青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東海地区の生産財流通では、豊田通商が大きな存在感を示していますが、同時に名古屋の名門で日本有数の老舗企業でもある岡谷鋼機や、地元東海地区や大阪出身の中堅専門商社の活躍が際立っているのが特徴です。

これらの企業に共通しているのは「独自の調製機能」の工夫の積み重ねがみられる、ということです。各社各様で様々な「調製加工による支援プロセス」の提案とビジネスモデルが見られます。地元名古屋で、上場企業だと機能材料と電子部品の東海物産、非上場企…

自動車部品製造企業の調達プロセスでは多くの流通商社の起用がみられます。これは調達プロセスの機能補完が目的とみられます。反対に供給側のマテリアル系生産財の販売プロセスでも「流通商社起用による機能補完」がみられます。これは測定機器などの耐久生産財の販売プロセスでも同様です。

マテリアル系生産財の供給者企業の多くは直系の販売子会社を持っています。例えば流通規模が大きな鉄鋼製品だとJFE商事、神鋼商事、日鉄商事、神鋼商事、住金物産などです。あるいはこれら直系の販売子会社とは別に代理店網もあり、例えば総合商社系のメ…

30千の単体部品が1千ほどの機能部品に集約される自動車部品製造のプロセスには様々な支援プロセスが形成されています。

東海地区の自動車産業では、累積進化してきた「独特の取引システム」に基づく取引基準と、2006-4-23で前述のプレス外注など、ものづくり基盤技術による工程分業である「調整加工の支援プロセス」があります。2006-04-09で前述したカテゴリー[関係性コンピタ…

自動車部品製造企業の製造工程は、多くの外注工程で支えられています。マテリアル系生産財を加工する工程では、耐久生産財とものづくり基盤技術(プレス加工・鍛造・切削・熱処理・鋳造・めっき、など)を使って単体部品が製造されます。もの造りの工程分業を担う「調製加工の支援プロセス」はサポーティングインダストリーの主要プロセスを構成しています。特に金型製造とプレス加工は一大産業を形成しています。

川上の約30千の単体部品が約1千を超える機能部品に集約される階層の工程では、多くの工程が外注されています。金型製造の業界団体のHPによると、金型業界の規模は、1997年統計で、1兆8千288億円、向け先の内訳はプレス用35%、プラスチック…

自動車の電装化・電子化・ハイブリッド化とともに、複合成型(インサート成型)で組み立てられた部品の搭載個数が増え続けており、樹脂製品や伸銅品の1台当たり使用量が増え続けています。

絶縁材の樹脂製品(ベースポリマー・コンパウンド・フィルムなど)でも日本企業がリードする品種が増えてきています。例えばECU(電子制御ユニット)は、1台当たり10−40個も搭載されるようになってきていますが、更に増え続けていく基調にあります。…

自動車部品製造企業の製造工程は、高品質のマテリアル系生産財(鉄鋼製品・アルミ製品、樹脂製品・伸銅品・電子材料・・)の供給で支えられています。マテリアル系の生産財では、日本企業しか製造できない品種や、日本企業が世界シェアの大半を維持している品種が数多く存在します。

よくいわれることですが、自動車を川上から川下に辿ると、約30千の単体部品が、1千を超える機能部品に集約され、この1千を超える機能部品が数十のサブシステムへと更に集約されて、最終的に耐久消費財である1台のクルマに組み立てられます。自動車中間…

マテリアル系生産財の顧客関連プロセスに注目することで、殆どの業界・業種・業態の動きや特徴がリアルに見えてきます。

日本のもの造りで国際競争力が高い両翼の自動車とエレクトロニクスの融合は、新たな競争力を生み出していくことになりますが、そこではマテリアル系生産財の進化とともに、サポーティングインダストリーと言われる支援系の産業、とくにものづくり基盤技術に…

自動車業界に関し、完成車企業が内製する中間財を除くと、グローバルな中間財取引の規模が約70〜80兆円と推定できますが、これは東京都や韓国のGDP相当の規模です。この中で日系部品企業のグローバルシェアは20%ぐらいのようですから、これは福岡県やタイのGDP相当の規模となります。

