青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

生産財流通のメーカー商社に関し、商材の高級化が進む鉄鋼製品の業界では再編統合が進みましたが、同様にハイテク化が進む非鉄・電線系の業界でもメーカー商社の再編統合が進んでいるようです。

日立電線は直系販社を日立電線商事と日立電線販売の2社に集約しました。日立電線との重複業務を減らし、日立電線が重点製品を拡充していくために必要な機能を強化するための再編といえそうです。1.日立電線商事の山村社長は、日刊産業新聞で以下のように述べ…

非鉄・電線の巻線業界では大手の業界再編が一段落し、ハイブリッド車や電装向けなどでスパイラルな展開が始まっています。

巻線業界の合従連衡では、住友電工と第一電工の巻き線事業が統合された住友電工ウィンテック、昭和電線電纜とフジクラの巻線事業が統合されたユニマック、日立電線の巻線事業を集約した日立マグネットワイヤ・・等々が登場しました。

住友電工、古河電工、日立電線、フジクラといった電線メーカー大手は、マテリアル生産財の電線製造から派生したマテリアル系生産財を主とした電子・電装向けの事業が収益の過半を稼ぎ出すところまで進化が進んでいます。

例えばこれら4社は電子基板のフレキシブル配線板(FPC)やテープ基板の売上高が伸びており、2006年3月期の売上実績で、住友電工が518億円、フジクラが896億円、日立電線が225億円を計上、古河電工もテープ基板で新商品を発表しています。

薄さと面積を追求する薄型テレビの電子基板に関し、テープ基板よりは地味で小粒な需要ですが、片面配線板の需要も増えています。

31[中間財の電子基板でリジッド基板]で前述の通り、京都企業でジャスダック上場の京写は「薄型テレビの需要拡大で、片面板で世界シェア12%ぐらいを確保して世界トップメーカーになった」と半導体産業新聞が報道していました。 電子基板の一カテゴリーである…

COF実装で使われる2層めっき基板で世界シェア9割の住友金属鉱山は、供給能力の拡大に邁進しています。

日刊産業新聞2006年9月8日付で「パソコンのほか、液晶テレビ向けにもCOFが使用され始めており、少なくとも年率10%の伸びを維持する見込み。06年度末には6500千平方㍍体制を整える計画」と報道されています。

テープ基板の需要拡大と品種対応へのリスク予防に関し、日立電線は「COFとCSPのどちらにも対応可能」な設備対応をしているそうです。

日立電線のホームページでは「大型液晶パネル用COFは、2006年度の需要予測が18億個で、その後も20%強の勢いで伸びると予測されています。2005年度10月以降の状況を見る限り、この予測を10%程度は上回っている印象を受けます。・・中略・・(COFテープとCSPテ…

薄型パネルの駆動を制御するドライバーICのアセンブリーサービス事業も拡大しているようです。

ドライバーICアセンブリー事業に関し、半導体産業新聞の2006年8月9日付で、ジェネシス・テクノロジーの三浦雄三社長は「需要動向によっては、06年内に月間組立能力を1-2百万個増やし、11-12百万個にすることも検討したい。・・中略・・PDPドライバーのTCPア…

薄型テレビの普及は、マテリアル生産財のフィルムテープを基材としたマテリアル系生産財のテープ基板の需要を押し上げ、電子基板のスパイラル進化と品種構成の変化を促します。

薄型テレビのパネルの駆動を制御する電子回路(ドライバー)で使われるテープ基板へのIC実装方式に関し、低圧駆動の液晶ドライバーはCOF(Chip On Film)モジュールへの流れ、高圧駆動のPDPドライバーはTCP(テープキャリアパッケージ)への流れへと、薄さと画面品…

テープ基板の製造で使われるマテリアル系生産財のテープ積層板に関し、2層テープのみならず3層テープ(3層CCL)でも進化発展が続いています。

接着材を介して銅箔と基材を張り合わせる3層積層板(CCL)では、TABテープの三井金属や新藤電子工業に加えて信越化学や京セラケミカル、が展開しています。 信越化学はJPCA2006で3μの極薄銅箔を採用したオールポリイミド両面銅張積層板の開発品を出展していま…

薄型テレビ向けテープ基板に関し、生産能力の積極拡大が進められています。

TAB/COFテープで首位の三井金属は、2005年10月の「大牟田工場増設」の発表で「既存の下関工場とあわせ月産3億2千万個まで可能な態勢と致します。・・・中略・・・液晶テレビとPDPテレビ等の薄型テレビ向けの需要増加は中期的に年間2桁以上の成長率が見込まれ…

薄型テレビが普及期に入ったことで、テープ基板の絶縁基材として使われるポリイミドフィルムの供給能力の拡大が進められています。

薄型パネルの駆動回路で使われるテープ基板の絶縁基材として使われるポリイミドフィルムに関し、宇部興産の供給能力拡大が発表されています。半導体産業新聞2006年8月26日付で「宇部興産の供給能力が今年10月に完成する第9期増設で年間3千1百万平方メートル…

