日本企業が圧倒的な強みを発揮しているハイテク素材の一つが化合物半導体です。3G携帯電話の高周波デバイスや半導体レーザーやLEDのような発光デバイスで需要増加に加速がつき始めています。
マテリアル系生産財を象徴する化合物半導体ウエハーは、非鉄製錬や電線製造の周辺で志を持った方々が数十年の雌伏の時期を支えてきた事業ですが、高周波デバイスと発光デバイスへの需要の高まりで事業拡大へとドライブがかかり始めました。17で前述の「100年企業の忍耐と欧米から批判された日本の集団性が逆バリ的に有効に作用する」*1事例そのものです。
化合物半導体は川上から川下へと[単結晶(インゴット/ウエハー)⇒エピタキシャルウエハー⇒デバイス]の順番で加工度が高まり付加価値が加わっていきます。単結晶のみを製造しているのが75と76で前述の非鉄製錬メーカーの住友金属鉱山(GaP)で、単結晶をエピウエハーまで加工しているのがDOWA(GaAS)、日鉱金属(InP)、78で前述の電線メーカーでは住友電工(GaAs/InP)と日立電線(GaAs)、化学メーカーで昭和電工(GaP)と三菱化学(GaAs)、です。単結晶を購入してエピウエハーを製造しているのが信越化学(GaAs/GaP)、昭和電工(GaAs/InP)、日鉱金属(GaAS)、三菱化学(GaP)です。
非鉄製錬や電線製造で培ってきた固有技術とマテリアル系の融合で化合物半導体のスパイラル進化が続きます。成長ドライバーは、携帯電話の高周波デバイスなどの電子デバイスと、LEDや次世代DVDの半導体レーザーなど光デバイス、の需要拡大です。
*1:「電子材料王国ニッポンの逆襲」泉谷渉 isbn:4492761608: