラン…

レアメタルの供給逼迫は、世界人口の4割を占める中国とBRICsが、資源輸出国から自国内消費に転じ始めたことが主な要因です。

日本は73で前述の通り世界人口の3%で世界GDPの1割をアウトプットしていますが、レアメタルについては15で前述の通りレアメタル世界消費の3割を占めています。特に本稿で着目する高付加価値な高級素材や高機能部材のマテリアル系生産財の製造では様々なレアメ…

非鉄製錬メーカーの鉱山開発に関し、日鉱金属と三井金属の両社が合同で設立したパンパシフィック・カッパー社(PPC)が海外銅鉱山では日本企業初の快挙となる権益100%をチリのレガリート銅鉱床で取得しました。

上述のレガリート銅鉱床に関しては「開発が順調に進めば2011年に日本企業初の権益100%の海外銅鉱山が誕生する。PPCが費やす初期投資は約6億ドル(720億円)。」と発表されています。 権益100%の自山鉱を獲得する重要性が高まっています。資源メジャーによる鉱…

金属資源の鉱石供給に関し、アングロアメリカン社、リオティント社、BHPビリトン社等の海外資源メジャーの寡占化が急速に進行し、レアメタルの輸出大国だった中国の輸出余力が減少するなど、鉱石や製錬中間原料の供給構造が急変しています。

供給構造の変化を示す事例で銅鉱石の場合、海外資源メジャーで上位7社の生産シェアは1990年代の3割が、現在は5割に拡大しています。上述通り、米フリーポート社がフェルプスドッジ社を買収し、ニッケルでは、鉄鉱石の最大手で伯のリオドセ(CVRD)がインコ社を…

非鉄金属の価格高騰は、供給側で鉱物資源の品位低下と枯渇、需要側で主に中国の需要急増という需給構造の変化が背景にあります。日本は省資源と金属リサイクルの技術競争力が高いもったいない先進国なので、長期的には日本国への追い風になりそうです。

今週2007年1月23日にニッケル価格が史上最高値をつけました。ロンドン金属取引所(LME)の現物相場でトン40千米ドルの大台突き抜けとなりました。電気銅の国内建値は2006年5月に史上最高値のトン1百万円を付け、今は750千円に下落しましたが、2002年の230千円…