日本自動車部品工業会の「自動車部品出荷動向調査」だと、02年度国内の出荷額は10兆8千億円です。プレス部品・シートなどの車体部品が24.8%と最大で、以下駆動・伝導および操縦装置部品(18.4%)、電子燃料噴射装置などのエンジ部品(15.…

京セラは03年1月に「自動車部品プロジェクト」なるクロスファンクショナル組織を編成し、自動車部品の受注を10倍の1千億円規模に拡大することを目標設定し、村田製作所は「無線通信の次は車載」であるとして、車載分野への注力度を高めており、03年10月に住金エレクトロデバイスの大垣の子会社に資本参加して大垣村田製作所に再編、車載LTCCや車載レーダーモジュールの事業化を加速しました。日本電産は、車載モータの売上高を10倍の1千億円に拡大する計画を発表し、着々と事業拡大を進めているようです。

日系企業が世界シェアの7割を獲得している電子部品の各社(京都企業で京セラ・日本電産・村田製作所・ロームなど、半導体パッケージングで新光電気・イビデン・日本特殊陶業・・)の競争戦略に関し、産業アナリストの林隆一氏が電子材料2005年4月号に寄稿してくれた次の戦略モデル分類が参考になります。

産業アナリストの林隆一氏は、電子部品15兆円の受動部品・変換部品・接続部品の分野で、持続的に成功してきている企業を以下のように分類しています。 日本電産・京セラ・イビデンが、誰よりも早く当たり前のことを当たり前に行う[シンプルルール戦略]。…

日本の得意芸といえる自動車とエレクトロニクスの融合が「中間財取引」を通して急速に進んでいます。自動車産業のグローバル規模は約150兆円で2003年の中国のGDP相当、電機業界もほぼ同規模で中国のGDP相当、この両業界を合計した300兆円はドイツのGDP並みの規模となります。この大きなグローバル市場を舞台にした日本の得意二分野の融合で、ハイブリッド車のような新しい基本設計コンセプトが生み出されることとなり、様々な産業連関の波及効果も生み出されていくことになります。

生産財営業のもうひとつの主要キーワードである関係性で、経営資源のベクトルを示す関係性コンピタンス戦略については、両極モデル(顧客適応戦略・標準化戦略)が優れたモデルだと思います。経営の現実検討の上で優れものの思考ツールだと考えます。

経営資源に恵まれているはずの大企業は「何もしなくて衰退する」が、逆に経営資源に乏しい中堅中小企業は「あれこれやりすぎて破綻する」・・・は数々の事例で証明されています。この「関係性コンピタンス戦略」がない企業は、限りがある自社組織の経営資源…

購買センター概念。生産財マーケティングの優れもの分析ツール。

購買センター概念。 生産財営業の主要キーワードである組織性を調達プロセスとしてみた組織的購買については「購買センター」概念が非常に役立ちます。現場の営業組織に照らしても妥当性と有効性がとびきり高い優れものの分析ツールです。「購買センター概念…

生産財分野は、バリューチェーンとかサプライチェーンと翻訳される多軸ケーブルのような[取引関係]の中で、セールスもマーケティングも行われます。顧客側からのCS指標がQCDS[Quality・Cost・Delivery・Service]です。マーケティングとセールスの分離が明確で、マーケティング主体の消費財分野との違いがここにあります。

生産財営業の特徴を際立たせるキーワードは、組織的購買と組織営業が織り成すことで複雑なプロセスが形成される「組織性」と、自社の強みを更に強くするコンピタンス戦略に基づく「関係性」であり、ここから派生する特定顧客への依存・地理的分布の偏り・個…

生産財営業はセールスとマーケティングの両方を包含する上位概念です。 顧客満足の実現に向けてPDCAを回していくためには、顧客からみた顧客価値を示す指標なり概念が必要です。生産財営業ではQuality・Cost・Delivery・ServiceのQCDSに顧客価値を集約できます。消費財分野の4Pとの違いがここにあります。

消費財分野でよく使われるProduct・Price・Promotion・Placeの4Pは供給者の視点なので、顧客側の視点に置き換えた様々な代用指標が使われます。例えばテレビ局であれば視聴率のような代用指標です。消費財分野では、マスの消費者が相手ですから、どうして…

