青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-01-01から1年間の記事一覧

車載用途でハイブリッドICの需要が堅調で、派生需要で電子基板のパッケージ基板(モジュール基板)の需要も堅調です。

半導体産業新聞2006年8月9日付で「ハイブリッドICの全世界の需要規模は2兆円前後、日本では国内生産額に輸入額をあわせた3千2百5十億円。車載向けでは、特にアルミ基板や耐熱特性が要求されるセラミック系基板の需要が好調。銅基板はアルミ基板に比較して熱…

電子基板の環境品質に関し、欧州Rohs規制やELV規制、ISO14001・・といった一連のトレンドから鉛を使わない鉛フリー化が進められていることから、樹脂基板の高耐熱化が求められています。

鉛を使わない鉛フリー半田では、従来の鉛を使った鉛半田よりも高温処理されるために耐熱温度のハードルが高くなります。電子基板と電子部品への要求事項の一つである高耐熱化への対応で「半田を使わない実装の方式」も進化中です。 新神戸電機・彦根事業開発…

自動車の電子化と多機能化で様々な派生需要が生まれていますが、電子基板の需要も増え続けています。QCDに加えてE(環境品質と性能)を基軸とした顧客関連のプロセスと営業プロセスが形成されています。

電子基板の工業統計は31で前述の通りJPCA(電子回路工業会)から提供されていますが、この統計は基材別にリジッド基板とフレキシブル基板、モジュール基板に大分類され、更にリジッド基板を金属基板・セラミックス基板と樹脂ソリッド基板に分類しています。自…

ハイブリッド車の普及は、従来のガソリン車やディーゼル車とは異なるハイブリッド車専用のデバイスや部品への派生需要を生み出していくことになります。

動力発生と伝達のパワートレイン系では、バッテリーシステムのエネルギーデバイスでニッケル水素電池やリチウムイオン電池、受動部品の大型コンデンサではフィルムコンデンサや電解コンデンサ、更には電気二重層コンデンサ(ELDC)など。電力変換でパワーモジ…

自動車の電子化でパワーデバイスの搭載点数の増加が続いています。ハイブリッド車の登場でIGBTモジュール(パワーモジュール)も使われるようになりました。

モータ、ソレノイドバルブ、ランプ、点火コイル、DC/DC電源、などのパワーマネジメントでパワーデバイスが使われています。例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)は1台あたり約200個使用されているそうです。半導体新聞2006年12月6日付けで、…

自動車生産のコスト比率でエレクトロニクスの割合が高まり続けていますが、ハイブリッド車のコストの凡そ半分がエレクトロニクスだそうです。

自動車生産コストで、半導体と電子部品を含めたエレクトロニクスが占めるコスト比率に関し、トヨタの事例では、コンパクトカーで15%、高級車28%、ハイブリッド車47%と紹介されています。69.で前述の通り、トヨタはハイブリッド車がパワー半導体とロジックLSI…

ハイブリッド車が実現した素晴らしい燃費に代表される環境性能は、電子制御とパワーエレクトロニクスの賜物です。初代プリウスの総合効率はガソリン車の倍の28%です。

トヨタ自動車が2002年12月にJEVAフォーラムで発表した資料によると、油田から自動車走行までの総合効率は、ガソリン車14%が、ガソリンハイブリッドのプリウス28%へと飛躍的に高まっています。内訳の燃料効率( Well to Tank )ではガソリン車もプリウスも88%で…

カーエレクトロニクス機器の成長率に関し、クルマの台数の伸びとの比較では、常に10%程度上回る成長率を示しているようです。

機能統合や小型化によるコストダウンの効果を上回る搭載点数の増加や新機能追加、更に電子機器のコスト比率が高いエコカーへのシフトで自動車の出荷台数以上に車載電子部品の需要が伸びています。 電子材料2006年5月号で「現在の高級車ではエレクトロニクス…

車載電装デバイスの進化はマテリアル系生産財の部材の進化へと派生していきます。

半導体産業新聞2006年11月1日付けで東レに関し「同社の中期課題IT-2010によれば、情報通信や自動車向け先端材料を伸ばし、2010年度に売上の半分、営業利益の75%までに構成比を引き上げる。創業80年を経て最先端マテリアルカンパニーとして生まれ変わっていく…

