青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

産業別の製造付加価値額に関し、平成17年度は化学産業が単独で自動車を含む輸送機械を逆転し、製造付加価値額で最大の産業に躍り出たそうです。

17[マテリアル系と電子材料王国日本]で前述の半導体産業新聞の泉谷渉氏は著書*1で「国内化学メーカーの『業界付加価値額』はついに先ごろ、これまた世界最強の自動車などの国内輸送機械を抜いて首位に躍り出た。・・中略・・100年企業を中心に化学、繊維、鉄…

日本国の製造業が生み出す約100兆円の製造付加価値額の内訳に関し、産業別には、化学・鉄鋼・窯業土石・非鉄の素材産業が生み出す製造付加価値額が最大で、以下輸送機械・電機・一般機械が続きます。

平成15年度の日本国の製造業の付加価値額100兆1千1百億円に関し、素材と電機の統計数字を括り直してみると、素材(マテリアル生産財・マテリアル系生産財)が最大規模の20兆8千4百億円となり、以下は電機、輸送機械、一般機械が続きます。 素材20兆8千4百億…

「働きが生み出す付加価値額」が国家・企業・家族と個人の生存を支えます。各産業が生み出す付加価値額の分配で個人消費が維持されています。

短絡的ではあるが便利なのでよく使われる表現で「GDPの6割を支える個人消費」がありますが、勘違いしたり騙されてはいけません。国内総生産(GDP)から固定資本消耗と純間接税及び法人内部留保などを差し引いた残りが国内可処分所得であり、消費と投資は国内可…

統計上の製造業とは、製造事業を営業する商社や小売を除いた狭義の製造業ともいえます。

商業分類の中でも半導体商社の多くがEMS(Electronics Manufacturing Service)事業を行っていますが統計上の表の分類は卸売りです。同じく商業分類のユニクロ(ファーストリテイリング)はSPA(Speciality Store Retailer of Private level Apparel)ですが株式欄…

統計上の製造業とは、川上のマテリアル(有機・無機・金属)が川下の最終製品に組み込まれていく一連のバリューチェーンとサプライチェーンの中で「モノを製造し卸売りする業態」のことです。

川上のマテリアルがマテリアル生産財やマテリアル系生産財に加工され、これらの工業材料が加工されて中間財となり、更にこれらの中間財が組み合わせられた最終製品へとカタチを変えていきます。 日本標準産業分類では、「製造業とは、有機又は無機の物質に物…

生産財マーケティングの対象は製造業と関連産業からの派生需要ですが、製造業と関連産業が生み出す付加価値は日本国のGDPの4割強を占めます。

前述の41[GDPの日米比較]からも今の日本の国力の半分近くが製造業とその関連産業で支えられている現実を認識できますし、この構造を維持強化していくことが米国との相互補完的な棲み分けでもベターですから、国策としても国際競争力が高い国内製造拠点を振興…

米国とは得意が異なる日本では、製造業からサービス産業への産業連関と派生需要が大きいのが特徴といえます。米国型とは異なるマクロ経済モデルである「製造業のサービス化」が主導するGDPのサービス化が進化しつつあるのかもしれません。

日本国GDPの内訳は、平成15年度の統計で、製造業20.8%、商業13.3%、サービス業25.6%、建設不動産20.7%、その他19.6%です。 40で前述しました通り、商業とサービス業には、製造業から派生した事業もかなり含まれています。前述の米国インテル社のMPUのパッケ…

GDPで製造業とサービス産業に関し、米国型の産業構造のサービス化は、国際競争力が高いサービス産業からの産業連関と派生需要が大きいのが特徴といえます。日米のお互いの得意を理解することが「相互補完の日米関係」を構築していく上で大切です。

グローバリズムと称して米国流コピー主義の一部アナリストや、欧米文明を至上とする進歩主義者が喧伝するように、米国の得意をそのまま日本が真似する必要もありません。 前述のように、米国のサービス産業は、グローバル金融産業だけでGDPの20%、情報産業と…

2006-7-23 米国が強い産業でシステム製品

米国はGDP統計でみても、グローバル金融産業、映像娯楽産業、情報産業などのサービス産業のウエイトが高くなっています。サービス産業が基幹産業といえ、サービス産業からの産業連関と派生重要が大であるという点で日米の得意の違いが窺えます。 戦略構想力…

マクロ統計データは、生産財マーケティングや顧客関連プロセスの思考ツールとして活用できます。

製造業とサービス産業の雇用規模に関し、自動車産業は、統計上はサービス産業に分類される自動車販売業で「製造業の3.7倍を雇用」しています。国際競争力が高い製造業は、製造業の雇用に加えて、より大きな雇用をサービス産業で創出します。

前述の人見勝人氏のレポで製造業従事者が888千人、同様に後述のしごと館で用品や中古車も含めた消費財流通の自動車関連の販売店員が3,361千人であると把握できます。雇用の点で、製造業と消費財流通の雇用吸収力は1(888千人):3.7(3,261千人)であることが判…

