青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

PDP前面板の保護膜兼カソード材料として酸化マグネシウム(MgO)が使われています。

酸化マグネシウム(MgO)は透明、高絶縁性、高融点で二次電子放出性が高いのでPDPの透明電極を保護する透明絶縁体(誘電体)の皮膜及び電子放出のカソード材料として使われています。 PDP発光セル(RGB画素の発光)で使われているMgOは、宇部興産系の宇部マテリア…

PDP製造で多用される各種ペーストやドライフィルムは精密化されたマテリアル生産財をマテリアル系で複合したマテリアル系生産財といえます。

PDPの背面板誘電体と前面板誘電体及び隔壁の形成で使われるガラスペーストでは、上述の東レや旭硝子以外に、東証上場のノリタケが数年前の決算短信で「新規に開発したPDP向けのガラスペーストと積層コンデンサー用ペーストが伸張し」と発表していました。ま…

PDPの画素製造工程ではガラス基板に絵付けを焼き固めていくように背面板と前面板を形成していくとのことですが、松下電器の広報では「正に日本ならではの備前焼のような工程」と表現していました。

PDPのパターニング(電極・誘電体・隔壁・蛍光体RGB)は感光性ペーストを多用する印刷技術なので「絵付けの焼き物」と比喩されます。83で前述した液晶パネルのTFTパターニングが半導体分野で進化したフォトリソグラフィであるのと対照的です。 PDPパネルの背面…

液晶テレビとプラズマテレビの原理を比較すると、動画ではPDPのプラズマテレビが優れています。静止画像で勝る液晶テレビのTFT-LCDですが、動画ともなると1千倍のスイッチング速度を持つPDPに追いつくのは容易ではありません。

PDPがLCDよりも原理的に優位なのが動画品質と視野角の2点です。 動画と静止画像の品質の違いに関し、デジタルカメラ(DSC)に代表される静止画像ではピクセル数(画素数)が画像品質を決めますが、テレビの動画品質ではピクセル(画素)のスイッチング速度で画像品…

プラズマテレビの主要デバイスであるPDP向け部材供給で形成されている顧客関連プロセスでは、既存の事業や技術がダイナミックにスパイラル展開していく事例を観ることができます。

PDPに関し、青草新吾の個人的なイメージはCRT、蛍光ランプ、誘電体、陶磁器の絵付け、スクリーン印刷・・・等の要素技術が複合したスパイラル進化です。不連続で革新的な技術というよりも「粋を極めた個々の技術を組み合わせた合わせ技」です。自動車やロボ…

液晶パネル製造の前工程では、マスク、フォトレジスト、薬液、特殊材料ガス、ターゲット材、などの生産財を使います。何れにおいても日本勢が世界シェアの4割から7割を獲得しています。

ガラス基板に画素ごとのパターン形成をするアレイ工程とカラーフィルター工程では蒸着・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト剥離・洗浄などがくり返されます。この分野ではJSRと東京応用化学(TOK)が圧倒的な存在感を示しているようです。 使用さ…

液晶パネル製造のアレイ工程とカラーフィルター工程のパターニングでは複数種類のターゲット材が使われます。ターゲット材はバッキングプレートにボンディングして供給されます。

液晶パネルの配線膜で使われるモリブデン粉末に関し、三菱マテリアルの子会社で、モリブデン粉末のトップメーカーである日本新金属(大阪府吹田市)は、兵庫県三田市に本社工場の分工場を建設し、液晶向け生産能力を倍増する、と日刊産業新聞2006年10月23日付…

液晶パネル製造で使われるマテリアル系生産財の部材では日本メーカーが世界シェアの過半を獲得していますが、大阪ガスはフルオレンの唯一の量産メーカーとのことです。

液晶パネル製造は、前工程で背面側のガラス基板に画素ごとのパターンニングでTFT(トランジスタ)を形成するアレイ工程と前面側のガラス基板にRGBを形成するカラーフィルター(CF)工程、後工程はアレイ基板とカラーフィルターを合わせて液晶を注入しパネルを組…