耐久消費財の自動車に関し、1970年代の排ガス規制を端緒として進化が始まった電子化ですが、ハイブリッド車や環境対策ディーゼル車が登場し、C&C技術の進化でテレマテックスも加わり、自動車の電動化・電子化・情報化の流れに弾みがついています。

自動車は従来のメカトロニクスの基盤の上に重畳的にエレクトロニクスが中核技術になりつつあります。自動車の電子化は環境・省エネ、快適、安全、をキーワードに進化してきましたが、ハイブリッド技術とC&C技術の進化は、顧客関連のプロセスと営業プロセスの…

次世代ゲーム機のポジショニング戦略に関し、ソニーはPS3で、マイクロソフトはXboxで家庭内コンピュータの主役を狙い、任天堂は家庭内玩具の主役を狙う・・というように、スパイラルな進化と展開が果てしなく続きそうです。

日経新聞2006年11月8日付は、任天堂の次世代ゲーム機Wiiに関し「米ウォルト・ディズニーは、任天堂のゲーム機の愛好家に低年齢の子供が多いことから相乗効果が狙えるとみており、傘下のブエナビスタ・ゲームズで、Wii専用のゲームソフト開発会社を立ち上げた…

次世代ゲーム機の棲み分けと競創関係に関し「次世代ゲーム機ではPS3のソニー、Wiiの任天堂、Xbox360のマイクロソフト、これらの三社が三つ巴となる。(ソニー一強の)現行機種世代とは実に異なる構図だ。」と週刊ファミ通を発行するエンターブレイン社のマーケティング調査を半導体産業新聞2006年11月1日付が紹介していました。

最終製品の派生需要でバリューチェーンを形成する生産財企業(メーカーと商社)にとって、最終製品の一強寡占はリスクが高くなりすぎて好ましくありません。パソコンのウインテル全盛時代は、マテリアル系生産財の電子部材を供給する多くの日本企業が、インテ…

次世代ゲーム機に関し、ソニーのPS3、任天堂のDSやWii、マイクロソフトのXbox360などにみられるゲーム機のスパイラル進化で、生産財のマーケティングもスパイラル進化が続きます。

半導体デバイス、電子部品、筐体や機構部品向け素材・・等々の生産財メーカーや生産財商社にとって、アミューズメント機能を最大化したコンピュータである次世代ゲーム機は、主要セグメントの一つになりつつあります。 半導体産業新聞2006年10月25日付でエン…

愛知県春日井市の伊原電子工業は超短納期を武器にゲーム機向けの電子基板ビジネスを拡大しています。また62で前述のミツミ電機の9月中間決算発表では「ゲーム機向け電子部品の販売が収益拡大に寄与」と報道されています。

半導体産業新聞2006年11月8日付で伊原電子の代表取締役専務の伊藤嘉高氏は「超短納期を生かした最大のビジネスは、ゲーム機向けの電子基板だ。生産は韓国のメーカーに一部委託し、伊原の国内工場で仕上げる量産ビジネスを構築し、月間3-4千㎡で推移。加工ス…

ゲーム機と半導体の関係に関し、半導体デバイスの進化でマシンの能力が高まり、高まった能力を何に使うか?でソニーと任天堂が両極分化したようです。

半導体産業新聞2006年10月25日付でエンターブレイン社長の浜村弘一氏は「任天堂のWiiは最初から玩具を目指しておりファミリー層に受け入れられ易い。ソニーのPS3は非常にパワフルなCPUであるCELLを搭載した最高性能のCG(コンピュータグラフィックス)マシンな…

ゲーム機に関し、1989年(明治22年)創業の京都企業で花札メーカーだった任天堂がテレビゲームを経由して1983年のニンテンドウでファミコン市場を切り開いた当時の黒子の主要な一部が半導体デバイスでした。

半導体デバイスの進化は、様々な最終製品のスパイラル展開のドライバーとなります。半導体産業新聞2006年11月15日付で「04年当時、32ビット機はPS1、セガサターン、REAL、PC-FXが揃い踏みし、任天堂は次のウルトラ64を投入すべく、16ビットのスーパーファン…

