青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2012-11-21 188-1/2 大陸中国とビジネスでどう付き合うか?

陸中国で最大最強の利権組織である共産党の終わりの始まり・・・政治とビジネスでどう付き合っていくのがベターか、惺々著と俯瞰してみます。

CCTV(中国中央電視台)は「日本が右傾化し、中国に戦争をしかけようとしている」と繰り返し報道しているようです。現地日系企業の日本人駐在員の中には「本当に日本は中国に攻めてくるの?」と中国人社員に聞かれた方々がおられます。一方で「日本が攻めてくると報道するCCTV」の日本支局NHK放送センターの中にあります。CCTVNHKのような偏向大メディアの報道を真に受けていると、とんでもない貧乏くじを引かされることになってしまいますから「惺々著(せいせいじゃく)と晦(くら)まされず」に、情報を集め、論理的な検証を加えながら、できるだけ客観的な世界観を身に着けていく努力が必要です。感情論や善悪論では歯がたちません。経営品質(経営品質賞やTQMなど)や業務品質(ISO9001)の基本となる「事実に基づく判断」の能力がここでも役に立ちます。特に陸中国は“多様な社会”という点では米国と同じです。大きく異なるのは、米国が言論の自由と民主主義を国是とするのに対し、中国共産党が統治する大陸中国は、言論統制国家で、しかも世界に対しては“物凄い情報(プロパガンダ)発信国”です。情報戦と世論戦ではとてつもなくパワフルな強国です。逆に日本は発信が乏しい発信弱小国です。尖閣問題でいえば中国は国際社会では被害者面です。「現状維持を破った日本の被害者」という認識を物凄い宣伝戦で広めてしまいました。70年前の太平洋戦争に追い詰められていった過程でも、中国国民党ソ連共産党コミンテルンが発信するプロパガンダ宣伝戦に対して日本は負けて孤立を深めていったんだろうな・・と想像できます。繰り返してはなりません。賢者は歴史に学ぶといいます。歴史を振り返ることが役にたちます。
中国共産党対外政策を理解するキーワードが“有所作為(ゆうしょさくい、you3 suo3 zuo4 wei2)”と“韜光養晦(とうこうようかい、tao1 guang1 yang3 shu3)”の二語です。ありていに言えば「弱者に対しては高飛車に好きなように振る舞い、強者に対してはただひたすら頭を低くしておいて力を蓄ることに努める」ということです。「落ちた犬を叩く」「軟土深掘(相手が自分より弱ければ、もっと噛みつけ)」のお国柄であることを理解しておくことが重要です。「有所作為(ゆうしょさくい、you3 suo3 zuo4 wei2)」とは「弱い相手にはやりたいようにやる」です。強者が弱者にやりたいようにふるまうのは中華世界ではあたりまえのことです。次に「韜光養晦(とうこうようかい)」ですが、日本語の「韜晦(とうかい)」が「包み隠すこと」であるように「強者には下手に振る舞い、ただひたすら強くなるまで辛抱する」ということです。二語がセットでないと正しくは理解できないと思います。
日中関係を“韜光養晦(とうこうようかい)・有所作為(ゆうしょさくい)”におきかえると「圧倒的な日中の国力の差があったから、日本に対しては頭を低くしてきたが、今は力関係が逆転しつつあるのだから、好きなようにやらせてもらって当然だ。尖閣と沖縄中国のものだ。」ということです。力関係冷徹なパワーバランスで考えるのが中華流です。ハードパワーの抑止力(軍事力)経済力の裏付けがあってこそ、ソフトパワーの外交もパワフルになります。リアリズム現世主義の中華流では“力なき者の誠意”など相手にされません。中華世界を相手にして力を伴わずしての「日本的な“誠意をもって”という考え方」は無意味に近い。
だから抑止力としての軍事力や、国際世論への影響力などが極めて重要になります。世の犯罪の大半は“被害者が一方的に襲われ”ます。「自分は加害者にならない。だから被害者にならない」のが現実ではあり得ないのと同様に、“憲法9条”の「日本は戦争をしない。だから他国からも攻撃されない」などという夢想は“中国共産党につけこまれるだけ”です。早く改正すべきです。“田中政権以降自民党政権”と“外務省チャイナスクール”は、中国共産党の度重なる挑発威嚇行動に殆ど対応してきませんでした。中華流思考からは“もっとやって大丈夫だ”とシグナルを送り続けてきたといいえます。