生産財営業のQCDSで、D(デリバリー)とS(サービス)に関し、液晶パネルの部材メーカーは最大需要国の韓国と台湾で拠点強化を進めています。

生産財営業のD(デリバリー)とS(サービス)では、競争が激しくなってくると顧客と自社サービス拠点との近接性と可触性の重要性が高まります。DとSの定石は現地代理店や自社出荷拠点の設置などで、ハイテク素材で言えば最終組立と出荷検査、自動車部品材料でい…

ITOターゲット材は世界首位の日鉱金属と2位が三井金属、3位の東ソー・・と続きます。ターゲット材の生産能力そのものは十分なようですが何とか足りそうな原料インジウムの供給逼迫が続きます。

業界2位の三井金属に関しては半導体産業新聞2007年2月21日付が「三井金属は06年の当初計画であった月産40トンを下方修正し、06年後半の月産30トンを07年度夏場までに月産35トン程度に引き上げるとの見直しを行った。福岡県の三池薄膜工場と台湾の2拠点で、FP…

液晶テレビの需要も短期的には06年6月のサッカーワールドカップが期待はずれだったためにITOメーカー各社は増産計画の見直しを余儀なくされてしまったようです。

上述日鉱金属の大野守一事業長は2006年度ITO販売実績に関し「06年度は大型テレビの伸びが期待したより下回ったことで計画に実績が届かなかった。2005年の月26tに対し、2006年の実績は、月30t(年360t)程度の前年比伸び15%に留まった。計画では、2006年は月38.…

薄型テレビの主要デバイスであるTFT-LCDやPDPの透明導電膜の形成で使われるITO(インジウム・スズ酸化物)ターゲット材の供給が逼迫していますが、リサイクルを含めた増産と代替材料の実用化で需要は何とか賄えていけるだろうというのが大方の見方です。

レアメタル・ニュース2007年1月1日付で透明導電膜用ITO(Indium Tin Oxide/インジウム・スズ酸化物)ターゲット材で世界トップの日鉱金属 ・電子材料カンパニー・液晶ターゲット事業部の大野守一事業長へのインタビユー記事を紹介していました。 曰く「世界需…

フラットパネルディスプレイ(FPD)の透明電極や透明回路の形成では透明度が高くてエッチング性に優れるITO(インジウム・スス酸化物)がターゲット材として使われています。

生産財マーケティングでは、顧客業界の製造プロセスの流れを把握することが重要です。透明導電膜はITO(インジウム・スズ酸化物)がガラス基板にITOプロセスのスパッタリングで形成されます。液晶テレビのTFT-LCDではカラーフィルターの対抗電極とTFTアレイの…

ハイテク素材の生産財営業(セールス&マーケティング)では顧客満足の必要条件であるQCDSの品質を実現するためにプロセス志向の部門横断的なリーダーシップが求められることが多々あります。

長期的に持続する高品質の顧客関連のプロセスは、プロセス志向のリーダーシップが発揮されることで形成されていきます。そのための組織風土や組織としての仕組みと能力が必要です。 プロセス志向とは、目標実現のためにセクショナリズムに囚われない協働のプ…

純度99.99%以上のインジウム地金の生産ではトップがDOWAホールディングスで日鉱金属や三井金属も生産しています。

DOWAは新地金の生産ではインジウム品位の高い亜鉛鉱石を混ぜ合わせて増産、リサイクルで再生地金の生産でも回収技術を高めて増産に努めているそうです。 日刊産業新聞2007年3月9日付けで「亜鉛鉱石の一般的なインジウム品位は0.01-0.02%程度だが、ボリビア産…

薄型テレビの普及でインジウムの3次製品であるITO(インジウム・スズ酸化物)ターゲット材の需要が急増し、派生需要で2次製品の粉末、更に1次製品のインジウム地金の需要が急増しています。

大面積の薄型テレビ、特にTFT-LCDの需要拡大で、カラーフィルターの対抗電極やTFTの表示電極のITOプロセス向けでITO(若しくは代替材)の需要拡大がまだまだ続きます。 インジウム地金の8割が透明電極用のITO(インジウム・スズ酸化物)のターゲット材で、更にIT…

コベルコ科研は、三菱電機系のメルコ・ディスプレイ・テクノロジー(熊本県合志市)に、アルミニウム合金だけ(の1層構造)でゲート配線を形成できる(アルミ合金の上に異材質を被覆する2層構造を必要としない)次世代ターゲット材を納入開始した。・・と日刊工業新聞が昨年2006年6月に報道していました。

TFTのゲート配線の材料で世界標準の地位を獲得できたコベルコ科研は「2層構造から1層構造への工程削減と原材料削減」で更なる進化を提案しているとのことです。 このターゲット材料は、合金化技術、インゴット製造技術、成形技術・・・の合わせ技で、まさに…

液晶パネル製造のTFT(薄膜トランジスタ)パターニングで行われる成膜に関し、神戸製鋼とコベルコ科研が供給するアルミニウム・ネオジウム合金のターゲット材が世界シェア8割で今や業界標準とのことです。

液晶パネルの画素に付くTFT(薄膜トランジスタ)のパターン形成では、ガラス基板への成膜とエッチングがくり返されますが、最初の成膜で使われるのがアルミニウムにレアメタルのネオジウムを添加した[Al-Nd合金のターゲット材料]とのことです。TFTゲート配線の…

消費財営業のセールスと生産財営業(セールス&マーケティング)の違いは、ハイテク素材や半導体製品の営業で際立ちます

顧客関連のプロセスと営業プロセスの両方で、本頁で取り上げるターゲット材のビジネスは、営業技術の役割が高いといえます。生産財営業の基本指標であるQCDSの中でもS(サービス)の提案力と提案「実現力」が勝敗を決します。飛びぬけた力量のセールスマンが何…

スパッタリングターゲット材の世界需要に関し、FPDパネル、半導体、HDD向けの伸びで年間2千億円規模にまで拡大してきているそうですが、特に薄型テレビの需要急増でITO(インジウム・スズ酸化物)の伸びが著しいようです。

ターゲット材の世界需要に関し日刊産業新聞2007年1月23日付は「FPD用が推定1千億円で03年比2倍、半導体用が6百億円で03年比倍増、記録用もHDDの需要拡大で白金系ターゲット材が伸びている。」と報道していました。 ITO(インジウム・スズ酸化物)の需要が、薄…

非鉄製錬メーカーや無機化学メーカーとは別枠で、日刊産業新聞2007年2月19日付がレアメタル上場6社を一覧化して業績を報道していました。

ジャスダック上場で非鉄金属専門商社のアルコニックスは電子・機能材事業で扱うチタンスポンジ、タングステン、モリブデンなどのレアメタルや希土類(レアアース)などが自動車、携帯電話などの根強い需要に支えられ事業利益も営業利益で1266百万円と大幅増、…

自動車分野の特殊鋼や車載電装デバイスなど、情報通信分野で携帯電話やパソコンなど、デジタル家電分野で薄型テレビなど・・の生産好調でレアメタルの輸入も増加傾向にあります。

レアメタル輸入に関し、レアメタル・ニュース2007年2月16日付は「2006年度実績(速報値)は1兆7千億円。対象は貴金属を除く184品目でCIF日本ベース。内訳は金属・化学品61百億円、金属鉱石49百億円、ニッケル地金・展伸材15百億円、触媒10百億円、レアアース4…

日本は「世界人口の3%で世界GDPの1割強の付加価値額を生産する経済大国」ですが、75で前述の通り「レアメタルの世界消費では3割を占める消費大国」でもあります。レアメタルへの依存率が極めて高いのが日本経済の特徴です。

レアメタルとは、15.と75.で前述の通りベースメタルである鉄・アルミ・銅・鉛・亜鉛の5金属以外の金属のことで、日本国の統計対象は、例えば通関統計では貴金属を除く184品目です。 レアメタルはマテリアルに様々な機能を付加し高付加価値化な高機能素材を実…