ソニーの次世代ゲーム機PS3に搭載されている半導体「CELL」は、ソニーが米国IBMや東芝との共同開発で実現した「ゲーム機用途に止まらないウインテルを超える家庭用コンピュータのMPU」で、ソニー自身も2003年度以降3年間の半導体投資5000億円の主なる部分を投入したそうです。

投資で耐久生産財やMRO間接生産財などの需要が生まれ、投資後の量産で電子部材などのマテリアル系生産財や、金型などMRO間接生産財の派生需要が生まれます。 半導体産業新聞2006年10月25日付で「11月11日に国内販売が開始されるPS3のメーンCPUはソニー・IBM…

全社営業力の参考文献

「やっぱり変だよ日本の営業」宋文洲著 isbn:4931466656 「大きくしないで強い会社を作る」西浦道明著 isbn:4761257164 「小さな会社の社長の営業」原田繁男著 isbn:4893869493 「小さいからこそできる-オンリーワン企業」山田宏著 isbn:4532142415 「小さく…

生産財企業の要員に関し、師範級営業プロが持つ営業能力の多くが事業要員(事業ユニットのリーダーやマネージャー)で必要な能力要件と重なっています。例えば大阪商工会議所が推進しているPWAいわゆる段取り力や、ISO9001でいうところのプロセスの設計開発などです。

52で前述の藤本篤志氏は、上位4%(上位2割の中の上位2割)の営業能力は「営業能力=営業知識量+営業センス+グランドデザイン力」でグランドデザイン力が加わっている、と分析し、主な「グランドデザイン力」とは次の五項目であると分析しておられます。 1.…

日本の生産財企業は高付加価値化を進めないとジリ貧になりますから、組織経営(マネジメント戦略)の上では「高付加価値な提案を提供し、顧客のバリューチェーンへの食い込みができる優秀者」の能力分析は重要なテーマです。

52で前述の藤本篤志氏は著書*1で、上位2割のトップセールスマンは後天的に身につけた営業知識に加えて「入社前に先天的に身に付けている主に性格に起因する7項目のセンスがある」と分析しておられますが、これを53で前述の能力MECEである心技体で分類してみ…

日本電産の永守創業者は「営業ならば営業実績がより高い社員を上司にする。営業能力が低い社員にあれこれ理屈をつけて上位者にするから組織が可笑しくなる。」と述べておられますが真髄をついていると考えます。

営業能力が高い営業パーソンに関し、師事クラスでは自分自身の個人芸で高い営業付加価値を提供できる個人競技者タイプと、個人が発揮する機能を束ねたチーム芸の中の分業が得意なチーム競技者タイプの2タイプが存在しますが、師事よりも上位の師範クラスの師…

営業とは事業を営むことですが、野球でいえばジェネラルマネージャーに相当する投資や全体戦力の強化を担うマネジメントレベルの後方営業力と、53や54で前述のチーム競技的な選手レベルでの前線営業力(組織営業))の両方の営業力が織り成す全社営業力で需要争奪戦が行われます。

前述65のCCFL(冷陰極管)のように市場拡大途上でイノベーションとも隣り合わせの生産財に係わる営業プロセスでは、主要プロセスの前線営業力と支援プロセスの後方営業力が織り成す全社営業力で星取表を埋めていくことになります。 生産財取引では、52で前述の…

液晶テレビのパネルで使われるバックライトに関し、CCFL(冷陰極管)、LED(発光ダイオード)、HCFL(熱陰極管)の三つ巴の需要争奪戦を例題として、生産財取引における顧客関連のプロセスと営業プロセスに係わる事例を考察することができます。

消費財と生産財の違いとは、生産財取引では顧客関連プロセスと営業プロセスが7と35で前述の組織的購買に対して形成されること、組織的購買の判断基準が51で前述のQCDSで最近ではE(環境)などが加わりつつあり、64で前述の競争が競創でもあること、等々です。…

