青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

金型製造企業のグローバル展開に関し、伊藤製作所のグローバル化モデルは示唆に富んでいます。比国(フィリピン)に進出し「設計を比国で行い日本で加工する」というモデルで組織能力の継続的改善に取り組んでおられます。「政治と行政の品質の国際競争で見劣りする日本国そのものが駄目になってしまうリスク」に対する予防策は、「日本本社を支えることができるような比国現地法人を育て上げていくこと」で対処するという逆張りの発想です。

google:ものづくり 伊藤澄夫
伊藤製作所http://www.itoseisakusho.co.jp/

同氏が繰り返しの現実検討とシミュレーションを行った結果で、独立自営の経営者として「進出先は比国と決断」した理由はよく理解できます。既に過当競争の泰国でもなく、中小企業が単独進出するにはまだまだリスクが高すぎる中国でもなく・・。実は、筆者も比国に長期滞在した経験がありまして、この時に五感で得た知見からは「進出して成功を収めやすいという点で『中小企業に残された穴場が実は比国』なのだ」と実感しております。

国内ではやり手の中小企業の経営者のはずなのに、こと海外(特に中国)では騙されたとか痛い目にあったという中小企業の経営者には何人かお会いしましたし、また聞くことはもっと多いです。プロとしての研ぎ澄まされた五感の判断力を身に付けてきておられるでしょうに、海外案件になった途端に調子が狂って身に付けた五感の判断力が機能しなくなってしまうからではないでしょうか・・。語学力と経営判断力はまったくの別物なのですが・・残念なことです。

海外案件になると言葉が違うのでコミュニケーション能力と連動する五感の判断力に狂いが生じ、しかも介在する通訳者次第では微妙に歪んだり変形したりしてしているので、これが繰り返されて蓄積されていくと、判断もずれた方向に引きずられがちになったりしやすいということもありましょう。

釈迦に説法ではありますが、マスコミ報道の多くは金融アナリスト多数派と同様に、短期の視点で多数派の素人や大衆ウケするものに重点をおくことになるので、どうしても一面的で偏った内容になってしまいがちです。

かって堺屋太一氏が、著書*1の中で「内向き官僚は『着手容易だが実現困難なテーマ設定』で目先の仕事ばかりを忙しそうに作り続けて肥大していく」と説明してくれていましたが、中長期のことよりも明日の視聴率のアップダウンが気になるマスコミの多数派にも同様なサイクルがあちこちで回り続けているのかも・・とも考えました。

*1:「組織の盛衰」堺屋太一著 isbn:4569568513: