青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2015-12-31 200. 世界が大変化した2015年の回顧

増税しなくてもやっていけるニッポン”。そのためには“将来世代に目配りした政策”に転換し、敗戦利得者を中心とした戦後の既得権益も規制改革で競争を促し、“一人当たりGDP(稼ぎ)”を高め、“道州制で適正規模の統治構造”とし、“スイス連邦や北欧のようなクオリティ国家”を目指していきたいものです。

本朝の日経新聞201512.31付で慶大教授の小林慶一郎氏が「まだ生まれていない将来世代目配りした政策運営にするには選挙制度を変えるしかない。将来世代の利益を代弁する枠を作れば、今の世代へのバラマキは駄目という意見が出てくるだろう」と寄稿しておられましたが筆者/青草新吾は強い共感を覚えました。
今の日本は大手新聞社経済誌御用エコノミストとグルで財務省プロパガンダを流しますから、国民は騙されてしまっています。民主主義の危機です。選択肢の中から国民が選挙で選ぶ本来の民主主義へと切り替えていく必要があります。明治政府が“地方分権だった江戸時代の統治構造”を“官僚統治型・中央集権国家”に作り替えてしまいましたが、官僚による国家社会主義が行き過ぎてしまいました。戦前は軍官僚と内務省官僚、戦後は財務省に権限が集中して政策運営の誤りもでてきます。現実社会には疎いが試験上手の元学校秀才の机上の詭弁に誤魔化されないよう「“事実に基づく合理的な判断力”に磨きをかけていく」ことが必要です。判り易い事例で今回の軽減税率。2015年は軽減税率(複数税率)の導入決定が税制面での大きな変化となりました。“財務省プロパガンダ(金持ち優遇の軽減税率に反対、(財務省に執行権限を付与される)給付措置に賛成)”が猛威を振るう中で、“事実に基づく知的な議論”をする学者もおられました。そもそも生存するために必要な“生活必需品には非課税低い税率”が原則です。
日経2015.11.5付で京都大学教授の諸富徹氏が「軽減税率(複数税率)OECD諸国で“減るどころか一層活発に用いられる”ようになってきている。我々はその要因を“先入観なく理解すべき”かもしれない。逆進性緩和策としては “給付措置より”も軽減税率の方が“効果的”との判断が趨勢。買い物をすれば“低所得者の税負担自動的に軽減できる利点”こそが“高所得層にも恩恵が及ぶ短所を上回る”という。世界で軽減税率が広く支持されるのは、この利点のためであろう。」と指摘し、OECD諸国で現実に起こった“給付措置の短所”として「申請という形で消費者に負担をかけるので“受給資格があっても受給しない人が4割”もおり、反対に“受給資格がないのに受給”する“不正受給が多々発生”している。 “給付措置とは理論の想定通りに機能する場合のみ有効”なのだ。」と寄稿していました。・・・財務省が邪魔してきた軽減税率(複数税率)の導入が決定しました。
税と社会保障の一体改革も進めて欲しいと希望します。“富裕な高齢者”にまで低負担で済ませ現役若者世代に負担させるのは如何なものでしょうか。日本の場合、富裕層の多くが「不動産持ち・低所得者」なので、“死亡時の相続時点でそれまでのコストを負担してもらう相続時負担”の考え方を導入し、資産税もっと広く薄くかけていけば、税収は増えます。敗戦利得既得権益してしまった日本では、所得税が高すぎる割に、資産税が安すぎる。先進国では「ストック課税は資産税で、フロー課税は間接税(生活必需品は非課税又は低率)で」が趨勢です。日本だけが直接税の「所得税法人税に偏った役人天国」になっています。
ストックに対する課税では、“適度のストック課税(資産税)”は“競争による新陳代謝促進”しますからコストがかからない成長戦略としても機能します。反対に日本のように資産の多くが非課税だったり低率資産税だと、イノベーションを阻害します。一方のフローに対する課税ですが、稼いで雇用を生み出す才能ある企業(個人と営利法人)が世界から集まってくればくるほど、日本は豊かになっていきます。 “所得税法人税ペナルティのように高い”と、公正な競争で努力や才能で稼ぐよりも、既得権益のような不公正競争がはびこり易くなります。