液晶テレビのパネルで使われるバックライトに関し、コストパフォーマンスに優れるCCFL(冷陰極管)への対抗馬としてLED(発光ダイオード)の下馬評が高いのですが、フィリップス社のHCFL(熱陰極管)の登場で、更に混沌としてきました。

レアメタル・ニュース2006年10月16日付は「経産省機械統計によるとバックライトの国内生産が2000年からの5年間で3.6倍の4億9千8百万個に急拡大した・・松下電器照明社の重西孝仁SBUマネージャーはCCFLとLEDの比較に関し、CCFLの発光効率はLEDに比べ約1.5倍。…

液晶テレビの画面品質を左右するバックライトの冷陰極管(CCFL)で日本勢はシェア7割とみられます。

17で前述の泉谷渉氏は著書(電子材料王国ニッポンの逆襲)で「薄型ディスプレー向け電子材料の日本製シェア7割。エレクトロニクス分野で日本は電子材料で復活を果たす」と述べておられますが、マテリアル系生産財の電子材料を駆使したバックライトでは、世界ト…

液晶テレビの事業に関し、ソニーは液晶パネルの生産シェアで世界トップのサムスンと提携することで中間財の液晶パネルを獲得し、愛知県稲沢市のソニーEMCSの稲沢テックで液晶モジュールの製造と最終セットの組立てまでを行うプロセスを構築し、販売シェアではサムスンと世界トップを競うまでに復活しました。

調達した液晶パネルにドライバーやバックライトを実装するモジュールメーカーにとってはCCFLの安定調達が重要課題です。モジュールメーカーは供給者のCCFLメーカーが形成する顧客関連のプロセスでは51、35、7で前述の購買センター概念の使用者です。購買者や…

自発光ディスプレーのCRTやPDPとの比較で「液晶パネルの弱点は動画性能と視野角」ですが、蘭Royal Philips Electronicsが市場投入を開始したHCFL(熱陰極管)を使用したバックライトは「PDPを凌ぐ動画性能」を実現できるそうです。

生産財の営業プロセスでは、イノベーション対応と量産後のQCDSのバランスが要求されますが、液晶テレビのHCFL(熱陰極管)バックライトは良い考察事例を提供してくれています。電波新聞2006年10月20日付は、液晶パネルの弱点をカバーする技術としてフィリップ…

大型パネルでプラズマと液晶のコスト比較に関し、前述の内池平樹氏は「製造プロセスからはPDP約70ステップが、TFT-LCD約140ステップよりも有利だが、半導体強国となった韓国・台湾の高品質化と低コスト化は侮れまい、但し部材は殆どが日本製」と、マテリアル系生産財の部材での日本企業の圧倒的強さをレポートしておられます。

薄型テレビ向けでPDPパネルを製造しているのは、独走態勢の松下電器とこれを追う韓国Samusung SDI(三星電管)と韓国LG、日本のFHPとパイオニアです。台湾のFORMOSA(台朔光電)とCPT(中華映管)は事業展開を中止しました。 薄型テレビ向けの液晶パネルでは、…

「PDPが弱点としてきた消費電力でTFT-LCDと逆転した現在、PDPテレビの次の開発目標は、更なる画質改善とコスト低減」と元佐賀大学教授(理工学部)でPDP研究40年の内池平樹氏は総括しておられます。

前述の内池平樹氏は「大画面の消費電力でPDPと液晶が逆転した。パイオニアが、対角43インチで293W、50インチで380Wを実現した。発光効率2.2lm/Wと高輝度1000cd/m2、コントラストでLCDの2倍」と最新事情をレポートしておられます。 「パイオニアが消費電力で3…

薄型テレビに関し、49で前述の「米国では、居間のプラズマと寝室の液晶、といった使い分けが定着しつつある」ようですが、付加価値が高い大型パネルの需要獲得を巡ってPDPとTFT-LCDという二大ディスプレー技術の競争と競創が続きます。

太陽電池パネルで世界トップを独走するシャープは、生産シェア世界4位のテレビ用液晶パネルでは、単価下落が著しいボリュームゾーンの中小型よりも、30型以上特に40型以上の大型パネルへの集中を鮮明にしています。 06年度販売見通し6百万台のサイズ別内訳に…