青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

129-2/2 電子基板製造用 生産間接財 

プリント配線板分野では、技術難易度が高い副資材(MRO間接生産財)では日系企業が過半の世界シェアを獲得しています。

06年6月の30で前述通り、プリント配線板の生産では台湾企業による中国生産の勢いが強く、地域別生産では日中逆転が起こり、中国が世界最大の生産地になりましたが、プリント配線板製造で必要なMRO間接生産財の分野では多くのアイテムで日系企業のリードが続きます。プリント配線板(PCB)穴開け用超硬ドリル世界トップユニオンツールに関し電波新聞2008年7月18日付は「台湾EMSを中心に6層8層など多層のプリント基板が増え、超硬ドリルの需要も(ハイエンドの)極小径が伸びている。同社は、極小径では0.075ミリから0.25ミリまでをそろえるが、東アジアでも0.2ミリが主流になりつつある。アップルが世界で発売したiPhoneの生産が台湾EMSでも増えており、その基板生産が活況を呈している。東アジア域内では、中国(上海・東莞)と台湾で超硬ドリルを生産している、基本的に域内の需要は域内で生産するが、一部の極小径ドリルは日本で生産し、現地に送っている。台湾系EMSでは高品質が求められている。」と稲見辰雄取締役東アジア地区統括のインタビューを掲載していました。フォーブス日本版2008年3月号は日本のベストスモールカンパニー特集で「ユニオンツールは、プリント基板に穴を開ける超硬ドリルで国内60%超海外40%弱のシェアを占める。89年に店頭公開して98年に東証一部に上場。高い商品力を武器に、売上高営業利益率は例年20-30%を確保している。90年代後半に直径0.2mmのドリルの量産化に成功し、首位に飛び出した。」また日刊産業新聞2007年1月22日付は「ユニオンツールはPCBドリルのグループ生産能力を、2007年11月期の月31.2百万本から08年11月期には35.4百万本へと13.5%拡大する。長岡工場が月1百万本増の月20百万本、台湾が1.2百万本増の月5.8百万本、上海が1百万本増の4.8,百万本、東莞が1百万本増の4.8百万本へと。台湾や中国では価格競争が厳しく、価格競争が最も厳しい刃先直径0.25mmの需要が増えている。対応策として、原価低減に加えて、先端製品の刃先径0.1mm以下の専用生産設備を投入し、従来設備の生産能率を10-20%改善するほか、歩留まり改善、在庫率低減も推進する。」と報道していました。
電子基板のプリント配線板製造で使用される感光性フィルム(プリント配線板回路形成用感光性ドライフィルムレジスト)とは、銅張積層板の上に張り付け、回路を形成するために用いられるフィルム状のレジスト材料です。一般的にポリエステル製のベースフィルム感光層、ポリエチレン製のカバーフィルム三層で構成されています。業界トップの日立化成に関し、電波新聞2008年7月22日付は「日立化成工業は、中国蘇州工場の敷地内で5億2千万円を投じ、感光性フィルムでは日系企業となる開発拠点を設立する。開発人員を現地採用し、09年4月から本格稼働する。中国は、台湾、日本、韓国を中心とするプリント配線板メーカーの工場が数多く稼働しており、感光性フィルム世界最大の市場となっている。」と、また追いかける旭化成に関し電波新聞2008年6月11日付は「携帯電話、デジタル家電の需要拡大でドライフィルムの需要も拡大が続いている。旭化成は、日本国内約4割のシェアを持つが、更に中国生産の能力を年産2億8千万平方メートルに増強したことで、富士工場と合わせた同社グループの生産能力は年産3億7千平方メートルとなり、世界最大のドライフィルムサプライヤとなった。」と、また電産新報2008年1月7日付は「旭化成エレクトロニクスは今後とも中国での生産能力を増強するとともに国内では高機能品に注力する。国内ドライフィルム市場でシェア4割を有し、台湾・中国・韓国にスリット拠点を整備している。」と、また半導体産業新聞2007年7月5日付は日立化成に関し「感光性フィルム[フォテック]を抱える日立化成は世界の販売シェア30%強」と、また電産新報2007年8月20日付は「感光性ドライフィルムで世界トップメーカーの日立化成は、煙台スリット工場を新設し、このほどの中国蘇州の新工場竣工で、中国における同フィルムの生産能力を150百万m2に拡大した。現地でのトップシェア獲得を目指す。日立化成は同フィルムの生産拠点を日本・中国・馬国(マレーシア)、スリット加工拠点を中国・香港・台湾・韓国・馬国・蘭に擁する。」と報道していました。
JPCA2008の紹介記事で電波新聞2008年6月11日付は「アサヒ化学研究所は、プリント配線板向けに、難燃化を実現したフレキシブル基板用の液状フォトレジスト(DPR-700F)と熱硬化性レジスト(FR-181)を展示。」と報道していました。また絶縁層形成で現在のレジスト工法に代わるインクジェット印刷で使用される光硬化性インクに関しては電産新報2008年1月7日付で「チッソはインクジェット印刷対応で高濃度・厚膜化が可能なポリイミド絶縁性インクを開発している。プリント配線板製造工程で用いられるエッチングレジスト・ソルダレジストをインクジェット印刷で代替するとか、LCD用ドットスペーサや有機ELのバンク材などで期待されている。」と報道していました。