中国共産党対外関係を示すキーワード”には、孫子以来の情報戦・世論戦があります。戦わずして勝つ孫子の兵法が最善の策なので、虚偽トラップ(わな)を駆使する宣伝戦今もフル稼働しています。歴史捏造などのウソ朝飯前です。「ウソ1百回言えば本当になってしまう」を地でいくお国柄です。今回の尖閣(政府による私有地購入)でも、私有地という概念がない中国に対して、日本のメディアが“国有化”などと報道したことで、日本人とは異なるニュアンスで受け取った中国人が反発したという側面もありますが、「中国は被害者だ」と宣伝し、定着してしまいましたからニューヨークタイムズのように「現状維持を勝手に変えた日本が悪い。中国が可哀そうだ。」などという記事まで書かれたようです。“事実に基づく反証”で“世界に訴えていく”ことを繰り返して訂正を働きかけていかないと、歴史上はそのままで事実にされていきます。南京虐殺慰安婦強制連行など、進歩派と称する反日日本人の活動も加わって、このようにして捏造され、国際社会に定着していったのではないでしょうか・・。事実に反することはその場で反論していかないと世論戦で負けてしまいます。・・・中国共産党対外政策を示すキーワードには“ダライラマ効果”という言葉もあります。独ゲッチング大学の研究者たちによれば「世界159カ国の貿易統計から、チベット仏教の最高指導者/ダライラマ14世国家元首や首相が会うと、その国の対中輸出平均8.1%落ち込む」とのことだそうです。「中国相手の貿易政治次第」と割り切っておくことが必要です。あまりにも低劣な日本の政治に対して愚痴がでるのも当然ですが、日本経団連の米倉会長のように中国向け輸出が減ったからといって政府の対応を責めるのは「利敵行為の反国家活動」といえますまいか・・。
陸中国の歴史からは「外国人に危害を加える」「外国人を抗争の巻き添えにする」という側面が強い傾向にあることも確かです。・・・多くの中国人の方々はそんなことはありませんが、しかし一部の暴徒外国人を襲うという排外的な伝統まだ残っているようです。古くは清朝の頃に外国人を襲撃して回った義和団事件軍閥時代には敵対する軍閥の資金源とみなした外国資本への襲撃、日本に対しても延々と繰り返された排日破壊活動、日本人婦女子数百人が惨殺され、しかも中華風残虐の死体損傷があまりにも惨(むご)たらしすぎて、日本政府の関係者が「被害者の名誉」のために公表をためらったとされる通州事件、日本人3千人が虐殺された通化事件等々。133[2008.5.24]で前述しましたが、朝鮮戦争のどさくさ侵略したチベットでは1百万人前後が虐殺されたともいわれています。今回2012年9月の反日デモについては、多くの良識派中国人の方々が「恥ずかしい」と言いながらも、一部の暴徒の暴力行為が、各地で一斉に起こる、あるいは新幹線事故では“新幹線の中にまだ生存者がいる”にも関わらず、重機で土の中に埋めてしまおうとしたというお国柄であるというのもこれまた悲しい現実ですから、用心は欠かせません。
陸中国最大の利権組織である中国共産党崩壊が始まっているのかもしれません。今起こっていることを書き出してみます。トゥ小平以降の“改革開放”路線が終焉に向かっているような気がします。揺り戻しがどこまで進むのかは分かりませんが、外資導入への積極策が徐々にペースダウンしていくのかもしれません。トゥ小平の要請で日本企業として初めての進出を果たし“井戸を掘った恩人とされてきたパナソニック”が尖閣をめぐる反日デモで襲撃されたのはこの意味で象徴的でした。またトゥ小平以降の“改革開放”路線からの揺り戻しという点では、2012年4月の薄照来(bo2 xi1 lai2、日本読み「はくきらい」)氏の失脚は象徴的な政変だったといえます。薄照来氏そのものは、2005年の小泉首相に反対する反日デモでは「日本企業10百万人の雇用を生み出し、中国社会で貢献している」との声明を発表し、現地の日本企業を守ろうとした御仁です。