青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

日本国統計で、化学・非鉄・鉄鋼などのいわゆる素材産業の産業付加価値額が自動車産業を上回り始めた・・という事実を前に、日本の産業構造のスパイラルな進化発展を実感しています。マテリアル系企業のスパイラルな進化発展に関し、日本有数の老舗企業の住友金属鉱山と戦後企業のフジプレアムの事例でレビユーしてみます。

老舗企業の例で、住友金属鉱山は400年前に京都で蘇我理右門が興した銅吹き(銅精錬)を長子の友似が養子入りした住友家で発展させたのが起源です。銅地金製造の副産物で化成品事業、更には電子材料、電池材料へと進化発展を続け、今は携帯電話の分野では液晶ドライバーのフィルム基板の世界トップ企業です。また自動車分野ではハイブリッド車ニッケル水素電池の製造で使われる正極活物質の水酸化ニッケルを供給しているそうです。2006-05-13で触れた同業の三井金属三菱マテリアル日鉱金属日立電線・・などもそれぞれ各社各様の進化発展が続いています。

若い企業の例で、昨年ジャスダックに上場した姫路のフジプレアムは1982年に包装資材の販売業で創業されてから、包装機械の製造販売に進出し、今はPDP光学フィルターの世界トップ企業です。国内最大の放射光設備のSpring8の近くに新工場を建設して増産対応しています。デンソー出身で今は兵庫県立大学(旧姫路工大)教授の服部正氏とも産官学連携を行っておられるようです。この放射光設備を使った技術開発の凄さと期待については別の機会に触れたいと思います。

オイルショック以降に構造不況に陥った在来型のマテリアル産業の企業群が、様々なマテリアル技術やプロセス系技術を統合的に活かして進化発展させたマテリアル系の技術でグローバル競争力を高めた企業群、また若い新興の成長企業も加わった数多くの企業群が様々な技ありの高性能素材を世界市場に提供しながら、日本の産業構造の進化発展が進んでいます。