青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

94-1/3 営業プロセスで交渉力

営業プロセスを構成する能力に関し、交渉力(交渉能力)は学習可能な能力ですから、個人の持ち味と経験に加えて知識を持つことで交渉の心技体(能力)も高まります。

筆者/青草新吾は、生産財営業で駆け出した頃に交渉力(交渉能力)の本に出会いました。数々の交渉に際しては「交渉力とは、論理の力心理の力物理的な力という三つの力で構成されるもの」という思考の枠組みがとても役に立ちました。一冊が国際基督教大学の教授/藤田忠氏(当時)の「交渉力(攻撃と譲歩の研究)」*1でもう一冊が「交渉力(人を動かし、自分を伸ばす)」*2です。上述の二冊はハーバード大学などで行われている外交比較文化の視点からの学問的成果です。
外交とは国家間の利害衝突を武力行使せずに調整することです。国際法の視点からは、戦争とは外交交渉が破綻して交戦権を行使されてしまった事態です。外交戦争メビウスの帯のように継続性がありますから、戦争を避けるための外交重要です。
比較文化
では、例えば海外ビジネスの交渉経験を通して謝罪の意味重さの違いを少なからぬ方々が実感しています。日本社会では挨拶代わりに謝る習慣と文化があります。良好な人間関係を維持するのに欠かせません。一方で日本以外の国際社会では簡単に謝らないのがマナーです。謝る場合には「事実に照らし合わせて責任範囲限定し、限定した責任範囲の上で謝罪する。」のが常識です。I’m sorryとかI apologyという言葉は、貿易経験者の多くが実感する通り「賠償を要求されても仕方がない」との余韻を伴う場合が多い言葉です。1994年当時の村山内閣(社さ自連立政権)が慰安婦問題で行った河野談話国益毀損謝罪事例であったような気がします。事実と謝罪対象を限定せずに、責任範囲を無制限な状態で謝罪してしまうと国際社会ではどういうことになるか・・。
米国下院で2007年7月に決議された対日謝罪要求(慰安婦問題)では、日本国内では嘘が判明し教科書からも記述が削除されたはずの吉田何某の捏造証言(私が部下に命じて慰安婦狩りを行った/1983「私の戦争犯罪」)、あるいは朝日新聞などで時々登場する女性国際戦犯法廷の常連メンバーの証言などが行われたものの、事実の確認、即ち証言内容の信憑性の検証行われなかったそうですから、事実に基づく判断よりもプロパガンダの影響が強かったものと推察できます。SAPIO(2007.8.8)で井沢元彦氏が「従軍慰安婦とは米軍テキサス村と同じ公娼制における娼婦。」と指摘しておられましたが、村山内閣が責任範囲を限定せずに発信してしまった河野談話により、もはや事実関係などはどうでもよくなっているようです。河野談話が認めた人権侵害の象徴事例として、今までもそして今後とも日本国民に様々なツケが届き続けることになりかねません。
尚、交渉に関する最近の出版物としては、スポーツエージェントの団野村氏の「交渉力」*3が実際に起こった事例を記述してくれており、学問的に体系化されたものではありませんが、ビジネスで参考になる部分もあると感じました。

*1: 「交渉力(攻撃と譲歩の研究)」藤田忠編著 ISBN:0034108009 プレジンデント社

*2: 「交渉力(人を動かし、自分を伸ばす)」John Ilich著/川勝久訳 ISBN:0036005296 三笠書房

*3:「交渉力」団野村ISBN:9784047100

94-2/3 パワーデバイスで高耐圧トランジスタ

省エネの推進に直結するパワーデバイスの需要が伸びています。パワーデバイスの1-2割が産業用の高耐圧トランジスタです。

パワーデバイスに関し2007年4月18日付半導体産業新聞は「矢野経済研究所の調査報告によると、2006年パワーデバイス市場は前年比16.4%増1兆7千9百億円に達した。分野別に見ると、情報・通信機器分野では、薄型テレビやパソコン向けに大きく成長した。薄型テレビでは画面と電源部分を合わせると数十個のパワーデバイスが必要、(パソコン向けは)MPUの高性能化が需要を押し上げている。自動車向けは07年以降に本格的な成長を遂げていく。07年は更に17.5%増の2兆1千億円と推測する。」と紹介していました。
パワーデバイスの内訳で、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を含む高耐圧トランジスタの需要規模が約3千億円で、世界トップの三菱電機以下、東芝富士電機日立など日本企業が強い分野です。これらのパワーデバイスを組み込んだインバータとは、周波数を自在に作り出すことでモータの回転数を制御する装置で産業用モータ可変速装置として需要拡大が続いています。汎用インバータとは、日本電機工業会は出力容量100KVAでモータ容量が75KW以下の汎用モータに適用する装置であるとし、統計上も家庭用エアコン用などとは大別されています。この汎用インバータ需要規模が世界で約3千億円、国別内訳で日本が約8百億円です。三菱電機は国内シェア4割から5割をめざし、安川電機は06年度世界シェア13%から更に20%へ、富士電機は世界シェア1割に挑戦、一方で世界トップの仏シュネデール社と東芝の連合は両社でタイトル防衛・・と明るく賑やかな需要分野です。

94-3/3 省エネデバイスでインバータ

インバータに代表される省エネデバイスの普及でエネルギー効率が高まり、原油消費量や二酸化炭素の排出量の削減が進みます。

パワーエレクトロニクス関連のインバータ化に関し、資源エネルギー庁省エネルギー技術戦略2007では「省エネデバイスの導入が進めば2030年には原油換算年間4466万klもの削減効果がある。」とレポートされています。44百万キロリットルといえば今現在の日本の原油消費量の2割にも相当する膨大な量です。
102で前述のエルピーダメモリ広島地区の事例に関しElectronic Journal 2007年7月号は「(工場のエネルギー消費の55%を占める空調以外の対策では)、先ず1つ目は、変圧器スーパーアモルファス変圧器に換えることで待機電力を1/5-1/6に削減し、定格負荷時で約30%の電力改善を実現し、CO2を約17百トン削減できた、2つ目は動力機器インバータ化による低圧損化で、バルブを全開にして回転数をインバータで調整することに切り替えて消費電力を約20%、CO2を26百トン削減、3つ目は、照明器具低消費電力化で、照明器具約13千台にHf(High Freequency)インバータを導入し、消費電力を約32%、CO2を約15百トン削減している、これら以外にも、真空装置のドライポンプを交流型から直流型に置き換えることで消費電力を48%、約55百トンのCO2を削減・・等々。一方、工場のエネルギー消費の45%を占めるクリーンルームでは、その大部分は湿度と温度の制御に使用されているので、空調効率化が大幅な省エネにつながる。ミニエンバイロメント技術とFOUPの採用で工場内をクラス1からクラス1000にでき、大幅な空調エネルギーの抑制が実現できた。更に高効率FFU(Fan Filter Unit)の導入や空調循環系圧力損失の低圧損化によりクリーンルームの消費電力を1/4にできたという。」と報道していました。