国際競争力が高い産業は、産業連関の効果で多くの雇用を創出します。雇用は人材が訓練される機会を提供します。農水産分野で高級林檎やお米、サービス分野でアニメなどのように国際競争力が高い品目が増えてきていますが、統計的な塊で鳥瞰する場合には自動車産業の事例がデータも多くて便利です。

自動車産業は部品点数が多くて外部委託の割合も高いので、産業連関の効果が高い産業です。素材や部品の調達プロセスと製造後の販売プロセスの両方で、産業連関で自動車製造業の9倍から10倍もの人々が係わっているようです。人見勝人氏のレポートによると、自…

36から39で前述の「生産財流通における加工流通企業や商社」は、統計上は「サービス産業」です。製造業とサービス産業の関係は、二分法的なトレードオフではありません。

製造業の生産性向上がものづくり支援プロセスへのニーズを高め、結果として「企業向けのサービス業」が伸びて、個人消費も伸びる、という関係です。企業間取引や産学官連携が活性化すれば個人消費も活性化していきます。 製造業の生産性訴求は様々なものづく…

鉄鋼製品の生産財流通における商社の扱い規模に関し、総合商社が前述の鉄鋼主要7商社と流通を二分していることが、業界紙報道から推察できます。

鉄鋼原料や非鉄金属などを含めての金属部門に関し、総合商社5社の売上高合計は9兆9千億円です。金属部門の売上高から鉄鋼原料や非鉄金属を差し引いた鉄鋼製品の売上高でも、総合商社5社が、前述の鉄鋼7商社に比肩する規模を扱っているものと推定できます。総…

鉄鋼主力7商社に関し、業界紙報道で鉄鋼主力7商社の連結売上高は6兆7千億円、インターネット上の検索で抽出した従業員数合計は15千名です。

鉄鋼主力7商社の連結売上高で06年3月期、日刊産業新聞5月24日付からの抜粋で以下。 鉄鋼主力7商社の連結売上高合計は6兆7千9百億円。内訳は、JFE商事HD(2兆4百億円)、住金物産(1兆1千4百億円)、阪和興業(1兆9百億円)、日鐵商事…

鉄鋼製品の生産財流通に関し、東海地区では、スーパーリージョナルな豊田通商(東証と名証で上場)や岡谷鋼機(名証で上場)、カノークス(名証で上場)等のグローカルな色彩が濃い地場商社のプレゼンスが高いのが特徴的です。

全国平均ではグローバルな三菱商事と双日の合弁であるメタルワンや伊藤忠丸紅鉄鋼・・等の総合商社と、JFE商事HD、日鐵商事、住金物産、神鋼商事、・・等のメーカー商社が二大勢力ですが、東海地区は、前述のグローカルな地場商社の勢力が強いようです。

21(2006-06-02)で記載しました通り、中間財の自動車部品の海外現地生産で現地調達されるロジスティックスに関しては、トヨタグループでは豊田通商が大きな役割を果たしています。

トヨタグループ各社が密集し大規模生産が行われている三河地区と比べると、海外生産の多くは広域点在で且つ小規模生産なので、ものづくり支援プロセスのロジスティックスを豊田通商に集約することで経済合理性が高まります。 36の地場深堀りグループの中堅企…

豊田通商がトーメンを吸収合併しましたが、総合商社の高いマーケティング能力を吸収できることへの期待も大きいようです。

以下、日刊産業新聞06・4・4付。 ○記者質問:トーメンとの統合に関して 清水社長:基本的に総合商社とは一線を画した、規模の拡大は追わず、お客様に機能を提供できる会社・・(中略)・・我々は当社の持つ強みが発揮できることしかやらない。トヨタ生産…

トーメンを合併した豊田通商は「トヨタ生産方式の考え方で、総合商社とは一線を画した商社像を目指す」ようです。

日刊産業新聞06・4・4付の鉄鋼欄で紹介された豊田通商の清水順三社長の以下インタビューは、豊通の得意領域と特徴を理解する上で参考になります。 (トヨタ自動車へのロジスティックス・サポートについて) ○記者質問:金属部門の①鋼板加工、②アルミ溶湯…

生産財流通に関し、東海地区の自動車部品向け流通加工では、専門特化と独自能力でQCDSに励む地場中堅企業と、巨大な地場商社ともいえそうな豊田通商が、さながら複雑系で共存しています。

「作業服をきた商社マン」と比喩される豊田通商は、[36 生産財の加工流通で東海地区 7月8日付]で前述の槌屋、光洋マテリカ、江口巌商店、・・等の地場深堀りの加工流通企業群や37(7月10日付)で前述の大阪方面からの準地場グループとの比較では総合商社的な…

生産財流通に関し、東海地区の自動車部品向けでは摺り合わせ型の加工流通の多様なモデルを見ることができます。

大雑把に俯瞰すると、30千もの単体部品が1千もの機能部品に統合されていく製造プロセスで、マテリアル系生産財や耐久生産財の流通では摺り合わせ型の調整加工やデリバリー(QCDSのD)が行われています。豊田通商で「作業服を着た商社マン」という現場重視を表…