マテリアル系生産財の「営業プロセス]には、生産財営業が多重的に投影されるので生産財営業の特徴が凝縮されています。

このマテリアル系生産財の営業プロセスを観察することで生産財営業の特徴を抽出していきたいと考えます。[消費財の4P]と[生産財のQCDS]、消費財の嗜好選考と生産財のコストパフォーマンス選考、選択的選考と育成的選考・・・・等々です。

薄型テレビを生産するための中間財、例えばキーデバイスのパネル(中間財)を生産するために、スパッタリング装置やMgO蒸着装置、分析装置・・などの耐久生産財とマテリアル系生産財が調達されます。

更には[マテリアル系生産財]を製造するためにも様々な耐久生産財(装置)が使われます。 [中間生産財(中間財)]を製造するために[耐久生産財]と[マテリアル系生産財]の両方が調達される。 [マテリアル系生産財]を製造するためにも[耐久生産財]…

消費財であるPDPテレビは、中間生産財(中間財)であるPDPパネル・PDPドライバーモジュール・給電や制御の回路モジュール・シャシーパネル(アルミ製品)・バックパネル(鋼板製品)・・・等々、を組み立てたものです。

中間財のキーデバイスである[PDPパネル]の製造は、東レとの合弁会社である[松下プラズマディスプレー]が生産を担当していますが、松下プラズマディスプレー社に対して高品質の[硝子基板]や[電磁波シールドフィルム][表面フィルム]などのマテリア…

グローバル大企業の調達規模そのものが生産財営業の一大市場を形成しています。松下電器の事例では04年度グローバル調達額が3兆4千億円、05年度のグローバル調達見込みは4兆円と報道されています。

松下電器の05年度調達見込額4兆円を03年度GDP統計で対比すると、山形県(4兆円)・奈良県(3.7兆円)・ベトナム(4.5兆円)に相当する規模です。大企業の調達市場は生産財営業(セールス&マーケティング)の下位概念である生産財マーケティ…

マテリアル系生産財は、主に[直接生産財]と[MRO間接生産財]で構成されます。MRO間接生産財は、循環材とか副資材とか間材などといわれる金型・工具・梱包材などですが、この分野では地方発の[小さな世界の巨人企業]が群生しているのも日本の産業の強みです。

例えば半導体のウエハーダイシング用で高い世界シェアを有する広島県呉市発の[株式会社ディスコ]や、電子基板製造用の精密超硬ドリルの分野で新潟県長岡市発の[ユニオンツール]など、持続的な独自能力で競争優位を保つことに成功している企業の例の枚挙に遑…

良い電子部品は良い材料から(よい中間生産財は良いマテリアル系生産財から)。

電波新聞3月31日付の報道によると、3月30日に京都で行われた村田製作所創業者・故村田昭氏(2月3日逝去84歳)の「お別れの会」で京都商工会議所会頭の村田純一「村田機械」会長が述べられた弔辞「独自の製品づくり、良い電子機器は良い電子部品か…

松下電器の生産財営業に関して、03年度の産経新聞では、インダストリー営業本部の海外通信デバイス営業総括部で戸沢美香子リーダー率いる営業推進チームが、ノキア向け営業プロセスの関係構築と継続的改善を進めているトピックスが紹介されてました。

同チームは、マイクロホン、モータなどの電子部品の供給で、ノキア向けの販売を30億円から500億円にまで拡大したこと、ノキア米国工場からベストサプライヤーとして表彰されたこと、が紹介されていました。 松下電器は「中国で売上高1兆円を実現」を目…

松下電器は世界有数の消費財企業ですが、同時に世界有数の生産財企業としてハイブリッド車や携帯電話端末機にデバイスやセンサーなどの中間生産財(中間財)を供給しています。耐久生産財の電子部品実装機や溶接機でも高いシェアを有しています。松下電器はインダストリー営業本部と設備営業本部でこれらの生産財を販売しています。

松下電器は2010年に「グローバルエクセレンス10兆円企業」の実現を目指していますが、中間生産財(中間財)を基軸にして消費財やサービスとのシナジーを追求する成長戦略です。 04年度連結決算では、松下電器の連結売上高8兆7千億円の3割、2兆5…