青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

化合物半導体ウエハーの供給では、総合1位が住友電工、2位が日立電線、3位が三菱化学、と日本勢が上位を独占しています。

Electronic Journalのレポートによると、2005年度の化合物半導体のエピタキシャルを含めての世界需要は約770億円で、世界シェアは、1位の住友電工が19.9%、2位の日立電線が15.8%、3位の三菱化学12.3%、4位のFreiberger11.7%、5位の昭和電工8.4%、以下、米Kop…

中村修二氏が端緒を切った青色LED以降に動きだした窒化系半導体では、従来のサファイア基板に加えて住友電工がGaN(窒化ガリウム)ウエハーで、DOWAがAlN(窒化アルミ)ウエハーで事業拡大の動きを強めています。

住友電工が独走する上述のGaN(窒化ガリウム)ウエハーに関しては「古河電工が次世代DVDで使われる青色レーザーダイオードで私用される窒化ガリウム基板ウエハーの量産を2007年から月産800千枚の能力で開始、量産後は需要に応じて設備を増設する。」と日経新聞…

化合物半導体ウエハーで世界トップの住友電工(GaAs40%、InP50%、GaN100%)の基本戦略は、業界を俯瞰する上で参考になります。

半導体事業部長の横川正道氏は半導体産業新聞2006年12月13日付で「2006年度中間期は売上高106億円で過去最高を更新した。結晶工程を海外で行う考えはなく、すべて日本で行っている。エピまでがウエハーメーカーの仕事と考えており、新たな事業展開を検討して…

化合物半導体ウエハーで日本企業は世界シェアの過半を獲得できており、日本企業の競争力が高いという点で19と20で前述のシリコンウエハーと同様です。

化合物半導体ウエハーの需要規模はシリコンウエハーの6-7%で、素材別需要では6割がGaAs(ガリウム砒素)、2割がGaP(ガリウム燐)で、残るその他大勢の2割にはInPや次世代の窒化系などが含まれます。 単結晶の供給企業が顧客関連のプロセスを形成しているのは、…

日本企業が圧倒的な強みを発揮しているハイテク素材の一つが化合物半導体です。3G携帯電話の高周波デバイスや半導体レーザーやLEDのような発光デバイスで需要増加に加速がつき始めています。

マテリアル系生産財を象徴する化合物半導体ウエハーは、非鉄製錬や電線製造の周辺で志を持った方々が数十年の雌伏の時期を支えてきた事業ですが、高周波デバイスと発光デバイスへの需要の高まりで事業拡大へとドライブがかかり始めました。17で前述の「100年…

59で前述通り、日立電線は系列の流通商社を日立電線商事と日立電線販売の2社に集約しました。

日立電線商事の山村社長は「親会社の日立電線との分業の役割分担については、すでに軌道に乗っている仕事を引き受けて、日立電線が新規開拓に専念できるようにしたい。その上で日立電線の重点製品を強化する。TABテープ、伸銅品の銅合金条と圧延銅箔、窒化ガ…

電線の営業形態(業態)は顧客関連のプロセスと営業プロセスの属性によって、商社経由であるか否かに関わらず、直需相手の紐付きと市販の店売りに二分できるのは、他の生産財と同様です。

産業用電線とは、ビルや工場、住宅向けで、直需で紐付きの電設ルートと、店売りを行う電線問屋や電設問屋向けの市販ルートがあります。店売りの市販ルートでは与信判断が重視されています。 機器用電線は主に直需の紐付きで、大手電機メーカーとその系列会社…

銅の用途の6-7割を占める電線の国内出荷に関し、日本電線工業会は会員の製造企業約140社の2006年暦年銅電線総出荷量が前年比1.8%増の銅量871千トンで3年連続の前年比プラスになった、と発表しています。

2006年暦年の出荷は銅電線が871千トン、アルミ電線が27千トンです。銅電線871千トンの部門別内訳は、建設・電線販売業385千トン、電機208千トン、自動車88千トン、電力74千トン、通信18千トン、その他62千トン、輸出32千トン、以上合計で871千トンです。アル…

電線業界はこの10年間で激変しました。供給面では電線大手6社を中心に業界再編が起こりました。

巻線業界の合従連衡は59で前述の通りです。需要面でも電機分野向け機器用電線と自動車分野向けワイヤーハーネスに軸足が移り、インフラ分野の電力や通信向けのウエイトが低下しました。 日刊産業新聞2007年1月26日付は電線工業会の会長人事に関連して、これ…

国際相場高騰で注目度が高まった非鉄金属の2次製品に関し、77の圧延製品に続き本78では電線を記述します。

75で主な金属資源である鉱石と中間原料、76で1次製品の地金(金属塊)、77で2次製品の圧延製品を取り上げました。銅の1次製品の電気銅(銅地金)は14[マテリアル系生産財と国際情勢]でも前述しました。2次製品の伸銅品は09[自動車部品向け]で、電線は59で前述し…