テレビ用液晶パネルの中国生産に関し、北京五輪に向けてのファブ立ち上げということではデッドラインが近づいています。先端の6G(第6世代)以上となると日本企業や韓国企業の支援がないと難しいようです。

中国での6Gや7Gのファブ立ち上げに関し、半導体産業新聞8月23日付が判りやすく報道してくれています。 1.中国企業の動き SVA(上海広電)のSVA-NECは、6G/7Gのファブ立ち上げについてはNECではなくてシャープと交渉を行いながら独自の立ち上げも検討中。SVA-NE…

中間財の太陽電池の製造に関し、オーストラリアで博士号を取得した中国への帰国人材の施正栄氏が2001年にサンテック社を起業して急成長を遂げ、今年2006年には「日本で有数の国内生産力を持つMSK社をグローバル展開のために買収」との報道に際しては新しい息吹と躍動を感じざるおえません。

グローバルな中華人脈のパワーと、共産党独裁の政治とは別世界で民主化と国際化が進む中国の一面を感じ取れました。各紙で取り上げられましたが半導体産業新聞8月23日付で情報の整理をしてくれています。 日本のMSKは、1967年設立で1984年から太陽電池モジュ…

経済のグローバル化と日本国の投資環境に関し、多くの日本企業が「公的セクタの不利を民間セクタの利点で補う」ことで国内生産のスクラップアンドビルドを否応なしに進めてきました。

グローバル競争の上では、日本は公的セクターの法人税やインフラ使用コストが高くて不利ですが、民間セクターで、各企業組織による独自能力を発揮した強い製品の開発や、日本文明が育んできてくれた質が高い労働力と産業集積など、先人の営みの積み重ねの御…

中国の工業力を底上げしているのは「米国・台湾からの帰国ラッシュと人材流入」及び「台湾企業による中国生産の拡大」など・・の複合効果が大きく、台湾企業は中国の安価なインフラコストを活用して生産拡大を進めています。

上海地区のインフラコストに関し、Electronic Journalでみずほ証券のShun Cai氏が「法人税は台湾25%、中国15%、電力料金は台湾よりも中国が高く、高い中国で日本の半分、停電が少なく、万一の場合は自己発電で対応可能、上海の水道料金は台湾の6割で日本の3…

経営プロの能力開発とMBA教育に関し、現ミスミ社長の三枝匡氏、経営学の大御所Hミンツバーグ教授、対人思考力のカテゴリーを切り開きつつある船川淳志、の見解は、経営プロと同様に身体知と心技体が重要な営業プロ上位者の能力開発の参考になります。

現ミスミ社長の三枝匡氏*1は「経営プロとは、修羅場経験を乗り切り因果律への洞察力を身につけた人材」だが、経営プロを育成するためのMBAに関しては「今のMBA教育は現場経験が浅い若者には面白くても、経験豊富なプロには物足りない」と感想を述べておられ…

経営者と営業パーソンの能力と資質に関し、身体知や情報に対する知覚能力が大切で、検証のために数値やデータを活用します。経営判断や営業判断では「データや数字は大切ですが、判断の一つの材料」でしかありません。

トヨタ生産方式の開祖の故大野耐一氏*1は「データは大切であるが、それよりも現場の現実と事実の方をもっと重視する」と述べておられます。一般的に日本人が弱い事実に基づく判断を定着させたところにトヨタ生産方式の偉大さがあると思います。 事業が拡大し…

中小企業の経営者のパワー配分の目安に関し、竹田陽一氏は著書*1で「手段に過ぎない資金や会計は1割以下、人事などの組織対策で1割強、商品対策で3割弱、営業関連対策で5割強」を推薦しておられます。

上述の永守創業者の著書で「十年前には、どこも相手にしてくれず、頭がおかしいのではないかといわれた理想が、着実に実を結ぶようになってきたのである。・・創業時代に入社してきた新卒の社員が、私の望みどおりの優秀な人材に育ってくれた結果だと思う。…

起業直後の死の谷を乗り越えるための営業(マーケティングとセールス)に関し、日本電産の永守創業者は出版物や講演を通して様々な研究データを提供してくださっています。

永守創業者は著書*1で「取引をしてもらうには、会社の歴史とか経営者の年齢とかが、大きく影響してくる。・・どこへいっても門前払いを食わされるばかりだった。・・どこのモーターメーカーもやらない、手間ばかりかかって効率のあがらない、コンピュータな…

生産財営業のベストパフォーマーは、徒手空拳で顧客を開拓しキャシュを獲得して経営をやりくりしていた起業当時の創業者又は創業パートナーといえます。

起業家あるいは創業者といわれる方々は、何よりも優秀なセールス実績とやり抜く気力で、起業直後の危機を乗り越えて事業基盤確立に成功された方々です。続く規模の拡大は、優秀なマーケティング実績でもたらされたものです。 セールスとキャシュ獲得が続かな…