薄照来氏は、日本企業誘致で経済成果を出し続け、共産党内部で駆け上がっていかれたお方でした。そのお方を支持する勢力毛沢東万歳”派)は、日本企業を大陸に誘い込んできた改革開放路線に反対する勢力でもあります。薄照来を逮捕した胡錦濤(Hu Jintao)主席は、実はかなりの親日だったようです。事実、02年に総書記に選出されてからすぐに右腕の馬立誠なるお方に「対日新思考」を発表させています。この発表を受けて大陸中国に投資を決定した日本企業も少なからずありました。ただし中国国内では「売国奴」などと強烈な反発がでたことで対日新思考もトーンダウンしていって最後には封印されてしまいました。残念なことでした。中華の伝統は“国際なし”です。伝統的な中国語には国際はなく“州際”しかありません。国内事情外交が大きく振れていきます。
今起こっていることは求心力よりも遠心力が強い内部分裂ではないでしょうか。中国共産党が統治する大陸中国では、治安維持費の維穏費(12年実績で70.18百億元)が、国防のための軍事費(同、67.02百億元)を上回っています。中国共産党幹部の多くが、家族を国外の米国やカナダに送り出し、国籍もとらせ、汚職で蓄えた膨大なマネーせっせと国外に持ち出していくお国柄です。国を統治する主要メンバーそのものが、中国を信用していないという現実をしっかりと見定めておく必要があります。中華風思考の「国としては自分も強くなろうと米国や日本とは敵対するが、個人として強い者が好き米国大好き」も理解しておくべきです。小泉政権に対する過激な反日デモが2005年に起こりましたが、一方で、中国では“人気がある日本の政治家小泉首相”だという中華風思考理解しておくべきです。台湾人が“中国人との違い”を強く感ずるのは、中国人が“会った瞬間に上下関係を見定めようとすること”と“自分が上だとみれば威張るし、下だとみれば媚びてくること”だと148[ 2008.12.20“中国の国民性”]で紹介しました。135[ 2008.6.21“台湾人の複眼的思考”]で、共産党に負けて台湾に逃げ込んできた国民党軍のふるまいを通して台湾人の方々が知り得た大陸中国の傾向を記述しました。・・・厄介なのは反日教育での歴史捏造刷り込みです。
韓国は戦後まもなく、大陸中国でも中国共産党第3世代江沢民(Jiang Zemin)が、1989年の天安門事件の後に反日教育を開始しました。教育とプロパガンダ刷り込まれた反日イデオロギーして厄介です。・・・ウソであっても広く認識されてしまういつの間にか事実に捏造され、事実になっていきます。・・・中国人と付き合う極意は“強い自分になること”と“明確かつ論理的に伝えること”“日本をよく知っておくこと”です。メタルワン社長兼CEOの松岡直人氏が日刊産業新聞2012.10.15付で「歴史教育が重要なのは、歴史を通じて現在を理解し、将来を見通すこと。98%が進学する高校で“日本史を必修に”すべき。学ぶ順番は“明治以降の近代と現代から”。理由は、現在の政治、経済、社会問題の大半は、明治時代以降の近代に起因し、関係している事柄が多いから。歴史の学習を通して“現在を理解”し“将来を見通す”こと。過去を学び、過去から継承された現在の状況正確に考察できて初めて、未来に向けた新たな創造ができるのではと思われます。今後の日本を背負っていく若い世代には、“近代以降の歴史教育は必修にすべき”と思います。」と述べておられましたが、全くの同意見であり、賛成です。
対中関係ということでは、政府も民間人も、日本からは、自由民主主義人権法の支配、といった国際社会の普遍的な価値に基づいていないところを突き崩していくべきです。2012.11.6のASEM(アジア欧州会議)で中国の楊外相の尖閣発言に対し、反論抗議する野田首相が会談で退席した後を引き継いだ外務省外務審議官斉木昭隆氏が「中国の代表は、歴史的にも国際的にも疑いなく日本が有効に支配している尖閣諸島について、執拗に不当な主張と、過去60年間の日本国の平和国家のあり方否定し歴史をねじまげてその名誉を傷つけ悪意に満ちた発言を繰り返しているが、そのような発言は全く受け入れられない。中国は自国の発言に同調する国はまったくないということを認識すべきだ」と堂々と発言したのは良かった。外務省といえば、“中国共産党工作員ではないのかと疑いたくなる”ような孫崎亨(まごさきうける)なるお方のような“チャイナスクール”のイメージが強かったのですが、このようなまともな外交官もおられることが分かって安心した次第です。
