青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

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128-2/2 電子基板製造用 部材

電子機器内部の実装、半導体バイスや電子部品を搭載する電子基板(プリント配線板とモジュール基板)も進化が続きます。

プリント配線板(プリント回路板)とは「絶縁層としてガラス布などの基材エポキシ樹脂などを含侵させた複合素材プリプレグに配線材料となる銅箔を熱プレスで積層成形し、銅箔上にレジストパターンを形成し、ウエットエッチングにより回路パターンを形成したコア基板を作成する。さらに多層化する場合には、未硬化のプリプレグをコア基板と銅箔に挟んで熱プレス積層成形を行い、ドリル穴あけスルーホールを作成、さらにめっきを行い、スルーホール部に導体層を形成、最後にレジストパターンを形成、ウエットエッチングを行い、基板最表面の回路パターンを形成」*1したものです。上述のコア基板は、銅張積層板(CCL)の銅箔をエッチングして回路パターンを形成することで製造されます。銅張積層板(CCL)とは、プリプレグを積層成形した積層板に銅箔を張り合せて製造されます。
電子基板の配線材料として使われる電解銅箔で世界トップの三井金属に関し、樹脂付銅箔の生産能力増強を135で前述しましたが、日刊産業新聞2008年6月25日付は「三井金属は、12ミクロン箔でのアジア市場のシェアを現在の50%から最終的には70%まで高めたい考えだ。国内の上尾工場では、キャリア付極薄銅箔(マイクロシン)を強化する。厚さ18ミクロンのキャリア銅箔上に剥離層を形成、そこに3-5ミクロンの銅箔を電着させた製品。プリント回路基板として実際に使うのは3-5ミクロンの銅箔部分だけ。これまでの月産能力は300千平方メートルだったが、需要が旺盛でほぼフル操業が続いている。このためボトルネックになっていた樹脂との密着性を高めたり、防錆処理を施すための表面処理加工を今春に増強。月産処理能力450千平方メートルに増強した。」と、上述の樹脂付銅箔を含めた全体では「2008年度の設備投資額は45億円を計画。台湾とマレーシアで厚さ12ミクロンの電解銅箔の生産能力を2倍に引き上げることを発表しているが、国内拠点で更なる追加投資も検討している。電解銅箔の厚さが薄箔化してきている。これまではICパッケージ用途が中心だったが、小型・高密度化した携帯電話携帯音楽プレーヤーなどのマザーボード用途が増えていること、環境対応として回路加工時に除去する銅量を減らせることも背景にあるという。」と報道していました。
プリント配線板材料では、利益率の低い汎用品に見切りをつけて高付加価値製品への集中策を打ち出すメーカーが増えています。電産新報2007年7月9日付は、銅張積層板(CCL)に関し、値上げに関し「松下電工は値上げする。銅張積層板を15%、多層プリント配線板用プリプレグ(接着絶縁シート)が10%、内層回路入り多層銅張板(シールド板)が12%。同社は付加価値の低い商品の受注を縮小し、需要が拡大しているハロゲンフリー環境対応材料などに注力している。」と、一方で防錆剤に関し「四国化成は、プレラックス(タフエース)の生産設備能力を現行の2倍に拡大することを決めた。当社製品が高耐熱鉛フリーはんだ等に先駆けたことで、国内のみならず中国や台湾で需要が大きく伸びており、当社筆頭株主日清紡。ソルダレジストインキ最大手の太陽インキ製造とも連携している。」と報道していました。電子基板向け難燃剤への新規参入に関し電産新報2007年10月1日付は「香川県丸亀市の医薬品メーカー/伏見製作所は、電子基板などの難燃剤として用いられる高機能ホスファゼン誘導体(ラビトル)を投入した。新規にホスファゼン原料の製法を開発し。原料から誘導体までの一貫製造を行うことにより、ハロゲン・アンチモンフリーで耐熱性を従来の250-270度を300度に高めた。耐加水分解性も高い。2012年に70億円の売上を目指す。」と紹介していました。
銅張積層板用ガラス布(硝子繊維織物)の最大手メーカーである日東紡に関し電産新報2008年3月3日付は「日東紡は、台湾の建栄工業材料股份有限公司が行う第三者割当増資の引受で、株式の14.88%を保有する筆頭株主となることで合意した。日東紡はこれまでにも建栄工業にグラスファイバー(硝子繊維)を供給してきたが、今回の増資を機に建栄工業に高付加価値ガラスクロス製品の製造技術・ノウハウを供与し、建栄工業は高付加価値製品製造体制の確立・効率化に取り組む。」と報道していました。
プリント配線板製造のレジストパターン形成で使用されるフィルムに関し、日立化成電子材料事業部感光性材料部門開発部長の市川立也氏は「回路パターンの形成工法では、コスト面から(感光するときにパターン部にフィルムを残してエッチングレジストにする)テンティング法が伸びていくと予測。パターン形成のテンティング向けに薄膜で強靭なフィルムを開発していく。また直描タイプソルダーレジストの開発も急ピッチで進めている。現在、フォトマスクを使わず基板上に回路を直接描く直描技術が、回路形成およびソルダーレジスト分野で注目を集めている。直描技術の特徴は、フォトマスクが不要なため、フォトマスク制作工数や管理コストの削減につながるとともに、段取り替え工数が減ることで、効率が向上する。フォトマスクでの位置合わせに起因する歩留まりの低下や諸問題も解決できる。」と述べておられました。
プリント配線板用の銅めっき銅ボール世界最大手三菱マテリアルに関し、銅事業カンパニープレジデントの加藤敏則氏は日刊産業新聞2007年10月19日付で「堺工場ではめっき用銅ボールで年産40千トン体制を整えた。今の生産量は20千トンだが、将来の需要増に対応するために先行投資した。」また半導体産業新聞2007年1月10日付で、電気めっき用銅ボールに関し「三菱マテリアルの銅事業カンパニーは堺工場で生産量を年間20千トンから2007年春に40千トンに大幅増強する。同社は素材から加工まで一貫した技術を有し、無酸素銅を原料とし、高純度でめっき溶解性に優れ、品質が高いことからスラッジ発生量極めて少ないなどの特徴があるために国内トップで世界でもトップクラス。」と報道されていました。
プリント配線板のめっき商材で、めっき液、めっき添加剤、めっきシミュレーションソフト、めっき装置、水平搬送装置などを供給する上村工業(大阪市中央区道修町)は、絶縁物の樹脂部だけに選択的に導電性を付与できるダイレクトメッキ液(PDMTプロセス)を拡販中とのことで電波新聞2007年11月5日付で「化学銅メッキ液を使わずに、樹脂部だけにパラジウム活性化薄膜を形成、ダイレクトに硫酸銅メッキができる。エポキシ樹脂ポリイミド樹脂ガラスなどの絶縁物上にだけ触媒が吸着。触媒をパラジウム薄膜に成長させ、絶縁上に導電性を与えることができる。従来の無電解銅メッキで課題だった高アルカリ溶液への長時間浸漬による基板ダメージも、アルカリ処理時間が短いことで最小限に抑えることができる。無電解銅メッキ浴のような化学銅メッキプロセスで必要な前処理工程で使うホルムアルデヒド、フッ化物、ホウ素を使用しないため、排水処理時の問題軽減や、作業環境の改善など環境にも優しい。」と報道されていました。

*1:「プリント配線板材料最前線」工業調査会 ISBN:4769312377