営業プロセスと営業能力の適合性に係わる参考文献

「やっぱり変だよ日本の営業」宋文洲著 isbn:4931466656 「小さな会社の社長の営業」原田繁男著 isbn:4893869493 「小さいからこそできる-オンリーワン企業」山田宏著 isbn:4532142415 「小さくても強い会社にする経営30法則」海生裕明著 isbn:4756901778 「…

ダイナミックな生産財マーケティングを実行する上では、オーダーテイキングの営業能力だけでは力量不足です。主要顧客の事業転換や産業構造の変化などの大きな環境変化を乗り越えて前進するためにはオーダーゲッティングの営業能力が必須となります。

右肩上がりの業界では配膳された食事を口に運ぶようなオーダーテイキングだけでも業績拡大が続きます。しかし大きな環境変化で新たなセグメントや顧客の開拓や商材開発が必要な場合には、上位力量のオーダーゲッティングの能力が必要です。 島田隆氏は著書*1…

営業能力の垂直分類と営業プロセスの受注パターンに関し、標準社員の中位以下の力量でもこなせるルーチン化されたオーダーテイキングと、上位力量が必要なオーダーゲッティングがあります。

上位力量が必要なオーダーゲッティングの事例は、多くの企業で起業当時の創業者や歴代のカリスマ営業の方々の歴代の活躍として伝承されています。生産財営業の受注パターンについては、7.35.51.で紹介させて頂いた西村務氏の「生産財マーケティング」で触れ…

営業能力の水平分類に関し、スポーツの競技パターンで個人競技と団体競技があるのと同様に、営業パターンにも、個人競技型営業とチーム競技型営業があります。

個人競技型営業は腕前がいい営業職人を採用できるかどうかで大勢が決まりますが、チーム競技型営業は野村元監督が言われる機能性の発揮の引き出し方で成果が大きく左右されることになります。 ケー・アソシエイツの小林代表は、個人競技型営業の力量上位者に…

求められる営業能力とは、組織が定める営業プロセスや顧客関連プロセスに応じて要件が変化します。世の中の大半の方々は営業向きですが、スポーツ選手と同様に、力量の格付格差はでてきます。

営業能力とは、入社後の鍛錬が、入社前に身につけている先天的な資質を経て陶冶された結果の心技体、そしてこの心技体と営業プロセスの相性や適合性で決まってきます。スポーツ選手が、毎日の基本型の繰り返しの鍛錬で心身を鍛え、毎日の鍛錬が先天的な資質…

営業とは事業を営むことですから、起業家や自営業が似合う行動的な方々は何よりも営業向きです。営業に不向きなタイプは特定が簡単です。不向きな人を除けば、プロとしてやっていこうという方々の殆どが営業向きといえます。

営業に向かない人の特定は簡単です。プロとしてやっていく気がない人です。例えば、口先の言葉や数字ばかりで体が動かない人、権威主義的な人、官僚臭い人、威張る人、・・など、目標実現に向けて日々の生活習慣を設計しセルフマネジメントができない人、は…

組織営業と営業能力に係わる参考文献。

「なぜ営業マンは人間的に成長するのか」田中真澄著 isbn:456957159X 「なぜ売れないか」木子吉永著 isbn:4900699217 「全社営業力をつくる」田中邦穂・岡村繁雄共著 isbn:449602599X 「こんな営業は今すぐやめろ」山川裕正著 isbn:483341712X 「営業ミドル…

個人と組織の能力向上に関し「各企業の営業力とは、各企業の組織能力を反映したもの」で、個人の能力の総和ではなくて何らかの化学反応を経た結果といえそうです。

才能や知的能力が高い人材が集まっているはずの大企業でも販売不振で経営危機に陥る企業が数多ある一方で、小さな世界企業、小さな元気印企業も数多あります。前述の藤本篤志氏は野村克也氏の「チームでもっとも大事なのは“機能性”である。『個々の選手の才…

前述の藤本篤志氏の「標準社員の営業能力で十分に高い成果を上げることができる」に関し、営業能力のMECEである心技体で全体を分類をすると次のようになります。

<心>愚直で勤勉なマインド・スピリッツ・ハート(不良社員は駄目)、 <技>後天的に見聞きして積み重ねることができる営業知識、 <体>営業量を増やして挑戦していく実行力とエネルギー、 となるのではないでしょうか・・・・。 藤本篤志氏は標準社員の…

トヨタ生産方式に倣った表現ですが、販売部門では付加価値を生まない動きをムダドリして質を伴った顧客コミュニケーションという付加価値を生み出す働きを増やすことで販売組織の生産性が高まります。

52で前述の藤本篤志氏は「日本は大卒で上位2割の人材の殆どが大企業に流れてしまうので、中堅企業や中小企業あるいはベンチャー企業でも獲得可能な勤勉な標準社員の働きを高める営業量と営業知識量の両方を増やすことで十分な成果を出せる」と説きます。「営…