アルミの2次製品である軽金属製品(アルミ圧延製品)の流通に関し、最近では中国での事業展開が活発化しているようです。

日本アルミニウム協会の発表によると、日本のアルミニウム圧延製品の06年度需要は2360千トンで、板類が57%の1340千トンで3割強がアルミ缶、1割強がアルミ箔、押出類が43%の1019千トンで6割がドア・サッシ向けです。 軽金属製品(アルミ圧延製品)の加工流通で…

生産財流通の機能の高度化や複合化に関し、非鉄製品専門商社大手の山崎金属産業は東芝セミコンダクター社の子会社(姫路東芝電子部品)との技術提携でタイのアユタヤでリードフレームの生産を開始したそうです。

山崎金属産業の場合には非鉄製品「流通」大手と紹介されることが多いようです。商社を流通と表現する場合には問屋系商社のことを指すようで、ペーパーマージンと仲介取引のイメージが強い総合商社系から差異化された表現のようです。 山崎金属のタイ現地法人…

日本伸銅協会の発表では、2006暦年の伸銅品生産量(速報値)からは、品種別では、リン青銅の伸び率が17.8%で最も高いことが判ります。携帯電話などの情報通信、薄型テレビなどのデジタルAV、車載電装デバイスなどの自動車、といった3分野の需要が高まり続けているからです。

日刊産業新聞2007年1月26日付によると、2006年暦年の伸銅品生産量は1.05百万トンで、過去10年では97年(1.19百万トン)、00年(1.16百万トン)、99年(1.06百万トン)に次いで4番目に高い実績です。対前年比は、品種別の需要で1位の銅条が251千トンで106.4%、2位の…

非鉄金属の2次製品の流通に関し、電線業界で言えば電線商社、伸銅品で言えば伸銅品商社、のように各々の生産財の業界には各々に固有の流通と商社が存在します。

日刊産業新聞2007年1月12付けで、伸銅品では日本伸銅品問屋組合連合会の曽束会長が「製品単価の値上がりは売掛金の増加につながるため2006年は取引先の与信不安と与信判断に気を配った1年でもあった。四都(東京・名古屋・京都・大阪)の組合ともに充実してい…

平成15年度の日本政府の製造業統計によると非鉄製造業は就業者数の2%(133千人)で製造付加価値額の2%(1兆5千5百億円)を生み出しています。

前述76の1次製品の地金(金属塊)を加工して製造される2次製品は電線、伸銅品、アルミ圧延製品と、地金を溶解して成型する鋳造・ダイカスト製品などです。非鉄金属業界の製造業が株価欄の非鉄金属欄に記載されていますが、住友金属鉱山や三井金属などの鉱山製…

非鉄金属業界を構成するサブ業界に関し、非鉄5金属(銅・鉛・亜鉛・ニッケル・アルミ)の1次製品(地金)の流通では地金問屋が活躍した時代もありました。

15で前述の通り、ベースメタルとは生産量が多い鉄・アルミ・銅・鉛・亜鉛の5金属です。鉄を除きニッケルを加えた非鉄5金属は、非鉄製錬メーカーが原料から金属元素を抽出する製錬と精錬を経て製造する1次製品の地金(金属塊) が流通しています。 日本の産業構…

鉄と非鉄5金属(銅・鉛・亜鉛・ニッケル・アルミ)を除くレアメタルはデジタル素材として需要拡大が続く反面で供給が逼迫していますが、鉱石や中間原料を扱う商社の役割が高まっています。

川上の原料(鉱石・中間原料)の生産財流通と商社の機能に関し、レアメタル原料は多様な専門性が必要な上に小規模取引の集積なので専門商社が活躍しています。大手の総合商社が活躍するコモディティのベースメタル原料の大規模取引とは対照的な世界のようです…

非鉄金属産業は、川上で鉱山会社が鉱石の採掘や精鉱などの中間原料を生産し、製造業がこれを素材製品に加工します。製造業は更に電線、伸銅、アルミ圧延、などのサブ業界を構成しています。

住友金属鉱山の福島社長は産経新聞2007年1月17日付で「市況高騰は、中国の急速な経済成長が背景にある。銅やニッケルなどは、中国が国内であまり採れないために世界各地から買い集めている。投機資金も流れ込んだ。非鉄は電線、自動車、電子機器などに使われ…

非鉄金属業界は鉱石を生産する鉱山業と製造業(製錬、製品)及び商社などのサービス産業で構成されますが、国内鉱山が枯渇した製錬業にとって海外鉱山での権益獲得と国内におけるリサイクルが課題になっています。

非鉄金属に関し「需給バランスと価格動向」「日本の製錬業界の技術力」「日本国に期待する資源政策」の3点に関し、 日本鉱業協会の会長でDOWAホールディングスの吉川会長が日刊産業新聞2007年1月1日付で触れておられました。以下で引用します。 1.需給バラン…