青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

127-2/2 電子基板産業の動向

電子製品のバリューチェーンサプライチェーンに関し、電子基板の主要部材である電解銅箔の動きを通して、電子基板が組み込まれる電子製品の動きが見えます。

電子基板に関しては、電子基板の製造で使われるマテリアル系生産財の部材については06年6月の32で、電子基板の内訳でリジッド基板のマクロ動向を31で、フレキシブル配線板テープ基板については06年8月の44から47で、電子基板産業のマクロ動向として、台湾企業中国生産パワーを30で、薄型テレビ向けを06年9月の57で記述しました。
電解銅箔の動向を通してその先のリジッド基板とテープ基板、更には最終財の市場動向が見えます。三井金属の取締役で銅箔事業本部長の江藤勝利氏は日刊産業新聞2008年6月27日付で「アジア市場に関し、汎用箔は、35ミクロンから12ミクロンという薄物を使うようになった。配線微細化のためで、需要家の技術水準が使えるようになってきたため。12ミクロン箔では、アジア市場シェアを現在の50%から70%に高めたい。アジア勢は12ミクロンをシート状で出すことはできても、均一の厚みロール状にする量産技術で差がある。・・・・CCL(銅張積層板)業界が1年以上前から北京五輪を期待して動いていたが、期待外れだったようだ。日本では、FPC(フレキシブル回路基板)向けが伸びている。これも主な用途は携帯電話向け。デジタルカメラ向けのFPCにも使われるようになった。・・当社が圧倒的なシェアを持ち、且つアジア勢は手掛けていないのが樹脂付銅箔(RCC)キャリア付極薄銅箔(マイクロシン)。携帯電話に使われるRCCは需要が落ちず高い水準を維持している。当社は勝ち組に製品を供給していることも販売が好調な要因と考えている。国内の上尾工場では (マイクロシン)を強化する。去年の春から夏にかけてCSP(チップサイズパッケージ)向けに急激に伸びてきた。今後の技術開発ということでは、銅箔樹脂組合せは変わらないが、電気をためたり、条件次第で電気を流したり流さなかったりすることができる樹脂を開発する。その第一弾がキャパシタ付電解銅箔だ。外国企業の特許が来年切れる。非鉄金属会社だが、樹脂の開発スタッフもそろえている。」と述べておられました。
電子基板に関するJPCA2008の紹介記事で電波新聞2008年6月11日付は「(プリント配線板製造の)エルナーは、これまで、国内と海外では個別に活動していたが、今後はユーザーが複雑に動いている中で、受注競争力を高める意味で、グローバル市場に対して一体的な活動を展開していく。重点分野別には、車載機器分野では引き続きECU系の高信頼性用途を含めて取り組みを強化、さらにデジタルAV分野についても注力する。国内ではフィールドビア構成のビルドアップ多層板を高密度実装が求められる携帯機器分野で展開していく。」と紹介していました。プリント配線板では多層化と精密化が高付加価値化の流れですが、技術ニーズがあっても技術付加に見合うコスト増を製品価格に転嫁できない事情もあるようです。高付加価値化のトレンドでビルドアップ基板のような難易度が高い基板で不採算の企業も少なからずあるようです。とくにビルドアップ基板に関し電産新報2007年10月1日付は「当初は短期間で多層板市場の5割超を占める規模に成長するとの見方が強かったものの、ここ数年は、多層板に占める割合が数量で2割強、金額でも3割強の横ばい。従来工法比で価格面にハンディがあるから」と、また業界各社のマクロ状況に関し「多様なエリア(例えば)先端技術分野、特異品、隙間品、小ロット短納期、等々、各々の分野で勝ち組と負け組みの二極化が進みつつあり、これまでのような小回りや市場への真摯な対応などは事業手法としては強力とは言えなくなってきている。」と説明していました。その中で、30、31、58で前述した京写は、国内では需要減退が続いた片面版や両面版への集中と国内生産という逆張り経営で堅調な業績を示しています。また加工技術では、例えばプリント配線板向けフラットプラグの加工サービスを展開する愛知県小牧市野田スクリーンの社長/小縣英明氏は半導体産業新聞2007年11月28日付で「フラットプラグ加工とは、プリント配線板スルーホールの永久穴埋め加工のこと。スクリーン印刷法で光・熱併用硬化型樹脂をスルーホールに充填し、露光処理で硬化後、表面を平滑研磨する工法で、野田スクリーンが世界で初めて確立した。ビルドアップ配線板に向いていて、MPUパッケージ基板、携帯電話端末基板、DVC基板など約40社で利用頂いている。フラットプラグ加工から派生した有底ビアプラグ加工は、レーザー又はフォト法で形成されたマイクロビアを樹脂で完全充填する技術で、メッキフィリングに比べ表面銅厚が薄く、ファインパターンの形成に有利となる。」と述べておられました。
電子基板分野で台湾企業と韓国企業が持続的に競争力を高め続けています。台湾企業の中国生産が拡大したことで、リジッドのプリント配線板の国別生産実績で日中逆転が起こりました。また韓国企業によるモジュール基板に含まれるテープ基板(サブストレート)の生産が伸びています。テープ基板分野における韓国企業の成長に関し半導体産業新聞2007年9月26日付は「もはや日・韓の技術力に差はないというのが業界の一致した見解で、韓国勢の更なる勢力拡大が予想される。東レサムスン電機の出資会社でテープサブストレート専業であるステムコは、キャパシティは月産5-6千万個体制となった。07年は従業員626人で174億円の売上げを目指している。LGマイクロンのCOF事業は全社売上の15%程度(140億円?)で、CSPとTCPを含めて月産45百万個に達している。大手系列とは異なる中堅フィルム素材メーカーのイノクスは、輸入に依存していたフィルム素材国産化に成功、すべての製造装置を自社独自で設計したことから、日本などからの輸入に比べ四分の一程度の費用でラインが整備できるらしい。韓国の大手半導体メーカーに対するLOC及びLLTテープの供給で07年は約57億円の売上を計画している。」とのことで、日本メーカーについては「首位の三井金属は、生産能力は月産2億個で、COF65%TCP35%の構成。日立電線月産能力1億個で、COFとBGAをほぼ同様のライン構成としているのが強み。好調な方に生産をシフトできる。カシオマイクロニクスは、月産能力6千万個で、30ミクロンピッチ品の製品受注が急激に伸びている。新藤電子工業は、月産能力45-50百万個。住友金属鉱山パッケージマテリアルズは、月産能力45百万個で、テープ基板そのものは不調だが、材料の二層めっき基板が好調で、二層めっき基板の年間生産能力は06年末で6.5百万m2とCOF材料トップメーカーとしての地位を堅持している。」と報道していました。
日本のプリント配線板産業では、合従連衡の動きも出ています。電子基板向け生産財商社のメディアテクノ(大阪府吹田市広芝町10−14)と名証セントレクッス上場のKFE JAPAN(横浜市港北区)の提携に関し電産新報2007年10月29日付は「KFE JAPANは、メディアテクノのプリント配線板製造子会社/アドバンストサーキット(旧サンタエレクトロニクス)の製品を拡販し、メディアテクノは、KFE JAPANのプリント配線板を日本国内で拡販する、両社は株式を持ち合う。KFE JAPANの事業内容は、中国製プリント配線板を中心とする電子部品の購買代理商社、デジタル商品の製造委託と販売。」と報道していました。