世界経済を見渡すと、2015年前半は“中国共産党による国家資本主義のパワーダウン”とBRICSだのVISTAだのと金融関係者が囃(はや)し立ててきた“新興国経済のペースダウン”が際立ちました。先進国経済主役交代米国経済が強く振興国主役交代の様子でNEXT11フィリピン(比国)メキシコ(墨国)勢いが加速してきているような気がします。10月の環太平洋パートナーシップのTPP合意は、世界経済の雰囲気一気変えしてしまいました。米国と日本経済パワーの運気が高まってきたように感じます。隣国では台湾と韓国が新規加盟を、アセアンからもメンバーのシンガポール(星国)とベトナム(越国)、ブルネイ(文)に加えて、新規加盟で比国と泰国、尼国あたりも参加の意思を示しだしています。TPPが実現してからの遠い将来のことですが、中国共産党が崩壊すれば、ソ連崩壊後のように複数の国に分かれていくでしょうから、道州制を実現できた日本が、台湾あたりと連邦を組む面白い展開が期待できるかもしれません。
個別の産業では“自動車産業が激変”しました。特に9月に発覚したフォルクスワーゲン(VW)不正問題では、呆気にとられてしまいました。その実に目的が明確な“計画的で合理的な不正”こそは、正にナチズムが生まれた国ナチスが育てた自動車メーカーだからなのだろうか?とも考えてしまいました。誰がいつどのように決めて戦争に入っていったのかが今一つ定かでない日本ではあまり見ない不正パターンのような気がしました。ともかくマツダなどの真正面から取り組んで技術的に実現した本物のエコディーゼルと違って、VWのエコディーゼルとは実はインチキのまがい物だったようです。VWは「ディーゼルは腰折れした。エコはディーゼルからハイブリッドにシフト」と方針転換を鮮明に打ち出し始めました。世界最大の自動車需要国となった中国でも、電気自動車プラグインハイブリッドの販売台数がテスラの米国と逆転し、世界最大の市場となりました。上海などでは自動二輪のバイクも電動バイクになっています。二輪に続いて四輪でも世界最大の電動車市場として存在感を高めていくこと間違いなしです。
アラブの春”などと無責任報道でもてはやされた中東では、混乱が深まるばかりです。世界の政治では、テロ勢力とされるスンニ派系のアルカイダタリバンハマスに加えてISIS(イスラム国)までが加わって欧米露と敵対しています。シリアのアサド政権は露から支援されながらも欧米とこれらスンニ派武装集団の両方と敵対しています。
今の中東”はまさに“軍閥割拠だった戦前の中国大陸”のようです。日本軍は深みに足を取られてしまいました。“今の中東”がカソリックプロテスタント30年戦争で殺戮戦を行って人口が半減した17世紀の欧州みたいにならないことを祈ります。本来は寛容な宗教のイスラムから多くの過激派が生まれてしまった・・。元はといえば、部族社会を無視した欧州が“勝手に国境線を引いてしまった”ことから今の中東の争いが起こっているともいえます。ユダヤ教キリスト教イスラム強と“同じ神を奉じるが信じ方が違う”からの争いは過酷です。寛容な日本文化では想像できない世界です。空爆による殲滅など止めて欲しい。太平洋戦争日本列島人口7千万人くらいで600千人くらいが米軍の空爆で亡くなったそうですが、人口2千万人くらいのイラクでは米軍の空爆同じくらい(600千人?)の多数の一般市民が犠牲になったようです。とてもつらい現実です、太平洋戦争時、米国大統領のF Roosevelt(カタカナでルーズベルトとかローズヴェルト)は「日本全体を悪魔化して空爆原爆投下正当化」したそうです。中国どさくさまぎれ平和的なウイグルの活動家テロリスト扱いして虐殺・虐待し、日本に対しては歴史戦争をしかけ「日本を悪魔化」しようとしています。・・・一神教の歴史を持つ欧米の方々はテロリスト殲滅の空爆といいますが、殲滅ということばからは「東京大空襲原爆投下」の歴史と重なります。筆者/青草新吾は“寛容な歴史と文化を持つ日本ならではのお役立ち”ができないものかと思案してしまいます・・。
年末に飛び込んできた「日韓慰安婦問題不可逆的な最終解決」のニュースに対しては、「朝日新聞捏造記事出版物直接の原因なのに朝日新聞は何だ」とも思い、また「多くの戦没者の名誉にもかかわることなので事実を曲げてまで政治決着なんかしないでよ」との反感も感じましたが、橋下元大阪市長が指摘するように「村山談話の無効化に向けての上書き」と考えれば「ならばこれくらいはしかたないか」とも考え直しているところです。
以上、2015年を回顧するにつけ、民主党政権でなくて、守旧派自民党政権でもなくて安倍政権でよかった、でも規制撤廃などもう少し成長戦略で頑張って欲しい、大阪では「おおさか維新」が「大阪をギリシャ化させてきた“自民党から共産党までの既得権益オール与党”に圧勝したこと」は行政改革・統治構造改革に向けては良いことだった2016年以降日本の稼ぐ力もっと高め次世代につないでいけたらと期待しながら、筆をおきます。