東海地区の生産財流通に関し、自動車部品向けでは、36で前述の地場深堀りグループに加えて、大阪方面からの準地場グループの展開も活発です。

前述の名古屋の槌屋、光洋マテリカ、江口巌商店・・等の地場深堀りの加工流通企業群と比較すると、これら大阪方面からの準地場グループは、部品の扱いが得意なようです。 黒田電気が電材や化成品系で成長軌道を持続しています。東洋物産は自動車向け金属ファ…

生産財流通で、東海地区の自動車部品向けの流通加工は、大雑把には地場中堅企業と豊田通商の地場深堀りグループ、大阪方面からの準地場グループ、全国ネットの鉄鋼製品などの東京本社グループ、に大別できます。

関東や関西の市場と比較すると、地場中堅企業や豊田通商といった地場深堀りグループのウエイトが圧倒的に高い、ということがいえそうです。それだけ自動車部品の調達システムへの顧客適応の障壁が高い、ということなのかもしれません。この点については別の…

生産財の加工流通に関し、東海地区の自動車部品向けでは、ジャスダック上場の明治電機、名証2部の東海物産、非上場で光洋マテリカ、槌屋、江口巌商店・・等々、年商で3−6百億円規模の地場中堅の商社が、流通加工の調製加工や商品開発で独自能力を高めながら様々なものづくり支援プロセスを形成しているようです。

江口巌商店(名古屋市南区明治一丁目) 江口巌商店の扱い品目は、自動車用塗料ですが「独自の製品開発を行うメーカー機能」を標榜。ものづくり支援プロセスの調製加工で「塗装機械に合わせた調製や配合」を行っています。創業は戦前で明治40年に船舶用品の…

生産財流通における「派生需要の連鎖」を見ていく上では東海地区の自動車部品向けマテリアル系生産財の加工流通が参考になります。

マテリアル系生産財の調製加工で、キロ商材の樹脂製品ではコンパウンドや着色加工、アルミ製品や伸銅品などの非鉄金属製品及びステンレスなどの特殊鋼製品ではスリット加工や熱処理、トン商材の鉄鋼製品ではコイルセンターやシャーリングの調製加工が一大産…

生産財取引では、調達側の1次顧客が調達内容を組織決定した後に「販売は2次契約でこの企業に、納入はこの企業に」というのはよくあることです。供給者は、与信判断が適合する限りは1次顧客(契約上の親企業)が指定する2次顧客(親企業の加工委託先)への販売を行います。

供給側のマテリアル系生産財の製造企業や代理店あるいは加工流通企業にとっては初めて取引を行う販売先も出てきますが、多くは信用供与が必要な手形回収や延べ現金回収ですから、与信判断と債権保全が重要な経営事項となります。供給者側は、案件を発掘し推…

生産財取引では、例えば鉄鋼製品の事例であれば、コイルセンターに代表される加工流通企業の流通加工と、プレス外注先に代表される外注加工の両方が、商流と物流に関与することで製造プロセス全体の生産性を高まるとともに、複雑な営業プロセスと顧客関連プロセスが形成されます。

マテリアル系生産財の取引では「1次契約はA社と、販売と代金回収はB社と2次契約で、納入はC社に・・・」はよくあることです。生産財マーケティングの特徴のもう一つが「派生需要の連鎖による顧客の階層性」にあります。 マテリアル系生産財の製造企業と…

2006-07-06 1/4 購買センター概念( ゲートキーパー・影響者・決定者・購買者・使用者)

生産財マーケティングでは、顧客の組織的購買に対応しての複雑な営業プロセスと顧客関連のプロセスが形成されます。 現場の営業マネジメントでは、生産財マーケティングの購買センター概念が役に立ちます。生産財営業ではセールスのチャネルで主たるマーケテ…

旧くは鉄鋼製品分野で、コイルセンターによる加工流通の一大プロセスが形成されましたが、産業構造の進化発展とともに、前述の太陽電池向けシリコン製品の事例のように様々な分野で流通加工プロセスが形成されては、そこから更なる進化を遂げていくことになります。

供給側のマテリアル系生産財の製造の上工程は資本集約型の設備産業である場合が多く、種々雑多な下工程を外部化することで生産性を高めることができます。また相対する顧客側の中間生産財(中間財)の製造は、多品種少量、あるいは多頻度納入である場合が殆…

太陽電池向けシリコン製品の生産財流通に関し、マテリアル系生産財であるシリコンを製造する企業の各顧客向け調製加工が外部化され、中間財の太陽電池製造企業の前工程の流通加工プロセスとしてのスライス事業が立ち上がって拡大途上です。当分野で加工流通事業を担うのは、東証二部の石井表記や大阪富士工業、及び他数社です。

マテリアル系生産財であるシリコンウエハーの生産財取引に関し、シリコン製造企業と中間財の太陽電池製造企業が取引を決定した後は、シリコン製造企業は、上工程で製造したインゴットを加工母材としてスライス事業者に供給し、前述の加工流通を事業化した各…