他国と比べ、陸中国では極端なまでに政治(権力闘争のおしくらまんじゅう)にビジネスが振り回される傾向にあります。かといって、これだけ大きな経済になった隣国を無視することはできません。深入りせずといえども、付き合って行かざるを得ません共産党が一党支配する大陸中国への基本姿勢は、政治の上では、自由や民主主義、人権、法の支配、といった国際社会の普遍的な価値に基づいたお付き合いを進めていくこと、将来、大陸中国民主化がもっともっと進んだ暁には、多くの中国人から「日本が国を挙げて“大陸中国民主化”への“支援”を続けてきてくれた」と喜んでもらえるようにしたいものです。間違っても「日本は、中国共産党にへつらい続け、民主化勢力の敵であり続けた」などど非難されぬようにありたいものです。ビジネスの上でも、やはり人権と法の支配といった国際社会の普遍的な価値帆をあげてお役に立つ代わりに稼がせて頂く」ことです。大陸中国の産業を見渡すと“日本からのサプライチェーンが絶たれると成り立たない産業も多々”あります。“必要とされる分野で稼がせてもらう”ということは、大陸中国経済と雇用に貢献するということです。堂々と稼がせて頂きましょう。現地の事業で稼ぎ出す付加価値額は、現地で支払う人件費(雇用)、税金(行政サービス)、様々な現地調達などで貢献することができます。もちろん日本側も投資や経営に対する見返り配当などを得て日本国にも貢献できます。権力闘争の“押し競饅頭(おしくらまんじゅう)”や共産党プロパガンダ巻き添えで大怪我しないように、用心に用心を重ねておく必要があること、いまさら申し上げるまでもありますまい。
最後に、中国と付き合っていく上では日本側は政治が重要です。185[2012.5.16「日本というシステム」]や186[2012.7.8「増税で危機を招き入れる日本」]で前述しましたが、競争力に満ち溢れた強い日本を実現していくためには何よりもまずは“改革していける統治機構”への“統治機構改革”が必要と考えます。今の日本の国会議員は“外交・安全保障・通貨など”、国政レベルの仕事を放置して、利権に直結する地方政治のレベルのことばかりに係ろうとしています。地方のことは地方で進めていく道州制がベターと考えます。繁栄している国々人口規模は、数百万人から2-3千万人です。日本以外の大国は連邦制です。米国は合衆国なので、州レベルで成果を競いあっているし、大統領の多く州知事経験者です。会社でいえば、課長や事業部長を経て実績を積んだ方々が社長になるのと同様に“政治家にも能力発達の経験”が重要です。多くの国民が“田中角栄政権以降政官癒着バラマキ構造”への危機感を感じました。民主党は、官僚主導政治の弊害として天下り4600法人28千人が天下りし、12兆円が注ぎ込まれているとして公務員制度改革地域主権確立、を訴え、大量得票して政権を奪取しました。政権奪取後は、支持母体である自治労日教組などの既得権におもねって公約違反で何もしませんでした。今の自民党はこの国民の思いに鈍感な者ばかりです。いまだに反省も改革もしていません。186で前述しました日本人びいきの経営コンサルタントジェームス・スキナー氏が“好きなニッポンが堕ちてゆくの見過ごせない”として上梓された「略奪大国」(ISBN:9784894514768)で訴えられているように、民間が消費と貿易で9割を占める国民経済なのに、生まれる付加価値の半分中央政府の官僚が使うという異様な官僚社会主義国から抜け出すべきです。国民が生み出す価値半分以上を政府が浪費するのですから、景気が悪くなるのは当たり前です。自民党はこのあたりの反省が足らないと思います。12月16日の選挙では、多くの国民が、日本経済の活気を再び取り返し、底上げしていくための“必要条件である統治機構改革”の改革派保守政党へ投票されることを切に期待して止みません。“強いニッポンに再建していく”ことは、中国や韓国との外交関係を改善していくためにも有効です。